艦これSSまとめ-キャラ別これくしょん-

艦隊これくしょんSSのキャラ別まとめブログ


金剛 青葉 衣笠 鈴谷 三日月 望月

【艦これ・三日月SS】艦娘達「提督の喜怒哀楽がみたい」【鈴谷・衣笠】

金剛「と、いう訳デー!テートクのポーカフェイスを崩すために集まってもらったヨ!」

加賀「提督の無表情、無口は私達の士気に関わる事態にまで及んでいます」

利根「うむ、艦娘の一部から提督に話しかけるのが怖いという意見が多数来てるのう」

川内「具体的にはどうするの?」

利根「それを話し合う場じゃぞ」

川内「そっか」

金剛「why?大事な秘書艦が来てないネ」

雷「ちょっと用事があるから少し遅れてくるって言ってたわよ」

雷「先に始めてていいってさ!」

金剛「oh・・・」

艦娘達が提督にありとあらゆる手でちょっかいを出すだけのSS

提督は無表情、無口で強面

健全な内容となっていると思います
利根「それでは、企画者である雷が指揮を取るのじゃ」

雷「私に任せて!そんなわけで、司令官の喜怒哀楽を見たいと私はいつも思っているわけなんだけど」

金剛「そうネ。テートクは顔の筋肉がハードね」

川内「ふああ・・・夜まで寝たい・・・」

雷「それでなんだけど、手始めになにしたらいいと思う!?」

加賀「早速こちらに丸投げするのはどうかと思いますよ」

雷「じ、じゃあ、こうしましょう!最初はどの表情を目指すか決めよう!」

利根「ふむ・・・それだとやはり、笑顔じゃな!笑顔は良いぞ笑顔は!」

加賀「ん、それは私も賛成ですね」

金剛「スマイル!OK!」

川内「夜戦で泣かせてもいいんじゃないかな?」

利根「それはいきなりすぎじゃろう。それに、奴は艤装をつけられない」

川内「やっぱし?」
金剛「笑顔は最初の目標で決定ネ。次は?」

雷「そうねー。司令官のどんな表情を見たいかみんなで出し合おう!鎮守府中の子にアンケートとって!」

利根「おお!それはいいの!」

加賀「アンケートの件は青葉と衣笠に任せましょう」

川内「それじゃあさーここに居るみんなはどんな顔みたいのさ?」グデー

加賀「そうね。泣き顔とかも見てみたいわね」

雷「笑顔もそうだけど、幸せそうな表情とかも見てみたいわね」

金剛「金剛はー、鼻の下を伸ばしたデレデレした顔を拝みたいかもネー」

ガチャ
三日月「ごめんなさい遅れました」

金剛「oh!待ってたヨ」

三日月「司令官に頼まれた書類をまとめて居たので遅れてしまいました」

加賀「ご苦労様。それでだけど・・・」

三日月「はぁ」

利根「秘書艦をしておる三日月なら何か知っておるんじゃないか?」

三日月「そんな!秘書艦になってまだ日は浅いですし、それに他の人に聞いたほうがいいですよ」

三日月「私も正直・・・」

川内「どうしたの?何かあったの?」

三日月「司令官と二人で一緒に居るのすごく辛くて」

加賀「・・・通りでコロコロ秘書艦が変わるんですね」

雷「由々しき事態ね」
三日月「秘書艦が一番長く続いたのって誰でしたっけ」

雷「うちの二番艦」

加賀「ああ・・・」

金剛「ポーカーフェイス同士分かち合える物があるのかナ!」

ガチャ

鈴谷「ヒャホー何してんの?」

利根「おお!丁度良いとろこにきたのう!」

鈴谷「んー?どういうこと」

三日月「後ほど説明します・・・」
鈴谷「なんだそんなことか」

加賀「そんなことで済まされる事ではなくなっているのよ」

鈴谷「いやー小さいってそんなことー」

三日月「そう言えば、鈴谷さんも秘書艦続けた期間が長かったですよね」

鈴谷「そうだったかなー」

川内「えーっと・・・確かトップ5くらいには入ってたはずだよ」

金剛「長続きするコツを知りたいデース・・・」

鈴谷「何も考えたことないけどさー」

三日月「私が今悩んでいる事をそんなあっさり・・・」

鈴谷「んー難しい事考えるからいけないんじゃないかな」

加賀「そうも言ってられないんです。一部を除いてキラキラがつかない自体になっているんですよ」

加賀「間宮さんのデザートを食べてもですよ!?」

鈴谷「笑うしかないね」
利根「ともかく、今の現状を把握することが大事じゃな。三日月、頼むぞ」

三日月「あ、はい。えーっとですね。司令官は指示を出す際にしかまともに声も出さない」

三日月「日常では、わかった。ん。なんだ?。そうか。程度の言葉で会話をしています」

三日月「顔は常に無表情でです」

鈴谷「ふふん、クソ真面目な三日月が男らしい言葉使うとかギャップがいいね」

三日月「や、やめてください!」

川内「長月ちゃんに似てた」

三日月「とにかく!ここで話し合ったところで埒が開きません!」

三日月「秘書艦が長続きした実績者達に話を聞くのも大事だと思います」

利根「それもそうじゃのう・・・よし、一旦解散するか!」

加賀「そういうことなら、私は青葉と衣笠に頼んでくるわ」

雷「じゃあ私達は響とかに会いに行くわ」

利根「加賀よ、吾輩もついて行くぞ」

加賀「それじゃ、一旦別れましょ」
Верный(以降:響)「・・・」ペラッ

コンコン

響「ん・・・入っていいよ」

ガチャ

鈴谷「やっほー響!」

響「ああ。どうしたんだい?こんな大勢で私のところに来て」

雷「突然だけどさ。なんで響は司令官の秘書艦が長く続いたか知りたいんだけど」

響「本当に突然だね・・・特に意味はないよ」

鈴谷「だよねー」

三日月「・・・今更なんですけど」

金剛「なんデスか?」

三日月「秘書艦が続いた理由と笑顔がみたいのとってどういう関連性があるんですか?」
金剛「提督の事を一番知れるのは長い間一緒に居られる秘書艦が適してマース!」

金剛「それに提督と二人きりになれる唯一のchanceでもあるんデスヨ!」

三日月「確かにそうかもしれませんけど・・・」

三日月「二人きりって結構辛いですよ。会話がなくて一緒に居ていいのか悩んじゃって」

金剛「まだまだ甘いネー」

響「秘書艦にすらなれない人が言うことじゃないね」

金剛「ハートブレイク!気にしてるだから言わないでくだサイ・・・」

鈴谷(提督騒がしいの好きじゃないしねー)

金剛「でもいつかは提督とキャッキャッウフフするのが夢デス!」

響鈴谷「」ピクッ
雷「そんなことより、本当にコツとかないの?」

雷「私ですら一緒に居るの不安になったぐらいなんだから!」

響「あ、ああ・・・本当にないよ」

鈴谷「強いて言えば提督の意外な一面を見ることかなー?」

響「司令官を見る目が変わるよ」

雷「ふむふむ・・・それで!?その一面はどうやってみるの!?」

金剛「雷ー!少し人に頼り過ぎだヨ」

三日月「・・・そう言えばいつの間にか川内さんが居ない・・・」

響「まぁ、運がよければ秘書艦初日に見れるし、悪ければ見る前に諦めるんだろうけど」

鈴谷「別に鈴谷はそんな一面見なくたって一緒に居られたけどね」ドヤッ

響「ん、それは同感だな」

金剛「私もいつでも準備万端よ提督!早く私を秘書艦にするべきなんデス!」
雷「そっか・・・ありがとね!次に行く!」

鈴谷「鈴谷はここで響と話してくねー。あとは頑張ってー」

金剛「次はモッチーの所に行くネ!GOGO!!」

雷「ゴーゴー!」

ガチャ

三日月「それではお邪魔しました」ペコッ

パタン

鈴谷「何の本読んでたの?」

響「司令官からおすすめされた本だよ」

鈴谷「ふーん・・・羨ましい」

響「読む?」

鈴谷「提督からおすすめされなきゃ意味ないじゃーん」グデッ

響「私じゃ不満かい?」

鈴谷「うん」
響「そうか」

鈴谷「・・・どうして提督はあんな怖い顔しか出来ないんだろうね」

響「表に感情を出すのが苦手なんだろう。優しいんだけど」

鈴谷「外見で損する人っているよね」

響「私はあのままの司令官が好きだが」

鈴谷「本当はこれ以上ライバル増やしたくないんだけどなー」

響「はは、司令官の良さがみんなに伝われば、明るい鎮守府になると思うよ」

鈴谷「まぁね・・・そしたら、提督、笑顔見せてくれるかな」

響「いつかは見せてくれるさ。内心では本当に笑顔なんだろうし」

鈴谷「あの提督ならありえる」

響「さて、私は本を読むけど、鈴谷は?」

鈴谷「どうせ今日は一日やること無いし、熊野にちょっかい出してくるよ」

響「ああ」
卯月、弥生、三日月、望月の共同部屋

弥生「・・・」ギュッ

望月「8切りからの上がり!後ろから抱き締めるの好きだね弥生姉」

北上「うお、マジで?」

摩耶「くそ・・・このままじゃまた大貧民だぞ・・・」

弥生「・・・嫌?」

望月「嫌じゃないけどさ」

卯月「スピー・・・スピー・・・あ・・・ウサギガニゲテル!」スヤスヤ

コンコン

望月「んあー。空いてるよー」

ガチャ
提督「弥生。居るか?」

弥生「ん・・・司令官。何?」

摩耶「げっ・・・」ピクッ

北上(摩耶がビビってる)

提督「今日も頼む」

弥生「・・・わかった」

パタン

望月「あーいつもの?」

弥生「うん。行ってくる」

望月「がんばってー」

ガチャ

パタン
摩耶「はぁ・・・」

望月「何ビビってんの?」

摩耶「なっ・・・び、ビビってねーよ!」

摩耶「あいつがどう思って話してるかわかんねーからあいつは嫌いなだけだよ!」

北上「まぁ、提督いつも無表情だもんね」

望月「気にし過ぎだって」

摩耶「秘書艦長く続いた奴らは違うなちくしょう!」

北上「秘書艦に選ばれてから提督の事批判しようよ」

望月「そーそー。ちょっちめんどーだけどね」

北上「あはは。めんどいのは確かかもね。三枚出し」

摩耶「パス」

北上「2を二枚出し」

摩耶「パス」

北上「上がり」

摩耶「くそがっ!」
ガチャ

金剛「アポなしお部屋訪問!」

雷「in鎮守府!」

三日月「ノックぐらいしてください」

望月「お、三日月姉おかえり。大富豪やらない?」

三日月「ごめん。今連れ回されてるから」

望月「嫌なら断ればいいのに」

三日月「一応秘書艦だし・・・みんなの悩み聞かないと」

北上「そんな難しくやらなくて大丈夫だって」

摩耶(誰かが入ってくれれば一からやり直しなのにっ!)

卯月「・・・ウサギ・・・ウサギオイシ・・・ヤメロオウナ」スヤスヤ

摩耶「望月、場所変わってくれ」

望月「やだ」

北上「今日は一段と寝言がうるさいね」
金剛「おお!長く秘書艦が続いたランキングトップ5の3位と4位が居るネ」

望月「ん?どうかしたん?」

北上「なになに?何かあったの?」

金剛「2位の弥生ちゃんが居ないのが残念ですケド」

望月「弥生姉ならさっき司令官に呼ばれて出て行ったとこだよ」

金剛「Shit!」

雷「あれ、今日は出撃も遠征もなしじゃなかったっけ?」

金剛「提督からプライベートの呼び出し!?これはスキャンダルの予感ネ」

摩耶「青葉みてーな事言ってんなよ」

望月「いやいや、そんなんじゃないから」

北上「そうそう。提督の事手伝ってるだけだよー」
望月「まー二人きりなのは変わらないけどねー。大富豪じゃなくて神経衰弱やろ」

北上「いいよ」

三日月「プライベートでも二人きり・・・もしかして弥生姉さんと司令官って・・・」

望月「ありえないありえない!あの司令官に限ってそんなこと絶対にないって!」

三日月「え?」

望月「三日月姉も少し秘書艦の仕事に責任感じずに気楽にやってみたら?」

北上「そうそう。提督の機嫌とか考えないで少しやってみるといいよ」

卯月「うーん・・・うるさくて寝れないピョン」

摩耶「嘘つけ。お前の寝言の方がうるさかったわ」

卯月「え・・・うーちゃん寝言言ってた?」

摩耶「おう」
北上「提督、常に無表情で怖い顔してるけど、滅多に怒ることないよ」

金剛「そう言えば、提督の怒鳴り声って聞いたこと無いデスね」

三日月「確かに聞いたことはないけど・・・」

三日月「静かに声を低くして怒るタイプかと思ってた・・・」

望月「偏見はダメだよ。司令官悲しんじゃうよ」

金剛「響といい鈴谷といい・・・トップ5は提督の秘密を握ってる気がするデース」

望月「秘密かどうかは知らないけどね。じゃんけんぽん」グー

北上「なんとなくだけど、提督とちょっと楽しいよね」グー

摩耶「二人きりで居たいと思えねぇよ・・・」チョキ

雷「そうなんだぁ」グー

望月「あれ、雷ちゃんも参加?」

雷「私もやりたい!」

金剛「oh・・・主催者・・・」
三日月(もうちょっと頑張ってみようかな・・・)

三日月「ありがとう望月ちゃん。私、もう少し頑張ってみる」

望月「おーがんばれー」

タッタッタッ・・・

金剛「三日月もいなくなっちゃったネー」

望月「金剛もやる?神経衰弱」

北上「それともUNO?」

摩耶「人生ゲームもあるぜ」

金剛「この部屋はボードゲームのアミューズメントネ!」
執務室

青葉「そろーっと・・・誰も居ないみたいですね・・・行きますよ衣笠」

衣笠「えー・・・」

衣笠「なんで私が青葉の手伝いしなきゃならないのよ・・・」

青葉「いいじゃないですか。お姉ちゃんを構わない衣笠が悪いんです」

衣笠「勝手にどっか行くのは青葉でしょっ!?」

青葉「シーッ・・・早速ミッションをクリアしてさっさとずらかりますよっ」

衣笠「ちょ・・・盗聴器だけじゃなくて隠しカメラまで仕掛けるの・・・?」

青葉「司令官は無口ですからね・・・盗聴器だけじゃ不安です」

衣笠「こういうの持ってる時点で衣笠さんはドン引きしてますよっと・・・」

青葉「情報を得るためならモラルをもかなぐり捨てる・・・それがジャーナリストです・・・」

衣笠「よくやるわね」

青葉「さて・・・設置完了・・・速やかに帰還しましょう」
カツカツカツ

青葉「っ!?やばい誰か来ました!」

衣笠「ど、どうすんのよ!?」

青葉「えーっとえーっと・・・と、とりあえず司令官の机の下に隠れましょう!」

衣笠「えぇ!?二人入れる!?」

青葉「入るんです!」

衣笠「むちゃくちゃ」

青葉「言ってる暇はありません!行きますよ!」グイッ

衣笠「え、ちょっ・・・」

ガチャ
提督「・・・」

弥生「・・・」

提督「気のせいか?」

弥生「気のせい」

提督「これをしているところは見られたくない」

弥生「そう」

提督「では、始めようか」

弥生「了解」

青葉「何か始めるのでしょうか。顔出してみたい」

衣笠「ただでさえ盗撮カメラとか仕組んでるんだから我慢しなさい」
数分後

提督「・・・」カサ

弥生「・・・」カサ

青葉「暑い・・・」

衣笠「我慢しなさいよ・・・」

数十分後

提督「・・・」カサ

弥生「・・・」カサ

青葉「うぇ・・・衣笠ベタベタする」

衣笠「ここ出たら殴る。絶対に殴る」

一時間後

提督「・・・」カサ

弥生「・・・」カサ

青葉「もう一時間近く経ってるのに会話の一つもないんですけど・・・」

衣笠「なかなか尻尾は出さないわね・・・」
提督「・・・今日は、この辺でいいだろ。片付ける。もう部屋に戻っていいぞ」ガサッ

弥生「もう・・・いいの?」

弥生「弥生、まだ出来るよ」

提督「いやいい」

弥生「・・・もう少し、司令官と・・・居たい」

提督「・・・私と居ても面白くないだろう」

弥生「そんなことはない」

提督「そうか。だが、今日はもういい」

弥生「そう」

提督「ありがとう」

弥生「うん」

青葉衣笠「っ!?」
ガチャ

パタン

カツカツカツ・・・

青葉「か、カメラはっ!?」ガタッ

衣笠「しっ!もう少し待ちなさいよ!」

青葉「あの司令官がお礼をしたんですよ!?その時の顔をあの角度なら撮れているはずなんですよ!」

衣笠「た、確かに気になるけど・・・落ち着きなさいよ」

青葉「盗聴器は設置しておきましょう。とりあえずカメラだけでも・・・」

青葉「早速部屋に戻って確認しましょう!」

衣笠「この場で確認すればいいんじゃない?」

青葉「いつ司令官が戻ってくるかわからないのでさっさと戻りましょう」

衣笠「それもそうね・・・」

青葉「さて・・・足音は聞こえませんね。いけるでしょう」

衣笠「早く行くわよ」

ガチャ
提督「・・・」

青葉「あ・・・」

衣笠「げ・・・」

ヒョイ

青葉「あ、あの、私のカメラ・・・」

弥生「・・・データ削除」

青葉「ちょ」

提督「ご苦労」

衣笠「あの・・・」

弥生「・・・」

提督「盗撮カメラを設置するとは悪趣味だな」

青葉「ご、ごめんなさいー!」ダッ

衣笠「あ!青葉!」
提督「どういうことか説明してもらおうか」

衣笠「あの・・・その・・・」

衣笠(こ、怖い・・・)

弥生「司令官。私が事情を聞いとくから。このあとに用事、あるでしょ?」

提督「そうか。頼めるか?」

弥生「まかせて」

提督「助かる」

衣笠「よかった・・・」ホッ

提督「何か言ったか」

衣笠「い、いえ!なんでもないですよ!?」

提督「そうか。あとは任せたぞ弥生」

弥生「了解」
弥生「そう」

衣笠「・・・青葉の奴、後でぶん殴る」

弥生「それはいいけど、もう盗撮するのはやめてあげて」

衣笠「どうして?」

弥生「司令官は・・・いや、なんでもない」

弥生「もういいよ。事情はわかったから」

弥生「それと、司令官はきっと怒らないから」

衣笠(弥生ちゃんがすごく喋ってる)

弥生「・・・」

弥生「あ、弥生も怒ってないから」

衣笠「あ、うん」

弥生「それじゃ」
衣笠「んー・・・どうして弥生ちゃんはあそこまで提督をかばうんだろう」

衣笠「そう言えば、まだ盗聴器を回収してなかったわね」

衣笠「・・・可哀想だから取り除いときましょ」

ガサガサ

衣笠(ふと思い返してみると、確かに提督って顔は怖いし無表情だし)

衣笠(さっきは青葉と密着してて鬱陶しかったから色々集中出来なかったけど)

衣笠「・・・さっきのありがとうってなんとなく、優しい声だった気がする」

利根「こんなところで何をしておるのじゃっ?」ポンッ

衣笠「ひい!?い、いきなりすぎるよ利根さん!」

利根「なんじゃ。依頼については進んでおるかの?」

衣笠「いや、それなんですが・・・」
利根「ふむ・・・そうか。それで、どう感じたのじゃ?」

衣笠「え?」

利根「そのお礼を聞いてどう思ったんじゃと聞いておるのじゃ」

衣笠「えー・・・」

利根「どうなんじゃ?ん?吾輩に聞かせてみい!」

衣笠「うーん・・・ちょっと説明しにくいですね」

利根「恥ずかしがらんといたらどうじゃ」

衣笠「そうですね・・・簡単に言えば、優しかったです」

利根「ほう!あの提督から優しい声が聞こえたと言うのか」

利根「ますます見たくなったぞ!何がなんでも提督の笑顔を見るぞ!」

利根「おっと、筑摩と出かける用事があったんじゃ。それでは、吾輩はこの辺で失礼するぞ」

衣笠「は、はい」
その頃

三日月「・・・司令官どこに居るんだろう」

鈴谷「ちーっすどうしたのこんなところでー」

三日月「あ、鈴谷さん」

鈴谷「提督の会はもう解散したの?」

三日月「あ、はい。グダってしまったので一時的に解散しました」

鈴谷「ふーん。で、三日月ちゃんは何してんの?」

三日月「司令官を探しているんですけど・・・」

鈴谷「どうして?そろそろ限界じゃなかったの?提督と一緒に居るの」

三日月「望月ちゃんに慰められちゃって・・・もう少し我慢してみようかと」

鈴谷「ここの提督あ鎮守府は他のところと比べると異常みたいだしねー。少し辛いかもね」

三日月「え?どういうことですか?」

鈴谷「提督が異常らしいよ。演習とかヤった時に別の鎮守府の子達と話すことあるんだけどさー」
サワっ

鈴谷「秘書艦はこうやってセクハラされるんだって」

三日月「なぁ!?ど、どこ触ってるんですかっ!?」

鈴谷「お尻だよ。他の鎮守府の提督さんはこうやってコミュニケーション取ってるんだって」サスリサスリ

三日月「そ、そうなんですか?あの、いつまで触ってるんです・・・?」

鈴谷「嫌がってる割には逃げないね」

三日月「前から抱きつかれてお尻触られてたら逃げられるわけないじゃないですか・・・」

三日月(あと顔に胸が・・・)

三日月「力じゃ敵いませんし」

鈴谷「それもそっか」
鈴谷「羨ましいよね」

三日月「うらっ!?」

鈴谷「あ、何でもない何でもない」

三日月「そ、そうですか?」

鈴谷「他の鎮守府に比べたらうちの提督はやりやすいのかもね」

鈴谷「提督がセクハラするっていう不安要素がないんだからさ」 

三日月「はぁ・・・ありがとうございます。また頑張れそうな気がします」

鈴谷「まぁーあの仏頂面の笑顔がいつか見られるといいねー」

三日月「あ、ちょっと一つだけ質問していいですか?」

鈴谷「なになに?聞かれればスリーサイズから身長体重趣味までなんでも教えちゃうよ?」

三日月「いえ、秘書艦の順位が高い人たちは司令官の表情を見たことがあるんですか?」
鈴谷「それは内緒!」

三日月「なんでも教えてくれるって言ったじゃないですか!」

鈴谷「なんでもっていうのは私の情報だけー。提督の情報は教えないよ」

三日月「むう」

鈴谷「そういうことだからさ。ああ、あと提督ならさっき出かけちゃったよ」

三日月「それを最初に言ってくださいよ!!」

鈴谷「ごめんごめん。じゃあねー最上をいじめてくるからばいばーい」

三日月「はい。体調管理だけしてくださいね」

鈴谷「はいはーい」フリフリ

三日月「鈴谷さんって不思議な人ですね・・・」

鈴谷「提督ほどじゃないよ」

三日月「き、聞こえてたんですか!?」
鈴谷「じゃあにー」

三日月「はい」

三日月(司令官居ないのか・・・)

長月「どうした三日月、こんなところにボーッとして」

三日月「あ、長月姉さん。姉さんこそ」

長月「弥生を探してるんだ。知らないか?」

三日月「私はちょっとわからないかな」

長月「そうか。それで?三日月はどうした?」

三日月「司令官の事考えてて」

長月「なっ・・・やめとけあんな男。ろくでもない人生しか送れないぞ」ポンッ

三日月「そうじゃないって」
三日月「姉さんは司令官をどう見てるのよ・・・」

長月「あんな常に無表情の奴なんかと四六時中居てみろ。暗くなるぞ」

長月「毎日いつ怒るかもわからない奴に気を使って行く人生なんてろくでもない」

三日月「秘書艦全否定」

長月「まぁ、お前が選ぶならそれはそれで否定はせんが・・・」

長月「姉からの忠告だ。やめとけ」

三日月「姉さんって、時々人の話聞かないよね」
長月「む、弥生に用があったを忘れていた。では、私は弥生を探してくる」

三日月「あ、はい」

長月「それではな」

三日月「うーん・・・」

三日月(なんとなく、姉さんには悩みがなさそう)

三日月「なんとなくだけど・・・」

三日月「こんなところでボーッとしてても仕方ないし、他の人に相談してみよう」

三日月(一人で悩んでたら姉さん達に怒られる)

三日月「んー・・・笑顔に出来るなら美味しい物とかもいいかな。鳳翔さんに聞いてみよう」
卯月、弥生、三日月、望月の部屋

望月「ふーん。司令官の表情ねぇ」

金剛「そうデース」

北上「それで?」

金剛「計画は特に無しデス」

望月「さすが」

雷「どうすればいいかな」

摩耶「あたしに聞かれても知らねぇよ」

望月「いたずらでもしてみる?苦笑いとかなら見せてもらえるかもよ」

卯月「イタズラ!?」ガバッ

望月「うおっ。いきなり後ろから肩を手で掴まないでくれるかな」

卯月「イタズラだったらうーちゃんにお任せあれ!泣くまでやるよ!」

雷「いや、泣かせることはもっと後でいいのよ」

北上「あ、泣かすことには泣かすんだ」
卯月「ちぇー」

金剛「笑顔に出来ればなんでもいいんデス」

北上「美味しい物食べさせてみれば?」

摩耶「それは無理だろ」

望月「なんで?」

摩耶「あいつ、鳳翔さんの手料理食べても顔色一つ変えなかったぞ」

摩耶「完食はしてたが」

金剛「oh!鳳翔さんの料理でも!?」

雷「う・・・なかなか手強いわね」

北上「やっぱりかー」

望月「んじゃー父性を刺激してみる?」

雷「どうやって?」
望月「それはそっちで考えて。考えるの苦手、だるい」

北上「私もパス」

雷「何よ!やる気ないわね!」

望月「だってー。司令官はあのままでもいい人だしー?」

北上「ねー」

摩耶「お前らマジで言ってんの?」

望月「マジもマジ。大マジだよ」

望月「まぁ、どうしてかは教えないけどねー」

北上「ん、食べる?」ズイッ

雷「ありがと」パクッ
ガチャ

鈴谷「やーやー」

北上「おーよくきたねー」

望月「それあたしのセリフ」

鈴谷「熊野は出掛けてるし最上は三隈と遊んでるし、暇だから来たよ」

摩耶「おう」

鈴谷「なに?またボロ負け中?」

摩耶「うっせ」

鈴谷「摩耶って顔に出やすいからテーブルゲーム向いてないよ」

望月「ねー」
北上「だねー」

摩耶「お前ら・・・」イラッ
鈴谷「んー?まだやること決めてないの?」

金剛「そうなんデース・・・どうすればいいでショウ」

鈴谷「いいんじゃない?明るく接してればそのうち変わるよ」

雷「そのうちっていつよ」

鈴谷「そのときが来るまでだよ」

鈴谷「ふぁ・・・ねぇモッチー、ベッド貸して」

望月「いいよ」

鈴谷「サンキュー」ボフッ

望月「あたしのベッドは仮眠ベッドじゃないんだけど」

鈴谷「聞こえない聞こえなーい。そう言えば三日月ちゃんが頑張るって言ってたよ」

北上「言ってたね。まぁ、あの子ならなんとかなるんじゃないの?」

望月「控えめで真面目だからなぁ・・・それが邪魔にならなきゃいいけど」
鳳翔の部屋

コンコン

鳳翔「はい?どうぞー」

ガチャ

三日月「どうも」

鳳翔「あら、どうしたんですか?珍しいですね」

三日月「少し聞きたいことがあってですね」

鳳翔「はい。お答えできることならなんなりと」ニコッ

三日月「司令官の笑顔を見たいんですけど、美味しい料理とかを食べさせてあげたくて」

鳳翔「美味しいお料理を?」

三日月「はい」

鳳翔「してあげたいのは山々なのですが、私の料理では力不足です」

三日月「えぇ・・・どうしてですか?」

鳳翔「それがですね・・・カクカクシカジカでして・・・」
三日月「筋金入りですね」

鳳翔「いただきますとごちそうさま以外に言葉を発さなくて・・・」

鳳翔「それに食べてる間もずっと無表情ですし、全部食べてはくれるんですけど」

三日月「うーん・・・どうしたものですかね」

鳳翔「ああでも!あの無表情で黙々と食べる姿が亭主関白な人みたいですごくドキドキすると言うか・・・」

三日月「えっ」

鳳翔「弥生ちゃんと提督二人だけの食事の時とか父親に似た娘と三人家族で食卓を囲んでいるような」

鳳翔「ああ、あの静かで冷めた食卓のような感覚が長年連れ添った夫婦みたいでとてもいいんです」

鳳翔「それにあの凛々しいお顔がまた素敵で・・・」

三日月(あ、この人はもうだめだ)

鳳翔「それでですね!」

三日月「あ、はい」

三日月(鳳翔さん、割と束縛されたいタイプ?)
数分後

鳳翔「あ、ごめんなさい。私一人ペラペラと・・・それで、何の話でしたでしょうか」

三日月「ええ、ああ、いえ、もう大丈夫です」

鳳翔「あら・・・そうですか?」

三日月「お邪魔しました」

鳳翔「いいえ!何か困ったことがあったらまたいらしてください」

三日月「はい。また来ます」

ガチャ

パタン

三日月(ああ、疲れた・・・)
そして夜

執務室

ガチャ

三日月「司令官、ちょっとお話が・・・」

提督「・・・」

三日月(司令官が、外を眺めている・・・何を見ているのかな)

提督「・・・三日月」

三日月「は、はいっ!?」ドキッ

提督「今日は、月が綺麗だと思わないか」

三日月「は、はい?」キョトン

提督「・・・なんでもない。それで、話は?」

三日月「え、ああ、ええっとですね・・・」

三日月(今日は満月じゃなかったけど・・・月が綺麗って?)
三日月「明日は言われた通りこのような予定です」

提督「・・・ふむ、ご苦労。下がっていいぞ」

三日月「はい、それでは・・・あ・・・」

提督「・・・」

三日月「・・・」

北上『提督の機嫌なんか考えないでやってみて』

三日月(よし!勇気を振り絞って聞こう!)

三日月「あの!司令官!」

提督「ん?なんだ」

三日月「先ほど、月が綺麗だと言っていましたが・・・」ドキドキ

提督「・・・ああ」

三日月「その・・・今日は綺麗だとは言い難い気がします・・・だって、満月ではないですし・・・」ドキドキ

三日月「どうして、いきなりそんなことを・・・」ドキドキ

提督「・・・」

三日月(お、怒ってないよね・・・?)ドキドキ
提督「・・・」

提督「・・・満月も確かに」

三日月「っ!?」ビクッ

三日月「ご、ごめんなさい!!やっぱりいいですー!」ダッ

ガチャ

タッタッタッタ

提督「・・・」

響「どうしたんだい?三日月が走って行ってしまったが」

提督「響か。どうした」

響「司令官の顔が見たかっただけさ」

提督「変わり者だ」

響「あなたほどではない」

提督「そうか」
響「ふむ。そうだ。司令官の耳に嬉しい情報を教えておいてあげようと思って」

提督「なんだ」

響「あなたの喜怒哀楽が見たくて、みんなやる気を出しているよ」

提督「私の顔を見たところで面白いものはないと思うんだが」

響「さぁ、どうだろうね。あなたの表情が無くなった理由を知って居るのは私だけだが」

響「もしあなたが、みんなにちょっかいを出されたくないのだったら、私が遠回しに止めてあげよう」

響「どうして欲しい?」

提督「放っておけ。どうせすぐ飽きる」

響「・・・内心嬉しいくせに」クスッ

提督「・・・」

響「それじゃあ、私はこれで。おやすみなさい」

提督「ああ」
軽空母部屋

隼鷹「よっと。ほい。あたしの勝ちだぜ」

龍驤「んなぁ!?またかいな!」

隼鷹「ギャンブル関連のカード対決で負ける気はしないからねぇ」

龍驤「なんやねん!卑怯やんそんなん!」

飛鷹「龍驤が挑んでるんじゃないの?」

龍驤「せ、せやけど」

隼鷹「はー龍驤弱っ」

龍驤「なんやとぉ!?」ムカッ

飛鷹「夜なんだから喧嘩やめて」

龍驤「ぐぬぬ・・・」

隼鷹「あー・・・そう言えば雷に頼まれた事があるんだった」

飛鷹「何かあったの?」

隼鷹「ちょっとねー」

龍驤「隠し事か?」

隼鷹「いやー?そういうわけじゃないけど」

飛鷹「なになに?」

隼鷹「少し計画立てるの頼まれちまってよ。何か楽しくなるような事ないかって」

龍驤「ふーん。何かやるんか?」

隼鷹「提督の笑顔をみたいらしいよ」

龍驤「えぇ・・・」

飛鷹「随分、嫌そうな顔をするのね」

龍驤「怖いやん」

隼鷹「まぁな」
隼鷹「さーて、どういう企画しようかねー」ニヤニヤッ

飛鷹「そういう事考えてる時、本当に楽しそうな顔をするわね」

龍驤「いたずらとか好きそうやしな」

隼鷹「ただのいたずらは好きじゃないぜー?」

隼鷹「やられる方もやる方も笑顔になれるいたずらを考えないとな!」

飛鷹「はぁ、あんたらしいわね」

隼鷹「難しいけどな」

龍驤「うちを巻き込むのはやめてな」

隼鷹「やなこった」

龍驤「ぶっ飛ばしてやろうか」
戦艦部屋

陸奥「ふーん」

金剛「協力をお願いしマス」

陸奥「私は別にかまわないけど、長門の方が」

長門「あの提督に何かちょっかいを出すのか?本当に出すのか?」

陸奥「うちの長門ヘタレだから・・・」

榛名「私達の鎮守府で提督に対して怖がらずに接することが出来るのは陸奥さんと霧島だけですからね」

陸奥「ビビる意味がわからないわよ」

長門「おかしい」

陸奥「長門が一番ビビってたらダメでしょ!」

陸奥「大体、大和や武蔵がいないんだから実質あなたが戦艦トップなの!わかる!?」

長門「そんなこと言われても困るぞ・・・」
長門「怖いものは怖い」

陸奥「はぁ・・・」

榛名「まぁまぁ・・・」

長門「どうやったら自然に提督と話せるのだ?私は怖くて声もかけられないのに」

陸奥「普通によ。大体、あの人は、顔に感情が出ないだけだから!」

長門「だから怖いんだろう!?」

陸奥「逃げてたら何も変わらないわよ!」

金剛「駆逐艦の子には見せられない姿ネ」

比叡「そうですね」

長門「陸奥怖い」

陸奥「いい加減怒るわよ?」

長門「ごめんなさい」
睦月型の部屋

文月「文月だーいぶ!」ボフッ

皐月「おぐぅ!?」

文月「えへへー、皐月ちゃん変な声ー」

皐月「いきなりお腹の上にだいぶはやめてくれないかな!?」

菊月「相変わらず二人は元気だな」

長月「元気なのはいいことだがな」

睦月「そう言えばそう言えば!金剛さん達が提督にちょっかいを出すって噂があるってさ!」

文月「おっ?」

文月「いたずらならあたしと卯月ちゃんにおまかせぇ!」

卯月「おまかせぇ!!」

長月「なんだ卯月。来てたのか」

卯月「あれ!?うーちゃんに対してだけ冷たくない!?」
翌朝

提督「今日、お前達には鼠輸送作戦に向かってもらう」

望月「あーい了解お父さん」

文月「わかったよパパァ」

卯月「うーちゃんに任せるぴょん!パパは安心して待ってるぴょん!」

菊月「行ってくるぞ。父上」

如月「如月にまかせてくださいませ。お父様」

天龍「おう!じゃあ行ってくるぜ親父」

提督「ああ、健闘を祈っている」
パタンッ

天龍「・・・無視だったな」

望月「予想通りだったけどねー」

菊月「しかし、これは恥ずかしくなかったか?」

文月「えーそお?」

卯月「菊ピョン顔赤いぴょん!」ニヤニヤッ

菊月「う、うるさい!」

如月「あらー」

天龍「まぁいいや。金剛に伝えられた作戦は帰投してからもあるから」

天龍「さっさと行って済ましてきちまうぞ」

菊月「そうするか」
隼鷹「作戦1の呼び方を変えてみるが見事に無視されたねぇ」

鈴谷「あれ?もう作戦考えて実践してるんだ」

隼鷹「おうよ。呼び方を変えるのは今日一日実践してもらうぜぇ」

鈴谷「おー面白そうだねぇ。鈴谷はなんて呼べばいいの?」

隼鷹「自分の好きに呼べばいいんだ。家族の呼び方が理想だがね」

金剛「私の呼び方はダーリンで決まりネ!」

鈴谷「それじゃいつもと変わんないんじゃないの?」

金剛「・・・はっ!その通りネ!」

隼鷹「それはそれでいいと思うけどな。あーさて、次はどうしようか?」

隼鷹「演習先の子達から聞いて、大体の提督がこういうの喜ぶとか言ってたんだけどなぁ」

鈴谷「そんなんじゃ甘いって!」

隼鷹「やっぱり提督の趣味がよくわかんねーなぁ・・・」

金剛「鈴谷達はわからないんデスか?」

鈴谷「知ってるけどなーいしょ!自分たちで頑張ってー」

隼鷹「ちぇーケチだなぁ」
お昼時

三日月「ふう・・・司令官、こっち終わりました」

提督「ご苦労。そろそろ昼飯時だ。飯を食べてこい」

三日月「司令官はどうするんですか?」

提督「私はもう少しまとめたいものがある」

三日月「・・・ええっと」ドキドキ

三日月「わ、私も手伝います」

提督「・・・いや食べてこい」

三日月「あ・・・ごめんなさい・・・」

三日月(昨日逃げちゃったから少し気不味い)

コンコン

提督「入れ」

ガチャ

鳳翔「失礼します」

パタン
提督「どうした」

鳳翔「あ、あの・・・お食事の用意が出来ていますよ。だ、旦那様」

三日月「!?」

鳳翔「・・・///」

提督「出来てしまったか。そうか」

提督「今から向かう」

提督「行くぞ三日月」

三日月「え?あ、はい!!」

隼鷹「割とノリノリの鳳翔さんにあたし達の口が閉じなくなるぜ」

龍驤「意外やなぁ」
食堂

隼鷹「さてさて、次の作戦はっと・・・」

鈴谷「これ、ほとんど笑顔じゃなくてニヤニヤやデレデレの顔になる方法じゃない?」

隼鷹「とにかく無表情じゃないのが見れればいいんだろ?だったらこれが一番手っ取り早い」

鈴谷「そうかもしれないけどさー。多分通用しないと思うんだよねぇ」

隼鷹「なんで?」

鈴谷「見てればわかるって」

隼鷹「そうか。お、そろそろ食事が始まるぜ」
榛名「お、お兄ちゃん!あーんしてください///」ズイッ

提督「・・・」パクッ

響「あーんだ。отец」ズイッ

提督「・・・」パクッ

三日月「・・・どういうこと・・・?」パクッ

三日月(もしかして、私の知らないところで作戦が決行されてるの?)モグモグ

響「ん?ああ、三日月も。あーんだ」ズイッ

三日月「え?あ、あー・・・ん」パクッ

鈴谷「三日月ちゃんの方が驚いてるんだけど」

隼鷹「ちゃんと伝えておけばよかったかな?」
提督「ごちそうさま」

響「もういいのかい?もっとサービスするよ?」

提督「そろそろ遠征させた艦隊が戻ってくる。執務室で待たなければならない」

響「そうか。残念だ」

三日月「ごちそうさまでした。私も一緒に戻ります」

榛名「あの・・・」

響「行っちゃったね」

鳳翔(私もあーんしたかったな・・・)

金剛「榛名の顔がずっと真っ赤ね」

鈴谷「いいなぁ。鈴谷もやりたかったなぁー」

隼鷹「うーん。なかなか手ごわい。次だ次」
執務室

隼鷹「えーっと・・・朝に遠征に出かけた天龍達が帰ってくる頃だったな」

隼鷹「少し強引な方法を試して見るぜぇ!」

提督「・・・」

三日月「もうそろそろですね」

提督「そうだな」

三日月「あの、司令官」

提督「なんだ」

三日月「その・・・昨日は」

バタン

天龍「作戦完了。今艦隊帰投したぜ」

三日月「・・・はぁ」

天龍「ああん?」

提督「ご苦労。燃料、弾薬を補給して待機」

天龍「おう。っと、その前に提督。オレの前まで来てくれないか?」

提督「・・・わかった」スクッ
提督「で、なんだ?」

天龍(やべぇ、怖ぇ)

天龍「お、お前らやれ!」

望月「あいよー。悪く思わないでね司令官」ガシッ

提督「ん?」

文月「いまだー!」ガシッ

提督「・・・」

菊月「すまない」ガシッ

如月「ごめんなさい」ガシッ

天龍「よしお前ら!しっかり両手両足抑えとけ!俺は後ろから羽交い締めする」ガシッ

天龍(身長差であんまり強く締められねぇ)

提督「なんのつもりだ」

天龍「っ!」ビクッ

天龍(情報だと提督は怒ってねぇはずだが・・・ええいどうにでもなれ!)

