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瑞鶴 卯月

【卯月SS】瑞鶴「暁とホラーを見たら夜一人でトイレに行けなくなった」【艦これ】

夏。執務室。

提督の私物のホラー映画のビデオを見つけた瑞鶴が暁をからかっている。

秘書艦の霞(かすみ)はうんざりした顔で、提督は面白がっている様子で見守っている。

瑞鶴「やっぱりお子様にはホラーは早いわよねー」

暁「あ、暁は大人のレディーだから怖くないし!」

瑞鶴「じゃあ一緒に見る?大人のレディーならこんなもの怖くないわよねー」

暁「へ、へっちゃらだし!」

瑞鶴「じゃあ、今から見ましょ。提督さん、これ、借りてくね」

提督「ああ」

霞「程々にしておきなさいよ」

瑞鶴「分かってるって」
数時間後・執務室

暁「ひっく、ぐすっ、しれいか~ん」

電「酷いのです」

雷「そうよそうよ!」

響「ウラー!」

瑞鶴「わ、悪かったわよ…」

霞「…程々にしておくようにって言ったはずだけど」

瑞鶴「悪かったってば」

霞「あたしじゃなくて暁に謝りなさいよ」

瑞鶴「…そうね。暁、その…」

暁「瑞鶴さんなんてきらい、だいっきらい」

瑞鶴「ぐっ、だからその…」

暁「いじわる、ばか、ひこーかんぱんむね!」

瑞鶴「なっ、胸は関係ないじゃない!だ、だいたい、暁も悪いのよ、怖いのに強がったりするから!」

響「暁のせいだっていうのかい?」

瑞鶴「そ、そうよ。あれくらいで泣くなんて弱虫過ぎよ!」

雷「酷いわ!」

提督「瑞鶴、そのくらいに…」

瑞鶴「あーはいはい、悪かったわよ、ごめんなさい。これでいいでしょ」

瑞鶴が出ていき、入って来た卯月にぶつかりそうになる。

卯月「どうしたぴょん?」

霞「後で説明するわ。

  響たちは部屋に戻って暁を落ち着かせなさい。

  瑞鶴にはあたしから言っておくから」

響「…了解した。」

電「暁お姉ちゃん、部屋に戻るのです」

暁「うん」
十分後

卯月「それはちょっとやり過ぎだと思うぴょん」

霞「卯月はいたずらをする側だと思ってたけど?」

卯月「いたずらは加減が大事だぴょん。笑って済ませられる程度がいいぴょん。

   相手を本気で悲しませたり傷つけたりするのは駄目だぴょん。許すまじだぴょん」

霞「まあそうね。それに売り言葉に買い言葉な面もあるけど、その後の対応も年長者に相応しいものじゃないわ。

  どうにかした方がいいんじゃないかしら」

提督「そうだな」

卯月「うーちゃんにいい考えがあるぴょん!任せるぴょん!」

霞「…一応聞いてあげるわ。言ってみなさい」
その日の夜中

瑞鶴「うー、トイレトイレ」

瑞鶴「ホラーなんか見るんじゃなかった…。さすがにちょっと怖いかも」

瑞鶴「…」

瑞鶴「さっさと済ませて帰りましょ」
トイレの帰り・1階廊下

節電のため最低限の明かりしか点いていない。暗闇の中にぽつりぽつりと明かりがともっている。

締め切った廊下には生暖かい空気が流れ、そこはかとなく怪談めいた雰囲気をを感じさせる。

瑞鶴「ううっ、やっぱりちょっと怖い」

昼の光の中では怖くないものも夜の闇の中では恐ろしく感じる。

静寂を破らないようにそろそろと歩く。腕を体に引き付けて落ち着きなく辺りを見回し、不安そうに進む。

いつもは気にならない動物の声が今日はやけに大きく響く。

瑞鶴「ひゃっ」

突然、外の茂みがざわめき、何かがものすごい速度で駆けて行った。

瑞鶴「ど、動物よね。脅かさないでよ、もう」

少し涙目になりながら呟く。先はまだ長い。
1階・居住区廊下

ここは居住区で部屋の住人の名札が掛かった扉がずらりと並んでいる。

その中に名札の掛かっていない部屋が1つだけあり、開かずの間と呼ばれている。

この部屋には、”端から3番目のはずなのに夜中に数えると4番目になっていた”とか、”中に得体のしれない化け物がいる”