天龍「今だ!卯月やれ!」

卯月「任せるぴょん!うーちゃんの手業で笑い崩れた者は数知れず!」ワキワキ

卯月「ぬっふふー!弥生ぴょんですら笑わせたくすぐりをくらうがいいぴょん!」

提督「・・・」

卯月「覚悟ー!」ガバッ

卯月「こちょこちょこちょー!」

鈴谷「随分強引な方法とったねぇ」

隼鷹「卯月のくすぐりはやばいからね」

鈴谷「やられた事あるの?」

隼鷹「そりゃもう大爆笑」
提督「・・・」

卯月「こちょこちょー!」サワサワ

数分後

提督「・・・」

卯月「こちょ・・・」サワ

提督「・・・」

卯月「こ・・・」

提督「・・・」

卯月「・・・」

卯月「うわーん!!」ダッ

天龍「あ!」

提督「・・・で、なんのつもりだ?」

天龍「えーっとだな・・・お前ら!逃げるぞ」ダッ
天龍の声に駆逐艦たちが一斉に散った

提督「・・・さて、三日月。もう演習へ向かわせる時間だ。呼んで来てくれ」

三日月「ええっと・・・」ペラッ

三日月「わかりました。すぐに呼んできます」タッ

提督「・・・」

鈴谷「流石に笑わないね」

隼鷹「あたしなんか笑い死ぬかと思ったのに・・・」

鈴谷「見直しが必要だと思うんだけど」

隼鷹「明日な。今日はこれでデータ撮りだ。こっから改善してく」

鈴谷「そっか」

鈴谷「・・・隼鷹って、演習メンバーだよね」

隼鷹「やべぇ忘れてた」
提督「健闘を祈る」

金剛「オーケー!任せるネー!!」

パタン

隼鷹「つーことで鈴谷、あたしたちのかわりにデータとっといて」

鈴谷「夕張ちゃんに頼んでよー」

夕張「私も演習!」

鈴谷「代わろ」

夕張「提督のご指示よ!我慢しなさい!」

鈴谷「ちぇー。他の鎮守府の子と話すの楽しいのになー」

鈴谷「しょうがない。鈴谷お任せ!」

加賀「頼むわよ」

金剛「私達は情報収集もしてくるネー」

鈴谷「はいはーい」
鈴谷「やっほー提督。楽しんでるー?」

提督「何がだ?」

鈴谷「しらばっくれちゃってー。響からタレコミ来てるんでしょ?」

提督「・・・」

鈴谷「素直じゃないなぁ」

提督「悪いが鈴谷。お前と話してる暇はない」ガタッ

鈴谷「どこ行くの?」

提督「畑だ」

鈴谷「なぁんだ。鈴谷も手伝う?」

提督「いらん」

鈴谷「いけずー」
鎮守府の畑

提督「・・・」

電「あ、司令官さん。こんにちは」

提督「電か」

電「なのです!」

電「雑草を抜いていたところなのです!」

提督「・・・」ゴソゴソ

電「・・・司令官さん?」

提督「・・・」パサッ

電「タオル、ありがとうなのです」ニコッ

提督「水分補給はしろ」ガサッ

電「抜かりないのです!」

提督「そうか」
三日月「電ちゃんは司令官の事、怖がってないんですね」

鈴谷「そりゃねー」

三日月「羨ましいですね・・・」ボソッ

鈴谷「そうだねぇ」

鈴谷「ん?」

三日月「ああして、普通にコミュニケーションを取れると、仕事も捗りそうです」

鈴谷「三日月ちゃん次第じゃん?態度次第で、提督は応えてくれるよ」

三日月「鈴谷さんが言うと説得力ありましね」

鈴谷「響と弥生ちゃんほどじゃないよ」

三日月「そうですね」

鈴谷「あれー?」
数十分後

鈴谷「暑いのによくやるねー。じっとしてるだけでも汗かいてきちゃうのに」パタパタ

鈴谷「三日月ちゃんまで参加しちゃったし」

電「す、鈴谷さん!スカートをパタつかせるのはは、はしたないのです!」

鈴谷「いいじゃーん。どうせ提督しか異性居ないんだしー」

鈴谷「鈴谷は見られても困らないし」

鈴谷「ねー提督ー?」

提督「・・・」ブツッ

三日月「あはは・・・」

鈴谷「無視ですか」

提督「鈴谷」

鈴谷「はいはい?」

提督「いい加減にしろ」

鈴谷「なにさぁ。秘書艦やってた時の事まだ気にしてんの?」
提督「・・・」ブツッ

鈴谷「またそっぽ向いちゃった」

三日月「・・・何かあったんですか?」

鈴谷「鈴谷が提督に逆セクハラしてたんだ」

電「え、えっちな事はダメなのです!///」

鈴谷「そんな過激な事はしてないよ!後ろからおっぱい押し付けたり腰周りに手を回したりしただけだよ」

電「はわわわ・・・///」

三日月「そ、それで、どうだったんですか?」ドキドキ

鈴谷「見事にスルーだよね。女としての魅力ないのかと思っちゃったよ」

鈴谷「ねー提督ー?」

提督「・・・」ブツッ

鈴谷「・・・ちぇ」プイッ

三日月(自業自得だけど、少し気の毒・・・)

電「あぅ・・・ドキドキが止まらないのですぅ・・・///」

三日月(電ちゃんってムッツリ?)
更に十分後

電「ふう・・・だいぶ片付いたのです」

提督「ご苦労。風呂に入って汗を流して来い」

電「ありがとうなのです!それでは、お風呂に入って部屋に戻っているのです」

提督「三日月もだ」

三日月「えっ」

提督「演習が終わるまでまだ時間がある。それまでに汗を流して来い」

三日月「・・・お言葉に甘えさせて頂きます」

三日月「うあーベタベタするー」

電「一緒に入るのです!」

三日月「そうしよ!」

提督「・・・」

鈴谷「・・・本当に好きだね」

提督「なんのことだ」
鈴谷「鈴谷は提督のそんなところも好きだけどね」

鈴谷「もう、優しいなぁ提督ぅ!」ニコニコ

提督「今日のお前は予定ないんだ。自分の好きに行動しろ」

鈴谷「だからここに居るんだよ?」

提督「勝手にしろ」

鈴谷「それでさ。提督はシャワー浴びないの?」

提督「濡れたタオルで体を拭くだけで十分だ」

鈴谷「背中流してあげようと思ったんだけどなぁ」

提督「熊野の背中でも流してやれ」

鈴谷「中々表情変わりませんねぇ」

提督「無駄だ。諦めろ」

鈴谷「他の子が諦めたらねー」
その頃

演習後

隼鷹「ふーん。そっちの提督は元気があって楽しそうだね」

相手隼鷹「そっちは少し堅苦しそうだなぁ」

金剛「まぁねー」

相手金剛「こっちの提督は場所と時間をわきまえないネ。そこだけはなんとかしてほしいヨ」

加賀「そう。でも、今のところ試したものばかりね」

相手加賀「そうなの。それで表情一つ変えないのね」

夕張「話かけるのすら一苦労よ」

相手酒匂「ぴゃあー」

磯風「はは、そっちの司令は楽しい事、いっぱい考えているのだな」

相手雪風「はい!よく遊んでくれるんです!」ニコニコ

相手清霜「おーい?」フリフリ

弥生「・・・え、なんですか?」

相手清霜「なんか怒ってる?」

弥生「いえ、別に・・・」

相手清霜「あれー」
十分後

加賀「色々ありがとうございます。そちらの提督も、素敵な方なんですね」

相手加賀「そちらこそ。交換して欲しいものです」

相手隼鷹「交換してみない?」

隼鷹「やなこったい。あの提督だからこそ、いじりがいがあるってもんだ」

金剛「そうネ。それに、隣の芝生が青くても、簡単に手に入るわけじゃないヨ」

夕張「わ、私は交換してほしいかなー・・・なんて・・・」ボソッ

相手金剛「そっちの提督はそっちの提督でいいところいっぱいあると思うヨ。探してみるといいね」

磯風「結局、お互いの司令の自慢や愚痴しか話す事がないものだな」

相手雪風「それだけみんな司令官が好きなんです!」

相手清霜「同感!清霜も司令官好きだもの!」

弥生「・・・うん」

酒匂「あたしも司令館大好きだよ!」

加賀「・・・なんか恥ずかしくなってきました」

相手加賀「ええ、そうね」
帰還途中

加賀「あまり、ヒントになるような事は聞けなかったわね」

隼鷹「難しいって。話を聞く限り、他の鎮守府の提督と、うちの提督じゃあ性格が真逆すぎる」

磯風「ふむ。何やら面白そうな話をしているのだな」

夕張「あんまり面白い話じゃないわよ」

金剛「私達の提督は、かわいいネ」

夕張「うっそ。信じられないわ」

弥生「・・・うん、かわいい」

加賀「信じがたい言葉を身内から聞いたわ」

隼鷹「右に同じ」

磯風「どうしてあの無愛想な司令官に惹かれるんだ」

金剛「提督に口止めされてるから内緒ネ」

弥生「・・・ないしょ」

金剛「さーて!早く提督の顔が見たいからちゃっちゃと帰るネー!GOGO!」

弥生「・・・ゴーゴー」
執務室

提督「・・・」

三日月「すみません!髪を乾かしてたら遅れてしまいました!」

提督「構わん。風邪を引かれては困る」

鈴谷「んでも生乾きじゃん」

三日月「ええ・・・ちゃんと乾かしたつもりなんですけど・・・」

鈴谷「提督、やってあげたら?」ニヤニヤ

提督「・・・そろそろ演習組が帰ってくる」

三日月「そうですね。演習組が帰ってきたら次は出撃でしたね」

提督「うむ」

三日月「準備させておきますね」タッ

タッタッタッ・・・

鈴谷「やってあげれば良かったのに。上位五人にはやってあげてたじゃん」

鈴谷「提督にやられるの気持ちよくて好きなんだけど」

提督「余計な事を口走るな」

鈴谷「はいはーい」
金剛「艦隊戻ったヨ!ダーリン元気だった!?」

弥生「・・・その前に結果報告・・・」

加賀「相手も手強かったですが、なんとか勝利することができました」

提督「ご苦労。補給して各自部屋へ」

提督「すまないが、磯風は今から出撃だ。補給したらここへ戻てきてくれ」

磯風「了解した」

提督「以上だ」

バタン

夕張「提督がかわいいとかありえない」

加賀「そうね」

隼鷹「そうだな」

金剛「外見で判断しちゃダメヨー!?」

夕張「内面も判断できないから怖いんでしょ」

磯風「真理だな」
提督「いつも通りに頼む」

北上「了解ー」

霧島「さて出撃するわよ」

磯風「うむ。了解だ」

バタン

提督「・・・」

三日月「・・・あの」

プルルル

提督「・・・出ても構わんか?」

プルルル

三日月「・・・はい」

ガチャ

提督「もしもし」

提督「・・・久しぶりだな」
提督「三日月、鈴谷、席を外してもらえるか?」

三日月「わかりました」

鈴谷「りょうかーい」

パタン

提督「突然どうしたんだ」

提督友達(以降:提友)『やっぱり、さっきの演習相手お前だったか』

提督「そうか」

提友『演習相手の提督に電話をかけるのは俺の決まりだからな』

提督「知ってる」

提友『お前の所の子達はいい子達ばかりだな。うちの連中も気に入ってたと言っていた』

提督「そうか」

提友『それで、あの子達の悩み、こっちの連中から聞いたよ』
提友『まだ、あのこと引きずってんのか?』

提督「・・・お前には関係のないことだ」

提友『俺には関係ないが、そっちの子達が不憫だろ』

提督「大きなお世話だ」

提友『俺の個性』

提督「それだけなら切るぞ」

提友『あと一つだけ、言っておきたいことがある』

提友『上の連中に目を付けられてるぞ。お前』

提督「だろうな・・・」

提友『お前の提督としての能力は、本当に素晴らしいものだと思ってる』

提友『だが、お前のやり方は変わっているせいで目立たん』

提督「忠告だけ受け取っておこう」
提友『今のやり方を変えろとは言わん。ただ、一度だけでいいからアクションを起こせ』

提友『お前が提督業から下ろされるのはもったいない』

提友『気をつけろよ』

提督「・・・ああ」

提友『ああ、あと・・・一度くらい笑顔を見せてやれ』

提友『それと、幸せになることを拒むな。お前が一番辛い思いをしてるんだからな』

提督「大きなお世話だって言ってるだろ」

提友『はいはい。そのうち、一緒に飲もうぜ』

提督「・・・気が向いたらな」

提友『じゃあな』

ガチャン

提督「・・・」
その頃の海

北上「よっと!よっし勝った」

霧島「油断はしちゃダメよ」

大井「くっ・・・なんて指揮・・・」

磯風「ああ、納得は出来ないだろうな」

北上「まぁまぁ、大井っち我慢我慢」

霧島「戦いにくいだろうけど、それが司令の方針よ」

雷「私は大賛成だけどね」

鳳翔「さぁ皆さん。次勝てば帰還できますよ」

霧島「ええ、気合入れて行くわよ!」
三日月「司令官」

提督「どうした?」

三日月「昨日はごめんなさい」

提督「なんのことだ?」

三日月「いえ、昨日は話の途中で逃げてしまって」

提督「ああ、気にしていない。安心しろ」

三日月「それで・・・昨日はなんて言おうとしたんですか?」

提督「私は、満月より三日月が好きなんだ」

三日月「えっ!?え、あ、そっちか・・・」

三日月「勘違い恥ずかしいです・・・///」
提督「三日月には、主役になる輝きも、目に入るような大きさもない」

三日月「・・・」ペタペタ

提督「だが、凛としていて、弱い光ながらも人々を照らす」

提督「そんな、控えめな月が、私は好きだ」

三日月「よくわかりません・・・」

提督「だろうさ。私は変わり者だからな」

提督「・・・少し、お喋りが過ぎたな」

三日月「・・・司令官のこと、少し誤解していたみたいですね」クスッ

提督「なんのことだ」

三日月「いえ、なんでもありません」
執務室の前

鈴谷「・・・だってさ」

響「知ってる」

鈴谷「そっか」

響「うん」

鈴谷「・・・ねぇ響」

響「なに?」

鈴谷「響は、提督が好きなんでしょ?」

響「ああ」

鈴谷「もしさ。提督が私達じゃない誰かと・・・」

響「・・・司令官、結婚してるよ?」

鈴谷「・・・え?」

響「まぁ、今は独り身だけど」

鈴谷「えっ、ちょっとまって」
鈴谷「初耳なんだけど」

響「・・・ああ、司令官と私との秘密だった」

鈴谷「ちょーっと詳しく聞かせてもらおうか」

ガチャ

提督「響、余計な事を口走るな」

鈴谷「あ、提督」

響「やぁ司令官」

鈴谷「提督、詳しく」

提督「お前らに話すようなことではない」

鈴谷「だって響は知ってるんでしょ!?」

提督「それは、手違いだ」

響「私は司令官の弱みを握っているからね」ギュッ

提督「お前ら口が軽すぎる」

鈴谷「だって!」
提督「私が結婚していようがいまいがお前たちには関係ない」

鈴谷「・・・不倫に興味ないっ!?」

三日月「前向きにも程があります」

響「体だけの関係でもいいぞ」

三日月「ちょっ、響ちゃん!」

提督「・・・」

提督「さて、そろそろ出撃している奴が戻ってくる。お前らも部屋に戻っておけ」

三日月「せっかくの非番なんですから、体を休めてください」

鈴谷「ちぇー」

響「司令官。私はいつでもДобро пожаловатьだ」

提督「早く戻れ」
霧島「艦隊帰投しました」

提督「ご苦労」

北上「いやー疲れたー」

提督「大井と鳳翔が少しやられたか。二名は補給後に入渠。他の者は補給後に自由にしてくれ」

北上「よーし。モッチーとこ行こ」

大井「・・・」

磯風「・・・」

雷「鳳翔さん!背中流してあげるわ!」

鳳翔「流してくれるの?じゃあ、お願いしちゃおうかな」ニコッ

霧島「司令」

提督「なんだ」
霧島「大井、磯風より、少しお話があるようです」

大井「・・・納得がいきません!」

ダンっ!

三日月「っ!」ビクゥ

提督「どうしたんだ」

大井「いい加減我慢の限界なんです!今のルールをどうにかしてください!」

磯風「この磯風も、その意見を尊重する」

提督「何が不満だ」

磯風「今のままでは、これからさらに熾烈になるであろう戦いについて行けなくなる」

大井「そうですよ!なんで私達が・・・」

提督「そうか」

提督「だが、この命令を取り消すつもりはない。以後、同じように作戦を行ってもらう」

大井「くっ・・・なんて指揮・・・」

磯風「何故、そこまでその命令に固執する?」
提督「・・・」

磯風「黙秘か?この磯風達にも言えぬことなのか?」

提督「・・・」

大井「・・・もういいです。行きましょう」

磯風「・・・ああ、そうだな」

大井「あーもう!イライラする!!」

磯風「生理か?」

大井「違うわよ!!」

バタン!

鈴谷「荒れてたねぇ」

霧島「ただ持て余してるだけよ。本当に怒っているわけじゃないわ」

響「大井は軽い戦闘狂だからね」

三日月「・・・司令官?」

提督「・・・」
提督「やはり、私のやり方は間違っているのだろうか」

鈴谷「どうなんだろうね。鈴谷達は提督じゃないし、さらにその上の人じゃない」

鈴谷「でも、鈴谷は提督について行くよ。鈴谷は提督が間違ってるとは思えないもん」

響「私もだな。だから司令官、そんな落ち込んだ顔をするな」

鈴谷「響は理由してるんでしょ?」

響「さぁ、どうだろうね」ニヤッ

鈴谷「うわぁ。ムカつくぅ」

霧島「司令。私はそろそろ開発班に戻らせて頂きます。夕張を待たせて居るので」

提督「ああ」

霧島「それでは」

三日月「私にも、教えて頂けませんか?」

提督「悪いが」

三日月「そうですか・・・でも、司令官のことです。優しすぎる理由なんでしょうね」ニコッ

三日月「いつか、話してもらえる日が来るまで、待たせてもらいますね」
卯月「・・・どうしよう」

文月「出るタイミング逃したよぉ・・・」

卯月「二人で執務室の掃除用具入れに入るのはちょっときつかったピョンね」

文月「うーちゃんがリベンジしたいって言うから・・・」

卯月「うーん・・・このまま出るのはちょっと気が引けるピョン」

文月「そんな消極的じゃこれからもいたずらできないよ?」

ガタッ

三日月「全部聞こえてるよ」

卯月「あれ」

文月「やっちゃったぁ」

提督「・・・風呂、入ってこい」

卯月「はーい!あ、うーちゃんはしんしゅちゅ・・・神出鬼没が真骨頂ピョン!覚悟しとくがいいピョン!」ビシッ

文月「えーっと・・・後ろに同じー!じゃあねー!」

三日月「・・・噛みましたね」

響「噛んだね」
響「ん・・・もうこんな時間か。司令官、私は少し出掛けてくる。許可を」

提督「わかった。夕飯までには戻れ」

響「了解」

三日月「・・・」

鈴谷「んあー、鈴谷も部屋に戻って寝ることにするよ。何かあったら起こしてねー」

提督「ああ」

三日月「・・・」

三日月(皆すごいなぁ・・・普通に話してる)

提督「・・・」

三日月(そう言えばさっき、響ちゃん・・・)

三日月「・・・」マジマジ

提督「なんだ?」

三日月「いえ、なんでもありません」

提督「そうか」

三日月(落ち込んでる顔ってよくわかったなぁ・・・いつもの無表情にしか見えない)
三日月「司令官」

提督「ん」

三日月「さっき、大井さんや磯風さんが言ってましたけど」

三日月「本当にあの命令を取り消すつもりはないんですか?」

提督「私が提督になってから、その命令をずっと続けて来た」

三日月「しかし、磯風さんの言う通り、進めば進むほど、戦いは熾烈な物になります」

三日月「それを今の状況で続けていくのは難しいと思います」

三日月「こちらの被害も大きくなりますし」

提督「沈む前に戻せばいい。ただそれだけだ」

三日月「それでも・・・」

三日月「味方艦も勿論、やむおえない場合以外で深海棲艦も沈めずに勝利せよ」

三日月「と言う命令は、達成できるとは思えません」

提督「・・・わかっている。分かってはいるが」
コンコン

北上「提督ー?ちょっといい?」

提督「入れ」

ガチャ

北上「あー大丈夫?」

提督「なにがだ?」

北上「いやー大井っちに言われたでしょ?だから気になって」

提督「気にするな」

北上「そのー、大井っちも少し焦ってるんじゃないかなぁって思うんだ」

提督「ああ、わかってる」

北上「ならいいや。提督がわかってるならそれで」

三日月「あの」

北上「んあ?ああ、三日月ちゃんお疲れさまー」
三日月「大井さんが焦ってるって・・・どうしてですか?」

北上「大井っちは頭いいからさぁ。磯風ちゃんもそうだし」

北上「提督が心配なんだよ」

三日月「どうしてですか?他の鎮守府に比べたら、出撃回数も減ってますけど・・・」

北上「・・・難しいことじゃないよ。秘書艦として、そういう事情も考えたほうがいいかもね」

提督「余計なことを言うな」

提督「私の部下はどうして皆口が軽いのか」

北上「ごめんごめん。んじゃ、そういう事だから」

三日月「ええ・・・?教えてはくれないんですか?」

北上「提督の問題だしね。私らは提督の言う事聞いてれば問題ないよ」

北上「まぁ、知りたいなら提督本人に聞きたよ。じゃあねー」

提督「・・・」

三日月「・・・えっと・・・」
提督「お前は知らなくていい。余計なことを考えれば、それだけ集中できなくなる」

提督「出撃の際に、それは大きな事故へ繋がる」

三日月「それじゃあ、教えてください」

提督「お前・・・人の話聞いてたか?」

三日月「聞いてましたよ?だから教えてください」

三日月「そのことが気になって、余計なこと考えてしまいますからね」ニコッ

提督「・・・」

三日月「・・・ダメですか?」

提督「だめだ」

三日月「もうっ!」
軽空母部屋

隼鷹「赤城さんよ・・・ダブルアップチャンスはやめといた方がいいんじゃねぇ?」

赤城「くっ・・・ば、倍プッシュ」

隼鷹(あまり可哀想だから負けたけど・・・)

飛鷹「隼鷹にギャンブルで勝とうなんてやめときましょうよ」

赤城「だってー!加賀は硬いからボーキサイトを賭けて勝負してくれないんだもん!」

隼鷹「加賀さんも食いしん坊だからなぁ」

赤城「とにかくチャレンジ!」

隼鷹「んー。もう知らんぞー。運任せで頑張れ」
赤城「あう・・・」

隼鷹「ボーキサイト没収」

赤城「せっかくお給料でおやつのために買ったボーキが・・・」グスッ

隼鷹「あんた、ギャンブル向いてねぇよ」

赤城「うう・・・」

飛鷹「そう言えば進んでるの?提督の方」

隼鷹「今のところお手上げ状態。これからまた考え直しだ」

飛鷹「そっか。お堅いものね」

隼鷹「ああ、何か弱点知ってる協力者いねぇかな」

青葉「呼ばれて青葉参上!」

隼鷹「ん?青葉か。呼んではないけど、どうした」

青葉「司令官の情報収集にご協力お願いしできませんでしょうか」

隼鷹「何すんの?」

青葉「それはですね」
一航戦の部屋

コンコン

加賀「どうぞ」

ガチャ

衣笠「加賀さん」

加賀「どうかしたの?あなたが一人でここに来るなんて珍しいわね。相方は?」

衣笠「あんな奴もう知りませんよ」

加賀「・・・何があったかは聞かないけれど」

衣笠「それより、私は今回の事から手を引かせてもらいますよ」

加賀「そう・・・理由は聞いてもいいかしら?」

衣笠「んーなんていうか。バカバカしくなっちゃって」
加賀「何があったの?」

衣笠「提督の喜怒哀楽は、気長に待つしかなさそうですよ」

衣笠「こんな声聞いたら、提督のお腹を探るの嫌になっちゃいまして」

加賀「それは・・・?」

衣笠「盗聴器の音声データです。こんなに優しさが滲み出るありがとうを聞いたら」

加賀「提督の優しいありがとう・・・?」

衣笠「聞いてみます?」

加賀「お願い」

衣笠「了解」ポチッ

加賀「・・・」
加賀「・・・確かに、優しそうな声ね」

加賀「少し、考え直す必要があるわね」

衣笠「やっぱり?」

加賀「その音声データ。こちらに渡してもらえるかしら」

衣笠「はい」

加賀「ありがとう」

衣笠「それじゃあ私はこれで」

加賀「ええ」

パタン

加賀「・・・」

加賀「提督・・・」ポッ

金剛「抜けがけは厳禁ネ」ニヤニヤ

加賀「っ!?」ガタッ
加賀「い、いつから居たの?」

金剛「いつから居たのかは内緒ネ!それより、加賀も作戦させるヨー?」

加賀「何をするの?」

金剛「朝からダーリンにちょっかい出してるのはまだ序の口。だから、そろそろ私達の出番ネー!」

加賀「具体的には?」

金剛「色仕掛け作戦ネ」

加賀「い、色仕掛け・・・」

金剛「戦艦型や正規空母達のナイスバディに色仕掛けされて鼻の下を伸ばさないのはホモネ!」

加賀「・・・もし反応しないなら提督を同性愛者に仕立てられるんじゃないかしら」

金剛「自分の体には自信があるから大丈夫ネ・・・多分」

加賀「・・・私は参加できる気がしないけれど」

金剛「加賀みたいな女が色仕掛けするのがいいネ!」

加賀「そうかしら・・・」
金剛「もう夕方ヨ。これからが私達の本番ネ」

加賀「他にはやる人居るのかしら?」

金剛「えっとー、陸奥と明石とビスとー」

加賀「・・・ビスマルクさんとは意外ね」

金剛「焚き付けたらすぐ了承してくれたネ」

金剛「ビスは提督に女として見られてないネー」

金剛「って言ったら」

加賀「・・・どう反応したか手に取るようにわかるわね」

金剛「鈴谷とかにも話したんだけど断られたネ」

加賀「それも意外ね」

金剛「理由は教えてくれなかったヨ」

加賀「何か裏がありそう」

金剛「とにかく、作戦決行ネ。それぞれ各々の作戦で動くといいヨ。それじゃあね」

加賀「ええ・・・わかったわ」
執務室前

ビスマルク「私を女として見てないとはいい度胸じゃない・・・分からせてやるわ。私の魅力を」

Z1「本当にやるの?」

ビスマルク「あそこまで言われて引き下がれる訳ないじゃない!今に見てなさいよ!」

Z3(見え透いた挑発に乗るなんて・・・単細胞ね)

ビスマルク「・・・でも、色仕掛けってどうすればいいのかしら」

Z1「わからないで来たの!?」

Z3「その大きな胸を押し当てたりすればいいんじゃないかしら」

ビスマルク「うーん・・・少し情報収集が必要ね。詳しそうな人に聞いてみるわ」

Z3「それがいいと思うわ」

ビスマルク「それじゃあ行くわ」

Z1「ちょっとまってよー!」

Z3(面白そうだからついてきてるけど・・・どうなるかしらね)
執務室

提督「そろそろ来る頃だと思っていたが」

三日月「部屋の前で作戦会議って・・・筒抜けでしたね」

提督「私が女として見てないと嘘を付き焚きつけたのは金剛だな」

三日月「えっ。興味はあるんですか?」

提督「・・・私とて男だからな」

三日月「意外ですね」クスッ

提督「意外とは失礼だ」

三日月「ごめんなさい」

提督「妻一筋だがな」

三日月「奥さんってどんな人なんですか?」

提督「知りたいのか?」

三日月「教えていただけるのでしたら」

提督「だめだ」

三日月「なんか思わせぶりで遊んでませんか?」

提督「なんのことだ?」
陸奥「提督?」

提督「どうした」

陸奥「提督ってマッサージ得意って鈴谷から聞いたんだけど」

提督「あいつめ・・・。肩がこったから揉んで欲しいとしつこく言われ揉んだだけだ」

陸奥「そうなんだ。なら丁度いいわね。肩がこって仕方ないから揉んで欲しいんだけど」

提督「そういう事なら明石が居るだろう。ちゃんと見てもらえ」

陸奥「今、明石が手を離せない状況なのよ。だからお願いできない?」

陸奥「男の人の方が手が大きいし効くと思うの」

提督「・・・仕方ない」ガタッ

提督「一度だけだからな。さぁ、座れ」キィ

陸奥「やたっ!ありがと提督」ニコッ

提督「痛かったら言え」

陸奥「わかったわ」
陸奥「よいしょっ」スルッ

三日月「っ!?」

陸奥「お願いね提督」

提督「肩紐をズラす必要はあるのか?」

陸奥「何よ。あるよりない方がいいでしょ?」

陸奥「服は手で押さえてるから大丈夫よ。あ、首の艤装も外さないとね」

提督「どうして首の艤装を外し忘れる」カチャッ

陸奥「いつも忘れちゃうのよね」

提督「さて、始めるぞ」

陸奥「お願いしまーす」
提督「・・・」モミ

陸奥「あーいい感じね。その調子でお願い」

陸奥「あっ・・・」

提督「お前、頭痛にも悩まされてるだろ」

陸奥「んんっ・・・わかっちゃう?」

提督「首からの肩こりだな。首の付け根辺りがこっている」グイッ

陸奥「いっ!?ちょっと!いきなり強くしないでよ!」

提督「少々強めに行くぞ。我慢できない痛さだったら言え」ググッ

陸奥「歯医者じゃないんだから・・・っ!?」

三日月「・・・///」フイッ

三日月(陸奥さんちょっと顔赤くなって色っぽい・・・)

三日月(少しいけないものを見てる感じがする)
数分後

陸奥「やっ・・・気持ちよくなってきた・・・」

提督「少しずつだが柔らかくなってきてるな」

陸奥「んっ・・・あっ・・・」ギュウ

提督「腕に力が入っている。力を抜け」

陸奥「だってぇ」

提督「・・・終わりだ」ポンッ

陸奥「えっ?もう終わり?」

提督「体が火照っている間に風呂で温まれ」

提督「あいにく私はプロではない。揉みすぎて、揉み返しが出来たら責任は取れん」

陸奥「そっか。ありがと提督。ちょっと楽になったかも」

提督「もう少し、体を鍛えるのもいいかもしれんな」

陸奥「確かに・・・長門は肩こりで悩んでなさそうだものね・・・」

提督「ああ、そうしておけ」

陸奥「それじゃ、またお願いするわね」

提督「二度目はない」
提督「・・・」

三日月「・・・」

提督「・・・」

三日月(どうしよう。気不味い)

三日月(それにしても、司令官のマッサージ気持ちいいのかな・・・)

三日月(陸奥さんすごくエッチな顔をしてたし・・・)

三日月「・・・///」

ガチャ

響「三日月、手紙を取り忘れて・・・」

三日月「」ビクッ

響「・・・司令官、三日月に何かした?」

提督「何もしてない」

響「どうして顔をあ」

三日月「あ、ありがとう響ちゃん!」

響「う、うん。どうも・・・」
響「ん?司令官?」

提督「なんだ」

響「なんだか少し明るくなったね。一日、三日月と過ごして、楽しかったのかい?」

提督「・・・」

三日月「えっ」

響「私とも一日一緒に仕事することがなかったのに・・・」クスッ

提督「響」

響「ふふ、すまない。少し喋りすぎた。それじゃ」

響「ああ、司令官、重要な書類がきてるみたいだよ?」

提督「そうか」

響「・・・」チラッ

三日月「な、何?」

響「ありがとう。三日月」

三日月「えっ?」
三日月「それってどういう・・・」

響「そろそろ夕飯の支度を手伝わないといけないんだ。それじゃ」

三日月「えっ。ちょっと!」

パタン

三日月「あ・・・司令官、どういう意味なんでしょうか」

提督「気にする必要はない」

三日月「司令官!どうして私には何も教えてくれないんですか!?」

三日月「いい加減私も怒りますよ!」

提督「そうか」

三日月「そうかじゃなくって・・・もう!」

提督「・・・」

三日月「もう司令官なんて知りません!私は部屋に戻らせて頂きます!」

バタン!
提督「・・・何から何まで、三日月はあいつにそっくりだな・・・」

提督「ふふっ、やはり、平等に接するのは難しいな」

提督(贔屓はいけないな。耐えねばなるまい)

提督(こちらの事情で贔屓しては、艦隊全体のやる気やチームワークに影響が出る)

提督(私の行動一つで、艦隊全体の士気に関わる。用心しなくてはな)

青葉「・・・三日月さんが走り去ってから司令官、ずっと窓の外を見てますね」

青葉「何かアクション起こさないですかねぇ」

隼鷹「懲りずに設置しようとするのか」

青葉「いつでもチャンスがあれば!」

隼鷹「まっ、あたしもできる限り付き合ってやるよ!面白そうだしな」
弥生「・・・執務室の前でなにをしてるんですか?」

青葉「げっ」

弥生「・・・またよからぬ事を?」

青葉「い、いやー違いますよ?」

弥生「どいて頂けますか?司令官に用事が・・・」

隼鷹「ん?そうかい。青葉」

青葉「はいー」

弥生「司令官、入りますよ」

提督『ん?いいぞ』

パタン

隼鷹「・・・なんかやらかしてたの?」

青葉「頼まれてた情報収集がバレまして」

隼鷹「ああ、いきなりカメラ設置したんだって?気が早すぎ」

青葉「言い返す言葉もありません・・・」

青葉(まぁ、出来るなら今すぐにでも設置したいんですけど)ニヤッ

隼鷹(こいつこりてねーな)
三日月達の部屋

三日月「・・・」

望月「どうしたん三日月姉」

三日月「・・・またやっちゃった・・・」

卯月「また司令官絡みピョン?」

三日月「・・・うん」

望月「昨日もおんなじ状況だよね」

卯月「反抗期ピョン?」

望月「反抗期か」

三日月「私達にもあるのかな?」

卯月「そりゃあ、艦娘でも一人の女の子ピョン!」

望月「司令官からしたらあたしらは娘みたいな年齢だしね」

望月「これはこれで喜んでるかもね・・・」ボソッ

三日月「何か言った?」

望月「なんでもないよー」
ガチャ

弥生「ただいま」

望月「おかえり弥生姉。どこ行ってたん?」

弥生「司令官の所」

弥生「ああ、三日月、司令官が呼んでたよ」

三日月「ええ・・・お説教かな・・・」ビクビク

弥生「怒ってる様子はなかったから大丈夫だと思う・・・」

三日月「自分でやっちゃったことだけど気が重い・・・行ってくる」

パタン

望月「・・・で?呼ばれた理由聞いてるでしょ?」

弥生「いつもの」ギュッ

望月「やっぱり?そろそろ三日月姉にも頼まれる時が来ると思った」

弥生「ん。望月あったかい」

望月「あたしは暑い」

卯月「疎外感」
卯月「どうして二人は司令官にそんな信頼してるの?」

弥生「優しいから・・・?」

望月「うん。そうだね」

卯月「優しい?」

弥生「あの人は、不器用なだけ」

卯月「ふーん・・・」

望月「そんなことよりさ・・・弥生姉暑いから離れて」

弥生「嫌?」

望月「暑いのは嫌」

弥生「そっか・・・」シュンッ

卯月「弥生も司令官と似たようなものピョンね」

弥生「・・・そう?」
重雷装部屋

大井「・・・」

北上「いつまで落ち込んでるのさ大井っち」

大井「北上さん・・・」

北上「提督は気にしてないって。フォローもしといたし大丈夫だって」

大井「ありがとう北上さん・・・でも」

木曾「大井でも落ち込む事あるんだな」

北上「大井っちはこう見えて繊細だからね」

木曾「にしても、とうとう爆発させたみたいだな」

木曾「提督に怒鳴ってやったんだって?やるじゃないか」

大井「我慢できなくてつい・・・」
木曾「大井の意見は最もだと思うが、提督の意見も最もだと思うぞ」

木曾「電や潮の言葉を借りれば、助けられる命は助けたいからな」

大井「・・・」

北上「大井っちの役に立ちたいって気持ちも知ってるけど、提督にも曲げられない部分があるんだと思うよ」

大井「わ、私は別に・・・っ!?」

木曾「なんだ?お前も提督が好きなのか?」

大井「私は北上さん一筋よ」

木曾「即答か」

北上「照れる」

木曾「仲いいなお前ら」
ガチャ

菊月「木曾、居るか?」

木曾「どうした?」

菊月「今日こそは首を縦に振ってもらうぞ!」

木曾「やめとけって」

菊月「いいから例の物を持ってこい!」

バタン

木曾「・・・はぁ。諦め悪いなあいつ・・・」

北上「最近菊月と仲いいね?どうしたの?」

木曾「大したことじゃない」ガチャッ

大井「行くの?」

木曾「ああ、行ってくる」バサァ

木曾「まったく、このマントと剣は重いからやめとけと言っているのにな・・・」

北上「あはは、がんばってー」
北上「木曾は本当に駆逐艦から好かれてるねぇ」

大井「そうですね。そういう北上さんも好かれてるじゃない」

北上「そんなことないって。それよりさ」

北上「悩んでるくらいだったら、提督に謝ってきたら?」

大井「でも・・・」

北上「謝ったら割とスッキリするよ。直接許してもらえたほうが、気が楽だしね」

北上「それに、悩んでるのに出撃して、怪我して欲しくないしさ」ニコッ

大井「北上さん・・・ありがとう。私、頑張ってみます」

北上「一人じゃ不安な時は付き合うから!」

大井「そのときはお願いしますね」
娯楽室

磯風「ふむ。やはり無反応か」パチッ

陸奥「まぁ、予想通りだったけどね」

鈴谷「だから色仕掛けは意味ないって言ったのに」

磯風「確かに、陸奥の胸を目の当たりにして無反応なら望みは薄いな」

陸奥「私の胸にそんな期待寄せられても困るわ」パチッ

鈴谷「大きい小さい関係ないよ。男はそれぞれ理想のバストサイズを決めてるから」

鈴谷「妥協はするみたいだけど」

磯風「そう言えば先ほど、三日月が執務室に向かって行ったな」パチッ

陸奥「秘書艦だから当たり前じゃない?」パチッ

鈴谷「えぇ?鈴谷、三日月ちゃんが執務室から走って出てくとこみたんだけど」

磯風「どちらが先なんだろうな。王手」パチッ

陸奥「・・・参りました」
響「おや、珍しいメンバーで遊んでいるね」

鈴谷「おー、おかえり」

陸奥「あら、今日は何処かへ出かけてたの?」

響「ちょっとね。そろそろ夕飯の時間だから帰ってきたよ」

磯風「ふむ。どうだ?響も一局」

響「司令官に帰ってきたことを報告しなければいけないから」

磯風「そうか。残念だ」

響「報告したらまた誘っておくれ。それじゃ」
電「響おかえりなのです!」ギュッ

響「おっと、後ろから突然抱きつかないでくれ」

電「えへー」

響「どうしたんだい?寂しかった?」

電「暁は遠征中ですし、雷はずっと金剛さん達と相談事ばかりしてましたし・・・」

響「そっか。ちょっとだけ司令官に用があるから少し待ってて」

電「電も司令官さんに用事があるので一緒に行くのです」

響「何かあったのかい?」

電「少し気になることがあって・・・」

響「そうか。じゃあ、行こう」
執務室前

三日月「・・・」モジモジ

三日月(ここまで来たのはいいけど・・・うう・・・)

響「・・・入らないの?」ボソッ

三日月「ひやぁっ!?」ビクンッ

響「あ、ごめん。驚かせるつもりはなかったんだ」

三日月「ひ、響ちゃんっ!?いきなり後ろから話しかけないで!」

響「ごめんって。早く入らないのかい?」

三日月「少し入りづらくて・・・」

響「一緒に入る?」

三日月「・・・お願い」

響「まかせて」

電「・・・何かあったのですか?」ボソッ

三日月「ちょっとだけ・・・」
ガチャ

提督「騒がしいぞ」

響「なんだ」

提督「なんだ。帰ってきたのか」

響「予定通り夕飯前に戻ってきたよ」

提督「そうか」

電「あの司令官さん!」

提督「電か。どうした」

電「今日一日、雷達の様子がおかしかったので少し気になって・・・」

提督「そのことか。そういう事なら、響に聞くといい。もしくは本人に聞いたほうがいいぞ」

電「そうなのですか!わかったのです!」
三日月「・・・」コソッ

提督「・・・」

響「・・・司令官に用事があったんじゃないの?三日月」

三日月「」ビクッ

提督「・・・いや、三日月に用事があったのは私の方だ」

電「ダメなのです!事情はわかりませんけど、三日月ちゃんを怒らないで欲しいのです!」

三日月「い、電ちゃん・・・!?」

提督「・・・三日月」

三日月「は、はいっ!?」

提督「中に入ってくれ。響、電。お前たちは部屋に戻って待機していろ」

三日月「うう・・・」ズーンッ

電「あう・・・」オロオロ

響「・・・ふふ。大丈夫だ。電、行こう」

電「で、でも」

響「どうやら、怒っているわけじゃないらしいから」

電「えっ?」
三日月「・・・」ドキドキ

提督「それでだな三日月・・・」

三日月「話の前にいいですか・・・?」

提督「ん?なんだ?」

三日月「あの、先程はすみませんでした・・・勝手に怒って出て行ってしまって」

提督「・・・」ズイッ

三日月「ひっ・・・ご、ごめんなさいぃ・・・」ウルッ

三日月(司令官が近い・・・怖い顔で見下ろされてる・・・)

提督「・・・」ポンッ

三日月「っ!」ビクッ
提督「ふふ・・・可愛い奴め」ナデナデ

三日月「・・・え・・・怒ってないんですか・・・?」

提督「私も少し意地悪が過ぎた。お前が悪いわけじゃない」

三日月「・・・はぁぁぁ・・・よかったぁ・・・」

提督「すまない。怖がらしてしまったか?」

三日月「司令官優しすぎますよ・・・」

提督「そうでもないさ。さて、話の続きなんだが」

三日月「・・・と言うより今、さりげなく笑いましたっ!?」

三日月「怖くて下向いてたから顔見てませんけど!」

三日月「それに可愛いって!頭撫でてくれましたし!!」

提督「落ち着け」
数分後

三日月「すみません。取り乱しました」

提督「そうか。それでだ」

提督「今度の金曜に提督同士の報告会がある。それに、艦娘代表として参加して欲しい」

三日月「えっ。わ、私が?」

提督「月に一度開かれる会なんだが、その時に秘書艦にしている者を連れて行っている」

提督「嫌なら嫌でいい。その時は一度行っている者に頼んでみる」

三日月「やります」

提督「そうか。と、意気揚々と言ってくれたのは嬉しいが、何をするかもわからんだろう」

提督「先月は弥生を連れて行った。何をするかは弥生や響に聞いてみるといい」

三日月「司令官本人に聞いてはいけないんですか?」

提督「私より、響や弥生の方が噛み砕いた説明をしてくれてわかり易いだろう」

三日月「わかりました」

提督「それでもう一つ頼みがあるんだが・・・」
提督「今日の十時過ぎに手伝ってもらいたいことがある」

提督「これは、業務ではなく、私の個人的な頼みだ。断ってもらっても構わん」

三日月「何をするのでしょうか」

提督「それは教えられない。手伝って貰えないなら、教えたくはないのでな」

提督「十時に手伝ってくれるまでは内緒だ」

提督「もし、嫌だと言うなら、望月、響、鈴谷、の三人に頼んでくれ」

提督「話が以上だ」

三日月「あの、質問いいんですか?」

提督「なんだ」

三日月「弥生姉さんは名前入ってないんですね。秘書艦が長く続いた人の名前が上がっているのに」

提督「弥生は前回手伝ってくれたからだ。他はないか?」

三日月「はい、何かあったら今日の十時以降に質問させてもらいますから」ニコッ

提督「そうか。なら、そろそろ夕飯だ」

三日月「そろそろ鳳翔さんが呼びに来る頃ですね」

コンコン

鳳翔『提督』

提督「噂をすれば、だな」
夕飯

提督「いただきます」

鳳翔「お召し上がりください」

明石「提督?ちょっとよろしいですか?」

提督「・・・」モクモク

提督「なんだ?」

明石「最近お疲れでしょう?提督のメンテナンスを行ないたいので食事のあとに・・・」

提督「私の体は疲れはないぞ?」

明石「何かあってからでは遅いんですよ!それですからメンテナンスを・・・」

提督「定期検診というやつか?」

明石「そうともいいますね」

提督「やるなら、十時までには終わらせてくれ」

提督「用事があるのでな」
明石(よかった。断られたら作戦が水の泡だったわ)

明石「ありがとうございます。それでは、食事が終わってからですね・・・」

提督「ああ、飯のあとは遠征組が帰ってくる頃だ。そのあとな」

明石「あー・・・わかりました・・・」

提督「・・・食事にもどるぞ」

明石「はい。詳しくはその時に行いますね」

提督「・・・」モクモク

金剛「ついに明石が動いたネ」

加賀「・・・作戦とはなんなのでしょうか?」

金剛「オイルマッサージできわどい部分に手を這わせるとか胸を押し付けるとか・・・」

加賀「は、破廉恥ですね・・・///」ドキドキ

金剛「って聞きましたけど、あの提督をどう落とすんデスカネー」
提督「ごちそうさま」

鳳翔「お粗末さまでした」

提督「鳳翔」

鳳翔「はい、なんでしょうか・・・?」

提督「今日もうまかった。いつも助かってる」

鳳翔「・・・はい?」

提督「三日月、行くぞ」

三日月「すぐ行きます」

提督「先に行っているぞ」

三日月「よかったですね鳳翔さん」

鳳翔「///」ボーッ

三日月「あれ?鳳翔さーん?」パタパタ

鳳翔「///」ボーッ

明石「あら、上の空ですね。よし、時間になるまで鳳翔さんのメンテナンスしときますか」
三日月「司令官司令官」

提督「どうした」

三日月「どういう風の吹き回しですか?」

提督「普段から何も言わずに行っていたからな」

三日月「心を言葉にするのはいいとてもいいことです」

提督「ああ、そうだな」

三日月「あ、もうそろそろ艦隊が戻ってくる頃です。急ぎましょう」

提督「そうか。少し早くするか」

三日月「司令官足速いです!」
執務室

古鷹「作戦完了です」

皐月「ただいま司令官!」

那智「落ち着け。報告が先だ」

暁「任務はちゃんとしてきたわよ!」

提督「ご苦労。補給して部屋で待機してくれ」

皐月「三日月!どう調子?大丈夫?」

三日月「今のところは大丈夫ですよ皐月姉さん」

皐月「まさかボクの可愛い妹に手なんか出してないよね?」

提督「出す訳無いだろ」

三日月「な、なんてこと言うのよっ!?」

皐月「お風呂入りたいから、それじゃ!」ダッ

暁「あっ!暁も!」

那智「ふっ・・・子供とは、元気な物だな。私はもうクタクタだ」

古鷹「流石に疲れましたね・・・お互いゆっくり休みましょう?」

那智「ああ、そうだな」
明石「さて、メンテナンスの時間ですよ」

提督「もう来たのか」

明石「はい。じゃあ上着を脱いでください」

提督「ん」ヌギッ

三日月「・・・///」フイッ

明石「三日月ちゃんは退室した方がいいと思うけど・・・」

三日月「・・・いえ、何かあったらすぐ対応出来るよう待機させてもらいます」

明石「そう?じゃあ、始めますね」

提督「いいぞ」

明石「・・・」サワッ

明石「割と体引き締まってますね」

提督「年はとっても、自分が出来る範囲でトレーニングしては居るからな」

明石「均等が取れたいい体ですね」
十分後

明石「最近何か体について悩んでることはありませんか?」

提督「特に悩んでいることはない」

明石(本当に体中調べても痛がるところもないし、体は健康ね)

提督「まだかかりそうか?」

明石「もう少しだけ」

提督「そうか」

明石「提督自身も気付かない疲れがあるかもしれませんね」

提督「そういうものもあるかもな」

明石「生き物は、知らずのうちに疲れがたまることもありますからね」

明石「どうです?少し、本格的なマッサージをして差し上げますよ」
明石「提督業をしていると、そういうところに行く時間もないでしょう?」

提督「まぁ・・・行くこともなかったしな」

明石「それじゃあTシャツもズボンも脱いじゃいますか」

三日月「っ!?」

提督「ん?私にパンツ一枚になれと言うのか」

明石「いやですか?」

提督「いや、お前が構わないなら私は構わないが」

明石「寝っ転がってもらいたいので・・・この部屋ベッドないですから・・・」

明石「あ、三日月ちゃん。敷き布団だけでいいから用意してくれない?」

三日月「し、敷き布団だけですか?」

明石「ええ」

三日月「すぐに持ってきます!」ダッ
明石「三日月ちゃん顔真っ赤にして可愛いですね」

提督「・・・」

明石「さて、今のうちに着替えてもらえますか?下着姿が嫌なら、水着も用意してありますが」

提督「随分と準備がいいな」

明石「メンテナンスするんですからこういうのは用意するのは当然ですよ」

提督「そうか。それでは、水着に着替えさせてもらおうか」

明石「ビキニとスパッツがありますが」

提督「何故ぴっちり」

明石「何故と言われればマッサージしやすいからです」

提督「そうか・・・スパッツで頼む。それで、お前の前で着替えていいのか?」

明石「えっ?」
明石「どこかに着替えられる場所ありますか?」

提督(出ていくという選択肢はないのか)

提督「そうか。なら、着替えるぞ」ヌギッ

明石「・・・はっ!?」

提督「どうした?」

明石「いえ、なんでも・・・///」フイッ

明石(提督の気遣いを気が付けなかった・・・)ドキドキ

明石(目的に気を取られて提督のアレを拝むところでした)

明石(まぁ・・・そういう展開になるのが嫌ならこんな事しないんですけどね・・・)
明石「えーっと・・・もう大丈夫ですか?」

提督「いいぞ」

ガチャ

三日月「持ってきまし・・・た?」

ドサっ

三日月「な、なんて格好してるんですか!?///」

明石「あっ」

提督「ん?ご苦労。重かっただろ」

三日月「あ、はい。って!そ、そうではなくて!」

明石「マッサージするから裸になってもらわないと」

三日月「そ、それはそうかもしれませんが・・・」

明石「さぁ提督、ここに寝転がってください」バサッ
提督「・・・」

明石「さて、始めますね」ノシッ

提督「体つきがいいとは思っていたが結構な重量感だな」

明石「褒められてるんだか貶されてるんだかわからないです」

提督「褒めてるんだ」

明石「そうですか。それじゃあ・・・触りますね」

提督「ああ」

明石「・・・」ドキドキ

明石(えーっと・・・)

三日月(どうしよう・・・ドキドキが止まらない)
十分後

明石「一通り終わりましたね」

提督「終わりか?」

明石「もう少しの辛抱です。次はオイルを使ったマッサージで」

提督「まだやるのか・・・」

明石「さぁさぁ・・・」トプ

明石(これでトロ顔にならない人なんていませんよ!)

明石(あの鳳翔さんですら・・・ふふふ)

三日月(なんかえっちぃ・・・///)ドキドキ
明石「どうですか提督。ヌルヌルした手で体を触られる気分は」

提督「ん、少々くすぐったいな」

明石「えっ」

明石(気持ちよくないんですか・・・こうなったら!)

明石「もうちょっと体重掛けますね」ノッシ

提督「・・・体を密着させたら服が汚れるぞ」

明石「予備の服はたくさんありますから、どうぞお気になさらずに!」

明石「ど、どうですか・・・?」ヌルッヌルッ

三日月「ひゃぁ・・・///」フイッ

三日月(明石さんのお、おっぱいが司令官の背中を上下にこすれて・・・)

提督「・・・」

青葉「おー、思わぬ映像が撮れそうですね///」

金剛「青葉を呼んで正解だったネ!後でコピーしてネ!」

加賀「うぅ・・・///」ドキドキ
明石「くぅ・・・」ピクッ

提督「疲れたか?」

明石「まだです!」

提督「む」

明石「絶対・・・気持ちよくしてあげますから・・・」ヌルリ

三日月「えっ!?ちょっと!それ以上はいけませんよ!」

明石「提督、じっとしててくださいね・・・こんな仕事してると溜まっているでしょう?」

明石「私がスッキリさせてあげます・・・ふふふ」ヌルゥ

提督「いや、いい」ガシッ

明石「あっ」

提督「退いてくれ」ギリギリッ

明石「ちょ、提督。こめかみに指が食い込んで痛いです!は、はなし・・・いたたたた!」

提督「そこに正座しろ。三日月、ちょっと明石を見張っていろ」

三日月「司令官はどこへ?」

提督「こんなヌルヌルした体では何もする気が起きない。シャワーを浴びてくる」

三日月「はい。あ、バスタオルとかご用意しましょうか?」

提督「いい、自分で用意する」

金剛「クソ!あとちょっとだった!!」

加賀「だ、ダメよそれは、一線を超えてはいけないわ」

加賀(・・・明石が羨ましい)

青葉「ちょ、司令官がこっちにきました!隠れましょう!!」
三日月「・・・どうしてこんな事しちゃったんですか?」

明石「ごめんなさい。調子に乗りました」

三日月「嫌がる相手に強引にと言うのは許せませんよ!」

明石「うう・・・私にだってプライドがあるのよぅ」

明石「治せると言う事が私の個性なのに・・・提督一人満足させることができないと思ったら歯止めが・・・」

三日月「それは・・・わかりますが、やっていいことと悪いことがですね・・・!」

明石「すみませんでした・・・」

金剛「三日月ちゃんがクドクド説教しているネ」

加賀「随分と、真面目な子なのね」

青葉「ちょっと!やり過ごせたのはいいですけど、いつ帰ってくるかわからないんですから気配を消してください!」
三日月「はぁ・・・司令官にちゃんと謝ってくださいね!」

明石「はい・・・」

金剛「そうネ!寝てる合間に既成事実を作っちゃえばこっちのものネ!」ポンッ

加賀「何を納得したような顔で手を打ってるんですか」

金剛「オット?もしかして加賀は襲うより襲われたい派デスか?」

加賀「そ、そういう意味でいったわけじゃ・・・!?///」

金剛「そうだよネー。加賀は乱暴にされたいんだヨネ!ドMだから!」

バシッ

加賀「いい加減にして///」

青葉(司令が戻ってくるまでこっちとってたほうが面白い)
金剛「叩く事はないのデース・・・」ヒリヒリ

青葉「いやぁ、明石さんの服がヌルヌルで張り付いてエロい・・・」ジーッ

金剛「ふー・・・」

加賀「余計なことばっかり言うからよ」

青葉「おお、三日月ちゃんが明石さんを拭いてますね。優しいですね」

金剛「まぁ、あんな体で待機させられたら私も気が狂ってしまいマスね」

三日月「次からは自重してくださいね」

明石「はい・・・」
十分後

提督「またせた」

三日月「おかえりなさい」

提督「拭いてもらったのか」

提督「さて、明石」

明石「はいっ」

提督「お前も風呂入って待機だ」

明石「えっ・・・」

提督「何を意外そうな顔をしている」

明石「いえ、てっきり罰か何かを・・・」

提督「私のためにしてくれてくれた事に罰は与えられんだろう」

明石「・・・」

提督「わかったら行け」

明石「・・・はい」
ガチャ

明石「はぁ・・・」

金剛「お疲れ明石!あんまり成果なかったネー」ポンッ

明石「少し自信が無くなりました」

加賀「そんなことないわ。あなたのマッサージは気持ちいいもの」

明石「うーん。もう少し勉強かな!よし!私はお風呂に入ってきます」

青葉「お疲れ様ですー」

明石「それでは」

金剛「さて、本命だった色仕掛けもほぼ成果なし。あとは私と加賀だけヨ?」

加賀「わ、私は辞退したいんだけど・・・」

金剛「それはダメネ!他の娘はやってるんだから逃げちゃダメネー」

加賀「あ、あれ以上のことを出来るわけがないわ!」

金剛「やってみなきゃわからないヨ!さぁ!雷も呼んで作戦会議ネ!」
三日月「・・・筒抜けですね」

提督「少し、隠すことが出来ないのか」

三日月「あはは・・・」

提督「ん・・・いつの間にかこんな時間か」

三日月「あ、十時ですね」

提督「三日月、始めるぞ。鍵を閉めてくれ」

三日月「えっ?」

提督「出来れば、他の人には見られたくない」

三日月「・・・何か悪いことでもしているんですか?」カチ

提督「・・・見られると恥ずかしいんだ」

三日月「ど、どんなことするつもりなんですか・・・?」ドキドキ

提督「・・・」ガタッ

バサッ

三日月「・・・えっ?」

提督「一緒に折ってくれか?」
三日月「折り紙・・・ですか」

提督「鶴を折って欲しい。折り方わかるか?」

三日月「分かりますけど・・・」

提督「千羽鶴を折っているんだ。もう少しで完成する」

三日月「えっと・・・理由を聞いてもいいですか?」

提督「大したことはない。大切な人のために折っていただけさ」

三日月(誰かが入院中なのかな?)

三日月「いつもやってることはこれだったんですね」

提督「ああ、私みたいな厳つい男がやってるところなど見られるわけにはいかないからな」

三日月「意外性があって素敵だと思いますけど」

提督「・・・手伝ってもらっている奴らみんなに言われる」

三日月「それじゃ、やりましょう」

提督「手をかけさせてすまないな」

三日月「いえ、これぐらいならいくらでもお付き合いしますよ」
少し経って

三日月「ふう・・・司令官、一つ聞きたいんですけど」

提督「どうした」カサッ

三日月「大切な人って、奥さんのことですか?」スッ

提督「・・・私の妻は、私が提督になる前に亡くなって居る」カサッ

提督「大切な人ではあるが」スッ

三日月「す、すみません・・・」

提督「気にするな。いつまでも引きずっているわけにはいかないからな」

提督「・・・この鶴が出来たら、私の大切な人のこと、教えてやる」ポトッ

三日月「・・・では、続けますか。あと何羽ぐらいなんですか?」

提督「あと、百くらいだな」

三日月「・・・もう少しですね」ニコッ

提督「ああ」
十一時

三日月「ぅ・・・」コクリッ

提督「今日はこの辺にしておくか」

三日月「ふぇっ!?」ガタッ

三日月「あと二十くらいですよね!?終わらしちゃいましょう!」

提督「いやいい。別に急ぐわけではない」

三日月「ですが・・・」

提督「お前に無理はさせられない。汗かいて風呂入ってからも入ってないだろ」

三日月「うう・・・ごめんなさい・・・」

提督「構わん。今日は休んでくれ」

三日月「司令官は?」

提督「・・・少し、やりたい事がある」

三日月「・・・司令官も、無理しないでくださいね」

提督「ああ、わかった」
同時刻

提督の部屋

金剛「うふふ、うふふ・・・」

加賀「金剛?提督の部屋に忍び込むのはどうかと思うだけど」

金剛「ふふ、やっぱりあんなことやこんなことをしながら表情を見るのなら」

金剛「夜這いが一番ネ!」

加賀「・・・夜這いって、襲いに来るのが前提じゃないかしら?」

金剛「布団に身を潜めて敵を待つのもいいもんですネ」

加賀「いや、敵ではないのだけれど」

金剛「うるさいですネムッツリ」

加賀「誰がむっつりよ」ゲシッ

金剛「痛いデス!」

金剛「そんなことより加賀!早く布団に入るデス!」バサッ
加賀「言われるまましてるけど・・・」

加賀「・・・顔が近い・・・」

金剛「・・・加賀」

加賀「何?」

金剛「体が熱いネ」

加賀「私の基礎体温が高いの。我慢して」

金剛「oh・・・加賀が恥ずかしがって踏ん切りがつかないから・・・」

加賀「う、うるさい・・・」

金剛「まぁ、提督が帰ってくるまでの辛抱です」

金剛「青葉にも隠しカメラ設置させたから後でじっくり観賞しようネ!」

加賀「えっ」
夜中の一時頃

ビスマルク「・・・提督は寝ちゃったかしら・・・?」

ビスマルク(色仕掛けってハニートラップのことだったのね)

ビスマルク(安請け合いするんじゃなかった)

ビスマルク「寝てるならいいんだけど・・・」ソーッ

提督「・・・」

ビスマルク「提督?」

提督「・・・」

ビスマルク「・・・寝てる?こんなところで突っ伏して寝てたら風邪引くわよ」

提督「・・・」

ビスマルク「はぁ・・・あら?パソコンもつけっぱなしじゃない」

ビスマルク「中覗いちゃうわよー」

提督「・・・」

ビスマルク「・・・ちょっとぐらいなら覗いてもいいわよね?」
ビスマルク「・・・」カチッ

ビスマルク「壁紙はデフォルトなのね。あとは仕事の内容ばっかりね」

ビスマルク「何よ。何か秘密でもあると思ったのに。秘蔵フォルダとか」カチカチッ

ガチャ

ビスマルク「もう少しみよう」

響「何をしてるんだい?」

ビスマルク「・・・えっいえ、別に何もしてないわよ?」

響「人のパソコンを覗くなんて褒められたことじゃないね」

ビスマルク「えっとその・・・そうよ!色仕掛けするのに何か情報を・・・」

響「そんなの必要ないって。色仕掛けなら、基本的には司令官に効いてるし」

ビスマルク「そうなの?と言うより、あなたこそこんな夜にここになんの用?」
響「司令官の部屋に行ったんだけど、加賀と金剛がスヤスヤ司令官のベッドで寝てたから」

響「こっちで寝てるんじゃないかと思ってね」

ビスマルク「そう」

響「案の定、寝てたね。毛布、持ってきてるんだ」

バサッ

ビスマルク「あなたって、いつも提督のこと気にかけてるわね」

響「勿論だよ。好きだからね」

ビスマルク「そう」

響「ああ、当然、恋の方のね」

ビスマルク「恥ずかしげもなくよく言えるわね」

響「恋するのは恥じることではないと思うけど」

ビスマルク「それはそうだけど」
響「そうそう」カチッ

響「司令官の秘蔵フォルダはここにあるよ」

ビスマルク「・・・え?」

響「私も、覗いたことあるから」

ビスマルク「何が入ってるの?」

響「自分の目で確かめるか。司令官に聞いてみることだね」

ビスマルク「・・・」

提督「そんなに見たいなら見せてやってもいいぞ」

ビスマルク「うわっ!?」ビクッ

響「なんだ。起きてたんだ」

提督「こんな近くで話してたら起きもする。仮眠をとっていただけだしな」

提督「見られて恥ずかしい物は入れてはいない」

響「簡単に言えば、表情豊かだった頃の司令官だね」

ビスマルク「・・・見てはみたいけど・・・」

ビスマルク「えっ、というか、提督が表情豊か?」

響「失礼だよ」

ビスマルク「いや、想像もつかないわよ」

響「まぁ、そうか」

ビスマルク「・・・やっぱりいいわ。私なんかより、金剛や加賀に見せてあげて」

響「興味ないのかい?」

ビスマルク「興味ないわけじゃないけど、どうせ見せるんだったら、提督に恋してる子に見せてあげたほうがいいでしょ?」

提督「・・・」

ビスマルク「色仕掛けなんて私の出来ることじゃなかったし、今日はこれで戻るわ。おやすみ、提督」

提督「ああ」
響「・・・三日月には、いつ見せるんだい?」

提督「・・・今度の提督会議の帰りにあそこへ連れて行く」

響「そっか。完成しそう?」

提督「ああ、あと10羽ほどだ」

響「作っちゃう?」

提督「あとは、私一人でやるさ」

提督「私用で、これ以上お前たちに無理はさせられない」

響「私達は人間ではなく、敵を沈める兵器だ」

提督「お前たちの温もりは私の知っている人間の温もりだ」

提督「少なくとも、私はお前たちを兵器と言う道具として一生を終わらせはしない」

響「そうなるといいね」

提督「そうさせる。私が決めたことだ」

響「頑固だね」

提督「昔からだ」
響「そう言えば、重要な手紙は呼んだのかい?」

提督「ああ、提督会議の日程の手紙だったよ」

響「もう一つは?」

提督「・・・」

響「いや、やめておこう。私が聞くには少し勇気がいりそうだ。それじゃ司令官」

響「おやすみ」チュッ

提督「耳にキスをするのはやめろ。娘と父親の年齢差だぞ」

提督「私にはその気はないといつも言っているだろう」

響「ふふ、年齢は関係ないさ」

響「相変わらず、焦ると口数が多くなるね」クスクス

提督「あまりからかうな。今日一日、結構辛かったんだぞ。我慢するの」

響「司令官になら、いつ襲われてもいいよ。改めておやすみ」

提督「ああ、おやすみ」
そして金曜日

鈴谷「あー提督ぅー?今日ちょっと出かけたいから」

提督「そうか」

鈴谷「じゃあ出かけて来るね」

提督「ああ」

提督「さて、私と三日月も少し鎮守府を離れる。今日一日、頼んだぞ陸奥」

三日月「よ、よろしくお願いしますね」

陸奥「はいはい。私にまかせて。二人はのんびりしてくるといいわ」

提督「遊びに行くわけじゃないぞ」

陸奥「わかってるわよ。それじゃ、頑張ってね三日月ちゃん」

三日月「はい!」

提督「それでは、向かうとしよう」
陸奥「さて、提督も出かけちゃったし、私達も出来ることやっちゃいましょう」

雷「何か頼まれてるの?」

陸奥「掃除を頼まれてるのよ」

雷「掃除!気合入れてやるわよ!」

陸奥「やる気があるのはいいことね。それじゃあ人手が欲しいから皆に声をかけて来て」

雷「わかったわ!」ダッ

陸奥「・・・それにしても、提督ったら、あんな大荷物持ってどうしたのかしら?」

響「今日は特別な日だからね。偶然が重なったんだよ」

陸奥「ふーん・・・そっか。あなたも手伝ってくれるでしょ?掃除」

響「もちろん」

陸奥「じゃあ、お願いね」
提友の鎮守府にて

会議前

新人提督(以降:新人)「は、初めまして。今日はよろしくお願いします」ギクシャク

提友「初めまして新入りちゃんよろしく。そこまでかたくならなくて大丈夫だよ」

新人「ありがとうございます・・・ですが・・・」

K提督(以降:K)「・・・」

提督「・・・」

新人「何か雰囲気が怖いんですけど・・・」

提友「あいつらはいつもこんなだから。気にしなくて大丈夫。ちゃんと報告してくれればいいから」

新人「頑張ってみます」

提督「・・・そろそろ始めるぞ」

提友秘書艦「それでは、始めたいと思います。まずはお互いの進行具合を報告し合います」
三十分後

三日月「い、以上です」ペコッ

提督「上出来だ」

三日月「ありがとうございます」

提友「ふむ・・・やはりお前が一番か」

新人「すごい・・・私なんて全然進んでないのに・・・」

提督「まだ新人なのだ。焦ることはない」

K「いくら新人といえど、いつまでも同じところで足踏みしていてはダメだ」

新人「は、はい・・・」

提友「おいおい。あんまりビビらせんなよ」

K「にしても・・・また貧弱な秘書艦を連れているな。ええ?提督さんよ」

K秘書艦「・・・」

三日月「・・・」ピクッ
提督「お前がいつも言っていることじゃないか」

提督「秘書艦は言うことを聞けば誰でもいいと」

提友「新入りちゃんはどう思う?」

新人「へっ!?な、何がですか?」

提友「秘書艦はどういう子を自分の側に置いてる?俺は愛らしいからだけどなぁ」ギュッ

提友秘書艦「提督?人前で抱きつくのはやめましょうね」

新人「あはは・・・」

K「ああ、もちろんだ。その点、こちらの秘書艦は言うことをなんでも聞くものでね」

K「なぁ・・・?その通りだろ?」

K秘書艦「・・・はい」

提督「・・・会議を続けよう。次は?」

提友秘書艦「はい。次は・・・撃沈数、及び轟沈数についての報告ですね」
K「撃沈数は自分が一番だな。桁が違う」

提友「轟沈数もな。もう少し大切にしろ」

K「ふん。こいつらは所詮道具だろ?何を大切にしろって言うんだ?」

新人「作戦の進行具合は、提督さんが一番なのに・・・撃沈数は私より低い・・・?」

提友「意味もなくこいつと張り合うのはいい加減やめたらどうだ?」

K「張り合っている?冗談はよせ。上の連中の評価は断然自分の方が上だ」

提友「そりゃそうだろうな。上の連中は撃沈数にしか興味はない」

提友「それだから・・・」

提督「それなら一つ聞くが、それだけ撃沈、轟沈させて、戦いは少しはおさまったか?」

K「・・・帰るぞ。もう話す必要がない。所詮会議と銘打った報告会。行くぞ」

K秘書艦「はい」
新人「あ、あの・・・」

提督「すまないな。提督としてまだ新人なのにこのような場面に居合わせてしまって」ポンッ

新人「いえ・・・」

提督「三日月、行くぞ。今日は付き合ってもらう場所がある」

三日月「は、はい!」

提友「ちょっと俺と話してけよ」

提督「何か用か?」

提友「少し雰囲気が変わったか?」

提督「用がないなら帰るぞ」

提友「おいおい。仮にもお兄ちゃんに対してなんて態度だ」

提督「誰が兄貴だ」

三日月「えっ」
新人「えっ」
新人秘書艦「えっ」
三日月「ちょっと司令官一ついいですか?」

提督「どうした?」

三日月「えっ、この司令官さん・・・司令官のお兄さんなんですか・・・?」

提督「義理のな。ただの腐れ縁の友人だったんだがな」

提友「俺はまだ怒ってんだぞ?俺の可愛い妹を手篭にしやがって」

提督「私と妻の結婚式で嬉しくて号泣してたのは誰だったっけな?」

提友「うるせぇ!あれは妹の姿が可愛くてだなぁ!」

提友秘書艦「提督、そろそろ次の遠征組が帰ってくる頃ですよ」

提友「今行く。悪いな翔鶴」

提友「まったく、可愛くない義弟だ。そう言えば、お前の姉ちゃんが顔出さないって愚痴ってたぞ」

提督「そうか」

提友「顔出してやれよ。心配してたぞ」

提督「ああ、行くさ。そのうち」

提友「そんじゃ、俺はこれから遠征組を出迎えてやらなきゃいけないから、この間の約束、忘れんなよ」
提督「はぁ・・・あいつ、後で憶えておけ」

新人「えっと・・・」

提督「何度もすまない」

新人「いえ・・・なんか突然、色々な性格の方がいっぱいいてびっくりしました」

新人「提友さんみたいな軟派な人も居れば、勝てばいいって思うKさんみたいな人も」

新人「提督さんみたいな優しい人も・・・」

提督「・・・」

新人「私、初めてすぐに、訳も分からず轟沈させてしまった艦があって落ち込んでたんです」

新人「提督さんの成績を見て驚いちゃいました」
新人「轟沈数0、撃沈数2・・・このような戦場で、こうも命を大切に出来る人は中々居ないですよ」

新人「本当の意味で命を愛してる人に、初めて会った気がします」ニコッ

新人「それでは、私もこれで。行こう愛宕」

新人秘書艦「うふふー。あの提督さんに恋しちゃったー?」

新人「ちょっと!余計なこと言わないでよ!」

三日月「・・・」ムッ

提督「・・・さて、三日月、私達も行くか。少し買い物にも付き合ってもらうが、いいか?」

三日月「はい。司令官って、天然なんですね」

提督「何がだ?」

三日月「いえ、なんでもありません」

提督「そうか」
駄菓子屋

提督「・・・」

三日月「ここは・・・?」

提督「どうも。まだ続けてたんですね」

駄菓子屋のお婆ちゃん(以降:駄菓子屋)「おや、久しぶりだねぇ。元気だったかい?」

駄菓子屋「あたしが生きてるうちは続けるよ」

提督「いきなり物騒なこと言わないでください」

駄菓子屋「まぁ、年も年だからねぇ・・・」

提督「三日月、食べたいと思った物を取っていいぞ」

三日月「えっ?」

提督「今日は緊張しただろ。それとも、何か欲しいものがあれば買ってやる」

三日月「えぇ?」

駄菓子屋「おや?娘さんかい?あの小僧に娘が出来たのかい?」
提督「もうボケたんですか?前にも連れてきたでしょうに」

駄菓子屋「おお、そうだった。そうだった」

駄菓子屋「しかし、そんな子だったっけ?」

提督「ああ、他にも娘は居るんで」

駄菓子屋「なるほどのう・・・あたしの記憶では最初に連れて来た子がその子だった気がするんだけど・・・」

提督「やっぱりボケたんじゃないですか?」

駄菓子屋「失礼だのぅ・・・」

提督「この娘は初めてですよ」

駄菓子屋「そうか。それじゃあ、存分に買い物して行きなさい」

提督「はい」
駄菓子屋「毎度有り。今は駄菓子屋に来る人なんて少ないからねぇ。いつもありがとうね」

提督「いえ、昔の恩返しだと思ってください」

駄菓子屋「そうかい」

三日月「・・・」

駄菓子屋「それじゃ、また来なさい。待ってるよ」

提督「ええ、また来ます。それでは」

三日月「・・・駄菓子屋の人とはどういう関係なんですか?」

提督「あの人は、私達が小さい頃に助けてくれた人だ」

三日月「私達?」

提督「今から行くところに答えがある。とりあえず向かおう」

三日月「はい・・・」

三日月(大量の駄菓子・・・どこへ行くんでしょう?)
提督「お前は、それで良かったのか?」

三日月「はい。私はこれで大丈夫です」

提督「駄菓子じゃなくても、高くても好きな物を買ってやったのに」

三日月「麦チョコ美味しいです」

提督「そうか」

三日月「それで、今どこへ向かってるんですか?」

提督「私の大切な場所だ」

三日月「そうですか」

提督「そろそろ着くぞ。駄菓子屋から、近いんだ」
ワーワー

提督「着いた」

三日月(沢山の子供・・・?)

子供達「あ!おじさんだ!」

提督「お前たち、元気だったか?」

子供達「おじさん!会いたかったよ!!」

提督「そうか。今日も買ってきてやったぞ」ナデナデ

子供達「おかし!?」

提督「ああ」

子供達「やったー!」ダキッ

???「おや、久しぶりだね。全然顔出さないから心配したよ」

提督「色々忙しかったからね。姉さんこそ、元気そうだ」

三日月「お姉さん!?」
提督姉「えっ!?」

提督姉「ち、ちょっといい!?」ガシッ

三日月「は、はい!?」ビクッ

三日月(か、顔が近い・・・)

提督姉「・・・誘拐?」

提督「違う。この子も艦娘だ。前の弥生と同じだ」

提督姉「そう。びっくりした」

三日月「あの・・・説明が欲しいんですけど・・・」

提督「ああ、そうだったな。ここは、私達の両親が建てた孤児院なんだ」
三日月「えーっと・・・」

提督「ああ、そうだ。これ、飾っておいてくれ」

提督姉「なにこれ」

提督「千羽鶴だ」

提督姉「作ったんだ」

提督「娘と約束したからな」

提督姉「もう居ないのに、だいぶ律儀なもんだな」

提督「そう言うな」

三日月「すみません!話が全然みえ・・・」

子供達「おじさんもお姉さんも遊んでー!」

三日月「えっあっちょっ」

子供達「お姉さーん」グイグイッ

三日月「腕を引っ張らないでってー!」

提督姉「うちの子達、あんたが連れてくる子には怖がらなくなってるよ」

提督「信用されて、嬉しいことだな」
???「姉御ーなんの騒ぎー?」ギュッ

デブ猫「・・・」

提督姉「ああ、客人だ」

提督「・・・何してるんだお前」

鈴谷「ありゃ、提督じゃん。三日月ちゃんも一緒?」

提督「ああ、子供達に連れ去られたがな」

鈴谷「ニャンニャン」テシテシッ

デブ猫「・・・みゃ」

提督「相変わらずでかいな」サスサスッ

デブ猫「・・・」ゴロゴロ

鈴谷「提督!鈴谷の喉も撫でていいんだよ?」

提督姉「あんたも相変わらずだね」

鈴谷「鈴谷は提督のこと大好きだもんねー。ねー?」

デブ猫「ぶみゃ」
鈴谷「おー千羽鶴出来たんだー」

提督「ああ」

提督姉「これ、子供達が届かない所に飾っといて」

鈴谷「はいはいー。メーちゃんここにいてね」

メー「・・・」スリスリッ

提督「・・・」ナデナデ

提督姉「あのバカや鈴谷ちゃんに聞いたよ。まだ笑顔見せたこないんだって?」

提督「ああ」

提督姉「いつまでも引きずってんのさ」

提督「・・・」

提督姉「昔の表情豊かなあんたの方があんたらしかったよ」

提督「昔の話だ。今、私に表情など必要ない。持ってちゃいけない」

提督姉「・・・つまらない意地ははらないほうがいい。この前響ちゃんが来たよ」

提督姉「あの子を・・・あんたの娘にそっくりなあの子のことも聞いてたよ」

提督「・・・あいつ・・・どこに出かけたのかと思ったら・・・」
30分後

三日月「疲れました・・・」

提督姉「あはは、随分もみくちゃにされたね」

三日月「それで、話の続きなんですけど」

提督「さて、私も子供達と遊んでくるか」

三日月「あ!逃げないでくださいよ!」

提督「私から話したくはない。そいつから聞いてくれ」

提督姉「人に押し付けるとか男らしくないね」

提督「情けない話だが、この話をすると泣きそうになる」

提督「まともに話せる気がしないのでな。まかせたぞ」

提督姉「はいはい」

三日月「・・・いやならそう言ってくれればいいのに」

提督姉「話したいんだろうさ。特にあなたには」

三日月「えっ?」

提督姉「あいつの娘に、そっくりなのよ。あなた」
三日月「私がですか?」

提督姉「ええ」

提督姉「響ちゃんから、大体の事は聞いてるよ」

三日月「結構前から、響ちゃんの事は知ってたんですか?」

提督姉「まぁね」

三日月「それでですけど、司令官の過去について・・・詳しく教えて頂けますか?」

三日月「司令官の表情を取り戻すため、少しでも司令官のことを知りたくて」

提督姉「本当にそれだけのため?」

三日月「う・・・」

提督姉「好き?あいつの事」

三日月「よくわかりません。見た目は怖いですけど、優しいですし」

提督姉「そっか」

三日月「大切な人、だとは思っています」
提督姉「あいつの表情ね・・・何年も見てないなぁ」

提督姉「あいつの奥さんと娘、病気と事故で死んじゃってるのよ」

三日月「えっ・・・」

提督姉「娘を産んでから少し経って、奥さんは死んじゃって」

提督姉「娘さんも、元々体が弱くてね。あなたと同じ年の頃に」

提督姉「それからだった。あいつから表情全てが無くなったのは」

三日月「どうしてですか?」

提督姉「あいつの昔の写真、見たことある?」

三日月「いえ」

提督姉「んー・・・じゃあさ。三日月ちゃんは、どこから知りたい?」

三日月「それはどういう」

提督姉「あいつの過去。子供からの事なのか。それとも・・・」

三日月「・・・子供の頃からで、お願いします」

提督姉「そう。それじゃあ、話すけど・・・」
三日月が説明を受けて居る頃の鎮守府

陸奥「・・・掃除終わっちゃったし暇ね・・・」

響「そうだね。ああ、お茶入ったよ」トッ

陸奥「あら、ありがとう」カチャ

陸奥「はぁ・・・」

陸奥「それにしても大丈夫かしら提督」

響「なにがだい?」

陸奥「上の人たちって撃沈数で評価を決めてるって噂じゃない」

響「らしいね」

陸奥「もうこの作戦立ててどのくらい経つ?そろそろまずい気がするのだけれど」

響「まずいんじゃないかな」

陸奥「・・・もし、提督が提督を降ろされたらどうする?」

響「それでも、司令官の指示が最優先。従うしかない」

陸奥「それが全てだと思う?」

響「私達の都合で、あの人を縛りたくはない」

陸奥「随分、割り切ってるのね」
響「まぁ、そういうもんさ」

陸奥「そういうものかしら。そっか。私達じゃどうにもできないものね」

響「ああ」

ダダダダ・・・

バタン

暁「大変よ!!」

陸奥「どうしたのよ。いきなり開けたら驚くじゃない」

暁「そんなのんびりしてる場合じゃないわよ!!見張りの瑞鳳が南方棲戦を発見したのよ!」

響「南方棲戦が?」

陸奥「えっ?ここ鎮守府よ?こんな近くまで来るわけ・・・」

暁「そんなことないわよ!しかもまだこっちに近づいてきてるらしいのよ!」

陸奥「・・・わかったわ。すぐに向かう。艤装をつけて響もついてきて」

響「了解」
陸奥「瑞鳳、状況は?」

瑞鳳「はい!あちらの方角に情報で聞いた南方棲戦らしき影を発見しています!」

陸奥「・・・確かにそんな影ね。でも、どうして・・・?」

響「瑞鳳、双眼鏡は持っているかい?出来れば貸してほしい」

瑞鳳「はい!」ズイッ

響「・・・」ジーッ

陸奥「どう?」

響「・・・間違いない。あれは南方棲戦だ。こちらに向かってきている」

陸奥「随伴艦は?」

響「タ級二隻と護衛艦二隻」

陸奥「おかしな編成ね」

響「大体付く場所はわかった。そこに向かおう」

陸奥「そうね。瑞鳳、引き続き見張りを続けて」

瑞鳳「気をつけてくださいね!」

陸奥「ええ」
響「ああ」
南方棲戦「・・・」

長門「話を聞いて来てみれば、こんなところまで足を運ぶんだな」

タ級「・・・」

長門「だんまりか?」

長門(駆逐艦達の手前、変な姿を見せるわけにはいかないし・・・だが、怖い)ビクビク

長門(強気なだけで帰ってくれはしないだろうか)