といった噂があって、鎮守府の怪談スポットになっている。

ここにも最小限の明かりしか点いていない。

瑞鶴「う、ここを通らなくちゃいけないんだっけ…」

噂の内容を体験した艦娘の数はかなり多いらしい。

瑞鶴「噂なんて嘘に決まってるじゃない。数え間違いよ。1、2、3、4、ほら、ちゃんと4番目に…」

瑞鶴「えっ」

その瞬間、周りの電気が消えた。

開かずの間の中から何かが動くような音がし、扉の方に近づいてくる。

瑞鶴「ひっ」

怖いのだが扉から視線をそらすことができない。

そして、音は扉のそばまで近づき、ゆっくりと扉が開き、中から何かがゆっくりと――

瑞鶴「きゃああああ!」

そこまでが限界だった。瑞鶴は悲鳴を上げながら一目散に逃げ出した。

明かりの点いている場所まで来て、偶然そこにいた駆逐艦にしがみつく。

文月「瑞鶴さん、ど~したの?」

瑞鶴「お、おば、おばおばおば、おばけ~」

文月「怖くない、怖くない。よしよし、いい子、いい子」

瑞鶴「ふぇ~ん」

そこに物陰から出て来た卯月が不満げな顔をして近づいてきた。

文月「あれ、卯月ちゃん。ど~したの?」

卯月「むー。うーちゃん渾身の仕掛けが不発で不完全燃焼だぴょん」
十数分後・執務室

瑞鶴「…つまり、全部いたずらだったってわけ?」

卯月「そうだぴょん。内容は卯月が考えたぴょん」

霞「暁の気持ちを分からせるっていう理由があったから許可したけど少しやり過ぎたかしら?」

川内「熟練見張員、使ってみたかったんだよねー」

島風「私、速かったでしょー、にひひっ」

霞「川内は見張り役、卯月は立案と脅かし役、島風は眠れなかったみたいだから連れて来たわ」

提督「空調とかの舞台装置は明石に頼んだらしいな」

文月「あたしは遠征の報告の帰りに通りかかっただけだよ~。ちょっとねむい~」

霞「ああ、迷惑かけて悪かったわね、文月。先に帰っていいわよ」

文月「は~い。おやすみぃ…」

瑞鶴「むー、暁の件は私が悪かったけど何もここまでしなくても…」

霞「暁はもっと怖かったと思うけど。ガチ泣きしてたじゃない」

瑞鶴「ぐっ、悪かったと思うわ…」

霞「その後の逆切れも駄目ね。子供の言うことにマジになってどうすんのよ。鳳翔さんと翔鶴にお説教をお願いしてあるから」

瑞鶴「はい…」

霞「まあ反省してるならいいわ。暁にも謝っておきなさい」

瑞鶴「分かったわ。…そういえば六駆の子達は参加してないの?」

霞「暁が怖がって眠れないから一緒にいるそうよ。

  『少し怖がらせるくらいじゃ足りないのです』とも言ってたから早めに謝っておいた方がいいわよ」

瑞鶴「あはは…。反省してます…」
瑞鶴「でも、本当に怖かったわよ。開かずの間からお化け役が出てきた時は本気で驚いたわ」

霞「聞いてないわよ?だいたいあの部屋、鍵が掛けてあるじゃない」

瑞鶴「えっ、でも確かに扉が開いて…」

霞「あそこには危ないものも置いてあるからこんなことで使ったりしないわ。

  卯月、勝手に鍵開けたりしてないわよね?」

卯月「鍵を開けたりする技術は持ってないぴょん。うーちゃんを何だと思ってるぴょん」

霞「じゃあ誰がやったのよ?」

卯月「うーちゃんではないぴょん。直接脅かし損ねてうーちゃん欲求不満だぴょん」

島風「知らなーい」

川内「私もやってないよ」

提督「本当にお化けが出たんだったりしてな、ははっ」
「………」
提督「なあ、霞、今夜一緒に寝てくれないか?」

霞「何言ってんのよ!そんなこと出来るわけないでしょ!