皐月「長門さんやっちゃえー!」

卯月「うーちゃんの嘘が本当になったぴょん」

弥生「嘘から出た実・・・ロクなことにならない」

川内「長門さん!戦闘をするなら加勢するよ!!」

長門「お前はなぜここにいる・・・」

川内「なんとなく火薬の匂いがしたから!」キラキラ

長門「戦闘狂大概にしておけ」
南方棲戦「・・・」バシャッ

長門「な、なんだっ」ビクッ

南方棲戦「・・・」

陸奥「あら、お姫様がこんなところまでどうしたの?」

長門「陸奥!よかった・・・一人じゃ心細かったんだ」ボソッ

陸奥「たまにはカッコいいところ一人で見せなさいよ・・・」ボソッ

響「大丈夫?」

弥生「まだ被害はない・・・」

南方棲戦(以降:南姫)「・・・タ級」

タ級「はい・・・」グイッ

バシャッ

???「・・・」グッタリ

響「艦娘・・・?」
南姫「今朝・・・攻めてきた艦隊が動けないからと置いていった艦娘よ・・・」

弥生「・・・息はしている。でも、意識がない。早く手当しないと、死んでしまう」

皐月「えぇ!?は、早くドックに連れて行かないと!」

陸奥「ええそうね。長門、この子を連れてドックへ」
長門「あ、ああ!任せろ!」

響「皐月は明石をドックへ」
皐月「了解ー!」ダッ

弥生「卯月は、鳳翔さんを呼んでドックへ。明石のサポートをさせてもらって」
卯月「わ、わかったぴょん!」ダッ

南姫「・・・」

陸奥「・・・それで?どういう風の吹き回しかしら」

タ級「あなた達の・・・」

南姫「あなた達の提督は・・・?」

響「私達の司令官に何か用か?」

南姫「会わせて欲しい・・・」
陸奥「あ、会いたい?」キョトン

南姫「・・・」コクッ

陸奥「・・・戦うつもりできたわけじゃないの?」

南姫「・・・」コクッ

陸奥「こっちに被害を出すつもりはない?」

タ級「しつこい・・・被害を出すつもりなら・・・もう少し離れたところから打っている・・・」

南姫「そうね・・・それに・・・負傷した艦を連れてきたりしない・・・」

陸奥「・・・はぁ、それもそうね。川内、響、弥生、武器を下ろしなさい」

川内「えー!戦いはなし!?」

陸奥「提督から言われてるでしょ。敵意がないなら、砲口は向けるなって」

川内「ちぇー」

弥生「・・・むう」

響「・・・」
陸奥「それで?」

南姫「・・・それは、あなた達の提督と直接話したいわね・・・」

陸奥「生憎だけど、今出かけてるのよね。居れば会ってくれただろうけど」

南姫「待つ・・・」

陸奥「えっ?」

南姫「提督が帰ってくるまで、待つ」

陸奥「・・・どう思う?」

響「いいんじゃない?その代わり、鎮守府に入れるのは南方棲戦姫、君だけだ」

南姫「・・・仕方ないわね・・・」

南姫「タ級、護衛ちゃん、待っててくれるかしら・・・?」

タ級「はい」

護衛「」コクッ

陸奥「何があったか知らないけど・・・まぁ、敵の本拠地で単身暴れる様なバカではないだろうから」

陸奥「でも、タ級達はうちの子達に監視させてもらうわよ?」

南姫「ええ・・・」
北上「というわけで、私達で監視させてもらうよ」

大井「何か妙な事したら、魚雷を迷わず打つから」ガキンッ

陸奥「お願いね。じゃあ、ついてきて」

陸奥「執務室で待ってもらうわ。勿論、私と響の監視付きだけど」

南姫「わかったわ・・・」

タ級「南方棲戦姫様、お気をつけて・・・」

雷「むー、司令官のことで色々ゴタゴタしてたのに・・・あれ・・・この子、どこかで見たような・・・」サワッ

護衛「」ブルルッ

雷「ああ、ごめんなさい!変なところ触っちゃった!?」

金剛加賀「・・・」ムスッ

大井「・・・なんかあの二人、すごく不機嫌なんですけど・・・」

北上「作戦失敗したんだって」

大井「なんのですか?」

北上「さぁねー」
孤児院

三日月「・・・す、すごい壮大な人生ですね」

提督姉「驚いた?」

三日月「ええ、司令官のお姉さんと司令官の血が繋がってないことが一番衝撃です」

提督姉「あれ、そこなんだ」

三日月「他にも驚くこともありましたが・・・」

三日月「ええっと、最初の方ちょっと忘れちゃいましたね。次から次へと新しい衝撃が多すぎて」

提督姉「確かにそうかもね。簡単に言うと、私とあいつはここの孤児院に来て」

提督姉「貰い手が見つからなかった私達を養子として育ててくれたのがここの孤児院の初代管理者で」

提督姉「つまり私達の義両親ね。それで学校とか通わせてもらって」

提督姉「そこで知り合ったあいつとその妹とも仲良くなって」

提督姉「妹とあいつはお互い惹かれあってくっついちゃったって話」

三日月「えっとそれで、奥さんがその妹さんで、事故で亡くなって・・・」

提督姉「何年かして、娘も病気で・・・ね」

三日月「はぁ・・・」

提督姉「あの千羽鶴も、娘が頼んでくれてって作ってたんだ。まぁ、間に合わなかったけど」

提督姉「それから、あいつから笑顔全般が消えたのは」
提督姉「まぁでも、こんな話聞いてタメになるかはわからないけどね」

提督姉「にしても、子供ってのはすごいよ」

三日月「どうしてですか?」

提督姉「見て。あいつはいつもここに来ると子供達に色々な話をするんだ」

提督姉「おとぎ話だったり、自分の体験談だったり」

提督姉「あいつの顔こそ無表情だけど、子供達は真剣にその話を聞いて、笑ったり驚いたりしてる」

提督姉「子供って、本当に優しい人をわかるんだよ。不思議と」フフッ

三日月「あ・・・」

三日月(この人もしかして・・・)
三日月「もしかして、あなたも司令官の事が好きなんですか?」

提督姉「・・・どうしてそう思う?」

三日月「私の身近にも、司令官が好きな人が何人かいるんです」

三日月「あなたの司令官を見る目は、その人たちと同じ目をしているんです」

提督姉「ふーん・・・三日月ちゃんはいい子だ」

三日月「えっ!?」

提督姉「人の目を真っ直ぐ見て話せる子はいい子の証だよ。悪い子は、人の目を見て話さない」

提督姉「真っ直ぐ見て話すから、目の変化がわかる」

三日月「・・・そうですか?」

提督姉「ああ」

三日月「ありがとうございます」

提督姉「私からも言いたいことがあったんだけど」

三日月「なんですか?」
提督姉「三日月ちゃん自信気づいてないから言うけど」

提督姉「あなたのあいつを見る目は、私達と同じ目をしてるよ」

三日月「・・・え?」

三日月「ええっ!?う、嘘・・・///ですよね・・・?」

提督姉「ふふ、女って怖いもんでさ。同じ人を好きな人が分かるんだ」

三日月「・・・考えたこともありませんでした」

三日月「ついこの間まで、司令官と一緒に居るのが苦痛だったんですけど」

三日月「司令官と一緒にいればいるほど、司令官のいいところが見えてくるんです」

三日月「勿論、悪いところもありましたけど・・・」

提督姉「愛ってのはそういうもんだよ」

三日月「恋ではないんですか?」

提督姉「恋と愛の違いなんて、大人になっていけば分かるもんだからね」

提督姉「今は恋に恋する年齢でいいんだよ」

三日月「・・・子供扱いですか」

提督姉「私から見たら鈴谷ちゃんも子供だから」
提督「話は終わったか」

三日月「ええ」

提督姉「ご苦労様。子供達もあんたの話を毎回楽しみにしてるからね」

提督「そうか」

三日月「司令官、このあとどうするんですか?」

提督「ん?そうだな。どこかいきたいところはあるか?」

鈴谷「あ!鈴谷カラオケいきたい!」

提督「いつから居たんだ」

鈴谷「提督のそうかあたりから」

提督「・・・三日月、話を聞いて、どうだった?」

三日月「はい?何がですか?」

提督「・・・いや、なんでもない」

三日月「司令官、後で聞きたい事があるので」

提督「ああ」
ブーン

三日月「あれ?あれって艦載機じゃないですか?」

鈴谷「彩雲だね。こっちに向かってくるよ」

提督「緊急か?」

ピラっ

三日月「よいしょ。手紙ですね」

提督「瑞鳳の彩雲だな」

鈴谷「よくわかったね。と言うか、瑞鳳ってここのこと知ってたっけ」

提督「瑞鳳の作った彩雲の癖があった。響辺りが方角だけ教えたんだろう」

提督「あいつは私の考えている事がお見通しらしい」

鈴谷「さすがだね・・・」

提督「中身は?」

三日月「ちょっと待ってください」

三日月「えーっと・・・『鎮守府に南方棲戦姫』だそうです」
三日月「・・・あれっ?」

鈴谷「急いで戻らないとやばいんじゃない?」

提督「・・・来たか。戻るぞ」

提督姉「もう帰るの?」

提督「ああ、また来る」

提督姉「そう。待ってるよ」

鈴谷「じゃあねメーちゃん」ナデナデ

メー「・・・みゃ」

三日月「それでは!急ぎましょう!」

提督姉「ああ」

提督姉「・・・本当に、あの子にそっくりね」ボソッ

子供達「先生!」

提督姉「ああ、ごめんよ。すぐ行く」
帰り道

鈴谷「やばっ。ちょっとそこの公園のトイレ行っていい?」

提督「ああ、公園のベンチで待ってる」

鈴谷「ごめんね!」ダッ

三日月「今日は立ちっぱなしで疲れましたね・・・」ポスッ

提督「飲み物を買ってくる」

三日月「あ、私も行きますよ!」

提督「すぐに戻ってくる。座っていろ」

三日月「はい・・・」
提督「ほら」スッ

三日月「ありがとうございます」

三日月「あの」

提督「なんだ」

三日月「先ほど、お聞きしたいと言ったじゃないですか」

提督「ああ、いいぞ。答えられることなら聞いてやる」

三日月「どうして、奥さんと娘さんが亡くしてから、表情を出さなくなったんですか?」

提督「随分、大胆になったな」

三日月「お二人を亡くしたショックで表情が出せないというのでしたらわからなくもないです」

三日月「ですが、司令官は表情を隠している様に見えます」

三日月「私の勝手な思い込みかもしれませんけど」

提督「・・・」

三日月「教えて、頂けますか?」ジッ

提督(私の目をジッと見つめる三日月の顔は、やはり、娘そのものだ)

提督「・・・ああ、教えてやる」

提督(昔から、娘のお願いには弱いんだ)
その頃の執務室

南姫「・・・」

陸奥「それにしても、元気そうじゃない。何度も戦ったのに」

南姫「あなたも、変わらないわね・・・」

響「最後に戦った時の司令官の手紙、読んだ?」

南姫「ええ・・・」

陸奥「・・・心配?」

南姫「・・・」

陸奥「あなた達にも、仲間意識っていうものがあるのね」

南姫「・・・」

バタン

皐月「聞いて聞いて!さっきの子、命に別状はないってさ!!」

陸奥「よかった・・・それじゃあ、看病を引き続きお願い」

皐月「了解ー!」

バタン
三番ドック

明石「随分派手にやられてますね」

鳳翔「ええ・・・」

明石「一命は取り留めましたが、数日眠ってるかもしれませんね」

鳳翔「出来ることだけでもやりましょう」

明石「そうですね。少し、用事があるのでお任せしますね」

鳳翔「はい。わかりました」ニコッ
鳳翔「・・・新しいタオルに変えますね」

パサッ

鳳翔「ん・・・この子、どこかで見たことが・・・」

???「・・・」スヤスヤ

鳳翔「・・・」ナデナデ

???「ん・・・」

鳳翔「・・・早く提督帰ってこないかしら・・・」

弥生「大丈夫?」

鳳翔「弥生ちゃん?今のところは安定してきてます」

弥生「そう。よかった」

鳳翔「心配でした?」

弥生「それもあるけど、少し確認がしたかったから」

鳳翔「え?」
弥生「その子の顔をよく確認したかった」

鳳翔「顔を確認して、どうなるの?」

弥生「弥生が知ってる子に見えたから」

鳳翔「・・・そうなの?」

弥生「うん」

鳳翔「あまり刺激しないようにお願いしますね」

弥生「大丈夫」

ボスッ

弥生「よいしょ・・・」

鳳翔(覆いかぶさって夜這いしてるみたいですね)ニコニコ
執務室

陸奥「何か食べる?」

南姫「え・・・?」

陸奥「今はお客さんだしね。お菓子やお茶でも出さないとね。響は?」

響「羊羹」

陸奥「じゃあ、アイスでも出しましょうか」

響「えっ」

陸奥「冗談よ。少し用意してくるから待ってて」

ガチャ

パタン

陸奥「・・・ふう」

長門「うーん・・・」ソワソワ

陸奥「長門、何してんの?」

長門「い、いや?鎮守府内に敵艦がいるから落ち着かないとか」

長門「連れ込まれた朝潮が心配とかそういうことではないぞ?」

陸奥「説明ありがとう」
陸奥「暇なら少し手伝って」

長門「何かするのか?」

陸奥「羊羹を切ってほしんだけど」

長門「・・・私も食べていいか?」

陸奥「一口だけよ」

長門「やった」

陸奥「私はお茶を作るから、長門は羊羹をお願い」

長門「均等にくれるかどうか分からないがやってみよう」

陸奥「安心して、期待してないから」

長門「そうか・・・」ショボーン
響「・・・」

南姫「・・・」

響「どうして、あの朝潮を助けたんだ?」

南姫「・・・あなた達と同じことをしただけよ・・・」

響「もしかしたら、私達の司令官がやっていたっていう確証もないのに?」

南姫「確証ならあった・・・」

響「・・・どういうこと?」

南姫「ここの鎮守府方面に送って居た子達は皆、大破止まりでほとんど戻ってきていたわ・・・」

南姫「不思議だとは思ったけど、あなた達が攻めてきてわかった・・・」

響「・・・そうか。ふふ、君達もしっかり仲間の数を把握してるんだね」

南姫「・・・」フイッ

響「ここまで来ると、司令官の言う通り、私達も、君達も、変わらないのかもしれないね」クスッ
陸奥「お待たせ。はい、羊羹よ」

南姫「・・・」

陸奥「毒とか入ってないから大丈夫よ・・・」

南姫「いや・・・どう食べればいいかわからなくて・・・」

響「考える必要はないよ。この棒でブスっと」ブスッ

響「それを口へパクッ」パクッ

響「美味しい」ドヤッ

陸奥「ま、まぁ、響の説明はどうかと思うけど、そんな感じよ」

南姫「・・・」パクッ

南姫「・・・」モグモグ

陸奥「あなた達の口にも合うかしら?」

南姫「・・・美味しい」

陸奥「それならよかった」
数十分後

長門「提督が帰ってきたぞ」

陸奥「そう?ありがとう長門」

長門「うむ。もっと褒めてもいいぞ」

提督「待たせた」

三日月(うわぁ、本当に居る)

南姫「待ってたわ・・・」

提督「私も待っていた。お前ら、少し席を外していてくれ」

陸奥「了解」

響「一人で大丈夫?」

提督「ああ」

長門「何かあったらすぐ呼ぶんだぞ?陸奥がすぐに助けに行くから」

陸奥「はぁ・・・」

三日月「長門さんじゃないんですね・・・」
提督「・・・さて、二人きりだ。話の用件は?」

南姫「あの子を・・・あなた達が鹵獲したあの子を返して欲しい」

提督「鹵獲は語弊がある。まぁ、悪い言い方をすれば鹵獲だが」

南姫「・・・」

提督「私達は保護をしたつもりだ。元々、お前達が見捨てた子を連れてきただけだからな」

南姫「それは・・・」

提督「ここにこうやって来たということは見捨てた事を後悔したんだろうが」

南姫「そんな御託はいい。あの子は無事なのかしら?」

南姫「もし無事でなければ・・・私達はすぐに帰るわ」

南姫「無事なら・・・すぐに連れて帰る」

提督「・・・」

南姫「・・・どうして、黙る?」
提督「結論から言う。無事だ」

南姫「そう・・・それで、今はどこに?」

提督「四番ドックを閉鎖してそこで住まわせている。一応、この鎮守府内でも隠しているつもりだからな」

提督「あの子の事を知っているのは、お前と戦った六人だけだ。一年近く隠し通すのも辛かったが」

南姫「・・・どうして?」

提督「何がだ?」

南姫「どうして、隠す必要があるのかしら・・・?」

南姫「敵艦を鹵獲したことを報告すれば、十分な功績になるはずよ・・・」

提督「そうだな」

南姫「・・・あなたの考えがわからない」

提督「そうだな・・・もし、鹵獲したことを報告したらどうなる?」
南姫「・・・」

提督「大体想像つくだろう?お前達は私達にとっては謎の存在だ」

南姫「そうね・・・命はないでしょうね」

提督「そういうことだ」

南姫「・・・それでも、やっぱりあなたの考えがわからないわ」

南姫「あの時、私が大破して、逃げるのも辛かった時」

南姫「あなた達の艦隊は、私を撃沈できたはず」

南姫「それなのに、追撃をしてこず、挙句、敵艦を保護して今の今まで養った」

南姫「あなた達にメリットになることが一つもない・・・」

南姫「どうして?」

提督「誰かの命を犠牲にしてまで、勝ちたいとは思っていない」

南姫「そんな綺麗事・・・」
提督「そうだな」

南姫「綺麗事で、何かを手に入れられる物なんて」

提督「それでいいんだ」

南姫「・・・?」

提督「綺麗事で何かを手に入れられるなら、それにこしたことはない」

提督「私以外にも、提督業をしている者は居る」

提督「もちろん、私とは別のやり方で業績を上げているものも居る」

提督「それぞれが自分のやり方でお前達と戦っているんだ」

提督「それでいいんだ」

南姫「は・・・?」

提督「まず綺麗事で戦いを終わらせようなんて奴はいない」

提督「誰もやらないから、私が実行に移している」

提督「ただ、それだけだ」
南姫「・・・そんなじゃ、いつになっても上にはいけないわよ・・・」

提督「あいにく、上に行くのにはまったく興味がないんだ」

提督「この地位になったのも、成り行きだ」

南姫「・・・でも、感謝はしてる」

南姫「ありがとう、あの子を助けてくれて」

提督「・・・ああ」

南姫「お礼ついでに、私達はあなた達の艦隊を沈めるような事はしない」

南姫「ここに来る前に他の子とも相談してそう決めたわ」

提督「そんな気遣いは無用だ」

南姫「でも・・・」

提督「遠慮はするな。お前達が何故、船を襲うか・・・なんとなく理解はしているつもりだ」

南姫「えっ?」

提督「・・・寝てるところを騒がしくされて起されたら、イライラするからな」

南姫「・・・ええ」
南姫「さて、くだらない話はこの辺にして、あわせてちょうだい」

提督「ああ、そうだな。待ちわびただろう」

南姫「ええ・・・」ニコッ

提督「・・・やっぱり女の子には笑顔が似合うな」

南姫「・・・えっ?」

提督「いや、こっちの話だ」

南姫「・・・?」

提督「・・・」

提督(三日月の泣き顔で落ち込んでたなんて・・・言えないな)

その頃、三日月と響

響「相談ってなに?」

三日月「えっと・・・響ちゃんに司令官の事で相談したいことがあって・・・」

響「・・・聞いたの?司令官の娘さんのこと」

三日月「・・・うん」
三日月「響ちゃんは、前から知ってたんだよね。私が、司令官の娘さんに似てるって」

響「うん。半年前程から」

三日月「そ、そんなに!?」

響「まぁ、私はこの鎮守府では二三を争うほどの古株だからね」

三日月「一二を争うなら聞いたことあるんですけど」

響「初代秘書艦は電」

三日月「初耳です。電ちゃんも秘書艦経験あったんだ・・・」

響「知ってるのは私と川内、雷くらいかな?」

響「二代目は私だから」

三日月「あの、突然の情報が多すぎるんですけど」

響「誰も最初の頃の話なんか聞かないからね」
響「それで?三日月は何がしたいの?」

三日月「うっ・・・」

響「何かしたいんだろう?私が協力出来るならしてあげよう」

響「三日月は、少し一人で悩む癖があるから」

三日月「望月ちゃんとか弥生姉さんにも何回も指摘されてます・・・はい・・・」

響「そうか」

三日月「その話は置いといて。響ちゃんは、司令官の表情を見たことはある?」

響「そうだなぁ・・・」

響「今の司令官の表情を見たこと・・・」

三日月「・・・見たいとは、思う?」

響「そりゃ」

三日月「私に協力してください!」

響「話が見えない。深呼吸をして落ち着こう」
三日月「すー・・・はぁー・・・」

三日月「うん・・・!」キリッ

三日月「私は、司令官の娘さんとして振舞ってみたいんです!」

響「やめといたほうがいいと思うな」

三日月「あれ!?」

響「もし、君が司令官の娘として振舞っても、意味がない。どうしてかわかる?」

三日月「えっと・・・どうして・・・?」

響「あの司令官のことだ。ちゃんと娘と君は別に見ている。ただ、重ねて見てるだけだ」

響「重ねて見ると言うのは少し違うか。ここが似てるとか、ここは違うとか」

響「比べているだけ」

三日月「で、でも!響ちゃん言ったよね!?私が一緒になってから、少し司令官が明るくなったって!」

響「はぁ・・・君は、まだよくわかってない」

三日月「なっ・・・!」
三日月「わ、私は・・・その・・・」

響「君は、司令官が好きなんだろう?」ジッ

三日月「好き・・・だと思う・・・」ポッ

響「私は、司令官を愛している」キリッ

響「そこで、君の好きと私の愛してるの違いはなんだと思う?」ズイッ

三日月「・・・っ」タジッ

響「その違いが分からなきゃ、話にならないね」スッ

三日月「あ、待っ・・・!」

響「何?」

三日月「ヒントは!?私、司令官のこと好きだって気付いたの今日だから」

三日月「その気持ちがよくわからないっていうか・・・その」

響「・・・で?」

三日月「えっと・・・ごめん・・・なんでもないよ」ニコッ

響「・・・どうして、そこまで焦っているんだい?」
三日月「・・・今日の報告会で聞いたんです。上の人達は、撃沈数しか見てないって」

三日月「それで、早くしなきゃって。早く、司令官に表情を取り戻してあげたいって」

響「司令官が、司令官を降ろされるかもって?」

三日月「今の現状では、いつそういう連絡が来るか・・・」

響「・・・それじゃあ、相談事は、一つじゃなかったわけだね」

三日月「うん、どうしたら、司令官をここに残せるか。相談したかったんです」

響「撃沈数を増やしたらいいんじゃない?」

三日月「それが出来れば苦労しないよ・・・。司令官の命令を無視するわけには・・・」

響「まぁ、司令官からの私達の評価は下がるだろうね」

響(その程度で下げるような司令官ではないだろうけど)

響(それよりも、ほとんど傷が無いのに撃沈したことに対して激怒しそうだけど)

三日月「本当は、協力はしてくれそうもないし・・・相談しないつもりだったんだけど・・・」

響(激怒した顔も見てみたいな)フフッ

三日月「それで響ちゃん」

響「・・・」

三日月「司令官をどうすれば説得すればいいかな」

響「・・・」ボーッ

三日月「響ちゃん・・・聞いてる?」

響「え、いや?今自分の世界に入ってた」シレッ

三日月「・・・うん。響ちゃんって、自由だよね」

響「そうかな?」テレッ

三日月「今のは悪い意味だよ」
響「そうか。で、説得のことなんだけど」

三日月(聞いてたんだ)

響「うーん・・・司令官は変なところで頑固だからなぁ」

三日月「そっか・・・」

響「でも、方法なんていくらでもあるだろう。手段さえ選ばなければ」

三日月「それって・・・」

響「私の言った言葉の意味がわかれば、方法はあるよ。いくらでも」

三日月「・・・考えてみます」

響「まずは考えてみることが肝心だよ。それじゃ」

ガチャ

パタン

響「・・・それで?盗み聞きとは、趣味が悪いね」

鈴谷「・・・いつから気付いてたの?」

響「最初からかな」
鈴谷「鈴谷も色々衝撃的な情報が多くて混乱してるんだけど」

響「ああ、鈴谷は知らなかったね」

鈴谷「三日月が提督の娘だなんて・・・」

響「ああ、私との娘だ」

鈴谷「いや、鈴谷とのでしょ?」

響「・・・やめよう。虚しいだけだ」

鈴谷「そうだね・・・娘さんに似てるんだね」

響「ああ、少し三日月が勘違いしているようだったが」

鈴谷「何?提督にとっては嬉しいことなんじゃないの?」

響「・・・そうかもしれないけど。あの人はクソ真面目なんだ」

鈴谷「それは知ってる」

響「だから、完全に娘として扱うのを戸惑ってる」

響「父親としてより司令官としての悩みがあるんだろうさ。私達に対して、最低限の礼儀だと思ってるから」

響「仮にも、人に指示を出す立場の人間だし」

鈴谷「・・・そうだよねぇ。提督、真面目すぎるのが欠点だよね」
響「まぁ、真面目すぎるところも、好きだが」

響「あの人の最大の欠点は、考えが極端すぎることだ」

響「・・・それで、鈴谷はどう思う?」

鈴谷「うーん・・・私はどうしようもないかなぁ。今のところは」

響「・・・鈴谷は、私の言ってた事の意味わかる?」

鈴谷「え?好きと愛してるの部分?」

響「うん」

鈴谷「いやぁ、全然」

響「はぁ」

鈴谷「でもさぁ。好きと愛してるって、人それぞれの違いじゃない?」

鈴谷「鈴谷は響みたいに難しいこと考えるのとか好きじゃないから、自分の好きに生きてるけど」

鈴谷「自然と愛に変わるんじゃない?」

響「・・・まぁ、そうかもしれないね」

鈴谷「前から思ってたけどさ。響は少し難しい方、ネガティブな方に考えすぎなんだよ」

響「鈴谷は少し考えたほうがいいよ」

鈴谷「やーだよ」ドヤッ

響「鈴谷らしいからいいと思うけど」
鈴谷「そう言えば、さっき提督がドックに向かってたけど」

響「話が終わったのかな」

鈴谷「なんの?」

響「いや、こっちの話」

鈴谷「そう?」

響「私もドックに向かう」

鈴谷「そっか。じゃあ、鈴谷は部屋に戻って少し寝るよ」

響「ああ、おやすみ」
四番ドック

南姫「ここに居るのね」

提督「ああ」

ガチャ

南姫「・・・」

提督「先ほど、無事であるとは言ったが、その」

提督「ずっと眠っているんだ」

提督「私達のお前達に対しての知識はほとんど持っていない」

提督「どうやったら目を覚ますかも検討がつかない」

提督「すまない」

南姫「・・・」ナデナデ

護衛艦「・・・」ピクッ

南姫「そうね・・・この子は無事、傷も全て治っているわ・・・」ギュッ

南姫「私はこの子を連れ帰って、目を覚まさせるわ。文句はないわよね?」

提督「ああ、そのために助けたんだ」

南姫「私はこれで帰るわ。また、会いましょう」

提督「見送らせてもらおう」
タ級「南方棲戦姫様」

南姫「帰るわよ」

雷「あら、司令官もお見送り」

提督「ああ」

護衛艦「・・・」

護衛「・・・」スリスリ

護「・・・」コンコン

護衛艦「・・・」ピクッ

タ級「・・・」

南姫「・・・ああ、提督さん」

提督「どうした」

南姫「この子を助けてくれたお礼に、一つだけ教えてあげるわ」
南姫「私達と戦って命を落としかけた子には、私達の呪いがかかるの」

提督「・・・」

南姫「気をつけて。あの子、私達になりかけてる」

南姫「ごめんなさいね。これは、私達にはどうしようもできないの」

南姫「好きでかけてるわけじゃないから」

提督「助かる方法はあるか?」

南姫「そうね・・・確証はないし、私には感情とかよくわからないけど」

南姫「負の感情・・・っていうの?こう、胸の所がモヤモヤする感じとかが、呪いを加速させるんじゃないかしら?」

南姫「私も、そういうときは、力があふれてくるの」

南姫「・・・ここにいた数時間、力が出なかったし」

提督「そうか」

南姫「・・・長話が過ぎたわね。それじゃあ、次会うのがいつになるかわからないけど」

提督「ああ、ありがとう」

南姫「行くわよ」バシャンッ

タ級「はい」バシャッ
提督「ご苦労だったなお前達、各自、部屋に戻っていっていいぞ」

金剛「stop!ちょっと待つネ!」

提督「なんだ」

金剛「なんで護衛艦のこと、私達に黙ってたんデスか?」

提督「上の連中に知られないためだ」

金剛「私達は信用できないんデスか?」

提督「そうじゃない。知る人数が増えれば、それだけ情報漏洩の危険があるからだ」

加賀「納得できませんし、感心できません」

提督「何がだ」

加賀「もし、あの護衛艦が鎮守府内で暴れたらどうするつもりだったんですか?」

加賀「油断した私達が、護衛艦に先手を取られたら大破では済まされません」

金剛「そうネ。私達は、知らない間に危険に晒されてたということになるヨ?」

雷「そうよ!大井さんや北上さんもおかしいと思うわよね!?」

雷「私おかしいと思うわ!どうして言ってくれなかったのよ!あの子の世話、私もしたかった!」

金剛「そういう話をしてるわけじゃないネ。雷は少しおとなしくしてるヨー」
三番ドック

響「ん、二人共、司令官は来ていないか?」

鳳翔「いえ、こちらにはいらしてませんよ」

響(見送りにでも行ったのかな)

響「その子の容態は?」

弥生「今は落ち着いてる」

鳳翔「そうですね。もう少し様子は見るようですけど」

響「そっか」

弥生「響、少し気になることが」

響「なに?」

弥生「響は、この子に見覚えはない?」

響「・・・弥生は?」

弥生「ある」

響「弥生にあるなら、私にもあるだろう。この話は司令官と一緒にした方がいい」

響「私は司令官を探してくる」
タッタッタッ

響(見送りに出ているのならここに居ると思うんだが・・・)

響「・・・居た」

金剛「提督!答えるデース!」

加賀「そうです。はっきりしてください」

提督「落ち着け」

響「・・・修羅場!」

北上「嬉しそうに言ってるところ悪いけど違うよ」

響「なんだ」

響「そうか」ポンッ

響「敵艦の保護を隠してた事を問い詰められてるんだな」

大井「察しが良すぎない?」
提督「黙っていた事は謝る」

金剛「謝って済むなら憲兵さんは必要ないデース!」

加賀「そうね」

提督「・・・」

北上「朝からあの二人が機嫌悪いみたいでさー」

響「仕方ないだろう。二人は同じベッドで一夜を過ごしたんだから」

大井「その話詳しく」ドキドキ

金剛「人聞きの悪いことを言わないで欲しいデス!」
加賀「人聞きの悪いこと言わないで!」

響「ああ、司令官、少し話しておきたいことがあるんだけど」

提督「なんだ?」

響「南方棲戦姫達が連れてきた朝潮についてだ」

提督「どうした?」

響「見覚えがある朝潮だったから見て欲しいんだ」

提督「ああ、すぐに向かう」
金剛「提督!こっちの話は終わってないデスよ!」

提督「後で間宮スイーツタダ券全員に配ってやる。それで手を打ってくれ」

金剛「そんなので騙される私達では・・・」

加賀「・・・わかりました。事情は説明してもらいますがそれで手を打ちましょう」ジュルッ

金剛「加賀っ!」

雷「加賀さんよだれよだれ!!」

加賀「あら」

提督「そういうことだ。大井も北上もご苦労だった」

北上「はいはいー」

大井「はい」

提督「行くぞ響」

提督「了解」
再び三番ドック

提督「鳳翔」

鳳翔「て、提督!」ドキッ

弥生「司令官」

提督「鳳翔すまないな。ありがとう」

鳳翔「い、いえ・・・私は当然の事をしたまでですから・・・」ポッ

響「弥生」

弥生「ん、司令官」スッ

提督「・・・どれ」

朝潮「スー・・・スー・・・」

提督(だいぶ落ち着いているな)ナデ

提督(呪いがかかっていると聞いているが、見た目では判断出来ないな)

提督(それとも、服の下に変化が現れてるのか)

提督「ん?この傷は・・・?」

提督「いや、そんなはずはない」
提督「・・・目を覚ましたら少し事情を聞く必要があるな」

提督「鳳翔、この子の体に何か異変はあったか?」

鳳翔「と、言いますと?」

提督「普通の艦娘には無いアザや傷だ。服の下になかったか?」

鳳翔「おかしなところは特にありませんでしたけど・・・?」

提督「そうか・・・」

鳳翔「ええっと・・・それが何か?」

提督「いや、なんでもない」

提督(まだ呪いが弱いのか?)

提督(いや、呪いの事はこの子が起きてから考えよう。それより、この子の二の腕のアザ・・・)

提督「・・・響、お前たちもこの子に見覚えがあると言ったな?」

響「ああ、弥生もそう言っていた」

弥生「うん」

提督「そうか・・・」
提督「目が覚ますまでは様子を見るか」

提督「鳳翔、悪いが目が覚めるまで陸奥と交代で様子を見てくれないか?」

鳳翔「わかりました」

提督「二人体制で様子を見てもらう」

提督「そうだな。鳳翔は最上と一緒に見てくれ」

提督「それと・・・服に隠れて見えない部分にも気を配ってくれ」

鳳翔「どういうことですか?」

提督「深海棲艦になるかも知れない。二人体制もそのためだ」

鳳翔「・・・もし、深海棲艦になったらどうしましょうか?」

提督「寝ている間は大丈夫だろう。もし、なってしまったらすぐに連絡をくれ」

提督「危なくなったら・・・その時は」

鳳翔「はい。わかりました」
提督「私の方から、陸奥達に伝えておく」

提督「響、弥生、行くぞ」

響弥生「了解」

提督「・・・響、あの傷に見覚えはあるか」

響「あるから、司令官を呼んだんだ」

弥生「あの傷は、あの司令官の秘書艦のものだった」

提督「いや、そんなはずはない。今日の提督会議で、あの子は出席していた」

提督「あの子が、沈めかけられたのは朝だと、南方棲戦姫が言っていた」

提督「おかしいだろう」

響「矛盾しているな。だけど」

提督「・・・考えても無駄だな。あの子の事は、あの子が起きてから全てを聞こう」

弥生「話せるのなら」

提督「今日はもう休め。明日に備えて」

響「これから何か用事はあるのかい?」

提督「特にはない」

弥生「なら、部屋に戻る」

提督「ああ」
真夜中

執務室前

三日月「・・・今日は色々ありすぎて疲れたなぁ・・・」ボソッ

三日月(今日は早めに・・・司令官に一言言って休もう)

コンコン

三日月「・・・あれ?」

ガチャッ

三日月「居ない・・・どこだろう?」

三日月(こんな時間だし、皆寝てるだろうなぁ・・・)チラッ

三日月「・・・今日も、月が綺麗・・・」

提督『今日は、月が綺麗だとは思わないか』

三日月「・・・」ドキドキ

三日月(今思うと、とてもロマンチックなセリフだったよね・・・)

三日月「・・・あれ・・・畑に居るのって・・・司令官?」

三日月「行ってみよう」タッ

三日月「はぁ・・・はぁ・・・」

三日月(誰かと一緒?)コソッ

提督「こんな時間まで畑仕事とは、働き者だな。電」

電「司令官さんほどじゃないのです」ブチッ

提督「あまり、夜中にやるのは感心しない。私の居ないところで一人でやってはいないだろうな?」

電「やってないのです!電も、約束はちゃんと守るのです!」

提督「・・・ああ、そうだな」

電「司令官さんが、約束を守っていてくれてるのに、電が守らないわけにはいかないのです」

提督「・・・」

電「あ、でも無理しないでって約束は破っているのです!」

提督「それは私の性分だ。勘弁してくれ」
電「・・・それで、今日はどうしたのですか?」

提督「・・・何がだ?」

電「今日は落ち込んでるみたいなのです」

提督「・・・お前には、敵わないな」

電「ふふふ、電にはお見通しなのです」ドヤッ

提督「今日はもう切り上げろ」

電「そうですね。よいしょ」スクッ

提督「・・・」

電「・・・定位置なのです」ポスッ

提督「おっと・・・」

電「司令官さんのお膝の上は安心するのです」

三日月(えっ?えっ?)オロオロ

三日月(二人はどういう関係?初代秘書艦だけって関係じゃないよねっ?)

三日月(・・・司令官の膝の上・・・どんな感じなんだろう)
提督「・・・」ギュウッ

電「ん・・・司令官さん・・・」

提督「すまん、電。少し、泣かせてくれ」

電「・・・司令官さんは、おっきな月がよく見える日はいつも甘えん坊になるのです」

提督「お前以外に、こんな顔、見せられん」

電「えへっ、信頼されてて嬉しいことなのです」

電「電に頼っていただけるのは嬉しいのですが」

提督「わかってる。お前が知っている通りだ。私には・・・」

電「電のわがままを聞いてくれているので、あまり言えないのです」

電「司令官さんには、難しいわがままだったのに・・・それを守ってくれてくれて」

提督「いや、命は大切なのは私も知っている」

提督「一番、理解してる」

電「・・・司令官さんの奥さんは・・・」

提督「やめてくれ。大きな月で、ただでさえ思い出す・・・だから」

電「ごめんなさいなのです・・・」
提督「私は・・・守れなかった・・・」ギュウッ

電「・・・っ」

提督「大切な人二人を・・・守れなかった・・・ぐっ」

電「司令官さん」

提督「・・・電だけが、私の事情、全てを知っているんだ」

提督「響ですら、全てを知っているわけではない」

電「何回も聞いているのです」

電「何回も聞いてあげるのです」

電「これくらいなら、非力な電にも出来ることなのです」

提督「・・・うぐっ・・・」ギュウッ

電「ちょっと苦しいのです・・・聞いてませんね・・・」

三日月(・・・初めて見る司令官の表情が泣き顔なんて・・・)

三日月(胸が締め付けられる・・・苦しいなぁ・・・)
提督「いつもすまない電」

電「今退くのです」

提督「お礼をしたい」

電「それじゃあ、いつものをお願いするのです」

提督「お前も好きだな・・・」

電「えへへ」

提督「どこだ?」

電「司令官さんのお好きなところに・・・なのです」

提督「そうか」

電「いつでもいいのです!」

提督「ああ、それじゃあ」

チュ
三日月「なっ!?」カァ

ガタッ

三日月「・・・っ!」ダッ

提督「・・・」

電「今、誰か居たのですか?」

提督「動物だろう」

電「そうなのでしょうか?」

提督「もう消灯時間は過ぎている。誰も見ていない」

電「うーん・・・」

電「それにしても、何度お願いしても、口にはしてくれないのですね」

提督「するわけがないだろう」

電「電はいつでもどんと来いなのです!」

提督「あまり私を困らせるな。その大胆な性格は誰に似たんだか・・・」

電「それじゃあ、シャワーを浴びて寝るのです」

提督「ああ。おやすみ」

電「おやすみなさいなのです」
翌朝

三日月「お、おはようございます。司令官」

提督「・・・ああ」

三日月(どうしよう・・・聞こうかな・・・聞かないほうがいいのかな・・・)ソワソワ

提督「・・・どうした」

三日月「はいっ!?な、何がですかっ!?」ビクッ

提督「落ち着きが無いようだが」

三日月「ええ、えっと・・・そのですね・・・」

三日月(もうどうにでもなっちゃえ!)キッ

三日月「司令官!昨日の夜に・・・!」

バタン

長門「提督!!保護された朝潮が目を覚ましたぞ!」

提督「そうか。すぐに向かう。行くぞ三日月、話は後で聞いてやる」

三日月「・・・はい」グッタリ

長門「ん?何かあったのか?」

三日月「いえ、なんでもないです・・・はぁ・・・」

三日月(どうしていつも邪魔が入るんだろう・・・)

長門「なんだ・・・?」キョトン
三番ドック

提督「目が覚めたというのは本当か?」

陸奥「早いわね。見ての通りよ。今、鳳翔が軽いものを作ってくれてるわ」

提督「そうか。大丈夫か?」

朝潮「あなたは・・・うっ!」ズキッ

提督「あまり無理をするな。休んでいるとはいえ、轟沈しかけたんだ」

提督「そのままで構わん」

朝潮「すみません・・・」

提督「具合はどうだ?」

朝潮「随分良くはなりました。ただ、少し体が重いです・・・」

提督「そうか・・・長門、鳳翔に頼んで間宮アイスも付けてもらえ」

長門「わ、わかった!」

朝潮「え・・・」キョトン

三日月「朝潮さん?どうかしたの?」

朝潮「え、あ、いえ・・・」
提督「何かは食えそうか?」

朝潮「はい・・・あまり食欲はないですが」

提督「食えるだけでいい。余ったら誰かが食う」

朝潮「・・・あの」

提督「どうした?」

朝潮「・・・いえ」

提督「・・・顔をよく見せてみろ」

朝潮「えっ」

提督「・・・目が変わってきているな」

朝潮「どういうことですか?」

提督「起きたばかりであまり言いたくはないが、それでも聞きたいか?」

提督「おそらく、ショックを受けるぞ」

朝潮「・・・はい。聞かせてください。朝潮の事でご迷惑をかけるわけには行きませんから」

提督「そうか・・・」

提督「教える前に聞きたいことがある。お前の提督は、誰だった?」

朝潮「朝潮の・・・司令官・・・は・・・」
朝潮「・・・K司令官です」

三日月「えっ!?」ガタッ

提督「やっぱりか・・・」

三日月「K司令官の秘書艦の朝潮さんは昨日の司令官会議に参加してましたよね?」

提督「ああ、おそらく新しい朝潮だったんだろう」

提督「朝潮、お前は、Kに見捨てられたんだ」

朝潮「それより、先ほどの話をして欲しいです」

提督「・・・お前は、相変わらず真面目だな」

提督「単刀直入に言う。お前は深海棲艦になりかけている」

朝潮「・・・はい」

提督「それで、お前にはいくつかの選択肢を与えたいと思う」

朝潮「なんですか?」
提督「一つ、Kの元へ戻るか」

提督「二つ、私達の元で共に戦うか」

提督「三つ、深海棲艦となって、あちらの味方になるか」

提督「四つ、深海棲艦となる前に、解体され、普通の女の子として生きていくか」

提督「他も、お前のやりたいようにさせてやろう」

提督「何をしたいか。どう進むかはお前次第だ」

提督「すぐに答えが出るとは思っていない。ゆっくり考えろ」

朝潮

朝潮「・・・難しいですね・・・今までの朝潮でしたら、迷わず司令官の元へと戻っていたと思います」

朝潮「ですが、朝潮が司令官の下で働き初めてから、結構な時間が経ちました」

朝潮「けれど、誰かに優しくされたのは初めてです。それで、どうしたらいいか・・・少し戸惑っています」

提督「お前は真面目だ。すごくな。だが、真面目だからこそ、一人で悩んで溜め込む癖がある」

提督「うちにも居るんだ。そう言う奴が何人か」

陸奥「全くよね」

三日月「」ギクッ
三日月(耳が痛い)

朝潮「・・・それでは、お願いです」

提督「どうしたか決まったのか?」

朝潮「朝潮は、ただ解体されて普通に戻るくらいなら、近代化改修で誰かの力になってから戻りたいです」

提督「そうか。あとは頃合いを見て・・・」

朝潮「今すぐでも構いません」

陸奥「本当に、それでいいの?」

朝潮「・・・はい。朝潮は、もう誰かの役に立てることはないので・・・」

提督「・・・わかった。すぐに手続きをしよう」

朝潮「ありがとうございます」

提督「予定が少し多いから、少し時間が空く。それでもいいな」

朝潮「はい」

提督(私としては、少しだけでもここで過ごして楽しく過ごせればと思ったんだが・・・)

提督(本人が選んだ道だ。尊重しよう)
提督「もし、近代化改修の時までに心替わりするようなら、その時は気軽に声をかけてくれ」

朝潮「はい」

提督「・・・それじゃあ陸奥、引き続き、看病を頼む」

陸奥「ねぇ、本当にこれでいいの」ボソッ

提督「朝潮は、ずっと奴の下で奴隷の様に働いていた」

提督「自分は命令されて、ただこなしていた奴隷に」

提督「これからの道くらい選ばせて野郎じゃないか」

陸奥「だからこそじゃない・・・あの子、自分のした選択が正しいのかわかってないわよ・・・」

提督「・・・人は誰しも、自分がした選択が正しいのかなんてわからないんだ。それで、未だに悩む奴だっている」

提督「・・・私だって」ボソッ

提督「いや、この話は終わりだ。行くぞ。三日月」

三日月「はい!」

陸奥「ちょっと!」

パタン

朝潮「・・・ごめんなさい。朝潮のせいで」

陸奥「いえ、気にしなくていいのよ。いつもこんな感じだから」
陸奥「自分で食べられる?」

朝潮「やってみます・・・あ」カチャン

陸奥「無理はしないで。食べられないなら食べさせてあげるから」

朝潮「・・・すみません、ご迷惑ばかり」

陸奥「いいのよ。気にしないで」

陸奥「さぁ、口を開けて。熱いから気をつけてね」

朝潮「あー・・・んっ」パクッ

陸奥「どう?」

朝潮「はい。おいしいです」

陸奥「そう。よかった。まぁ、鳳翔が作ってくれたんだけどね」

朝潮「・・・どうして、赤の他人の朝潮に、陸奥さんやあの人はここまでしてくれるんですか?」

陸奥「・・・知りたい?」

朝潮「はい」

陸奥「ふふ、簡単なことよ。助けたいから」

朝潮「えっ?」
陸奥「助けたいから助けるの。自己満足かもしれいないけど」

朝潮「・・・」キョトン

陸奥「・・・なんで呆気に取られてるのよ」

朝潮「いえ、K司令官の時はそんな言葉、聞かなかったので・・・助けると言う言葉を」

陸奥「はぁ・・・提督から聞いていた以上にひどい人だったのね」

朝潮「K司令官は、私達に常にこう言っていました」

朝潮「行き先で大破し、動けなくなった艦は捨て置け。役立たずを我が鎮守府にはいらない」

朝潮「そう、言い聞かされました」

陸奥「ああ・・・だから、あなたが見捨てられたと言われたとき冷静だったのね」

朝潮「いつかは朝潮もそうなる・・・そう覚悟はしていました」

朝潮「・・・でも、不思議なんです」

陸奥「何が?」

朝潮「朝潮が居た鎮守府は、誰かを助けると言う考えはなかったのに」

朝潮「ここの鎮守府は、誰かを助ける為にと言う考えだと言うことが」
朝潮「目指す場所は同じなのに、方法が真逆で・・・」

陸奥「そうね。特に、うちの提督は変わり者だから」

朝潮「K司令官と、あの人では、どちらが正しいのでしょう・・・」

陸奥「どっちが正しいのかなんて、結果が出るまでわからないらしいわよ」

陸奥「さっき、提督とそう言う話をちょこっとだけしたけどさ」

朝潮「・・・そうですね」

陸奥「あなたは少し、考える時間が必要だと思う」

朝潮「考える時間ですか?」

陸奥「難しく考える必要はないと思うけど」

陸奥「この鎮守府で、適当に過ごしてみるといいわ」

陸奥「誰かとおしゃべりしたり、遊んだり」

陸奥「話を聞く限りだと、あなたの鎮守府ではそういうのなかっただろうし」

陸奥「深海棲艦化も、あまり深く考えない方がいいわ」

陸奥「ここの鎮守府、それくらいで引くような子いないと思うわ。一部の怖がりな子を除いてだけど・・・」

ガチャ

長門「すまん。トイレに行っていて戻ってくるのが遅れた。ってうわぁ!」ビクゥッ

長門「目の色がおかしいぞっ!大丈夫か!?それともドッキリか!?」

陸奥「・・・ね?」

朝潮「あはは・・・」
執務室

提督「それで、話とはなんだ?」

三日月「えっと・・・」

三日月「き、昨日の夜・・・司令官は何をしていたんですか?」ドキドキ

提督「・・・特に、何もしてないが?」

三日月「私、見ちゃったんですけど、電ちゃんと司令官が・・・その、逢引してるのを・・・///」

提督「・・・見てたのか?」

三日月「おでこにキ、キスするところまで・・・」

提督「・・・あの物音はお前の仕業だったのか・・・」

三日月「ごめんなさい・・・」

提督「いや・・・電とはそういう関係ではない。それだけは伝えておく」

三日月「あ、あんなことまでしてそういう関係じゃないって・・・さすがの私でも誤魔化されませんよ!」

提督「そういう関係ではない。それは本当だ」

三日月「・・・本当ですか・・・?」ウルッ

提督「やめてくれ。なんで泣きそうな顔してるんだ」

三日月「それは内緒です。女の子には秘密の一つや二つあるものです」

提督「・・・私は女の子だったのか?」

三日月「それはありえませんよ?」

提督「だろうな」
提督「ああそうだ。少し急なんだが三日月」

三日月「はい?なんでしょうか」

提督「秘書艦を降りてもらいたい」

三日月「えっ」

三日月「私では何か不満でしたか・・・?」

提督「いや、そうじゃない。ただ、お前には少し特別な任務をして欲しい」

提督「おそらく、お前が適任だ」

三日月「・・・そうですか。少し残念です」

提督「任務を完了出来たら、また戻ってもらう」

三日月「私、頑張ります!」

提督「・・・ああ」

提督「あと、電を呼んできてくれ。少し、話がある」

三日月「・・・?」
少し経って

電「話ってなんですか司令官さん」

提督「電、私の秘書艦を務めてくれ」

電「秘書艦ですか?でも・・・」

電「三日月ちゃんと一緒の方が・・・」

提督「三日月には話してある」

三日月「・・・」

三日月(電ちゃんと司令官を二人きりにして大丈夫なのかな・・・)

電「・・・わかったのです」

提督「・・・まだ話があるんだが・・・三日月、席を外してくれ」

三日月「あ、はい・・・では」

バタン
提督「電、私はどうしたらいい」

電「どういうことなのですか?」

提督「朝潮の願い、近代化改修のことなんだが」

提督「工廠の奴らに聞いてみたんだ・・・出来るかと言う事を」

電「・・・ダメだったんですか」

提督「ああ、深海棲艦になりかけている艦娘は、近代化改修には使えないと」

提督「もし使って、その呪いが他の艦娘に移ったらいけないと」

提督「そんな危険があるかもしれないということらしい」

提督「・・・知っていたんだろ。電」

電「・・・」

提督「・・・この話はもう、やめよう。それより、朝潮の事を他の奴らにも教えておいてやろう」

提督「また、金剛や、加賀の様に突っ込まれたら、やっかいだ」

電「それより、三日月ちゃんはどんな任務につかせるんですか?」

提督「・・・朝潮のメンタルケアだ」
提督「まだ、三日月にこのことは伝えていない」

電「そうなのですか」

提督「・・・電、ありがとう。そしてすまん」

提督「無知な振りをさせてしまって、本当にすまない」

提督「私の事を一番知っているのは、響や川内ではない。お前だというのに・・・」

電「電の事はいいのです。電は、司令官さんと一緒に居れるだけで嬉しいのです」

電「ですから、過去の事は、もう忘れましょう。司令官さんのお役に立てるだけでも、嬉しく思うのです」

電「出撃や、演習や遠征もあまりできませんから・・・」

提督「・・・ああ、そうだ。私は今週末、また出かける用があるんだ。その時は、まかせたぞ」

電「何かあるのですか?」

提督「私達の儀式みたいなもんさ」

提督「深海棲艦に対して、憎しみを増やす・・・な」

電「そうですか・・・わかりました」
午後

提督「皆集まったな。紹介したい奴が居る」

提督「まだベッドから起き上がれないからここには居ないが、朝潮が私達の鎮守府に住むことになった」

提督「少し特殊な朝潮だが、仲良くしてやってくれ」

提督「それと、秘書艦を三日月から電に変わる」

金剛「この間の子デスか?」

提督「ああ、深海棲艦が連れてきた子だ」

提督「率直に言うと、深海棲艦になりかけて居る」

一同「えっ」

提督「が、あまり重要視しなくて気持ちが保てれば大丈夫だ。その保証はある」

利根「信用出来んな。聞けば、深海棲艦を庇っていたそうじゃの」

提督「深海棲艦化はしない。保証する」

加賀「証拠が欲しいですね」

提督「・・・証拠は・・・」

三日月「・・・あるんですか?」

提督「いや、ない・・・が、大丈夫だ」
提督「話はこれまでだ。間宮スイーツタダ券を配るから、とりあえず並んでくれ」

提督「受け取ったら部屋で待機だ」

一同「やった」

鈴谷「えー?どういう風の吹き回しー?」

提督「日頃頑張ってくれているお前らへのご褒美だと思ってくれ。ほら」スッ

鈴谷「・・・なんか隠してる?」

提督「さぁな。次が待ってる」

響「・・・本当に配るのか。全員分」

提督「約束は守る。私の最低限のプライドだ」スッ

響「電と何かあったのかい?電が少し暗い顔をしていたが」

提督「いや、特にはない」

響「それならいいが」

加賀「・・・」スッ

提督「・・・よだれ拭け」スッ

赤城「もう、加賀ったらはしたない」ジュル

提督「お前の方がひどいぞ」
提督「さて、全員居なくなったな。それでだが三日月」

三日月「はい」

提督「お前には、朝潮と共に過ごして欲しい」

三日月「はい?」

提督「朝潮の心を開いてやってくれ」

提督「少しずつでいい。それで、深海棲艦化は止まる」

三日月「・・・どうして、止める方法を知っているんですか?」

提督「・・・南方棲戦姫が言っていた通りだ」

三日月「深海棲艦達でも曖昧な事をなんで・・・」

提督「断言できるのかって?」

三日月「・・・はい」

提督「そうだな・・・なんとなくだ」

三日月「・・・本当に、それだけですか?」

提督「どういうことだ?」
三日月「・・・いえ、やっぱりいいです。それでは、朝潮さんの所へ向かいます」

提督「・・・ああ、そうしてくれ」

三日月「・・・私だって」

三日月「・・・私だって、ただ司令官の側に居ただけじゃないんですよ・・・」ボソッ

提督「何か言ったか?」

三日月「電ちゃんとの事、許したわけじゃないですよって」

提督「そういう関係ではないと何度言ったら・・・」

三日月「そういうことじゃなくて!キスしたことに問題があるんです!」

提督「・・・手を出せ」

三日月「えっ?手、ですか?」

提督「・・・」ギュッ

チュ

三日月「なっ!?」ビクッ

提督「これで、許してくれ」

三日月「い、いきなり掌にキスって!?一言欲しかったです!///」

提督「すまない」

三日月「で、でも、許してあげます・・・次は許しませんから!」
三番ドック

三日月「ということで、よろしくお願いします朝潮さん」

朝潮「」ポカーン

三日月「・・・どうしたんですか?」

朝潮「あの、暇なんですか?」

三日月「そういうわけでは・・・」

朝潮「誰か一人の為に一人を付きっきりで配備って、普通しないと思うんですけど」

三日月「まぁそうですね・・・私達の司令官は変わりものですから」

朝潮「ふふ、ここの鎮守府の人は、皆さんそう言うんですね」

朝潮「陸奥さんも同じこと言ってましたよ」ニコッ

三日月「事実だから・・・」
三日月「こんな事聞くのも失礼なんですけど・・・朝潮さんの鎮守府はどんな雰囲気だったんですか?」

朝潮「そうですね・・・朝潮の鎮守府は、皆無心で働いてましたね」

朝潮「ただ無心に、K司令官の指示に従って、淡々と全てをこなしてました」

朝潮「誰かと遊ぶとか、こうして話す事もしませんでした」

朝潮「無表情で、笑顔なんてありませんでした。泣き顔や苦しい顔なら何度も見てきましたけど」

三日月「どこかの鎮守府の司令官も、無表情で笑顔なんて見たことありませんよ」

朝潮「どこかって・・・」

三日月「・・・私達の司令官のことなんですけどね」

朝潮「そう言えば・・・話してる時も眉一つ動かしてませんでしたね」

三日月(泣き顔は、見たけど・・・)

朝潮「・・・」

三日月「・・・」

朝潮三日月(あまり話すことないなぁ・・・)
三日月「・・・元居た鎮守府は、辛かったですか?」

朝潮「・・・さぁ、どうなんでしょう。辛かったんじゃないですか?」

三日月「疑問形なんですか」

朝潮「朝潮にとって、あれが当たり前だと思ってたので」

朝潮「ここに来てから、どれだけ環境が劣悪だったのかが理解できました」

三日月「でも、逃げ出さなかったんだよね」

朝潮「あれが当たり前だと、刷り込まれていたんでしょう」

朝潮「それでも逃げ出したいと思ったことはあります」

朝潮「ただ・・・折檻が怖かったです」

三日月「うぇ・・・折檻なんてあったんですか・・・」

朝潮「一つの部屋が折檻する部屋としてあって、そこから、命令違反や司令官に逆らった子達の悲鳴や泣き声が聞こえてきてました」

朝潮「朝潮自身、折檻を受けたことはなかったですけど・・・折檻部屋から出てきた子達は悲惨なものでしたね」
朝潮「目の周りは真っ赤で、目に生気はありませんでした」

朝潮「それが怖くて、逆らうこともできませんでした」

三日月(エッチなことされたのかな・・・?」ドキドキ

朝潮「・・・もう一つ付け加えると、折檻するのは他の艦娘ですよ?」

三日月「えっ?あっ」

三日月「こ、声に出てた?」

朝潮「はい」クスッ

三日月「やだ・・・恥ずかしい・・・///」

朝潮「朝潮からすれば、あなた達の方が不思議です」

朝潮「ここまで自由にできるのに、あの司令官には従う」

朝潮「少しでも嫌なら断れそうなものですが」

朝潮「恐怖や、力で抑制されてるわけでもないのに」

朝潮「どうしてですか?」
三日月「えーっと・・・司令官が好きだから・・・かな?」

三日月「なんとなくだけど」

朝潮「好き・・・?」

三日月「うん。もう少しわかりやすく言うと、信用できるから」

三日月「朝潮さんにとって、今、私がこうして朝潮さんと一緒に居ること自体不思議なんですよね?」

三日月「自分の側にいることはそこまで重要じゃないし、相手にする必要もないって」

朝潮「・・・はい。理解できません」

三日月「・・・少し前までの私だったら、朝潮さん同様、理解できなかったかもしれません」

三日月「司令官の事、よくわかってなかったですし、怖かったから」

三日月「でも、今はなんとなく理解できてます」

三日月「あの人は、見かけによらず優しすぎるんです」

三日月「心配性だし、誰かが支えていないと、すぐに崩れそうになるほど繊細で」

朝潮「えっ・・・余計理解できません」

三日月「あはは・・・まぁ、そうですよね」
三日月「だけど、私達は信用してる。響ちゃんや、鈴谷さんも」

三日月「司令官の優しさは嘘じゃないから」

三日月「約束は絶対守る人だから」

三日月「それに・・・」カタッ

朝潮「それに・・・?」

三日月「人の相性を考えて組み合わせしてるんですよ」ギシッ

朝潮「相性?」

三日月「なんて言えばいいかな・・・そう!司令官は、私達をちゃんと見てくれてるんです」

三日月「私達一人一人の人間関係を把握してくれていて、その関係に応じた編成や、部屋割りを考えてくれています」

朝潮「ストーカー?」

三日月「うん。少し、マイナスに考えるのをやめるよう努力しましょう」
三日月「ですから、司令官がどこに誰を配置しても、仕事を全うできるんです」

三日月「司令官の配置には、ちゃんとした意味があるって信用出来るから」

朝潮「意味・・・」

三日月「私を見込んで朝潮さんを任せてくれた司令官を信じて、私はここにいます」ギュッ

三日月「司令官も、私を信じてくれています」

三日月「それに・・・個人的にも、朝潮さんの事もっと知りたいですから」ニコッ

朝潮「三日月さん・・・」

三日月「呼び捨てでいいですよ朝潮さん」

朝潮「それなら、朝潮も、呼び捨てで呼んでください」

三日月「えへっ、これからよろしくね朝潮・・・ちゃん」

朝潮「はい、こちらこそ!三日月・・・ちゃん」

三日月「・・・やっぱり、呼び捨ては少し緊張するね・・・」

朝潮「うん・・・」
三番ドック前

提督「・・・」

響「ふふ、予想以上の成果のようだね」

提督「響、か」

響「三日月の司令官のことをだいぶわかってきたようだし」

響「嬉しい限りだろう?」

提督「少し恥ずかしい気もするが・・・まぁ、そうだな」

響「心配性でこんなところまで様子見に来てストーカーかい?」ニヤニヤ

提督「ぐっ・・・」

響「冗談だよ。それより司令官」

提督「なんだ?」

響「ありがとう」

提督「・・・ああ」

響「あの事は、電も気にしてるから、誤魔化してくれたんだろう?」

提督「あれは私の作戦ミスだ。電に罪はないからな」
響「でも、そろそろ隠し通すのも難しい」

響「電の出撃や遠征演習の回数を不思議に思っている人数が増えてきた」

提督「ふむ・・・だが、あれを知られて、電の進行具合が加速するやもしれん」

響「いや・・・一番怖いのは電が優しすぎるところだな」

提督「そうだな・・・まったく、誰に似たんだか」

響「ふむ。誰だろうな」ジーッ

提督「私をそんな目で見るな」

響「・・・いつかは、明かすんだろ?電が深海棲艦化している事は」

提督「ああ、私と、お前と本人しか知らない事だからな・・・」

提督「だからこそ、朝潮の深海棲艦化のことを断言出来たわけだが・・・」

響「止める方法ではあるが、治す方法ではなんだよね」

提督「・・・うむ、それより近代化改修の事、朝潮に話さなければな」

提督「早めに話して、ショックを軽減させてやろう」
提督「響頼んだぞ」ポンッ

響「小心者だな」

提督「すまん。私からだと言える自信はない」

響「なら仕方ない。伝えて置こう」

提督「そうしてくれ。私は職務に戻る」

響「了解」

響「さて、伝えるか」
響「やぁ朝潮。久しぶりだね」

朝潮「あーえっと・・・Верныйさん?でしたよね。お久しぶりです」

響「響でいいよ。みんなにはまだそう呼んでもらってる」

響「Верныйと言う名前も好きだけど」

三日月「どうしたの?」

響「司令官から言伝だ。朝潮、君を近代化改修に使うことができないらしい」

朝潮「えっ」

三日月「どういうこと?」

響「えっと・・・簡単に説明するとだな」

朝潮「なるほど・・・確かに、それではご迷惑をかけるかもしれませんね」

三日月「そんなリスクがある事すら気付かなかったね・・・」

響「近代化改修で去りたいなら、まずその深海棲艦の呪いを解かないといけない」

響「頑張ってみる?それとも、諦めて別の道へ行くか?」

朝潮「・・・少し、考えたいです」

響「うん。それがいい」
響「少しと言わず、とことん考えるんだね」

響「自分の気持ちが曲げられなくなるくらいに」

朝潮「・・・頑張ってみます」

響「頑張る必要はない。司令官は待ってくれる」

響「遊んで、時々考えて、疲れたらまた遊ぶ」

響「それくらいなら許してくれるさ。気張りすぎると、治るものも治らなくなるよ」

朝潮「・・・」

響「・・・三日月、少しいい?」

三日月「な、何?」

響「朝潮、少し三日月を借りていくけど、いいかい?」

朝潮「・・・」

響「・・・真面目だ。考え込んでる・・・。まぁ、すぐには無理か」
三番ドック前

響「少し話があるんだ」

三日月「アドバイス?」

響「まぁね。一つだけ、守って欲しいことがある」

響「これは朝潮にも言っておいて欲しい事なんだけど」

響「もし、寝れないときは、一緒に寝てやって欲しい」

響「朝潮は、辛いことがあっても隠すだろう。君と一緒さ」ツンツン

響「君たちは真面目なところも勝気なところも似ている」

響「それこそ、悩みを一人で抱え込むくせも」

三日月「うっ」

響「察して上げてとは言わないけど、相談できやすい環境を作ってあげて」

響「それだけでも、深海棲艦化は、止まるはず」

三日月「・・・どうして、響ちゃんはそんなに詳しいの?」

響「なんとなくだ」
響「まぁ、頼んだよ三日月」ポンッ

三日月「えっあ・・・はい」

響(とりあえず、司令官に報告したら部屋に戻ろう)

そしてその深夜

響の部屋

響「・・・」ペラッ

コンコン

響「ん?どうぞ」

ガチャ

電「お邪魔するのです」

響「どうしたんだ?もう日付が変わってるよ?」

電「響・・・お願いがあるのです・・・」

響「・・・また、寝付けないの?」

電「・・・」コクッ
響「そうか」パタッ

電「・・・」ギシッ

響「それじゃあ、一緒に寝てあげよう」ギッ

響「それにしても、毎回毎回私のところに来るけど」

響「暁や雷と同じ部屋なのだから、そっちに頼ってもいいんじゃないかな?」

電「・・・」フルフルッ

電「響じゃないと、ダメなのです・・・」

響「そうか。なら、仕方ないね」

電「膝枕、してもいいですか?」

響「いいよ。おいで」

電「それでは、お邪魔するのです・・・」トッ
響「相変わらず、電の髪はふわふわしてて気持ちがいいね」ナデナデ

電「響の髪もサラサラして気持ちいいのです」

響「ふふ、ありがとう」

電「えへへ・・・」

電「・・・」

響「・・・」

電「響・・・ずっと聞きたいことがあったのです」

響「ん?何だい?」

電「響にとって、電は必要な子なのでしょうか。それとも」

響「大切な妹だよ」

電「・・・あの日」

電「あの日にはもう、響は司令官が好きだったのですか?」

響「・・・さぁね。嫌いではなかったよ」

電「そう、なのですか・・・」

響「電はどうなんだ?」

電「・・・電は・・・」
電「・・・」

響「電?」

電「スー・・・」

響「ふむ。寝てしまったか」

響「また、増えてきたね・・・」

響(電は、呪われてからというもの。悪夢を見やすくなったと言っていた)

響(それで、不安だからと私と一緒に寝ることも少なくない)

響「・・・」ナデナデ

響「寝ている間に、悪夢を見せ、不安の種を育む呪い・・・なのかな」

響(轟沈したら、沈み行く中で、成長した不安の種が負の感情を増長させ)

響(目が覚めたときは・・・全てが変わっているのかな?)

電「響・・・大好きなのです・・・」ムニャ

響「・・・私もだ電」

電「・・・」スヤスヤ
響「・・・」サワッ

電「ん・・・」

響(電の脇腹は相変わらず、ほんのり冷たい)

響(司令官に悪夢のことや、この色が変わった肌が冷たい事は電に口止めされていたんだっけな・・・)

響「いつまでも黙っているわけにはいかないだろ・・・」

響「司令官も大切だが・・・電、君も大切なんだ・・・」ボソッ

響「・・・一歩踏み出さないと・・・ね」
翌朝

電「おはようなのです!司令官さん!」

提督「ん?ああ」

提督「今日は、やけに元気だな」

電「はいなのです!今日は絶好調なのです!」

響「おはよう。司令官。朝から悪いんだけど、少し、話があるんだ」

提督「ああ」

提督「今日は忙しいから、夜でもいいか?」

響「すぐに終わる。早めに耳に入れておきたいんだ」

響(もう遅すぎるくらいの情報だけど)

提督「・・・そうか。では、聞こうか?」
数分後

電「ひ、響!どうして今更そんな・・・!?」

提督「・・・それは、いつからの話だ?」

響「結構前からだ。昨日も、一緒に寝た」

電「約束が違うのです!司令官さんには黙ってて欲しいと言ったはずなのです!!」

響「うん。そうだね」

提督「どうして、黙ってた?」

響「もちろん、話さないと約束したからだ」

響「だけど、悪夢を見る日数が少しずつ多くなっている。私だけでは手に負えない」

提督「そうか。では、電はどうして黙っていた?」

電「あぅ・・・その・・・」

響「・・・司令官」

提督「響、これは電から聞きたい。電自身の危機をどうして放置したかを」

響(ふむ、少し怒っているな)
電「し、司令官さんの負担を減らしたかったのです・・・」

提督「・・・は?」

電「ただでさえ司令官さんは自分のお悩みや他の子達の相談で頭を使ってばかりなのです!」

電「だから、せめて電の事を気にかける負担を減らしたくて・・・」

電「本当にちょっとだけかもしれませんけど!それでも!」

電「司令官さん負担を減らしたかったのです!少しでも!」

電「少しでも・・・お役に立ちたかったのです・・・」ウルッ

提督「・・・はぁ・・・呆れてものも言えんな・・・」

響「・・・司令官、その言い方はあんまりじゃないか?電だって・・・」

提督「・・・電、私が、一度でも弱音を吐いたことがあるか?」

電「ぐすっ・・・あるのです」

響(バッサリだな)

提督「・・・言い方を変えよう。お前たちの事で、だ」
提督「お前たちの悩みをどう解決するか。私は考え、常に頭を使っている」

提督「深刻な悩みから、くだらないものまで」

提督「だが、苦に思ったことは一度もない」

提督「お前たちの悩みを解決する事が、私の存在する役目だ」

電「・・・でも」

提督「確かに、無茶をすることだってある。徹夜して寝不足な時もある」

提督「だが、お前たちのためだと思うと、私は頑張れる」

提督「・・・臭い言葉を次々言うのは少々恥ずかしいな・・・」

響「・・・私達は、司令官の役に立てているのか?」

提督「何を言う。お前たちが無事で出撃や遠征から帰って来るだけで、少しでも元気になるんだ」

提督「それに、お前たちがいなければ、私はここにはいられないんだ」

提督「そうだろう?指揮する相手がいなければ、私は必要ないんだ」
提督「もっとも、そんな世の中になればいいんだがな」

電「でも・・・電は出撃などはあまりさせてもらえないのです・・・」

提督「もし、出撃先で悪化したら困るだろ?私が」

提督「心配なんだ。それに、お前はお前の出来ることをやっている」

提督「お前が手入れしてくれるおかげで畑の野菜は美味い。鳳翔もいつも褒めている」

提督「それに・・・な」

提督「おそらく、この鎮守府で働いてくれているのはお前だ。それだけは、私が保証する」

電「そうなのですか・・・?電は、役立たずではないのですかっ!?」

提督「ああ・・・」

提督「だが、これだけは言っておく。悩みがあるならすぐに言ってくれ」

提督「お前たちの悩みを一緒に悩むのは私の仕事だ。だから抱え込むのはやめてくれ」ナデナデ

電「・・・はいなのです」ニコッ

響「・・・ふふ」

響(もっと早く、相談すれば良かったかな?)
響「そういうことなら司令官。少し相談事なんだが」

提督「・・・なんだ?」

響「胸が大きくなるには、好きな人に揉まれるのが手っ取り早いと聞いたんだが」

提督「・・・」

響「・・・」

響「昨日、電のを触った感じ的に大きくなっていた」

電「い、いつ触ったのですか!?」

提督「・・・」

響「それでなんだが司令官」

提督「電同様、牛乳でも毎日飲むんだな」

響「・・・好きな人に」

提督「電、そろそろ仕事を始めるぞ」

電「はいなのです!」

響(ダメか)
三番ドック

三日月「おはようございます朝潮ちゃん」

朝潮「おはようございます三日月ちゃん」

三日月「朝御飯持ってきたから一緒に食べませんか?」

朝潮「はい!喜んで」

望月「二人共堅すぎ!もっと砕けた感じで話せばいいのに」

三日月「も、望月ちゃん!?いつの間に?」

望月「いやー一応面識あるみたいだし挨拶だけでもーと思ってさー」

朝潮「望月さん。お久しぶりです」

望月「よっ」

望月「あはは、呼び捨てでいいよー。さん付けとかすげー居心地悪いからさぁ」

望月「というわけで、なんとなく二人と気の合いそうな子連れてきといたよ」

朝潮「えっ?」
鈴谷「はいはいー入って入ってー」

初霜「ちょっと押さないでってば!な、何?どうしてドックなんかに・・・」

望月「うちのもう一人の真面目な黒髪ちゃんです」

初霜「あ、もしかして、あなたが朝潮さんですね!初めまして!」

朝潮「初めまして・・・えっと・・・」

初霜「私は初霜って言うの」

三日月「そう言えば、あんまり話したことなかったなぁ・・・」

初霜「あまり会わないものね。でも、ゆっくり話してみたかったんだ」

朝潮「・・・」

鈴谷「いやー似てるねぇ」

望月「似たもの同士だねぇ」

鈴谷「正統派な真面目と負けず嫌いな真面目と元気っ娘な真面目だね」

望月「あはは、黒髪ロングの駆逐艦は真面目揃いだなぁ」

長波「ん?こんなところで何してんだ?」

望月「前言撤回」
木曾「朝潮が居るのはここだったか?」

朝潮「はい?えっと・・・」

木曾「木曾だ。まぁ、呼び捨てで構わないぞ」

望月「あれ、今日はマントとかしてないんだね」

木曾「ああ、非番だからな。それにしても、本当に目の色が変わってるんだな」

木曾「どうだ?見られるのが嫌なら俺の眼帯をやろうか?」

朝潮「えっ・・・でも」

木曾「安心しろ。新品だ」

朝潮「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

木曾「そうか。菊月は喜んでくれたんだがな」

長月「どうした?その眼帯」

菊月「これは外すことはできん。皆に伝染ると厄介な代物なのでな・・・」

菊月「こうして封印している」

長月「・・・ものもらいか」

菊月「・・・うん」
木曾「さて、朝潮」

朝潮「はい?」

木曾「歩けそうか?」

朝潮「・・・どうでしょう」

木曾「無理はしなくていい」

木曾「ここで一緒に過ごすことになるんだ。鎮守府内の案内をしようかと思ったんだが」

朝潮「そうなんですか?それじゃあ・・・」バサッ

三日月「無理しなくていいからね?もう少し体休めても・・・」

朝潮「きっと大丈夫ですよ。リハビリにもなりますから・・・」

朝潮「・・・よっと・・・」グッ

朝潮「あ・・・」フラッ

木曾「おっと・・・大丈夫か?」ギュッ

朝潮「あ、ありがとうございます」

鈴谷「さりげなく抱きとめる辺りがイケメンだね」

望月「そうだね」

初霜「ちょっと羨ましい・・・」
木曾「歩くのは少し無理そうだな・・・」

朝潮「すみません・・・」

木曾「おんぶするか」

朝潮「えっ!?」

木曾「・・・しょっと」

朝潮「えっ!わっ!ちょっと!いいですってば!重いでしょうし!」

木曾「全然重くねーよ。軽い軽い」

朝潮「ですが・・・このまま出るのは恥ずかしいと言うかその・・・」

木曾「そうか・・・じゃあ、ベッドに下ろすぞ」

朝潮「あ・・・でも・・・その・・・」

木曾「ん?どうした」

朝潮「と、トイレにだけ、連れてってもらえませんか・・・?」

木曾「・・・ああ、いいぞ。しっかりつかまってろよ」
鈴谷「ありゃ、行っちゃったね」

望月「まぁ、いいんじゃない?」

三日月「あはは・・・数日、体動かせなかったから余計だよね」

初霜「その間、トイレってどうしてたの?」

三日月「えっ?もちろん私が処理してたんだけど?」

鈴谷「さりげなくすごいこと言ってるね」ボソッ

初霜「ね」ボソッ

望月「三日月姉ってちゃっかりすごいことしてるよね」

三日月「え?なんで?」

鈴谷「あはは、朝潮ちゃん恥ずかしかっただろうね」

望月「緊急事態だったし仕方ないよ」

三日月「え?」キョトン
三日月を筆頭に

皆が接することにより

徐々に朝潮が心を開いていった

そして週末

提督「ふぅ・・・」ボーッ

提督「電、あとは頼んだ。私は出かけてくる」

電「だ、大丈夫なのですか?すごい熱なのです」ピタッ

提督「ああ、大丈夫だ」

響「無理は体に悪いよ。もうすでに手遅れみたいだけど」

提督「これくらいなら大丈夫だ」

提督「出撃の予定もある。電の指示に従ってくれ」

陸奥「はいはい」

提督「それではな」
川内型の部屋

金剛「今日は提督の帰りが遅い日デス」

加賀「最近色々なことがあって作戦が取れない状況でしたので、再び案を練りましょう」

雷「でもやれることはやったわよ?どうするの?」

金剛「サプラーイズを決行しマス」

利根「提督が帰って来る前に色々な準備が必要じゃな。しかし何をしようか」

川内「ふあーぁ・・・今日はやめといた方がいいんじゃないかな?」

加賀「どうして?」

川内「今日の提督、調子悪そうだったよ?」

利根「そんなことより、布団から出たらどうじゃ?」

川内「私の部屋でやるのが悪いの。私は眠いから寝るけど、あんまり騒がないでね」

川内「それと、今日やるのはおすすめできないから」

川内「それだけ言っとく。それじゃあおやすみ」

加賀「どういう意味かしら?」

雷「でも、今日体調悪そうだったのは本当よ?響と電も言ってたもの」

金剛「んーなかなかチャンスが来ないデスね・・・」
ガチャ

響「寝てる・・・川内、今日は出撃の予定あっただろう」

川内「あれ?そうだっけ」

響「電が呼んでいる。加賀もだ」

加賀「提督がいないのに?」

響「電が司令官の仕事を任されたからね」

響「それより、司令官に何かするつもりなのかい?」

金剛「oh・・・察しが良すぎるね・・・」

響「今日はダメだよ。司令官は熱が出ているようだったから」

雷「それで、辛そうだった?」

響「司令官は大丈夫だと言っていたが、痩せ我慢だろうな」

響「さて、そろそろ時間だ。もう他の四人は集まっている」

加賀「仕方ないわね・・・」

川内「・・・」
電「今日は司令官がいないので慎重にお願いするのです」

霧島「ええ、それじゃあ行くわよ」

大井「気が乗らないわね」

北上「まぁまぁ」

磯風「・・・」

加賀(提督の顔を見れないのは寂しいものね)

川内「夜戦するよね?」

霧島「慎重にって言ってるのにそれはないでしょ?」

川内「だよねー」
電「えっと・・・皆さんが出撃に行ってる間に、鳳翔さんと買い物に行ってくるのです」

響「私も付き合おうか?」

電「お願いできるのですか?」

響「いいよ。今日は特に用事ないから」

電「えへへ、ありがとうなのです。今日は色々買うものがあるので二人じゃ心細かったのです」

響「ああ、なら早めに行くのかい?」

電「鳳翔さんが少しやることがあると言っていたのでそのあとに」

電「それまで畑のお手入れでもしてくるのです」

響「そうか。それじゃあ私は少し鎮守府の見回りでもしてくる」

響「行くときになったら呼んでくれ」

電「はいなのです!」
講習の会場

提友「よう。遅かったな」

提督「出るときに少し響に絡まれてな」

新人「提督さん!こんにちは!」

提督「ああ」

提友「ところで今日の講習はなんだ?」

提督「さぁな」

新人「いつもはどのような講習をしているんですか?」

提友「くだらないことばっかりだよ」

提督「いつもお前寝てるだろ」

提友「まぁな」

新人「最低ですね」

提友「ひどい」

提督「そろそろ時間だ」
講習中

新人(客船が一隻、深海棲艦達に沈められてる映像を見てるだけ)

新人(時折映像を止めて、説明している人が居るけど)

新人(正直、この講習になんの意味があるかわからない)

新人「・・・」チラッ

提督「・・・」

新人(こんな講習も真面目に聞いている提督さん素敵だなぁ・・・)ポッ

提友「グー・・・」

新人「はぁ・・・なんで提督さんの隣じゃないんだろ・・・」

新人「この男は案の定寝てるし・・・」
一時間後

講習の終わり

提督「・・・」

新人「お疲れ様です提督さん!」

新人(ちょっと大胆に上着のボタンを外して谷間アピール!ちょっと恥ずかしいけど)

提督「・・・ボタンはきちんと閉めろ」グイッ

新人「あっ」

提督「ただでさえ、男ばかりなのだからな」

提督「・・・私は、早めに帰らねばならん。それではな」

新人「・・・あ、ありがとうございます・・・」

提友「んー!よく寝た」

新人「・・・」ポーッ

提友「どうした?」

新人「提督さんに胸のボタン閉めてもらっちゃいました!」パァ

提友「何やってんだ」
新人「あんなことナチュラルにできるなんて・・・」

提友「・・・俺がやったらセクハラなんだろ?」

新人「ビンタものですね」

提友「そうかい・・・ところで、あいつ様子おかしくなかったか?」

新人「そうですか?いつもどおりかっこよかったですけど」

提友「んー?どこか様子がおかしかったような・・・そう言えば、今日の講習なんだった?」

新人「覚えてないんですか?覚えてないですよね」

提友「おうよ!」

新人「そんな自信満々に言う事じゃないです」

新人「えーっとですね・・・一隻の客船が深海棲艦達の攻撃で沈んだ映像を見せられただけですね」

提友「客船・・・深海棲艦の攻撃・・・?」

提友「・・・もしかして」

新人「どうしたんですか?バカみたいな顔して」

提友「お前、俺のこと嫌いだろ」

新人「好きではないです」
提友「・・・まぁ考えても無駄だな」

新人「はぁ・・・。うわぁ・・・雨降り始めましたよ」

提友「あいつ、傘持ってたか?」

新人「持ってませんでしたね・・・大丈夫ですかね」

提友「俺も傘忘れたんだよなぁ」

新人「私も持ってきてませんよ」

提友「あれ、出入り口のところに居るのって・・・」

新人「愛宕と翔鶴さん?」

提友「傘、持ってきてくれたみたいだな」

新人「帰りますか」

提友「ああ、そうしよう」
翔鶴「もう、朝から雨の予報が出てたのに傘も持たずに行ってしまうんですから」

提友「ああ、悪い悪い」

翔鶴「どうぞ」

提友「いや、一本でいいよ。相合傘なんて魅力的だろ?」

翔鶴「もう・・・肩が濡れてしまいますよ」

提友「構わんさ」

提友「ああ・・・そうだ。帰り道、ちょっとタバコ買ってもいいか?」

提友「公園も寄って行こう」

翔鶴「・・・どうしたんですか?」

提友「いや、特に理由はない」
公園

提友「あそこのベンチに座ろう」

翔鶴「でも、お尻が濡れちゃいますよ?」

提友「よっと」ヌギッ

バシャッ

翔鶴「あの・・・上着が・・・」

提友「いいんだよ。女のケツを濡らすのはウォシュレットと男のアレだけで十分だ」

翔鶴「・・・」

提友「っと・・・」

シュボッ

翔鶴「・・・普段、タバコなんか吸わないのに、何があったんですか?」

提友「なんだ。よくわかってるじゃないか」

翔鶴「あなたの秘書官になってから、ずっとあなたの側にいたんです。それくらいわかりますよ」
提友「ふぅー・・・ちょっとな」

提友「・・・友人の力になれないのが悲しくてな」

翔鶴「そうですか」

提友「あいつは俺の事をたくさん助けてくれた。それの恩返しも出来ないんだ」

提友「俺は見ての通り女好きだ。だから、たくさんの女に騙されてきた」

提友「そのたびに慰めてくれた。突き放した言い方だったがな」クシャッ

提友「女を信用出来なくはなったけどな」

翔鶴「・・・」

提友「・・・さて、そろそろ行くか」

提友「悪いな。時間をとらせたな」

翔鶴「いえ、提督のためなら」

提友「そうか・・・」

翔鶴「その、握りつぶしたタバコは・・・」

提友「タバコを吸うのは、辛い時だけだからな・・・いらない」ポイッ

翔鶴「それがいいです。健康に悪いですから」

提友「それに、吸うなら女の匂いの方がいい」

翔鶴「もう!」
執務室

提督「・・・これは、どういうことだ?」

大井「・・・」

磯風「・・・」

北上「あの、提督、これはね」

川内(タイミングが悪かったね・・・まさか提督が戻ってくるとはね)

加賀(大井、磯風が大破・・・そして、そのまま進撃した)

霧島(これは大目玉よね)

川内「大井と磯風が、旗艦である霧島の話を聞かずに特攻、それを追いかけて進撃する形になった」

提督「それは、本当だな?」

大井「・・・はい」

磯風「ああ」
提督「何故そんな無茶をした。間違ったら沈んでいたのかもしれないんだぞ」

大井「そんなこと・・・わかってるわよ・・・」

磯風「・・・」

提督「応急処理要員を居るにしてもこんな無茶するなら、それなりの理由があるんだろうな?」

大井「提督が・・・提督が悪いんですよ!」

大井「提督が・・・提督業を辞めさせられるかもしれないのにジッとなんかしてられなかったの!!」

提督「ふざけるな!!」

バン!!