  ねえ、島風、あんた一人部屋だったわね。怖くて眠れないといけないから一緒に寝てあげるわ」

島風「霞も秘書艦だから一人部屋…」

霞「いいから!じゃあ、おやすみ。行くわよ、島風!」

島風「う、うん」

瑞鶴「えっ」

卯月「ま、待つぴょん。うーちゃんの部屋は開かずの間の隣だぴょん。

   しかも弥生が長期の遠征でしばらくいないぴょん。

   あの部屋で一人で寝るのは嫌だぴょん。うーちゃんも一緒に寝させて欲しいぴょん」

瑞鶴「えっ、えっ」

川内「…今日は夜戦はいいや」

提督「早く寝てしまおう。じゃあ瑞鶴、おやすみ」

瑞鶴「えっ、えっ、ええ~!?」
次の日・夜中

翔鶴「トイレに一緒について来て欲しい?」

瑞鶴「お願い、翔鶴ねえ」

翔鶴「暁ちゃんにちゃんと謝ったの?」

瑞鶴「そ、それは、その…気まずくて」

翔鶴「ちゃんと謝ることのできない子なんて知りません」

瑞鶴「翔鶴ねえ~」

翔鶴「そんな甘えた声を出しても駄目です」

瑞鶴「翔鶴ねえ~~」

本編 終わり
本編 終わり

おまけ1

青 葉 新 聞

開かずの間の謎に迫る!!

本鎮守府に開かずの間があるのはご存知だろう。

開かずの間には様々な噂があるが、つい先日も体験者が出たという。

文月『うん、そ~だよ~。瑞鶴さんがね~、うわ~んって』

目撃者の証言を元に詳しい調査をした所、以下のような事実が判明した。

(中略 瑞鶴へのいたずらの顛末が書かれている)

果たして開かずの間の化け物の正体とは!?

さらに詳しい調査を続けた所、一人の人物が浮かび上がってきた。

本記者はこの人物に接触し、取材をすることに成功した。
――あなたが開かずの間に入っていくところが目撃されているのですが――

卯月『ばれたら仕方がないぴょん。そうだぴょん。噂の原因はうーちゃんだぴょん』

――原因とは?――

卯月『開かずの間に入っていったというのは間違いだぴょん。うーちゃんは名札を掛け替えただけぴょん。

   うーちゃんの部屋の名札を移動させると開かずの間が4番目になったように見えるぴょん』

――”中に化け物がいる”という噂は?――

卯月『うーちゃんが流したデマだぴょん』

――瑞鶴さんの件もあなたの仕業ですか?――

卯月『そうだぴょん。実行犯は雷と響だぴょん。電は暁についてたぴょん。

   瑞鶴がしばらくお化けを本気で怖がるようになるって言ったら協力してくれたぴょん。

   暁が眠った後だったから説得が楽だったぴょん』

――…この件は霞秘書艦には?――

卯月『教えてないぴょん。機密保持のためのやむをえない措置だぴょん。

   でもうーちゃんはやさしいからヒントは出してあげたぴょん。ぷっぷくぷー』

――しかし困りましたね――

卯月『ぴょん?』

――下手に記事にすると瑞鶴さんと第六駆逐隊の子達の仲がこじれそうで――

卯月『それなら大丈夫ぴょん。瑞鶴が謝ったらネタばらしするって言ってたからそれまで待てばいいぴょん』

――そうですか。ご協力ありがとうございました――

卯月『どういたしましてだぴょん。えっへん』

こうして、本記者の活躍により開かずの間の謎は暴かれた。

噂を安易に信じてはいけない、これがこの話の教訓だろう。

注)本記事は第六駆逐隊と瑞鶴さんが仲直りした後に掲示されます。
おまけ2

運動場。雑草だらけ。広い。

草むしりをする卯月。差し入れを持ってきた弥生。

卯月「納得いかないぴょん…。うーちゃんは少しいたずらの内容を変更しただけぴょん。

   罰を受けるなんておかしいぴょん」

弥生「日頃の行い…。前にも開かずの間を使っていたずらしてたのがばれたから…。噂にもなってたし…」

卯月「それでもこの量はおかしいぴょん。こんなの終わるわけないぴょん。

   横暴だぴょん。職権乱用だぴょん。絶対私怨が入ってるぴょん」

弥生「自業自得…。頑張って…」

卯月「納得いかないぴょーん!」

終わり
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