一同「っ!」ビクッ

提督「私の為に命を粗末にしようとするな!!」

大井「て、提督の為じゃない!私の為よ!!」

大井「私はあなたの下以外で働きたくないのよ!!」
磯風「磯風も同じだ。磯風達だけじゃない。ほとんどの艦娘がそう思っているはずだ」

提督「・・・そんな理由で、命を捨てるような事をしていいと思っているのか?」

大井「私は・・・っ!」

提督「・・・」

大井「もう・・・いいです・・・」タッ

北上「あっ!大井っち!」

磯風「はぁ・・・わからず屋にも程がある。どれだけの艦娘に慕われているか。自覚したほうがいいな」

磯風「では」

北上「ちょっと!?」

川内「それじゃ、私は部屋で寝るね」

提督「・・・もう下がれ。部屋で待機しろ」
北上「ちょっと提督?いくらなんでも・・・」

提督「いいから、下がれ」

北上「話を聞いてくれてもいいんじゃないの?」

提督「下がれと言っている・・・」

霧島「司令」

加賀「提督」

提督「下がれっ!!」

三人「っ!」ビクッ

北上「・・・少し、見損なったよ。提督」タッ

霧島「・・・はい」

加賀「・・・提督」
提督「ああ・・・加賀、あの二人に入渠するよう言っておいてくれ」

加賀「・・・あの」

提督「何も言うな。早く下がってくれ」

加賀「・・・はい」

提督「・・・」フラッ

金剛「oh・・・今日の提督、機嫌が悪すぎマスね・・・」

雷「様子がおかしくない・・・?」

利根「明らかにおかしいな」

摩耶「い、今すごい怒鳴り声が聞こえたんだけど・・・」

ドサっ

雷「司令官!!」

金剛「提督が倒れまシタ!!誰かドクター!!」

利根「摩耶!医者に連絡するんじゃ!!吾輩達は提督を部屋に運び込むぞ!!」

摩耶「お、おう!」

金剛「イヤー!」
『ごめん。私にはやっぱり我慢できない』

『二人の子供が助けられるなら・・・私は自分を』

『あなたを、愛していた』

提督(体が重い・・・うっ・・・)

提督「ん・・・」

卯月「落書きするピョン!」

文月「えへへー変な顔にしちゃえー」

???「おうガキ共、いたずらしてんじゃねーよ」

卯月「うわっやばい!逃げるピョン」

文月「ひー!」

???「ったく・・・」
???「はぁ・・・なんであたしがこんな事しなきゃならねーんだよ・・・」

提督「・・・摩耶か?」

摩耶「うおっ!びっくりした・・・目ぇ覚ましたのか」

提督「ぐっ・・・」

摩耶「おいおい、無茶すんな」

提督「私は・・・何をしていた」

摩耶「出撃から帰ってきた連中を戻したあとぶっ倒れた」

提督「そうか・・・それで、この頭の包帯は?」

摩耶「来た医者がつけてった」

摩耶「頭を怪我してるようだったんで手当をしてやって置いたぞってニヤニヤしながら」

提督「ああ、誰だかわかった・・・昔から私の事を見てくれている医者だ」
提督「それにしても、お前が私の看病とはな・・・」

摩耶「あたしだって嫌だっつーの・・・ただ」

摩耶「あんたが丸一日寝てる間に大変だったんだからな」

提督「一日も寝ていたか」

摩耶「あんたに変なことしないあたしが適任だとさ」

提督「・・・何かあったのか?」

摩耶「数人ほど、目を覚まさないからとあんたにキスしようとした輩が出てきたから」

摩耶「お姫様のキスで呪いが解かれるかも知れない!つって」

提督「・・・」

摩耶「腹減ってんだろ。リンゴくらいなら切ってやれるぞ」

提督「・・・大丈夫か?」

摩耶「馬鹿にしてんのか」
摩耶「・・・」シャリシャリ

摩耶「まぁ・・・話は聞いたぞ。大井と磯風に怒鳴りつけたんだってな」

提督「ああ・・・」

摩耶「あの二人も悪気があったわけじゃねーと思うぞ」

提督「わかっている。今からでも、謝りに行きたいんだが」

提督「それは、無理なんだろ」

摩耶「ご明察。他の連中から安静にさせとけと言われてる」

提督「・・・」

摩耶「あんたに悪気がないってのも、理解してる」

摩耶「大井と磯風の言い分はあたしも同意だ」

摩耶「あたしはあんたの下以外で働きたくわねぇ。怖いとか言う感情もあるけどな」

摩耶「それ以上に優しいってのは知ってるし」

摩耶「怖いから、あんたを理解出来ない奴があたし含めて大半が思ってることだよ」

摩耶「でも、役に立ちたいとは思ってる。皆そう言ってる」

摩耶「それだけは言っておくぞ」

摩耶「まぁ、あたしは思ってないけどな!」
摩耶「ほらよ。剥けたぜ」

提督「・・・お前、包丁の使い方出来るんだな」

摩耶「あたしだって努力してんだ」

摩耶「といっても、いざという時にリンゴぐらい剥けないと嫁の貰い手ないぞって言われて頑張ってるだけなんだけどな」

提督「高雄にか?」

摩耶「おう」

提督「・・・結婚したいのか?」

摩耶「まだ先の話だろ?相手もいねーし。綺麗なウェディングドレスは着てみたい・・・かなぁ?ぐらいにしか思ってないけど」

提督「お前も、女の子だったんだな」

摩耶「うっせーよ!悪いかよ!」

提督「怒るな。ただ、可愛いなと思っただけだ」ニコッ

摩耶「なっ・・・!」キュンッ

摩耶「熱があっておかしくなってんじゃねーかっ!?///」

提督「いつも通りだ」

摩耶(柄にも無くときめいちまったじゃねーか!!)
摩耶「そ、そんなことより!どうして、普段、表情なんか隠してんだ?」

摩耶「今の笑顔・・・すゲー魅力的だったのに・・・」ボソッ

提督「・・・熱が上がって少し辛くなってきた。少し寝たい」

摩耶「・・・ああ、そうしろ。一応、目が覚めたと他の連中に言っておくからな」

提督「そうしてくれ」

摩耶(なんか辛いことでもあったのか?これ以上追求するのも野暮ってもんかな・・・)

廊下

摩耶「・・・」ボーッ

摩耶(くそが!!提督の笑顔が頭から離れねぇ!!!)ガンガン

三日月「ちょっ!いきなり壁に頭を打ち付けてどうしたんですか!?」

朝潮「ストップですストップ!」

摩耶「大丈夫だ!今ちょっと混乱してるだけだ!!」

三日月「一緒に抑えて朝潮!」

朝潮「うん!」
提督「嫌な・・・夢を見た」

提督「忘れよう・・・」

提督(色々な見舞い品が来てるな・・・)

青葉「青葉!参上!」

提督「ノックぐらいしろ」

青葉「提友さんからお見舞いです」

提督「なんだ?」

青葉「メロンが二つなんですけど・・・その二つがブラジャーに入ってました」

青葉「これってどういう・・・」

提督「・・・気にするな。あいつはそういうやつだ」

青葉「はぁ・・・」

青葉(と、装いつつ定期隠しカメラ回収!今回は期待します!スクープになりますよ!)
提督「・・・」

青葉「そう言えば、K司令官だったかな?が来てましたね」

提督「何をしに?」

青葉「また後日来ると言っていました」

提督「・・・」

提督(今度は何を企んでいる・・・?)

青葉「・・・」

青葉(何か考え込んでいるうちに回収回収・・・)

青葉「それでは私はこれで」

提督「ああ」
響「司令官、よかった。目を覚ましたんだね」

提督「響か」

響「そう言えばさっき、摩耶を三日月と朝潮が押さえつけてたけど、何かあった?」

提督「・・・いや?」

響「そう」

提督「それより、青葉から聞いたんだが、Kの奴がきたらしいな」

響「ああ、来てたよ。昨日のことだから、もしかしたら今日また来るかもね」

響「そのときはどうする?」

提督「・・・通して構わんが、極力、朝潮には会わせるな。声も聞かせてはいけない」

提督「難しいかもしれないが、頼むぞ」

提督「それと・・・出来る限り、初霜と三日月、どちらかを朝潮の側に居させてやれ」

響「了解」
提督「もう一つ聞いて欲しいことがある。大井と、磯風を呼んではくれないか?」

提督「私から出向く方がいいんだが」

響「安静」

提督「お前たちが動かさしてはくれなさそうだからな・・・」

響「わかった・・・でも、謝ったってそう簡単には行かないと思うよ」

響「謝った所で、納得出来る理由がないと、誰も聞き入れはしないだろう」

提督「・・・納得させる理由はない・・・」

提督「申し訳ないが、これは私のエゴだ」

響「・・・私も知らないことかい?」

提督「ああ・・・私の妻の事だ」

響「そう・・・いつか、聞かせてもらえたらいいな」

提督「・・・どうしても今知りたいと思うのなら、電に聞けばいい」

提督「あの子なら、知っている」
響「司令官、私はあなたが考えている事がよくわからない」

提督「すまない」

響「でも、最初の頃に、たった一度だけ見せてくれた笑顔に、嘘はないと思ってる」

響「だから、信じてる」

響「・・・それじゃ、二人を呼んでくるよ」

提督「・・・お前の前で笑顔を見せたことなんてあったか?」

響「私の前では・・・ないかな」

提督「そうか」

響「うん、それじゃ」

提督「ああ」
提督「昨日・・・だったか。怒鳴ってすまなかった」

大井「・・・」

磯風「・・・」

提督「どうして怒鳴ってしまったか・・・言い訳はしない」

提督「お前たちが命令違反したところで、私は無事に帰ってきてくれさえすればそれでいい」

提督「そう思っている」

磯風「納得いかない。それならば、敵を沈める事を抑制される意味がわからない」

提督「・・・それは、すまないが、私のエゴによるものだ」

磯風「エゴだとっ!?ふざけるのもいい加減にしろ!!」

磯風「磯風達は兵器だ!戦う事でしか役に立てない兵器なんだぞ!」

磯風「戦いで功績を上げられないのなら、生きている価値がない!」

磯風「敵艦を沈めて、仲間を守って、それで勝ってこそ、生きてる価値があるんだ!」

磯風「そんなことも忘れたのか・・・司令」

大井「・・・敵艦を沈めてはいけない・・・そう、提督は言っていましたね」

大井「どうしてですか?」
提督「・・・納得出来る理由ではないぞ」

大井「それでも、聞かせてください」

提督「そうか。では話そう」

提督「その前に、磯風」

磯風「なんだ」

提督「お前たちは兵器ではない。私の娘だ」

磯風「司令の娘になった覚えはないぞ」

提督「私が勝手にそう思っているだけだ。娘達には、幸せになって欲しい」

提督「だから、兵器なんて言葉はもう使うな」

磯風「なぜだ」

提督「心を持った兵器は、存在しない」

提督「感情を持った兵器は、存在しない」

提督「一緒に居るだけで心が温まる兵器は、存在しない」

磯風「・・・ふん」
提督「それでは、理由を話す」

提督「といっても、そう難しいことではない」

提督「・・・私の妻は事故で死んだ」

提督「ニュースや雑誌の情報によると、深海棲艦によって、船底に大きな穴を作られた船が沈んだ」

提督「その時、妻も一緒に船と・・・」

提督「だから、敵艦であろうと、沈むと言う事自体、認めたくないんだ」

提督「深海棲艦だって生きているはずだ」

大井「おかしくないですか?何故それでしたら、余計、敵を全滅を考えると思います」

大井「私だったらかもしれませんけど」

提督「・・・その時、私と妻は新婚旅行へと言っていた。娘は姉さんに預けて」

提督「姉さんに新婚旅行ぐらい行けと言われ半ば強引だったが」

磯風「・・・司令も、その船に乗っていたということか?」

提督「ああ・・・私が助かった理由は簡単だ。救命ボートと救助が来てたからだ」

提督「だが、何せ客船だ。乗客も多い」

提督「妻は、間に合わず助からなかったんだ」
提督「私とともにボートに一度は乗ったものの。二人の子供と引き換えに妻は一人、沈みゆく船にまた乗った」

提督「・・・昨日、講習会で見せられた映像は、その時のものだった」

提督「乗客の誰かが撮影したものらしい」

提督「それをあたかも深海棲艦が沈めた様にニュースや新聞の記事は書かれ、講習会では教えられた」

磯風「あたかも・・・だと?」

大井「どういうことですか?」

提督「その沈没の原因は、深海棲艦達ではない」

提督「深海棲艦達は遠目にこちらを見ているだけだった」

提督「デッキに出て深海棲艦の動きをこの目で見ていた。間違いない」

大井「・・・」

磯風「・・・」

提督「沈む事で消える命は、これ以上は増やしたくないんだ」

提督「それが、理由の一つだ」

大井「一つじゃないんですか?」

提督「ああ・・・もう一つは・・・」
提督「・・・もう一つに関しては電の許可がいる。電を呼んでくれ」

大井「え・・・電ちゃんに呼ばなきゃいけないの・・・」

提督「どうした?嫌なのか?」

大井「いえ・・・その・・・昨日はこってりお説教をされたので・・・」

磯風「お前もか・・・」

大井「会いたくないわけじゃないけど顔を会わせづらいというか」

磯風「そうだな・・・」

磯風「だが、磯風達がわがままを言っている場合ではないな。呼んでこよう」

大井「ちょっと行ってきますね」

提督「ああ」

提督(やたら張り切ってたんだな。電)
響の部屋

電「ということなのです」

響「ふむ・・・なるほど」

響「優しいだけかと思ったけど、そんな理由があったんだね」

響「それで、その船はどうして沈んだのかな」

電「司令官さんはあの子達のせいではないと言っているのです」

響「ふむ・・・詳しくは聞いたことがあるの?」

電「えっと・・・司令官さんがあの子達を見ていたら突然、船底付近から爆発音が聞こえたって・・・」

電「爆発したあとすぐ、どこかの鎮守府の艦隊がその子達と戦闘をしだしたようです」

響「爆発音・・・」

電「どう思うのです?」

響「司令官はなんて言ってた?」

電「司令官さんは・・・」

コンコン

電「えっ・・・?今行くのです。ごめんなのです」

響「いやいいよ」
電「大井さん?磯風さん?どうしたんですか?」

電「お話は終わったのですか?」

大井「えっと・・・それがね。理由の一つが電ちゃんに関係しているって言うから呼びに来たんだけど・・・」

磯風「そういうことだ。同行願えないか?」

電「いいですけど・・・」チラッ

響「構わないよ。一緒に行こう」

磯風「感謝する」

大井「ありがとう」

響「電、話すのか?」

電「司令官に会ってから考えるのです」

響「・・・最近、行動が更に大胆になってきてないか?」

電「きっと誰かに似たのです」キリッ

響「はは、誰だろうな」フイッ
提督の部屋

電「司令官さん!」

提督「電、来たか」

提督「それでなんだが・・・」

電「二人には、奥さんの事話したんですよね?」

提督「ああ」

電「それでしたら、電も吹っ切れるのです!」

電「いつかは、話さなきゃいけないのです」

提督「そうか。それじゃあ」

電「電が話すのです」

大井「・・・」ゴクッ
電「単刀直入に結論だけ言うのです」

電「電は深海棲艦になりかけているのです。朝潮同様に」

大井「えっ・・・い、いつから?」

電「司令官さんが着任して、すぐの頃なのです」

電「あの頃、司令官さんは初めての事がたくさんあって、寝不足などで、電と響の補給を忘れてしまって」

電「そのまま出撃してしまって、大破、動けなくなった電はそのまま沈みかけたのです」

電「響が傷ついた体で電を引っ張る後ろ姿を最後に、意識が途切れました・・・目が覚めたときにはベッドの上でした」

電「その時の響の後ろ姿がカッコよかったのです・・・っとその話は別として」

電「その時にこの脇腹に・・・」ゴソッ

電「・・・あれ」ヌギッ

提督「電、いくら私しか男が居ないとしても、服を脱ぐのを戸惑わないのはどうかと思うぞ」

電「あ、ごめんなのです。ついいつもの感じで・・・」

提督「待て、その言い方は語弊があるぞ。誤解を受ける。私の前で脱いだことなんてないだろう」

大井「いつの間に電ちゃんと提督はそんな関係に・・・!」ドキドキ

磯風「・・・このことは黙っておこう」

響「それくらいなら私も出来るぞ」ガッ

提督「脱ごうとするな」
電「それより・・・司令官さん!痣が無くなっているのです!!」

提督「・・・何?」

電「やったのです!」ダキッ

提督「おっと・・・良かった。お前が大事にならなくて」ギュッ

提督「それとな・・・電、少し頭がグラッと来た。乗っかるのだけはやめてくれ」

電「あわ、ご、ごめんなのです」

響(私がやると引き剥がすくせに)ムッ

提督「・・・しかし、どうして突然消えたんだろうな」

電「原因はわからないのです・・・」

大井「なんか二人で盛り上がってるみたいだけど・・・本当になってたのかな・・・?」ボソッ

磯風「あの喜び様は、本当だったんだろう」ボソッ

響「本当のことだよ。私が保証する」
提督「原因がわからないのも問題だが、今はとりあえず、喜んでおこう」ナデナデ

電「えへへ・・・」

提督「だけど、まだ完治したとは言い難いな。まだ油断はするな」

電「了解なのです」

提督「それで、話の続きだが・・・」

電「そうなのです。電が沈みかけた事をきっかけに・・・司令官さんは感情を押さえ込み始めました」

提督「それは言うな。今は沈ませない理由を教えてるんだ」

電「そこで、電は約束を取り付けたのです。司令官さん自信無茶をしないこと」

提督(無視か)

電「そして、出来る限り命を大切にしてほしいって・・・」

大井「・・・」

磯風「・・・なるほど。納得できるとは言い難いが、したことにしておこう」

磯風(それにしても、電はずっと司令に乗っかったままだったが、あれでいいのか?一応病人のはずだが)

響「電!」

電「はひっ!?どうしたのですか?」

響「場所を変われ!」

大井(響ちゃんは相変わらずブレないなぁ)クスッ
響「司令官、これからどうするんだ?」ギュッ

提督「顔が近いぞ響。大井と磯風に話した手前、他の奴にも説明する必要があるだろう」

大井「私達も協力しましょうか?」

提督「そうだな・・・それとなく、青葉の耳に入れといてくれ。すぐに記事になって出回るだろうさ」

磯風「ああ、なるほど」

提督「電もそれでいいか?」

電「はいなのです!」ビシッ

提督「そうか」

提督「最後に二人共、何度も言うが、昨日は怒鳴って悪かった」

磯風「いや、磯風達にも非はある。何か罰を与えてくれ。磯風の気が済まん」

大井「私も、お願いします」

提督「・・・一応命令違反だからな。ちょっとキツめの罰になるが、いいか?」

磯風「構わん」

大井「構いません」
磯風大井「・・・」ズーンッ

提督「下がっていいぞ」

磯風「ああ・・・」

大井「はい・・・」

響「二人共顔が真っ青だったね」

提督「罰っていうのは罰として以外の目的があってはいけないからな」

電「司令官さんって、普段優しいのに厳しいところは本当に厳しいのです・・・」

提督「まぁ、あいつらが自分で望んだ罰だからな」

響「えげつないな」

提督「と言うか響。いつまで私にくっついているつもりだ」

響「電は引き剥がさないのに私は引き剥がすのか」ジーッ

提督「顔が近いんだお前は。私も男だぞ」

響「Добро пожаловать」

提督「馬鹿者」
三日月「司令官!」

提督「ああ、三日月か」

三日月「って何してるの響ちゃん!?」

響「逢い引き」

三日月「電ちゃんの前でやってたら逢い引きじゃないよ!?」

響「見られた方が興奮する」

三日月「それじゃあ変態さんだよ!」

電「今更なのです」

提督(意外と知識豊富だな)
響「半分冗談だ」

三日月(どこまでが本気!?)

響「さて、そろそろ装備のメンテナンスする時間だ。後ろ髪を引かれるが仕方ない」

響「それじゃ、ちゃんと安静に」

提督「できる限りな」

三日月「ちゃんとしてください」

朝潮「三日月!おいてかないでよ」

三日月「ごめん。つい」

電「すっかり仲良しさんなのです」

提督「そうだな。微笑ましい限りだ」

提督「朝潮も、元気になったみたいだな」

朝潮「はい!これもみなさんのおかげです!」

提督(相変わらず目の色は変わってないが・・・少しでも明るくなっているならそれでいい)
コンコン

提督「ん?誰だ?」

???「目が覚めたようだな」

朝潮「っ!?」ビクッ

三日月「あ、朝潮?」

提督「・・・三日月、朝潮と一緒に隠れろ。くれぐれも声を出すな」

電「あわわ・・・べ、ベッドの下に隠れるのです!」

朝潮「はぁ・・・はぁ・・・」ジワッ

三日月「え、えっと・・・朝潮!早く!」グイッ

???「入るぞ」

提督「少しだけ待て」

???「あまり待たせるなよ」
提督(一難去ってまた一難か・・・せっかく落ち着けると思ったんだが、タイミングが悪いな)

電「オッケーなのです!」

提督「そうか。入っていいぞ」

ガチャ

K「ふん。待たせるなといっただろう。これでも忙しいんだ」

提督「忙しい奴が私の見舞いなど、らしくないんじゃないか?」

K「お前の見舞いにきたわけじゃない」

K「お前に聞きたいことがあったからここに来ただけだ」

提督「何?」

K「お前が、朝潮を助けたと耳にしてな」

提督「だったらどうした?」

K「この目で確認したいんだが、会わせてくれないか?」

K「出撃してから帰ってこないんだ。心配でな」フフッ

提督(どの口が言うんだか)
「ハッハッハッハッ・・・」

K「・・・なんの音だ?」

電「ハッハッハッハッ!発声練習なのです!」

提督「電・・・他でやれ」

電「司令官さんの前でやりたいのです!」

提督「変態か」

電「否定はしないのです」

K「そうか・・・知らないか・・・なら帰らせてもらう」

提督「二度と来るな」

K「お前には会いたくないからな」

K「それではな」チラッ

K(・・・ベッドの下に二つの影・・・少し見える腕に、見覚えのある傷があるな)

ガチャ

バタン
電「はぁ・・・恥ずかしかったのです」

提督「すまん」

朝潮「ハッハッハッハッハッハッ!」

三日月「司令官!あ、朝潮がすごく苦しそうなんですけど、どうすれば!?」

提督(ひどい過呼吸だ・・・こっちの鎮守府に来てからの落差がひどすぎて、かなりのトラウマになってしまったか)

提督(優しくしすぎたのが間違いだったな)

三日月「司令官!」

提督「三日月、優しく抱き締めて、優しく声をかけろ」

朝潮「フーッ!うぐっ・・・ハッハッハッハッ!」

三日月「えっとー」

提督「頭を自分の胸に優しく寄せるんだ」
三日月「こ、こうですか?」

三日月「えー・・・朝潮!大丈夫だから・・・!もうあの人は行っちゃったから!」

三日月「落ち着いて」

提督「朝潮、三日月の心音をよく聞いてゆっくり息を整えろ」

朝潮「ハァ・・・!ハァ・・・!」

提督「そうだ。お前はもう、一人じゃない事を思い出せ」

朝潮「はぁ・・・はぁ・・・ふぅ・・・はぁ・・・」

三日月(あっという間に落ち着いてきた・・・)ナデナデ

朝潮「ふぅ・・・はぁ・・・」

提督「三日月、もし、仲間が過呼吸を起こしてしまった時には、周りがテンパっていたらダメだ」

提督「こうして、ゆっくりなだめるように、落ち着いて対処すれば、すぐに落ち着く」

提督「少しでも、不安を取り除かないといけないからな」

三日月「はい・・・」

提督(入りたての頃、電に教わった事だがな・・・)

電「・・・」ニヤニヤッ

提督「ええい。そんな顔でこっちを見るな」
朝潮「はぁ・・・お見苦しい所をお見せしてしまって申し訳ありませんでした」

提督「気にするな。私も危機感がなさすぎた」

三日月「よかった・・・」

朝潮「K司令官の声を聞いた時、体が動かなくて・・・」

提督「怖かったんだな」ナデナデ

朝潮「もう、何も考えられなくなって、三日月の声だけが聞こえて」

提督「・・・もういい」

朝潮「うう・・・」

三日月「・・・」ギュッ

提督(このままではいけない。一歩間違えば日常生活に支障が出るな)

提督(無理に治す必要もないが・・・)
提督「そう言えば、私に用事があったんじゃないのか?」

三日月「え?あ、目が覚めたと聞いたので、朝潮と一緒に様子を見に来ただけだったんですけど」

提督「・・・そうか」

電「嬉しそうな顔を抑える司令官さんはわかりやすいのです」

提督「電っ」

電「電はこれで退散なのですー!」

ガチャ

パタン

提督「はぁ・・・じゃじゃ馬め」

三日月「電ちゃんってああいう性格じゃなかった気がするんですけど」

提督「全くだな」

ガチャ

初霜「提督!目が覚めたって聞いたけど三日月と朝潮来てませんかっ!?」

朝潮「は、初霜・・・?」

初霜「・・・提督が朝潮泣かしたんですか!?」

提督「・・・ああ」

初霜「えっ」
初霜「ああーそういうことですか・・・」

初霜「これから三人で間宮さんのところでアイス食べに行く約束してたんだけど」

朝潮「・・・アイス・・・」

提督「朝潮は、アイスを食べたことないのか?」

朝潮「はい・・・聞いたことはありますけど」

初霜「行きたいならもう少したってから一緒に行こうね。目が真っ赤だよ」

提督「そうか。なら私が連れて行ってやろう」

三日月「ダメです。安静にしてください」

提督(厳しい)

提督「・・・仕方ない。金は私が出そう。食べたいものを食べて来るといい」

三日月「でも」

提督「朝潮はお前たちに任せている。私から出来るサポートはこれくらいだからな」

初霜「ではありがたくもらっておきます。お釣りは後で返しますね」

提督「・・・ああ」

提督(真面目すぎるなぁ)
K鎮守府

K「間違いなくあれは俺の朝潮だ」

憲兵「ほう」

K「それで、少し捜査をして欲しいんだ」

憲兵「しかし、近々大きな戦争がある。あまり騒ぎにならないようにしたいんだが」

憲兵「この時期に、戦力を削ぐのはどうかと思うんだが」

K「だが、朝潮は俺にとって大事な子だったんだ」

憲兵「艦娘を大切に思う気持ちもわかるが・・・」

K「近くの鎮守府内だけで解決できるようにしようとは思っている」

憲兵「そうか・・・なら、今度の作戦について話をする場があるはずだ」

憲兵「それまで、調査は自分でしろ。そして証拠という証拠を提示しろ」

憲兵「そしたら、その場で一度だけ取り上げる。もちろん、取り上げる事はあの男にも伝えては置くぞ」

K「はい」

憲兵「それではな」

K「・・・」

K(あいつだけは絶対に貶めてやる)

鎮守府

コンコン

提督「ん?入っていいぞ」パタンッ

明石「失礼しますー・・・」

提督「どうした?何かあったか?」

明石「いえ、様子を見に来ただけんですけど」

提督「そうか」

明石「お体の方は大丈夫ですか?」

提督「ああ、無理しすぎただけだ。少し休めばすぐに治る」

提督「ただ、日課の筋トレが出来んのが少しこそばゆい」

明石「あ、でしたらストレッチでもしたらどうでしょう」

明石「体をほぐすだけでも・・・」

提督「軽くならもうしている」

明石「あ・・・そうですかー・・・」
明石「えっと・・・」

提督「・・・どうした」

明石「これ・・・」スッ

提督「これは?」

明石「開けて見てください」

提督「・・・これは・・・指輪か?」

明石「この間、調子に乗っちゃったお詫びに作ってたんです」

明石「練度の高い女の子とケッコンカッコカリが出来る物なんですよ」

明石「ケッコンすればその子のポテンシャルを引き出せます」

明石「ケッコンと言っていますが、所謂婚約指輪です」

提督「データは出ているのか?」

明石「私がもしそうなったらやる気が出るかなって!」グッ

提督「・・・お前の練度はそこまで高くないんだが」

明石「で、でもそこそこですよ!?」

提督「他の子より平均的には低いほうだぞ」

明石「そんな!」
提督「だが、私には関係の無いことだな」

提督「せっかくもらったものだ。大事に保管はしておこう」

明石「それを使わないなんてとんでもない!」

提督「例え仮だとしても、妻を裏切るような事はしたくない」

明石「どうしてそこまで奥さんにこだわるんですか?」

提督「愛しているからだ・・・それにな。妻のおかげで、表情」

提督「特に笑顔の影響力を知ることが出来たからな」

明石「それってどういう・・・」

提督「・・・どうだったかな。どんな影響力があったか忘れてしまった。もう何年も前の話だ」

明石「提督が喜怒哀楽を隠していた要因ですか?」

提督「・・・」

明石「・・・やっぱりいいです。渡したい物も渡しましたし、それでは」

提督「そうか。それでは、私も読書を再開する」

明石「ああ、それと提督」

提督「なんだ?」
明石「提督が喜怒哀楽を隠しても、おそらく提督が思う様にはいきませんよ」

提督「どういうことだ」

明石「それを決めるのは人それぞれです」

明石「現に喜怒哀楽を隠してても、私は提督の事そう思っていますから」ニコッ

明石「それだけです。お大事に、何かあったらすぐに言ってくださいね」

提督「・・・思う様にはいかない・・・か」

提督「まったくその通りだな・・・」

提督「だが・・・一人でも多くそう思っていない方がいい」

提督「・・・少し、疲れたな・・・」

提督「もう寝るとしよう・・・」
最上型の部屋

鈴谷「でー?次の作戦はどうするの?」

利根「うーむ。もうやることは全て終わっておるからのう」

雷「お酒で酔わしてみない?」

隼鷹「あーダメダメ。あの人全然酔わねーもん」

鈴谷「そうなん?」

隼鷹「一回だけ飲み比べに付き合ってくれた時さぁ。えっと高雄と那智と鳳翔さんで飲んでてなぁ」

隼鷹「通りすがったんで誘ってみたら付き合ってくれたんだけど」

隼鷹「鳳翔さんが一番お酒強かったんだけど、鳳翔さんが酔いつぶれるレベルの量飲んでもケロッとしてた」

雷「どういう体してるのかしら・・・」

鈴谷「ふーん・・。そう言えばさー」

鈴谷「利根さんはなんでこの計画に参加したの?」

利根「ん?知りたいか?」

鈴谷「いや別に」

利根「なんじゃ」

鈴谷「あらかた筑摩さん絡みだろうなぁとは思ってるから」

利根「むう」
利根「ふむ。あの筑摩が怖がって困るんじゃ」

利根「元気がない筑摩は少し怖い」

鈴谷「自分のためじゃん!」

利根「うむ」

ガチャ

摩耶「おっす」

鈴谷「おっすー。やっと来たー遅いぞ摩耶ー」

摩耶「悪い悪い。風呂入ってたんだよ」

金剛「作戦してるって聞いて私も来たデスよー」

利根「全然思いつかんがのう」

加賀「金剛が強引に」

雷「結局集まっちゃったわね」
金剛「いつの間に鈴谷は摩耶と仲良くなったデスか?」

鈴谷「さぁー」

摩耶「鈴谷は真面目じゃないから一緒に居て居心地がいいんだなぁ」

鈴谷「真面目じゃないとは失礼な。否定はしないけど」

摩耶「ほら、あたしの姉妹は真面目多いから」

鈴谷「まぁね。そんなことより摩耶に聞きたいことがあるんだけど」

摩耶「あん?なんだ?」

鈴谷「初霜ちゃんからの情報なんだけどさー。提督の笑顔見たってマジ?」

一同「っ!?」ガタッ

摩耶「なっ!?」

加賀「詳しく教えなさい」ギロッ

金剛「さぁ詳しく教えてもらうデスよ!」
摩耶「そうだな・・・提督の笑顔っていうか微笑み?」

摩耶「見たときはキュンっとは来たよ。正直」

加賀「おー・・・」

摩耶「・・・んでも、今思うとさ。あれって恋とかのキュンっじゃないんだよ」

摩耶「なんていうか。なんて言えばいいのかな。寡黙な親父の笑顔が見れた時に似た感じかな?」

摩耶「親父いた事ねぇから分かんねぇけど」

金剛「おおー」

鈴谷「・・・」

雷「どうしたの鈴谷!?静かになっちゃったけど」

鈴谷「いや、鈴谷は性的な目でしか見てないから」

加賀「ま、真顔でそういうこというのね・・・」

金剛「・・・加賀ー顔が赤いよ?」

加賀「そ、そんなことないわよ」

鈴谷「ほっぺが真っ赤ですよー?提督の笑顔かアレを想像したのかな?」ツンツン

加賀「頬をつつくのはやめなさい!」

摩耶「・・・なんでそんな笑顔みたいんだ?」

雷「笑った司令官なんて素敵そうじゃない?」

摩耶「まぁ、否定はしないけどな。実際いい顔だったし」
開発班

霧島「採血完了。もう戻っていいわよ電」

電「ありがとうなのです」

霧島「何か異常があったら私か司令に言いなさい」

電「はいなのです!」

夕張「・・・ここはいつから保健室になったんですか?」

霧島「司令から頼まれてるの。肉体的な疲労やダメージは明石の役目だけど」

霧島「艦娘特有の病気だったり、解明されていないことは多いからね」

夕張「その研究を任されてるんですね」

霧島「ええ、だから、電は深海棲艦になりかけてたみたいだから」

夕張「でも、知らなかったんですよね?」

霧島「知らなくても、採血ならしたことあるもの」

霧島「一度、なりかけていたときの血と今の血と深海棲艦の血を比べて見るの」

霧島「違うところがあれば、それが深海棲艦化がなくなっているかどうか見極めることも出来るかもしれないし」

霧島「ふう・・・今日は徹夜ね。夕張、そこの椅子に座ったまま寝てる子と一緒に上がっていいわよ」

島風「スー・・・」スヤスヤ

夕張「島風ちゃん・・・割と真面目なので助かってるんですけどね・・・わかりました。無理はしないでくださいね。おやすみなさい」

霧島「ええ、おやすみ」
数時間後

霧島「・・・そろそろ一息入れようかな・・・外の空気でも吸おう」

霧島「一日研究室に篭ってたら体が痛い・・・」

コンコン

霧島「こんな夜中に誰?」

ガチャ

提督「夜中にすまないな」

霧島「あら、司令じゃない。どうしたの?」

提督「一日寝ていたせいか、なかなか寝れなくてな」

霧島「出歩いて大丈夫?真面目な子に見つかったら大目玉よ」

提督「この時間に起きているのはお前か川内か鳳翔くらいだ」

霧島「それもそうね。体の方は?」

提督「大丈夫だ。そこまで大事じゃない」

霧島「ならいいけど」
提督「解析の方はどうだ?」

霧島「まだ時間はかかるわよ。ちょっと前に電の血を取ったところだったし」

提督「徹夜するほどの事じゃない。無理はするな」

霧島「司令こそ」

提督「私はいいんだ」

霧島「また倒れられたら困るんです」

提督「・・・ああ、以後気をつけるとしよう」

霧島「そうして」

霧島「それと・・・昨日はごめんなさい」

提督「なにがだ?」

霧島「私の指揮能力が無いが為、あのような事になってしまって」

提督「・・・いや、お前たちは悪くない」

霧島「私、司令のそういうところが嫌いね」

霧島「私達に甘くするのはいいけど、もう少し厳しくしないといけないわよ」

提督「ああ、その通りだな」

霧島「わかっているなら・・・」

提督「霧島、少し聞きたいことがある」

霧島「・・・はぁ、何?」
提督「私の事はどう思っている?」

霧島「告白でもする気?」

提督「して欲しいか?」

霧島「いえ?」

提督「そうか」

霧島「そうねぇ・・・信用できる上司・・・かしらね」

提督「そうか」

霧島「で?突然どうしたの?」

提督「いや、明石に少し気になる事を言われてな」

提督「聞いてみたくなっただけだ」

霧島「どんなことを言われたのよ」

提督「実はな・・・」
霧島「なるほどね」

霧島「残念だけど、明石と同じ考えよ。私も、信用できる上司のあなたの事をそう思ってる」

霧島「だから、表情隠すのやめたら?」

霧島「あなたが私達の事をよく知るように、あなたの事をよく知る子も居るって事」

霧島「いい加減理解したほうがいいわよ」

提督「・・・二名ほど、露骨に伝わってくるさ。私もそこまで鈍感ではない」

提督「鈍感なら、どれだけ楽だったんだろうな」

霧島「そうね」

提督「ところで」

霧島「今度は何?」

提督「最初に入ってきた頃、敬語だったのに、すっかりくだけた感じになったな」

霧島「この方が、話しやすいんでしょ?」

提督「堅苦しいのは苦手だ」

霧島「堅苦しい人が言うと、説得力ないわよ」
提督「さて・・・私はそろそろ戻ろうかな」

霧島「そう」

提督「腹、減ってないか?」

霧島「減ったわね。お夕飯を食べてないから」

提督「そうか。じゃあこれをやろう」

霧島「おにぎり?司令が握ったの?」

提督「自分用に作ったんだが、やはり食欲が無くてな・・・いやか?」

霧島「いえ、ありがたく頂戴するわ」

提督「そうか。ではな」

霧島「ええ」

霧島「・・・さーて、おにぎり食べたら作業の続きしようかな」

霧島「ん」パクッ

霧島「おいひ」モグモグ
執務室

提督「・・・今日は綺麗な月が出ているな・・・」キィッ

提督「はぁ・・・」

川内「なーに悩んでんの?」

提督「ん?川内か。よくわかったなここに居ると」

川内「今日は提督の好きな月が出てるからね」

提督「そうだな。それにしても珍しいな。お前から私に話しかけるなんて」

川内「まぁね。少し無理してるし、悩んでるみたいだったから」

提督「お前もわかってたか」

川内「そりゃ、提督と一緒にどのくらいだと思うの?」

提督「そうだな」

提督「・・・川内、聞きたいことがあるんだが」

川内「霧島さんに聞いたやつ?」

提督「む・・・聞いてたのか」

川内「ニンジャだから」

提督「発音が完全に外国人だぞ」
川内「私は提督の事大好きだよ」

川内「私のわがままも、ちゃんと聞いてくれるし」

川内「夜戦も出来る限り無茶していいって女神様までつけてくれるんだからさ」

川内「多分、普通の提督じゃあここまでしてくんないよ」

川内「まぁ、全力が演習の時にしかできないのはちょっと不満だけどね」

提督「流石にわがままを言いすぎだ」

川内「・・・大井ちゃんが主張も理解できる」

提督「・・・」

川内「私だって、提督の下以外で働くなんてやだよ」

川内「私を、私達をちゃんと理解してくれる提督だからこそ、私は従ってる」

提督「私の待機命令も無視するのにか」

川内「・・・それはそれ、これはこれ」

提督「じゃじゃ馬め」

川内「我慢は体に良くないじゃん?」
川内「それより提督、前から思ってたけど」

提督「なんだ?」

川内「提督って、昔から年下に好かれる?」

提督「さぁ・・・どうだったかな」

川内「ここまで私達の為に精一杯頑張ってくれてる提督が、部下とか後輩に好かれない訳ないよねー」

提督「・・・何が言いたい?」

川内「べっつにー?」

川内「提督の笑顔って、すごく魅力的だろうなぁって」

提督「このいかついおっさんがか?」

川内「おっさんって年でもないでしょー?まだ三十代前半くらいでしょ?」

提督「・・・四十過ぎてるが?」

川内「」
川内「嘘っ!?おっさんじゃん!」

提督「今何時だと思ってる。おっさんだと言っただろう・・・」

川内「そのことって他の子は知ってるの?」

提督「年齢を聞かれた事はないからな」

川内「ずっと三十前半だと思ってた・・・」

提督「そんなに若く見えるのか?」

川内「うん」

提督「・・・お前は嘘をつくやつじゃない。素直に喜んでおこう」

川内「男の人も若く見られると嬉しいの?」

提督「少なくとも、私は嬉しいぞ」

川内「そっか。それじゃあこれからお兄ちゃんって呼ぼうか?」

提督「やめろ」

川内「冗談だよ。私だってやだもん」
その頃の三日月達の部屋にて

三日月「スー・・・スー・・・」スヤスヤ

???「みかづきっみかづきっ」ユサユサ

三日月「・・・んっ」

???「ねぇ、みかづきったら起きてよ・・・!」グスッ

三日月「んん・・・あれ?・・・どうしたの?」ボーッ

???「あの・・・怖い夢見て眠れなくなっちゃったから一緒に寝てもいいかな・・・?」

三日月「んー・・・いいよー・・・一緒の布団で狭いけど・・・」ボーッ

???「ありがとう・・・・」モソッ

三日月「あい・・・ふぁー・・・」

???「・・・」ギュッ

三日月「・・・おやすみ」ギュッ

???「うん・・・おやすみ」

三日月(誰だろう・・・眠い・・・まぁいいか・・・)

弥生「・・・三日月・・・優しい」

望月「カァー・・・」ムニャッ

弥生「潜り込んだら蹴り飛ばされそう・・・」
翌朝

提督の部屋

提督「・・・」ペラッ

摩耶「おっす。起きてるか?」

提督「ああ、摩耶か。私はいつになったら動く事が出来るんだ?」

摩耶「自分が動けると思ったら動けるんじゃね?それより、ほら」パサッ

摩耶「電から、手紙を渡してくれって言われたんでな」

提督「そうか」ピリッ

摩耶「腹は減ってないか?」

提督「少し減ったな。頼めるか?」

摩耶「あいよ。鳳翔さんに行ってくるわ」

提督「ああ」
提督「・・・」

電「司令官さん!」

提督「Kの差金か・・・しかし、間違いはないからなぁ・・・」

提督「上の連中は私への評価は低い」

提督「対して、Kの評価は高い・・・」

電「司令官さん・・・?」

提督「ん?電か」

電「どうしたのですか?暗い顔もしてたのです」

提督「いや、大丈夫だ」

電「そうなのですか?あ!手紙は受け取ったのです!?」

電「ちょっと用事があって直接渡せなかったので!重要書類みたいだったので」

電「響を探してて時間が掛かってしまって」

提督「そうか」

電「それで何かあったのですか?」

提督「いや・・・何でもないよ」ナデナデ

提督(私の提督仕事もそろそろ潮時かな・・・)

電「・・・?」
響「やぁおはよう」

電「響!どこに行ってたのですか?部屋にもいなかったので探してたのですよ」

響「少し出かけていた」

提督「私達への無断外出は禁止だといっつも言っているだろう」

響「ごめんよ。少し急な用事だったんだ」

提督「響、私に何か隠していることはないか?」

響「・・・ないよ」

提督「そうか」

響「・・・」

提督「電、秘書艦のお前にはこれを見せて置きたい。少し、やらなければいけない事が出来た」ピラッ

電「はい?これは・・・」

提督「他言無用だ。勿論、響にも教えてはダメだ。わかったな」

電「は、はいなのです」

響「・・・司令官」

提督「今後、夜間外出は控えるように、わかったな」ポンッ

響「・・・わかったよ」
摩耶「飯もって来たぞー・・・って、あれ、提督はどこいったんだ?」

電「・・・」

響「少しやることがあるって言ってたよ」

摩耶「なんだあいつ・・・人がせっかく飯持ってきたのに」

電「司令官さんならすぐに戻ってくると思うのです。ですから、そこに置いておいて大丈夫なのです」

電「電も少しやることが出来たのです」

響「そっか。無理はしないでね」

電「はいなのです」

摩耶「・・・なんかあったのか?」

響「・・・」

響「さぁね」
バタン

初霜「三日月ー?ドックに朝潮が見当たらないんだけど見かけて・・・」

朝潮三日月「ん・・・」スヤスヤ

初霜「・・・いつの間にそんな関係に・・・」ドキドキ

弥生「そういうことじゃないよ」

初霜「そうなの?なーんだ」

弥生「昨日、朝潮が寝れなかったみたいで三日月の所へ来て一緒に寝たみたい」

初霜「私より三日月かぁ。そりゃそうかぁ」

初霜「それにしても、珍しいね。三日月がこの時間になっても起きないなんて」

弥生「一度は起きたみたいだけど、二度寝してる」

望月「二度寝してるのも珍しいけどねー」

卯月「・・・んん・・・まだ眠いピョン・・・」

初霜「卯月ちゃんはまだ寝てるのね・・・」
初霜「まぁいっか。私もお邪魔しよう」モゾッ

三日月「ん・・・」

望月「狭くない?」

初霜「狭い。背中がはみ出ちゃうね」

弥生(羨ましい)

初霜「それにしても、本当に二人共起きる気配がないなぁ」

弥生「朝潮は、昨日泣いてたみたいだから、疲れてるんじゃないかな」

初霜「泣いてたの?」

弥生「うん。悪い夢見たみたいだから」

初霜「・・・そっか。でも、どんな夢見たんだろう」

望月「前の司令官の夢でも見たんじゃないの?声を聞いただけで過呼吸起こしたって言ってたみたいだし」

初霜「・・・よし、今夜は私が朝潮と寝る!」

望月「あはは、初霜って寝相悪そう」

初霜「悪いよ?いつも若葉に怒られてる」

望月「悪いんだ」
響の部屋

響「・・・昨日は寝てないから眠い」

響「だが、悪夢のせいで寝れない」スルッ

響「・・・徐々に大きくなっている・・・どうしてだ」

響(そろそろ、このニーソでは隠しきれそうにないな・・・)

響「はぁ・・・電の痣は消えたというのに・・・」

響「・・・無理にでも寝よう。難しい事は考える必要はない」

響(だが・・・心の奥底のモヤモヤがどうしても消えない)

響(電も、こんな気持ちだったのだろうな)

響(あの日に私も呪われたんだろう・・・電の不安を煽らないよう、隠してきたが、限界か)

響(あの時、電が沈みかけて居るところを目撃してからの記憶がなかった・・・)

響(覚えているのは電が沈みいく所を見ている私の視点が、低かったぐらいか・・・)

響「ダメだ。落ち着けない」
青葉、衣笠の部屋

青葉「ああ、そう言えば、この記事を配り歩くの忘れてましたね・・・」

衣笠「・・・どうしたの?配り忘れるなんて珍しい」

青葉「いや、なんか最近やる気が出ないなぁ」

衣笠「えっ?あの青葉が取材に対してやる気出ないなんて珍しいわね。熱でもあるの?」

青葉「そんなことないんだけどなぁ・・・どうしてだろう」

コンコン

青葉「はい?」

提督「青葉、居るか?」

青葉「司令官!?どうぞー!」

衣笠「・・・」

ガチャ

提督「実は、お前しか出来ないことを頼みたいんだが」

青葉「なんですか!?青葉に出来ることならなんでもいいですよ!」

提督「今回はな・・・」

青葉「ふんふん・・・」メモメモ
提督「それでは、頼んだよ」

青葉「はいー!わかりましたー!」

バタンっ

青葉「さて!作業に取り掛かりますか!少し機材の手入れしないといけませんね」

衣笠「突然やる気が出たわね。なんの依頼?」

青葉「他言無用なので話せません」

青葉「えへへー、司令官に頼られるとやる気がグングン湧いてきますね」

青葉「ふんふーん・・・」フキフキ

衣笠「・・・鼻歌歌ってるところ悪いけど、この記事どうするの?」

青葉「えっ?ああ、お願いできます?」

衣笠「・・・これ、貸し」

青葉「はいはいー」

衣笠「そう言えば、それだけの機材どうやって集めたの?青葉だけじゃ揃えられないわよね」

青葉「これは秘密ですー」

衣笠(なんかおいてけぼりくらってるみたいで寂しい)
青葉「・・・」ピラッ

青葉(盗撮したもので笑顔が取れてしまったので)

青葉(思わず笑顔の部分だけプリントアウトしてしまいましたが・・・)

青葉「ふふっ」

青葉(人を引き付ける笑顔って本当にあるんだなぁ)

青葉「司令官の笑顔は人に感染るんですね」

衣笠「えっ」

青葉「あ、そうだ。あれをまとめるのも頼まれてたんだった・・・とりあえずそっちをまとめちゃおう」

衣笠「あれって?」

青葉「こっちの話です。衣笠それこの鎮守府全員に渡してくださいね」

青葉「司令官の事がたくさん載ってるんですから!」
提督「すまない」

摩耶「いや、別にいいけどよ。ちょっと冷めちまったぜ?」

提督「大丈夫だ。鳳翔の料理は冷めても美味い」

摩耶「そうかもしれないけどよー」

提督「電達はどうした?」

摩耶「響は部屋に戻って寝てる。電は少し用事があるとかでどこかへ行った」

提督「そうか。御飯ありがとう。休んでてもいいぞ」

摩耶「本当に体の方は大丈夫なんだろうな?」

提督「また倒れるなんて事はしない。安心してくれ」

摩耶「ならいいけど。無理したら気絶させてでも寝てもらうって・・・」

摩耶「三日月が言ってたぞ」

提督「物騒だな」
提督「さて・・・腹ごなしもしたし、そろそろ戻ってくる時間だな」

バタン!

19「イク、帰還したのね!」

8「はち、ただいま戻りました」

提督「二人共ご苦労様。私個人の依頼を押し付けてすまないな」

8「お体の方は大丈夫ですか?電さんから聞きましたよ」

提督「ああ、大丈夫だ。それより、情報は?」

19「結構大変だったのね。水中カメラなんて使ったことないから」

提督「すまないな。少しキツかっただろう」

19「正直言うと、体に負担がかかったの。もう少し深かったらやばかったのね」

8「これがその写真です。どうぞ」

提督「・・・うむ、ありがとう。これで、あの子達のせいじゃないと確信が持てた」

提督「ご苦労様。後で報酬を払う。それまで、体をゆっくり休めること。いいな?」

19「はいなのね!」

8「イク、先に行っていてもらえますか?」

19「?了解なのね」
8「長らく鎮守府を開けてしまいましたね」

提督「そうだな。発見まで時間がかかっただろう」

8「はい。ですが、提督の記憶通り、大体の場所を探したら沈んでいましたよ」

提督「思い出したくもない記憶だな。私が乗っていた船は、ほとんどが回収されずに沈んでいる」

提督「深海棲艦が近くに居るから危険という理由でな」

8「至るところは崩れていはいましたが、ほぼ形は残っていました」

提督「・・・それで」

8「その・・・遺体の方は見つかりませんでした」

提督「・・・だろうな・・・もう何年も前の話だ。肉は魚達についばまれ」

提督「骨は埋まっただろう」

8「力になれず、申し訳ありません・・・」

提督「いや、いい。私の妻や、残った乗客の遺体は最初から期待していない」
8「・・・そう言えば、別に動いているイムヤやゴーヤ達は?」

提督「奴の鎮守府付近で潜伏している」

8「奴・・・というと、あの計画がついに出来るんですね」

提督「ああ、絶好の機会だ」

提督「お前にも何度か偵察させているからな。あの鎮守府の現状を把握しているだろう」

8「はい・・・正直、見ていられませんでした」

提督「あの鎮守府の艦娘達は、私達が助け出す」

提督「例え、私がダメになろうとも」

8「・・・」

8(提督と、あの鎮守府の子達・・・どちらを取ると言われれば提督を取りたい)

8(やる気を出している提督を裏切りたくないですね)

提督「・・・」ポンッ

提督「全てが終わったら、好きな本をいくらでも買ってやる。それが、お前が出した報酬だったな」ナデナデ

8「楽しみにしてますね」ニコッ
ガチャ

青葉「あら?久しぶりですねはっちゃん!」

8「お久しぶりです青葉ちゃん」

提督「どうした青葉」

青葉「司令官から頼まれた物、持ってきました」

提督「もうか?」

青葉「前々から少しだけ整理していたので、おそらく重要だろうと思うものをピックアップしてきました」

青葉「あとは司令官自身が確認してまとめて欲しいです」

提督「そうか。仕事が早いな。もう一つの方は?」

青葉「これから取り掛かります。任せてください!」

提督「ふむ・・・これなら、イムヤとゴーヤの報告次第で証拠が揃うな」

8「手際がいいですね」

提督「人の長所をどう使うかが、私の役目だからな」

提督「だがまぁ、長所は短所にもなる。青葉みたいに、取材の事での手際は評価するが」

提督「周りが見えなくなったりするからな」

青葉「あはは・・・面目ない・・・」
提督「青葉は引き続き任務。はちは体を休めておけ」

8「はい」

ガチャ

青葉「了解です!青葉に任せてください!」ダッ

バタン

提督「・・・どうせ提督業を下ろされるなら」

提督「K、お前も一緒に下ろさせてやる」

響「・・・」

電「響!どうしたのですか?司令官さんの部屋の前で・・・」

響「いや、何でもない」

電「顔色が悪いのです!」

響「大丈夫だよ・・・」

電「でも・・・!」

響「大丈夫だって言ってるだろ・・・!?」

電「っ!?ご、ごめんなのです」

響「いや・・・こっちこそすまない。休んでくるよ」
電「・・・明らかに様子がおかしいのです」

コンコン

電「司令官さん、居ますか?」

ガチャ

提督「どうした?」

電「これを・・・栄養ドリンクなのです」

提督「ああ、すまない。心配かけているな」

電「いえ!それより、響の様子がおかしいのですが・・・」

提督「わかっている。青葉に探るように依頼した」

電「・・・司令官さんは、響の事を信頼できないのですか?」

提督「今の響は信頼できないな・・・今のあいつは、私を信頼していない」

提督「私を信頼していない奴を信頼するほど、私は愚かではない」
鎮守府出入り口

響「・・・」フラッ

鳳翔「響ちゃん?大丈夫ですか?」

響「ああ、大丈夫。少し寝不足なだけだよ」

鳳翔「それじゃあいけないわ。はい」

鳳翔「今、朝御飯に間に合わなかった子の為におにぎりを配っているんです。どうぞ食べてください」ニコッ

響「・・・ああ、ありがとう」

鳳翔「どこかにお出かけですか?」

響「ちょっとね」

鳳翔「お気をつけて」ニコッ

響「うん・・・」
午後

鈴谷「で?提督どうすんの?」

提督「ん?なにがだ?」

鈴谷「電ちゃんから聞いたよやばいんだって?」

提督「なんのことだ?」

提督(電のやつ・・・ゲロったな)

鈴谷「言っておくけど、電ちゃんに無理やり吐かせたのは鈴谷だから」

鈴谷「息が出来なくなるまでくすぐってあげた」

提督「えげつないことするな」

鈴谷「それで、提督の事だから辞めさせられるなら道連れにーって思ってるんじゃないかなぁと」

提督「・・・」

鈴谷「図星だね」
提督「ならどうした?止めるか?」

鈴谷「止めても無駄なんでしょ?だったら、出来る限り協力する」

鈴谷「提督にならいつでも会いに行くしね。どこに居ても」

提督「・・・ふむ。しかし・・・なぁ」

鈴谷「やっぱりやることない?」

提督「以前に、こんな時の為にと証拠は集めたからな」

提督「あいつの鎮守府の環境は、艦娘のお前たちにとってひどいものだ」

鈴谷「そうかもね」

提督「青葉に頼んで色々してもらった」

提督「その資料はここにまとまってる。それに、今はイムヤとゴーヤが偵察をしている」

提督「戻ってきてその報告も一緒にしたら、今週末には決戦だ」

鈴谷「見せて」

提督「断る」
鈴谷「ケチ」ギシッ

提督「知らなくてもいい事だからな」

鈴谷「ところで、もう体大丈夫なんでしょ?」

提督「まぁな・・・ベッドにいつまでも居るわけにもいかんが監視の目が厳しくてな」

提督「三日月に見つかると大目玉を食らう」

鈴谷「本当に三日月ちゃんの言うことは聞くんだね」

提督「・・・すまん」

鈴谷「いいよ。知ってるから」

コンコン

提督「ん?いいぞ」

鳳翔「失礼します。少し遅くなりましたがお昼はいかがですか?」

提督「ああ、もらうよ」
鳳翔「そういえば・・・響ちゃんが出かけていたんですが、どこへ向かったかわかりますか?」

提督「ん?外出することなど聞いていないぞ。許可もしていない」

鳳翔「えっ」

鈴谷「えー・・・まずいんじゃない?最近響ちゃんの様子おかしかったっしょ?」

提督「気づいてたか・・・」

鈴谷「そりゃあね。気丈に振舞ってるけど、どこか寂しそうな顔をしてたし」

提督「お前、意外と人の表情を見ているな」

提督「響の異変に気付いてるのは私と電くらいかと思ったが」

鈴谷「まぁね。わかりにくい人の顔見てればそれくらいわかるって」

提督「・・・誰の事だ?」

鈴谷「さて、誰だろうね」
K鎮守府

K「ふむ・・・なるほど、証人もやはり大事だな」

???「そうかもね」

K「憲兵の奴に証人も許可されている」

K「そこでだ、君に頼みがある」ギッ

???「何?」

K「これを、朝潮に渡して欲しい」スッ

???「これは?」

K「俺が吹き込んだ説得の言葉だ。それを朝潮に渡して聞かせて欲しいんだ」

???「・・・」
???「だが、本当に来てくれるのか?」

K「あの様子なら大丈夫。俺の教育はまだ抜けきっていない」

K「俺の声で少しでも揺さぶれば、また元に戻る。幸せになる資格なんて艦娘には無い」

K「戦うことだけを考えればいいんだ」

???「そう」

K「でも、俺は君の事は信頼しているよ」

K「期待しているよ。その名前が嘘にならない様に頼んだよ。Верный」

響「・・・Да」

K「はは、いい子だ」ナデナデ

K(ククク・・・朝潮、壊れるまで俺の計画に協力してもらうぞ)

響「・・・」
そして夜

168「以上が偵察の結果になります!」

58「なります!」

提督「ご苦労様。褒美は全て終わってからだ。部屋に戻ってもいいぞ」

168「わかりました」

58「はいでち!」

提督「ふむ・・・やはり、現状は変わっていないようだな」

提督「これならこの資料でも・・・」

『どこに行ってたのですか!?』

『無断外出はダメっていつも言ってるのです!!』

提督「・・・電の怒鳴り声・・・様子を見に行くか」
響「君には関係ないだろう?」

電「関係あるのです!」

電「勝手に居なくなられたら不安になるのです!心配するのです!」

提督「どうした?」

響「司令官・・・」

電「司令官さんも怒って欲しいのです!」

提督「まったく話が見えないんだが」

電「響が何も言わずに外出していたんです!」

響「無事に帰ってきたんだ。それでいいだろ」

電「良くないのです!!」

提督「最近、勝手な行動が目立つな。どうした?」

響「・・・どうもしないさ。ただ、用事が多いだけ」
提督「それでも、待機命令を無視した挙句、上司の許可もなく出かけるのは感心しない」

響「・・・」

提督「・・・何が不満だ」

響「別に、不満があるわけじゃない」

提督「・・・それじゃあ・・・」

響「司令官に何がわかる!!」

電「っ!」ビクッ

提督「・・・」

響「・・・ごめん。少し疲れているんだ。休ませてもらうよ」タッ

電「・・・ひ、響がおかしくなったのです・・・」ウルッ

提督「大丈夫。たまにはそういう事もある・・・」

提督(しかし、あの響が大声を出すんなんてな)

提督(・・・そういえば、いつもより響のスカートが長かったのは気のせいか?)
三日月「さっき響の怒鳴り声が聞こえたんですけど、どうしたんですか!?」

雷「大丈夫!?響の電の声が聞こえたんだけど!」

暁「どうしたの!?何があったの!?」

電「ひぐっ・・・えぐっ・・・」

提督「暁!雷!電を頼む。泣き止むまで側にいてくれるだけでいい」

提督「電、安心しろ。あとは、時間が解決してくれる」

電「ぐす・・・はいなのです・・・」

雷「大丈夫?どうかしたの?」

電「なんでもないのです・・・」

暁「あ、暁のハンカチ使って?」スッ

電「ありがとうなのです・・・」
三日月「どうかしたんですか?」

提督「いや、響の様子がおかしくてな」

三日月「そういえばそうですね」

提督「朝潮はどうした?」

三日月「今は初霜と一緒に若葉ちゃん達と一緒に遊んでます」

提督「そうか。ならちょうどいい」

提督「響のスカートの中を確認してこい」

三日月「えっ」

提督「あいつのスカートの丈が長くなっている気がした。それこそ、Верныйの前の丈以上に」

提督「何かを隠しているに違いない。だから、探りを入れて来い」

三日月「何故そう思うのか。聞かせてもらえますか?」
提督「あいつも、電同様に深海棲艦化しているかもしれない」

提督「電を引きずってでも助けたあの日、鎮守府に戻ってきた響にはすでに意識はなかった」

提督「ただ、力の限り、無意識に電を助けていた」

提督「私が声をかけたら、その場に電と共に倒れたんだ」

提督「その時にはすでに、電と同じ痣がどこかにあったのかもしれん」

提督「改装前だったからな。もしかしたら消えているかもしれない」

三日月「わかりました。強引にでも確認してきます」

提督「気をつけろ。お前と比べたら響は強い」

三日月「負けん気なら強いですから」

提督「お前らしい。では、頼んだぞ」

提督(青葉に頼んだのは響の行動記録のみ)

提督(身体的なものは頼んでいない。青葉も気が回らんだろう)

提督「しかし、もし深海棲艦化しているとしたらどうする・・・?」
響の部屋

響「はぁ・・・はぁ・・・」

響(胸が締め付けられる。悪夢を見ている時と一緒だ)

響「はぁ・・・やってしまった・・・」

響「さらに信頼がなくなってしまう・・・」

響「・・・苦しい」

バタン!

三日月「響!」

響「み、三日月・・・ノックぐらいしたらどう・・・」

ガシッ

響「だっ!?な、何故スカートを掴む!?」

三日月「めくるためよ!」

響「めくる理由を教えて」

三日月「いいから下半身を見せて!」

響「・・・変態か?」
三日月「えいっ!」

バサっ

響「み、見るなっ!!」バチッ

三日月「っ!」

響「あ・・・ご、ごめんよ。叩くつもりはなかったんだ・・・でも」

三日月「叩かれたぐらいでくじける私じゃない!」キッ

響「・・・わかった。こっちが折れるよ」

響「はぁ・・・君に諦めろっていう方が大変そうだからね」

三日月「・・・こっちこそ、頼まれたこととはいえ、強引にしてごめんなさい」

響「隠していた私が悪いんだ。全て話す」スッ

三日月「・・・っ!?」

響「この通り、私もなっている。それも、かなりの進行具合だ」
響「・・・司令官には内緒にしていてくれ」

三日月「嫌です。全部言うよ」

響「・・・そうか・・・そうだよね・・・」

三日月「響も大切な仲間だし、友達だもの。司令官の力を借りて助けたい」

響「・・・」

三日月「多分、私一人じゃどうしようもないから」

三日月「それじゃあ、一緒に来て報告しよ?」

響「・・・嫌だ。私は司令官に合わせる顔が無い」

三日月「そっか。じゃあ少し落ち着いたらでいいよ。先に司令官の耳に入れておくから」

響「ごめんよ。ありがとう」

三日月「それじゃ、私は司令官の所に行くね」

響「・・・ああ」

響(そうか・・・一人で悩んで、バカみたいだな・・・)

『その名前が嘘にならない様に頼んだよ。Верный』

響「うっ・・・」ズキッ

響(ああ、そうだ・・・これを朝潮に聞かせないといけないんだった・・・)ギュッ
三日月「・・・という事です」

提督「最悪の事態だな」

提督(電が治った原因もわからない今、響にどう声をかければいいかなんて思いつかない)

三日月「どうしますか?」

提督「今は様子を見るしかない」

提督「どうやって治すかもわからない。何が原因で進行しているのかわからない」

提督「それでも行動がおかしければ、監視を置いてこの鎮守府内で軟禁するしかあるまい」

提督「言い方は悪いがな」

三日月「電ちゃんにもそういう処置をしたんですよね」

提督「ああ」

三日月「・・・」

提督「・・・三日月」

三日月「はい?なんですか?」
提督「・・・いや、なんでもない」

三日月「またそれですか?」ムッ

提督「からかっているわけではない。ただ・・・な」

提督「そうだ。お願いが一つだけあるんだ」

三日月「なんでしょうか」

提督「あー・・・」

提督(何を伝えたいか自分でもわからなくなっているな)

提督(どうしたものか)

三日月「・・・司令官?」

提督「・・・いや、やっぱりなんでもない」

三日月「そればっかりじゃないですか!」

提督「本当にすまない。どうしても言葉にならないんだ」
霧島「どうも司令、随分仲がよろしいわね」

提督「霧島か。どうした?」

霧島「解析が終わったのでご報告に」

提督「もう終わったのか?」

霧島「ずっと調べてましたからね」

霧島「結果だけ言えば、今の電は深海棲艦化する心配はないようですね」

提督「そうか。よかった」

霧島「確実な根拠があるわけじゃないけど、もしかしたら隠れてるだけかもしれないし」

提督「そうか。警戒をするに越したことはないが、少しでも肩の荷が下りたな」

霧島「ところで、聞いたわよ」

提督「何をだ?」

霧島「潜水艦たちをKの鎮守府にスパイさせたそうじゃない」

提督「誰から聞いた?ゴーヤか」

霧島「ご明察。それで、気になることを聞いたんだけど」
霧島「その鎮守府に響が出入りしてる所を見たらしいのよ」

提督「響がか?」

霧島「見間違いじゃないのと聞いたんだけど、イムヤもゴーヤも見間違いはないと言っていたわ」

霧島「あの響が裏切る事をすると思わないし、あの二人が嘘をついているとは思えない」

霧島「本当は伝えることもないかなとは思ったんだけど」

提督「いや、ありがとう」

霧島「もし、響が裏切ることをしているとしたら、あなたはどうするの?」

提督「さぁな。その時その時で判断するしかないだろう」

霧島「ふふ、そうね。そういう仕事だものね司令は」

霧島「でもあなたはそれが出来る人間だから」

霧島「それだけ、じゃあね」

提督「・・・ああ」
提督「三日月、朝潮につけ」

三日月「へっ?」

提督「もしもの事を考えるんだ。もし響があちら側についているとしたらだ」

提督「ここの鎮守府を自由に歩ける。つまり」

三日月「朝潮に簡単に近付けますね・・・あ!」

提督「そうだ。響に警戒しろ。裏切っていないのが幸いなんだがな」

三日月「司令官は響を信じてないんですか?」

提督「今は、信じていない」

三日月「・・・そうですか。わかりました。今は、司令官を信じます」

三日月「もし、響が裏切ってないなら、そのときは」

提督「ああ、誠意を込めて土下座でもなんでもしてやろう」

三日月「・・・はい。では」
その頃、畑にて

朝潮「えっと・・・響ちゃん?何か用?二人きりで話したいって・・・」

響「・・・」フラッ

朝潮「えっ・・・」タジッ

響「そう怯えなくても大丈夫だよ」ガシッ

響「悪いようにはしない。これを聞いて欲しいだけなんだ」ピッ

朝潮「これって・・・ひっ!?」ビクッ

響「よく聞いて・・・私がこうしたことも、全て言ってはいけないよ」

響「私はこの鎮守府でも古株だ。誰も、君の言うことは信じない」

響「狼少年になりたくないなら・・・黙っていることが一番だよ」

朝潮「やだ・・・!やだやだ・・・!聞きたくないよ・・・!」ウルウル

響「・・・よく聞いて、思い出すんだ・・・」
初霜達の部屋

バタン

三日月「はぁはぁ・・・」

初霜「びっくりしたぁ・・・どうしたの三日月?」

三日月「あ、朝潮は!?」

若葉「朝潮か?朝潮なら誰かに呼び出されてたぞ?」

三日月「誰!?」

初霜「誰だかはわからないけど・・・」

三日月「どこに行ったかはわかる!?」

若葉「畑・・・と言う単語は聞こえたぞ」

三日月「畑!?ありがとう若葉!」

若葉「あ、ああ」

バタン

若葉「何があったんだ?」

初霜「・・・なんか深刻だったね」

三日月「朝潮!?」

朝潮「・・・」

三日月「朝潮!大丈夫!?」

朝潮「大丈夫・・・」

三日月「よかった・・・」

朝潮「・・・」

三日月「本当に大丈夫?」

朝潮「うん。大丈夫だよ。少しぼーっとしただけ」

三日月「そっか・・・」

朝潮「うん・・・」

三日月(目の周りも赤いし、鼻も赤くなってる)

三日月(明らかに何かあったよね)

三日月「今まで誰かと居たの?」

朝潮「い、いや・・・いやぁっ!!」
朝潮「ごめんなさい・・・!ごめんなさい・・・!」

三日月「朝潮!どうしたの朝潮!」ギュッ

三日月(明らかにおかしい!司令官に伝えないといけないけど)

三日月(こんな状態の朝潮置いてはいけないし・・・)

三日月「あ、あれ・・・!島風ちゃん!!」

島風「おうっ!?突然どうしたの!?三日月!」

島風「ってあれ!?朝潮もどうしたの!?」

三日月「説明は後でするから、司令官を呼んできてくれない!?」

島風「よ、よくわからないけど島風に任せて!」

三日月「ありがとう!」

朝潮「やだぁ・・・!やだぁ・・・!!」

三日月「大丈夫だから!誰も朝潮をいじめないから!」ギュウッ
提督「朝潮はどうした?」

三日月「わからないんです・・・誰と一緒に居たのか聞いたら、突然・・・」

朝潮「うう・・・うっ・・・」

提督「朝潮・・・大丈夫か?何があった」ナデナデ

朝潮「K司令官が・・・!ふっ!ひくっ!」

提督「落ち着いてからでいい。島風、水を持ってきてくれないか?」

島風「はいはいー!島風にお任せー!!」

提督(またK絡みか・・・今度は何を企んでいる・・・)

三日月「よしよし・・・大丈夫、大丈夫だよ・・・」ナデナデ

朝潮「んぐっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
朝潮「はぁ・・・ごめんなさい。朝潮、また・・・」

提督「気にするな。何があった。話す余裕がないならそれでいい」

朝潮「いえ・・・話します。実は・・・」

提督「そうか・・・。お前を証言者としてその場に出させるつもりなのか」

三日月「それは意味があるんですか?」

提督「もちろんだ。本人が、Kを司令官だと証言し、そして、朝潮が私に無理やり連れてこられたと証言すれば」

提督「私は立派な誘拐犯だ。犯罪者にされるだろう」

提督「そうなれば、提督業が続けられるかという騒ぎではなくなる」

三日月「そっか・・・だから」

朝潮「朝潮は・・・今の司令官はあなただと思っています。自分で居心地がいいからここにいるんです」
三日月「朝潮だってこういってます!証言者で全てが決まるなら勝ち目はないはずです!」

提督「・・・あいつを目の前にして、ちゃんとその言葉が出せるか?」

朝潮「・・・それは・・・」

提督「きつい言い方だが、声だけ聞いて過呼吸や泣き出してしまうんだ」

提督「目の前にしてあいつの不利になる事を言えるとは思えん」

提督「・・・だが、それでもいい」

朝潮「えっ?」

提督「無理して、私を助けようとしなくていい。たまには、自分が楽な方に逃げても構わん」

朝潮「・・・」

三日月「・・・」

提督「この話は終わりだ。それで、誰からそのKの言葉を聞かされた?」

朝潮「・・・」
朝潮「響ちゃん・・・」

提督「・・・響・・・か」

三日月「響・・・」

朝潮「嘘じゃないんです!でも・・・信じてもらえませんよね・・・」

提督「いや、今はお前を信じよう」

三日月「どうするんですか?」

提督「放っておけ」

三日月「ですけど、響は裏切りしている事になるんですよ?」

提督「いい、放っておけ」

三日月「・・・」

提督「今、あいつを刺激するのは良くない。それだけは言える」

三日月「はい・・・従いますよ」ムスッ

提督「・・・すまんな」
その後、特に進展もせず提督会議前日

青葉「これが響ちゃんの生活態度です」

提督「・・・」

青葉「あまり元気がないですね」

青葉「というより、疲れてますね」

提督「まぁ・・・な」

青葉「無茶は禁物ですよ」

提督「わかってはいるんだが」

青葉「あれから、響ちゃんはあまり部屋を出ることがなくなりましたね」

提督「・・・」

青葉「夜な夜な、夢でうなされることも多々あったようです」

青葉「響ちゃんだけではなく、朝潮ちゃんも」

提督「電と一緒だな・・・」
提督「そうだ。青葉、明日の朝、出かける前に全員に集まってもらう」

青葉「みんなに伝えればいいんですね?」

提督「ああ、大事な話があるからな」

青葉「了解です」

提督「報酬は後で払おう。勿論必ず払う」

青葉「はい。それでは」

提督「ああ・・・」

提督(・・・結局、私は最後の最後まで、提督らしいことがあいつらにしてやれなかったな)キイッ

提督(私がここから立ち去る時は、皆笑顔でされるといいなぁとは思ったんだが)

提督「世の中・・・うまくいかないものだな」

提督「・・・また、自分の大切な人を守れないのか・・・」

提督「・・・はぁ」

三日月「ため息を吐くと、幸せが逃げちゃいますよ」

提督「・・・ため息は、幸せじゃない時に出るもんだ」
提督「三日月、あれから朝潮の様子はどうだ?」

三日月「はい、また自分の殻に閉じこもってしまいましたね・・・」

三日月「話してくれるには話してくれますが、前ほど笑顔が消えた気がします」

三日月「一緒になって時間はたっていませんがそう感じます」

提督「・・・目の様子はどうだった?」

三日月「少し大きくなってましたね。ガーゼをすれば見えなくなる程度ですが」

提督「そうか。三日月は朝潮のケアを優先で頼む」

三日月「はい。響の方はどうしましょう?」

提督「姉妹艦の三人に任せてある。ただ、顔も出してくれないらしく、四苦八苦してるようだが」

三日月「・・・そうですか」

三日月「それより司令官、私に隠してることありませんか?」

提督「・・・いや?」
三日月「嘘つかないでください!」

提督「どうして嘘だと思う?」

三日月「なんとなくです」

提督「・・・根拠もないのに嘘だと言うのか」

三日月「あ、あんまり恥ずかしくて言いたくはないんですけど」

三日月「秘書艦になってから一緒にいる時間が増えて」

三日月「その間、司令官を見て来たんです。響や電ちゃんほど司令官の事は知らないけど」

三日月「嘘をついているときの司令官はとってもわかりやすいんですよ」

提督「・・・」

三日月「すぐ困ったような顔をしてるんですから」

提督「・・・やっぱりお前には勝てん」

提督「私もお前と長い時間一緒に居てわかったことがある」

提督「お前は、噛み付いたら離さないな。自分が満足するまでな」
提督「・・・だが、このことは明日話そう」

提督「私が出かける前に、みんなの前で」

提督「・・・」ナデナデ

三日月「・・・最近、突然撫でますね」

提督「可愛いからな」

三日月「なんか、あんまり嬉しくないです」ムスッ

提督「そうか。それはすまんな」

三日月「・・・明日、司令官として、ちゃんと帰ってきてくださいね」

提督「私も、このままここを去るのは心残りが多いからな。まぁ、なんとかなるさ」ポンッ

三日月「・・・今の勝率は?」

提督「三割程度だな」

三日月「適当言ってますね」

提督「まぁな」
金剛「うーん・・・」

利根「うーむ・・・」

加賀「なんか、この鎮守府全体が暗くなり始めたわね」

金剛「そうなんデス。もう、提督の喜怒哀楽とか考えてる暇もなくなってきまシタ」

加賀「原因は・・・」

雷「・・・」ズーン

初霜「・・・」ズーン

利根「・・・響と、せっかく元気になりかけた朝潮じゃろうな・・・」

金剛「暗い雰囲気は苦手デス」

利根「うむ・・・難しいところじゃな」

加賀「たった三人が暗いなるのだけでこうなるなんて驚きね」

利根「それだけ、三人の影響力があったんじゃろ」
利根「一人が暗くなって、その周りも暗くなって・・・悪循環じゃな」

雷「響の顔を二日くらい見てない」

初霜「朝潮の嘘の笑顔しか見れてない」

金剛「二人がそんなんでどうするの!?」

雷「そうだけど、やっぱり不安よ。響があんなになるなんて・・・」

初霜「せっかく、仲良くなれたのになぁ・・・」

金剛「確かに、響は意外・・・あんだけ気丈な子がああなってしまうんデスから」

雷「んー・・・よし!私が落ち込んでても仕方ないし!また響のところに行ってくる」

雷「やっぱり頭で考えるのは苦手!響が居ないと始まんないわ」

初霜「・・・私ももう少し頑張ってみようかな」

金剛「切り替えが早いネ」

利根「女心と秋の空と言うじゃろ」

加賀「もう、秋も近づいてますね」
三番ドック

三日月「朝潮、調子はどう?」

朝潮「はい、今のところ大丈夫です」

三日月「・・・朝潮、明日大丈夫?」

朝潮「・・・わかりません。できるだけのことはしたいと思います」

朝潮「少しでも、司令官の有利になるように」

三日月「・・・司令官って、どっちの?」

朝潮「・・・それは」

三日月「司令官も言ってたけど、無理はしなくていいんだよ。朝潮が楽な方を選んでも」

三日月「自分の気持ちを隠してはダメ。私が言えた義理じゃないけど」

三日月「朝潮も、司令官も、響も」
三日月「もし、勇気が足りないって言うなら、司令官に頼んで、朝潮の側にいる」

朝潮「・・・」

三日月「司令官の為でもあるけど、朝潮の幸せの為にも」

三日月「司令官がここに残ってくれれば、私の為にもなるし」

三日月「その・・・私が得することしかないけど、朝潮は朝潮の為になるように考えて」

三日月「私も、自分より、朝潮の言葉を優先したい。幸せを優先したい」

朝潮「三日月・・・」

三日月「朝潮があっちにつくなら、それでもいい」

朝潮「うん・・・一緒に来てくれれば、嬉しい・・・!」

三日月「じゃあ決まりね!まぁ・・・明日のことは明日しかわからないけど、今日はゆっくり休んで」

三日月「不安で心細いんだったら、一緒に居るよ。悪夢も見てるみたいだし」

朝潮「うん。それじゃあ・・・今日は、一緒に寝てくれるかな?」

三日月「喜んで!」
響の部屋前

電「・・・響、聞いているのですか?」

電「明日、司令官さんが司令官さんで無くなるかもしれないのですよ?」

電「響は、司令官さんのこと、本当に好きなのですよね?」

電「だったら、出てきて、司令官さんを支えるべきなのです」

電「そうでもしないと・・・」

響『・・・』

暁「電、ずっとここに居ても仕方ないわよ。響は話を聞く気なんて一つもないわ」

暁「悔しいけど、暁達にはどうしようもないのよ」

電「暁は戻ってもいいのです。電はずっとここにいるのです」

暁「電・・・あんたが責任感じることないじゃない」

電「・・・そんなんじゃないのです・・・」
電「電は、響に元気になって欲しいから」

暁「・・・そう。おにぎりだけでも、持ってくるわね。響の分と電の分」

電「ありがとうなのです」

雷「やっ!暁、戻ってきたわよ。電はずっとそこに座りっぱなしなの?」ボソッ

暁「そうなのよ・・・なんとか言ってあげて・・・あの子の体が持たないわ」

雷「好きなようにさせればいいじゃない。だって・・・あー、いやなんでもないわ」

暁「なによ。暁に隠し事かしら?」グニー

雷「あはつきいはい。ほっへいはい」

雷「ほっぺたいったー・・・良くもやったわね」

暁「お姉ちゃんに隠し事するからよ」

雷「響の方がお姉ちゃんっぽいわよ」

暁「なんですって!」グニー

雷「いはいっへ!!」

電「あはは・・・暁と雷は仲がいいのです」

暁「勿論、暁が仲良くしてあげてるもの!お姉ちゃんだし!」

雷「なんか引っかかる言い方ね!」
雷「まぁ、この際、暁のことはいいわ」

雷「響、聞いてる!?」

響『・・・』

雷「私、明日の司令官についていくことにしたから!」

電「許可はもらったのですか?」

雷「ううん?勿論無断よ!だから他言無用ね!」

暁「自分勝手すぎるでしょ!?」

雷「響が動かないなら、私達が動くわよ」

暁「私達?」

雷「・・・なんとなくだけど、私以外にも同じ事を考えてる子は居ると思う。だから」

雷「響は私達を信じて、ゆっくりしてね。それだけ、じゃあね!」グイッ

電「えっちょっ、なんで電の手を引っ張るのですかっ!?」

雷「いつまでもここに居たって変わんないわ。作戦会議しましょ。どうせ電も同じこと考えてんでしょ?」

電「バレてたのです!」

暁「ちょっちょっと待ちなさいよ!」

響(・・・信じる・・・か・・・)
翌日

提督「皆に集まってもらったのは皆に謝りたいことがあるからだ」

提督「お前達に会えるのは最後かもしれないからな。私の顔のせいで怖がらせてしまってすまん」

提督「それからあ、私はお前達全員に平等に接してきたつもりだ」

提督「しかし、途中から、お前達を平等ではなくなってしまった」

提督「やはり、実の娘に似ていると、どうしても甘くなってしまった」

提督「そのことを深く詫びたい。本当にすまなかった」

提督「・・・三日月、こっちにこい」

三日月「えっ・・・」

提督「いいから」

三日月「は、はい・・・」

ザワザワ・・・
提督「そして、その不平等は、ここに来ても消すことは出来なかった」スッ

三日月「司令官・・・これって・・・」

明石(あれって・・・)

提督「・・・お前達全員に幸せになってもらいたいと、私は心から願っている」

提督「三日月には、特に・・・」

提督「三日月へ、私からの気持ちだ」

三日月「これって・・・指輪・・・ですよね?でもどうして二つ・・・」

提督「・・・いい男見つけて、幸せになってくれ。三日月」ニコッ

提督「・・・」ナデナデ

三日月「しれ・・・か・・・」ウルッ

提督「さて、そろそろ時間だ。私は出かけるぞ。それから、お前達、私か新しい提督が来るまで、待機だぞ」

提督「わかったな?それではな。朝潮と三日月は少し経ってから出発するように」
金剛「・・・スマイルが見たいとは思っていましたけど・・・」

利根「うむ・・・」

加賀「確かに素敵ではあったけど」

金剛「私はあんなに寂しそうなスマイル見たくなかったデス」

利根「そうじゃな・・・」

加賀「このまま、終わりたくないわ」

北上「大井っち・・・って、聞く意味ないか」

大井「北上さん・・・もですよね」

北上「まぁね」

磯風「・・・浜風」

浜風「・・・まだ罰受けてる最中じゃない。また提督の命令を無視するの?」

磯風「あとは任せたぞ」

浜風「・・・仕方がないわね。ともかく、その髪型だけは何とかしたら?」

磯風「言うな!このツインテールは罰だからどうしようもないだろう!」

磯風「くっ・・・磯風には似合わない髪型で過ごすのはすごく恥ずかしいんだぞ・・・!」カァァァ

浜風(真面目なのか不真面目なのかよくわからないわね)
提友鎮守府

提友「・・・よう」

提督「連絡ぐらい、来てるだろ」

提友「まぁな・・・どうせ、ガセか何かだろ。とうとう踏み出したんだなKのやつ」

提督「らしいな」

提友「他人事だなおい」

新人「提督さん!体調の方は大丈夫ですか?」

提督「ん?ああ、大丈夫だ」

新人「それなら良かったです」

提督「今日は、大きな作戦を話すみたいだな。ちゃんと集中しろよ」

提友「・・・そういえば、なんでお前秘書艦連れてないんだ?」

提督「すぐにわかる」

新人「・・・?」
少したって

憲兵「・・・以上が今作戦の内容だ。普段は俺達が説明することは滅多にないんだが」

憲兵「このあと、休憩を挟んでやりたいことがある」

K「・・・」

新人「やりたいこととは?」

憲兵「提督殿の誘拐疑惑が上がっている」

憲兵「それを、確かめたい」

新人「なっ・・・」

憲兵「これより20分ほどの休憩を挟む。その間に証人もつくだろう・・・ではな」

提友「・・・正直なところどうなんだ?」

提督「さぁな」
休憩に入って十分後

朝潮「・・・来ちゃったね」

三日月「そうだね」

提友「お、三日月ちゃん。相変わらず可愛いね」

三日月「もう、突然何ですか?からかわないでください」

提友「だって俺の妹に似てるもんでなぁ」ナデナデ

提友「そっちは・・・あーもしかして証人って」

朝潮「・・・」コクッ

三日月「・・・あの、朝潮、結構いっぱいいっぱいなので・・・」

提友「そっか。ごめんな止めちゃって」

朝潮「いえ・・・」

提友「・・・三日月、お前にこれをプレゼントだ」

三日月「これは・・・?」

提友「じゃあな。いざという時に使ってくれ」
K「・・・」

朝潮「ひっ・・・!!」ビクッ

三日月「大丈夫・・・私がついてるから・・・」

K「・・・」

カツカツ・・・

カッ

K「・・・朝潮・・・期待しているぞ」ボソッ

朝潮「はっ・・・はっ・・・!」

K「ふふふ・・・」

K(あの様子なら、私に振りになることは言わないだろう)

三日月「朝潮、冷静になって、朝潮は一人じゃない」

三日月「あなたがどんな答えを出そうと、私は朝潮の味方だよ」

朝潮「ふう・・・ふう・・・うん・・・ありがとう」
憲兵「さて、そろそろ時間だな」

憲兵「提督殿、前に」

提督「・・・」スッ

憲兵「あなたがK殿の朝潮を誘拐したと疑いがかけられている。まぁあなたの事だ。どうせ黙秘だろう」

提督「よくわかっているな」

憲兵「なら、K殿の証拠提示を行ってもらう」

K「では、まず証拠の定義、及び余罪も多々紹介させてもらおう」

提督「・・・余罪だと?」

K「俺の出す証拠は、俺の朝潮の特徴と証人による言葉だ。では、始めさせてもらう」

K「っと、その前に、余罪についてだが・・・」

K「提督殿は我々の敵である深海棲艦をかばったと言う話がある」

提友(こいつならやりかねないな)

新人(この人ならやりかねない)
憲兵「ほう?敵をかばった事を報告されているなら問題ないが」

憲兵「そんな報告は一度もないな・・・」

憲兵「で?それを確信させることは?」

K「提督殿の右腕と言っても過言ではない。この子からのタレコミだ」

響「・・・」

提督「・・・」

提友「なっ・・・!?響!お前、こいつを・・・!?」

新人「えっ!?ど、どういうことですか!?まったく状況が読めないんですけど・・・」

響「・・・」

提督「認めよう。深海棲艦をかばったことはある。だが、こちらに損害は一つもない」

K(簡単に認めるだと・・・?どういうことだ)

憲兵「ふむ・・・なるほど。深海棲艦をかばったことはあるんだな。それに対しての処罰は後々」

響(裏切ってしまった。司令官を・・・だが)
K「誘拐についての証拠はこれだけある。それと・・・証人の言葉だ。入れ」

朝潮「・・・」ドキドキ

三日月「・・・」キッ

憲兵「その目のガーゼはどうした?」

朝潮「えっと、これは・・・その・・・」

三日月「これはものもらいです。すみません、この子あがちゃってるみたいで・・・私も同行させてもらいました」

憲兵「それは構わないが、そうか。ものもらいなら仕方ない」

K(くっ・・・やはりついてきたか・・・)

憲兵「ふむ。では、朝潮本人に聞きたいことがあるんだが、大丈夫か?」

朝潮「は、はい!なんでも聞いてください!」

憲兵「なら、単刀直入に聞こう。君の提督は、どっちだ?」

朝潮「え・・・それは・・・」

提督「・・・」

K「・・・」ジロッ
朝潮(怖い・・・体の震えが止まらない)

朝潮(司令官と言いたいけど・・・あの人の姿を見てるだけで・・・体が・・・)

朝潮(頭で分かっていても・・・言葉が・・・)

ギュッ

朝潮(手を・・・誰かに握られた・・・)

三日月「・・・」ジッ

朝潮「三日月・・・」

三日月「・・・」ジッ

ギュウッ

朝潮「・・・うん・・・そうだよね」

提督『お前の楽な方を選ぶんだ』

三日月『私はなにがあっても朝潮の味方だよ』

朝潮(朝潮はもう一人じゃない・・・朝潮は、もう逃げちゃいけない!)

朝潮「朝潮の司令官は!最初から司令官ただ一人です」ビシッ
三日月「・・・!」パァ

K「なっ・・・」

憲兵「君の司令官は提督殿・・・そうなるか?」

朝潮「はい!」

K「あ、ありえない!その腕のキズは俺の鎮守府で付いたものだ!脅迫されているだけだ!」

K「そうなんだろう!?」

提督(朝潮・・・)

K「俺が嘘を言っていると言うのかお前!」

朝潮「あなたとは初対面です!」

K「貴様・・・!?」

響「・・・」

響(朝潮は自分の殻を、恐怖を打ち砕いた。それなのに私は・・・)

K「そ、そうだ!朝潮、お前は深海棲艦化しているらしいな!」

K「これもこの子から聞いている!そのガーゼで隠しているんだろう!?」
K「さぁ外して見せてみろ!」バッ

三日月「なっ!?」

朝潮「きゃあ!!」

K「ほら見ろ!目が白く・・・ない・・・!?」

提督「・・・!」

朝潮「あ・・・!ものもらい治った・・・」

提督(冷静な発言だだ・・・いいぞ朝潮)

三日月「よかったね」ニコッ

K「嘘をついたな響ぃ!!」

響「私は嘘などついていない」

憲兵「となると、嘘をついたのはK殿となるか・・・」

提督「さて、ここからは私の番か。K鎮守府の内情を訴えたい」

提督「さぁ見ろ。証拠ならたくさんあるぞ」バサバサッ

K「き、貴様ぁぁぁぁ!!!ハメやがったな!!!」
提督「響が裏切ったのは私は知らなかった。勿論信頼していたからな」

響「・・・っ!?そんな!私のことは信頼していないと言っていたではないか!」

提督「・・・響、私はお前は信頼している。ずっと前からそう言っているだろう」

提督「お前は私を信頼してる。そうだったな?」

響「う・・・」

提督「その信頼は本物だと思っていた。だが、最近のお前は私を避けて居た」

提督「お前は私を信頼していないと悟った。だから私も信頼していなかった」

提督「信頼されているなら、それ相応に信頼する。それが私のポリシーだ」

提督「言っている事矛盾していることはわかってる。だが理解は出来ると思う」

提督「お前は信頼されていないと思い込んで、こんな事したんだろう。Kの信頼しているという言葉につられて」

響「なんだ・・・はは、私の一人相撲だったのか・・・すまない司令官・・・」ウルッ

提友「翔鶴」

翔鶴「はい。響ちゃん、ハンカチ使ってください」ソッ

響「ありがとう・・・」

K「茶番だ!!こんなもの!!」

提督「さぁ、憲兵殿、その資料に目を通してください」
憲兵「ふむ・・・しかし、ここまでよく証拠を集めたもんだな」

提督「こう言ってはなんだが、スパイを送り込んだことがあるからな」

憲兵「許されることでは無いぞ」

提督「知っている。ただ、こいつの部下達である艦娘達を助けるためなら」

提督「どんなに汚い手でも使うぞ。私は」

憲兵「あなたの部下ではないんだぞ?」

提督「そうだな。だが、私の部下と約束したんでな」

提督「それに、私がそういう事を無視できるわけがない」

憲兵「・・・相変わらずだな」

提督「さっきから、私の事を知っているようだが、お前は私と初対面だろう?」

憲兵「・・・続けよう」
憲兵「国の宝である艦娘達を大切にしないのは大罪である。それは、提督になる前に説明されているはず」

憲兵「それは知っているだろ?」

K「・・・知っている」

憲兵「もう、言い逃れするつもりはないんだな?」

K「するつもりもない。俺の提督人生もこれで終わりだ」

K「俺の全てをつぎ込んだ提督人生も、終わりなんだ」

K「もう、犯罪者になってもいいくらいの気持ちだ」

K「殺してやるぞ。貴様」

提督「これ以上、罪を重ねるのか」

提友「・・・」

K「どちらにしよ。私の人生は終わりだ。だったら、貴様も道連れにしてでも・・・」カチンッ

K「護身用に持っていたナイフが人殺しの道具になるとはな!」ダッ

三日月「司令官!危ない!」バッ
K「邪魔だどけ!」ドンッ

三日月「うっ・・・!」

朝潮「三日月!」

提督「・・・!」

K「死ね・・・!」

バチン

K「なっ・・・ナイフが・・・ぐっ!」

提督「貴様・・・俺の部下に何をした!!」

提友「あ、やばい。あいつキレてる」

新人「えっ!?ちょ、止めないんですか!?」

新人「それにKさんはどうしてあんなにも提督さんに嫌悪感を抱いているんですか!?」

提友「さぁな・・・自分の成績を新人の時のあいつにさっさと抜かれたからじゃね?」

新人「そんなことですか!?」

提友「Kとの面識は元からなかったぞ・・・俺達にはな」
提督「俺の部下に何をしたと聞いている」ギリギリ

K「かっ・・・は、離せ・・・がっ・・・!」

三日月「し、司令官!」

朝潮「司令官!そんなに首を絞めたら・・・!」

提友「あーあー・・・本当にあいつは部下の事になると周りが見えなくなる奴だな」

新人「そんな冷静にしている場合ですか!?今、提督さんが人殺しになりそうなんですよ!?」

提友「残念ながら俺には止められないぞ。俺にはな」

新人「えっ・・・」

バタン

電「司令官さん!それ以上はいけないのです」

雷「そうよ!そんな奴の為に司令官がそれ以上する必要ないわ!」

金剛「そうネ!提督はこんなところでそんなことしたらダメデス!」

利根「そうじゃぞ!」

加賀「提督がいないと気分が落ち込みます」

北上「さりげなく告白してるね加賀さん」

加賀「そ、そんなんじゃないわ」
提督「お前ら・・・!待機命令を出したはずだぞ?どうしてここにいる」

ドサっ

K「かはっ・・・!ゲホ・・・!」

電「それは・・・」

大井「提督が心配だったからに決まってるじゃないですか!」

明石「うひゃーすごい事になってましたね」

提督「・・・命拾いしたなK」

憲兵「・・・愛されてるな」

憲兵「さて、今回のことは上の方から俺に一任されている」

憲兵「憲兵に入りたての俺にな」

憲兵「これがどういうことかわかるか?K殿」

K「・・・どういうことだ?」
憲兵「このあたりの鎮守府は重要視されていないという事だ」

憲兵「つまり、期待されていないという事」

K「な・・・」

憲兵「無駄だったんだよ。君の頑張りは」

憲兵「上に評価されてるなんて思っていたなんて、馬鹿みたいだな」

K「・・・」

憲兵「さて、殺人未遂に自分の艦隊を大切にしなかった罰」

憲兵「まぁ、提督は続けられないだろうな。期待しておけ」

憲兵「提督殿は・・・深海棲艦をかばった事を報告しなかった罪として一週間ほどの謹慎になると思う」

提督「それはおかしいだろう。私もこいつを殺そうとしたんだぞ?」

憲兵「俺には正当防衛にしか見えなかったな」

提督「・・・」
憲兵「さて、行くぞK」

K「離せ!あいつにはまだ仕返ししていない!貴様だけは許さんぞ!」

憲兵「いい加減にしろよ。これ以上罪を重ねたいか?」

K「どうでもいい!いくらでも死んでやるさ!こいつを殺せるならな!」

憲兵「・・・うるさい」

ドスっ

K「う・・・」

憲兵「あー重い」

憲兵「提督殿はこいつに何をしたんだ?」

提督「・・・さぁな。こいつの初恋の人を見殺しにしたぐらいか」

提督「私の妻をな・・・」

憲兵「・・・そうか」
憲兵「仕事に私情を挟むのは俺は嫌だったんだが・・・一回きりだけだ」

憲兵「これで、あのときの恩は返しましたよ」

提督「あの時?」

憲兵「あの時に恐怖で気絶していた俺の妹があなたに恋していると聞いて、少し運命を感じてます」

憲兵「あなたの笑顔に俺は救われた。親に捨てられた俺と妹をあなたたち夫婦は助けてくれた」

憲兵「あとで、奥さんのお墓、教えてくださいよ。骨は埋まってないでしょうが」

提督「まさかお前・・・」

憲兵「それでは、今日は解散。そのうち連絡が行くと思います」

憲兵「ここらの鎮守府は作戦には参加できないと伝えておく」
提友「お前の兄貴だったんだな」

新人「なんでわかったんですか?」

提友「・・・お前の鈍感さも大概だな」

新人「えっ」

提友「さて、解散らしいから早く出て行ってくれ。俺も少し用事がある」

提友「翔鶴から幸せの匂いを嗅ぐ仕事が残っている」

翔鶴「それは仕事にしなくていいんですよ」

提督「そうか。大勢で邪魔したな」

提督「三日月、大丈夫か?」

三日月「尻餅ついたぐらいなので大丈夫です・・・」

提督「そうか・・・私の為に無茶はしないでくれ」

三日月「司令官こそ、私達の為にあまり無茶しないでください」

提督「・・・すまん。帰るとしよう。私達の鎮守府へ」
響「・・・」

朝潮「・・・」

提督「お前ら、待機命令破ったからあとで罰を与えるぞ」

磯風「やはり追加か・・・この際なんでもこい」

大井「ただでさえ北上さんと同じ部屋で寝れない罰受けてるのに・・・」

提督「響、朝潮、どうした?帰るぞ」

響「・・・私は、帰れない」

朝潮「朝潮も帰れません」

提督「・・・どうしてだ?」

響「私は、司令官を裏切った。裏切り者がのうのうと司令官の鎮守府には戻れない」

朝潮「・・・朝潮が原因でこんな騒ぎになっているんです。朝潮がいなければこんなことには・・・」

提督「まさかと思うが、ずっとそんなことを考えていたんじゃないだろうな?」

響「・・・」

朝潮「・・・」
響(ずっと司令官には信頼されていると思って従ってきた)

響(司令官が好きなのは今も変わらないけど、もう顔向け出来ない)

響(せっかく築いてきた信頼を自分で失くした)

響(一度失った信頼を取り戻すのはすごく大変なのはわかってる)

響(だからこそ・・・もう、司令官の下にいるなんて事出来ない)

響「司令官」

提督「・・・」

響「私は司令官が大好きだ・・・だから、約束してくれ。鎮守府に戻ったら、私を解体して欲しい」
朝潮(響ちゃん・・・)

朝潮(せっかく深海棲艦化が収まったのに、この人たちと一緒に居るなんて)

朝潮(厚かましい事出来るわけない。司令官にあそこまでさせて)

朝潮(流石にわがままがすぎるから・・・一緒に戦いたいと思ったけど・・・)

朝潮「朝潮も、お願いします。解体してください」

朝潮(これでいいんだよね・・・朝潮は元々、居てはいけない子だったんだよね)

響(これでいいんだ・・・。私の役目はもう終わった)

朝潮(短い間だったけど、すごく幸せだった)

響(司令官と一緒に過ごせて、幸せだった)

朝潮響「今までありがとうございました。司令官」
提督「・・・そうか。三日月、痣チェック」

三日月「はい」

響「ちょっと待って。ここでスカートをめくる気?」

三日月「安心して。潜り込むだけ」ゴソッ

響「それも恥ずかしいけど」

三日月「脱がすよ」

響「えっ」

三日月「ニーソだから」

響「そういうことじゃなくてだな」

三日月「よいしょ」スッ

響「ちょっ」
三日月「ふう・・・痣、確認できませんでした」

響「ひどい辱めを受けた」

三日月「顔色一つ変えていないのに?」

提督「やはりな」

響「え・・・」

提督「解体されたいと言ったな。本心か?」

朝潮「・・・朝潮は・・・」

提督「・・・いいかお前達、裏切ったことは確かに悪いことだ」

提督「信頼を失うことになる」

提督「だが、結果として、多くの心を助けたことになったんだ」

響「裏切ったことは変わりない」

朝潮「原因になった事に変わりはないんです」

提督「私はお前達の上司だ。わかるな?」
提督「お前達の上司である以上、後先を考えなければならん」

提督「私が後先を考えて、そして、部下のお前達が目先の手柄を取り行く」

提督「それでいいんだ。私は、お前達の為に作戦を考える」

提督「それにお前達は従って目先の手柄を取る。失敗は仕方ない」

提督「最終的に成功すれば、私はそれで満足だ」

提督「今回の件については確かに裏切りはでかい」

提督「でも、その裏切りのでかさがこちらに味方したおかげであいつの嘘が露呈した」

提督「一度嘘がバレればその後は何も信じてもらえないからな」

提督「響は自分の得になることを先に選んだんだ。私は間違った事をしたとは思っていない」

提督「朝潮にしても同じだ。原因はどうあれ、それがきっかけでこうなった」

提督「それでいい。私からすれば、結果が全てだ」

朝潮「・・・どうして、そんなに優しくできるんですか・・・」ウルッ
提督「これは優しさではない。仕事としての考えだ」

提督「お前達のコンディションを整えるのは私の仕事」

提督「お前達はそのコンディションで出来ることをして」

提督「結果を報告してくれればいい」

提督「失敗だろうが裏切りだろうが事の原因だろうが、私からしたらどうでもいい」

提督「・・・長々と話して悪い。一言で済ませれば、お前達は私の鎮守府に必要なんだ」

提督「結果が出せる奴らには、特にいてほしいからな」

朝潮「・・・」

響「・・・」

提督「・・・どうだ?」

提督「正直、すごく恥ずかしいんだが・・・」

電「司令官さん耳が赤いのです」

提督「余計な口を挟むのはこの口か」グニッ

電「いはいのへす」
朝潮「朝潮は・・・」

三日月「朝潮がこれからも一緒にいてくれるなら、私は嬉しいな」

初霜「私も三日月と同じ気持ちかなぁ」

三日月「いつから居たの?」

初霜「ずっとこの鎮守府の初春と話してた」

朝潮「・・・朝潮、やはり司令官の下でお役に立ちたいです!」

朝潮「初霜や三日月達と一緒に戦いたい!」

提督「・・・ああ、歓迎するぞ」

三日月「これからもよろしくね朝潮!」ギュッ

初霜「よろしく!」

朝潮「うん!」
提督「さて、話は決まった。帰るぞ皆」

響「私は納得してない!」

響「一度失った信頼を取り戻すなんて・・・もうできる気がしない」

響「司令官だってそう簡単に信頼なんて・・・」

提督「・・・本当にそう思ってるのか?」

響「・・・」

提督「お前に出来た痣が失くなったのがなりよりの証拠だと思うんだが」

響「私も気も知らないでよく言えるね。私はここから動かないぞ」

提督「・・・はぁ・・・頑固者だな」

カツカツ・・・

響「な、なんだ?」

提督「意地でも連れ帰る。捕まってろよ」

響「えっ」
提督「よっと」ヒョイッ

響「なっ!?」

提督「おう皆帰るぞー」

電「お姫様だっこなのです。羨ましいのです」

三日月「私もしてほしいなぁ・・・」

提督「長居して悪かったな」

提友「俺の鎮守府でいつまでもイチャイチャすんな」

提督「すまん。それじゃあな」

提友「おう」

新人「羨ましかったです」

提友「・・・あいつは本当に上に立つべき人間だな」

提友「部下思いで、その部下からも好かれる奴だ」

提友「やっぱりあいつは、こういう職が向いてるな」

新人「・・・それにしても、兄さん偉くなったなぁ」

提友「ん?お前の兄さんなんてどこかに居たの?」

新人「さっきの憲兵さん」

提友「マジで?」

新人「はい」
帰り道

響「し、司令官!流石にこれは恥ずかしい・・・」カァァ

提督「ん、責めるのは恥ずかしくないけど責められるのは苦手か?」

提督「ははっ照れてる所なんて滅多に見ないから可愛さ倍増だな」

響(笑顔の司令官が近い・・・)

響「司令官おかしいぞ!どうしたんだ!」

提督「もうなんかバカらしくなってきたんだ。お前達と一緒に居ると」

提督「表情を隠してた自分がバカみたいでな」

提督「明石や霧島に言われた通りだ。表情を隠してた意味がない」

提督「お前達が罰を恐れずに待機命令を無視してまで来てくれて確信した」

提督「大切に思われてるだな。私」
提督「大切な人を守れなかった罪悪感から、幸せになる権利などないと思っていたが」

提督「これじゃあ幸せから逃げられないじゃないか」ニコニコ

響「・・・っ!!」カァァァ

電「響の顔が真っ赤なのです!」

響「やめろ見るな!」

提督「ははは!照れろ照れろ」

提督「さてと、お前達、待機命令を無視した罰を与えるぞ」

一同「げっ」

提督「荷物持ちだ。どうせ一週間謹慎で何も出来ないんだ。今日はたくさん買い物するぞ」

提督「主に食料だがな」
響「し、司令官・・・そろそろ下ろしてくれないか・・・」

提督「ん?私の下でちゃんと働くか?」

響「働くからぁ・・・」

提督「よしわかった。下ろしてやろう」

響「はぁ・・・」ペタン

響「足に力が入らない・・・」

提督「ちょうど電話したかったんだ。腕も疲れたしな」ピッ

三日月「響大丈夫?」

響「ちょっと立てないかもしれない・・・」

三日月「・・・」ペチペチ

響「羨ましいのはわかったから優しく叩くのはやめてくれ」

提督「鳳翔か?明日バーベキューを実施するから、倉庫の奥の方にセットがあるはずなんだが・・・」

提督「わからない?だったら川内を叩き起せ。あいつなら知ってる。久しぶりに私も料理すると言えば飛び起きるだろう」

提督「ああ、明日のバーベキュー楽しみにしておけ」
提督「という事だ。皆、今からバーベキューをする肉やら野菜やらを買いに行くぞ」

提督「みんなでやるからかなりの量を買うが、罰だからな」

電「司令官さんの!」

響「手料理!」

三日月「二人共よだれ出てる・・・」

提督「鳳翔が来るまで私が料理を作っていたからな。健康管理も兼ねて」

提督「私の料理を食べたことあるのは電と響と川内くらいか?」

明石「あ、私もおすそわけで食べた事あります。すごく美味しかった記憶しかないです」

響「鳳翔の料理も美味しいが、司令官の料理の方が格別なんだ」

三日月(途端に元気になった・・・そんなに美味しいんだ・・・)

金剛「・・・なんか、私達が頑張って笑顔にさせようとしてたのがバカらしくなりマシタ」

利根「そうじゃな・・・」

加賀「ですが」

提督「ほら行くぞ!っと、その前に銀行に金をおろしに行かないとな!」

加賀「そんなこともどうでも良くなりますね」ニコッ

利根「うむ!それよりバーベキューが楽しみじゃのう!」

金剛「イエー!!荷物ならいくらでも持つヨ提督ー!」
その頃の鎮守府

鳳翔「川内さん?ちょっとよろしいですか?」

川内「んあー・・・何?眠いんだけど」

鳳翔「倉庫にバーベキューセットがあるって聞いたんですけど、どこにあるかわかりますか?」

川内「場所は知ってるけど・・・眠い。と言うか、なんで突然?」

鳳翔「提督が明日バーベキューをやると言っていたので」

川内「・・・提督が作るって?」

鳳翔「はい」

川内「ん、わかった。案内するよ」スッ

鳳翔(提督の言ったとおり・・・)
倉庫にて

川内「えーっと確か・・・よっ」

川内「提督の手作りって言ってたから結構重いんだよねぇ」

鳳翔「大きいですね」

川内「よし・・・あれ?」

鳳翔「どうしたんですか?」

川内「なんか、見たことあるような・・・」

鳳翔「あら・・・そういえば、提督がちょっと前に何個か減ってるって言ってたのを思い出しましたね」

川内「こんなところに」

川内「まぁ、これは提督が帰ってきてからでいいか」

川内「そういえば炭どうするんだろう」

鳳翔(川内さんがすごく積極的)
数時間後

提督「すまんな。遅くなった」

川内「おかえり提督!それでさ、セット出しといたんだけど・・・」

提督「ああ、ありがとう」ニコッ

鳳翔「」ドキッ

提督「ん?一年近く放置してたはずだが、なんか綺麗だな」

提督「掃除してくれたのか?」

川内「いやーそれがさ・・・この子がこのセットに住み着いてたみたいで」

川内「手入れしてたみたいなんだ」

提督「・・・この子?」

川内「ほら、出てきて」
妖精「」チョコン

提督「・・・高速建造材の妖精じゃないか。勝手に居なくなったと思ったら」

川内「なんか、大事にされてそうなものだったから居心地良かったんだって」

提督「そうか」

妖精「」グッ

提督「何?焼く事に関しては任せろって?」

妖精「」シャキン

提督「それでやるのはいいが、火力はある程度抑えろよ?」

妖精「」ビシッ

提督「焼く人手が増えるのは嬉しい。頼んだぞ」

金剛「提督・・・はぁはぁ・・・は、速いデス・・・」

提督「やっと来たな。頑張ったな」
三日月「い、いくらなんでも買い過ぎでは・・・?」

提督「人数も多いし、大食らいも何人もいるからな」

提督「それより川内、電や響達はまだ帰ってきてないか?」

川内「え?まだ帰ってきてないよ」

提督「ふむ・・・ではまた出かけてくるとしよう」

三日月「えっ!まだ何か買いに行くんですかっ!?」

提督「お前達は休んでいいぞ。ああ、鳳翔の指示に従って肉はちゃんと冷蔵庫にしまっておけ」

提督「酒を買ってこないといけないからな。酒好き集めて買ってくる」

提督「野菜班の電と魚介班の響が戻ってきたら連絡くれ」

提督「隼鷹とか誘って行ってくるから」

提督「それと、今日の事は後に連絡する。それじゃあな」
夜中

提督「さすが電と響だな。いいもんを買って来ている」

提督「疲れて寝てしまったようだがな」

提督「さて、下ごしらえが大変だがやるか」

鳳翔「何かお手伝いさせてください」

木曾「俺も手伝ってやろう」

提督「お前料理できるのか?」

木曾「舐めるな。これでも人並みには作れるぞ。いざ嫁になるときにできなかったら恥ずかしいもんな」

提督「お前もそういう事考えるんだな」

木曾「心外だな。俺だって女だからな」

摩耶「しょうがねぇからあたしも手伝ってやるよ」

弥生「弥生も・・・手伝う」

提督「助かるが、無理はするなよ。それと鳳翔」

鳳翔「はい?」

提督「休んでいろ。たまには料理しない日があってもいいだろう?私達に任せろ」

鳳翔「ですが・・・」

提督「命令だ」ニコッ

鳳翔「・・・では、お言葉に甘えさせてもらいます」
提督「今日は徹夜だ。眠くなったら寝ていいぞ」

木曾「大丈夫だ。最後まで付き合うぜ」

摩耶「あたしは眠くなったら寝るぞ。遠慮なくな!」

提督「よし、それじゃあはじめるか」

提督「さっさと済ませるぞ。下ごしらえが終わっても、やることはたくさんあるからな」

木曾「おうよ!」
摩耶「おう!」
弥生「・・・がってん」

霧島「・・・元気ね・・・」

提督「ん?どうした霧島?」

霧島「喉が渇いたから飲み物をと思ったんだけど」

提督「フルーツジュースならすぐにでも出してやれるが」

霧島「あら?明日のためのじゃないの?」

提督「まかないでもあるから大丈夫だ。それに、飲んでも無くならないほど作れるぞ」

霧島「そう?じゃあ一杯もらおうかしら」
翌朝

提督「よし・・・後は次々作っていくしかあるまい。ご苦労だったな」

木曾「ああ・・・疲れたな・・・」

木曾(と言うか。俺より料理上手くてなんかイラつく)

摩耶「ああ、眠い」

摩耶(・・・手際が良すぎてついていくのがやっとだった)

弥生「終わった・・・いえい」

提督「よく頑張ったな。少し休んでおけ。私はこれから炭に火をつけなくちゃいけないからな」

提督「出来れば、全員起こしておいてくれると助かる」

弥生「了解」

提督「いい返事だ」ニコッ
パチ・・・パチパチ

提督「・・・多いから炭に火をつけるのもやっとだな・・・」

三日月「司令官。お客さんですよ」

提督「誰だ?こんな朝早くから」

憲兵「すみませんね。朝早く」

憲兵「と言うか。今から何する気ですか?」

提督「バーベキューだ。鎮守府みんなで」

憲兵「はぁ・・・謹慎中なんですからあんまり派手な事はしないでくださいよ」

提督「堅いこと言うなよ」

憲兵「まぁ、いいですけど」

憲兵「今日は、色々報告したいことがあるのと、少しあなたと話したかったんですよ」

憲兵「あなたに折り入って頼みたい事もあるので」

提督「火を起こしながらでもいいなら聞くぞ」
憲兵「簡単に言えば、あなたへの謹慎はそのまま問題なかったんですけど、Kの処罰は度を越えているから上で話し合うみたいです」

憲兵「まぁ、よくやったとは言われましたね」

提督「ほう」

憲兵「それと、K鎮守府に居た子達なんですけど、確認しに行ったら」

憲兵「ほぼ機械の様に無表情で生きているのかすら心配になるぐらいでしたね」

提督「ひどかっただろう」

憲兵「新しい提督を配属しようにも、あのままじゃいうことを聞くのかどうかも怪しいですし」

憲兵「何より、新人の提督がやっていけないんじゃないかと思いまして」

提督「だろうな」

憲兵「そこで、あなたに頼みたい事があってですね」

憲兵「K鎮守府の子達を、元気づけて欲しいんです。朝潮を元に戻したように」

提督「気付いてたか。朝潮がKの部下だと」

憲兵「まぁ、薄々は。証拠があり過ぎてむしろどうあなたの部下だと思えばいいのかわかりませんでしたね」

憲兵「結局、朝潮本人があなたを自分の提督だと言ったので乗っからせてもらいましたがね」

提督「ふふ、ひどい奴だな。私情を挟みまくってるではないか」

憲兵「お互い様でしょう」
提督「それより、いいのか?私が再教育しても」

憲兵「何か問題でも?」

提督「私が育てると、待機命令すら守れないじゃじゃ馬にしかならないぞ?」

憲兵「それぐらいがいいんじゃないですか。そっちの方が、俺は楽しいと思いますよ」

提督「はは、否定はしない。まぁ、いつでも連れてこい。こっちの連中には私から説明しておく」

提督「にしても、でかくなったな。あの新人、お前の妹だったんだな」

憲兵「ええ、あの時気絶してた奴ですがね」

提督「事故に対しての記憶がなかったみたいだが?」

憲兵「あの事故の記憶だけ、なくなっているみたいなんです」

憲兵「まぁ、思い出さなくてもいいので放っておいてますが」

提督「自分の本能でトラウマの記憶を抑える事もあるらしいからな」

提督「ああ、そろそろいい具合だ。どうだ?お前も一緒にやってくか?」

憲兵「いえ、他にも色々と用事があるので」

提督「そうか。残念だ。では、暇がまたゆっくり話そう」

憲兵「はい。それでは、K鎮守府の子をここに連れてくるときは連絡します」

提督「ああ、待ってる」
提督「ああ、そうだ」

憲兵「はい?」

提督「お前には言っておこうと思うんだが、うちの部下は、三人ほど深海棲艦化していた」

提督「完治はしていると思うが、私もKと同罪だな」

憲兵「それを俺に話してどうするんですか?」

提督「いや?お前が上に報告してもいいし、そのままほっといてもいい」

提督「報告すれば、お前の評価は上がるだろうな」

憲兵「・・・」

提督「まぁ、好きにすればいいさ」

憲兵「そんなんだから、出世できないんですよ」

提督「出世に興味はないからな」

憲兵「ふふ、だからこそ、年下に好かれるんでしょうけど・・・それでは俺はこれで」

提督「ああ」
数十分後

響「司令官、皆起き出したよ」

提督「来たか。バーベキューらしい串焼きはもう焼けて、もう食えるぞ。妖精も中々いい仕事してるからな」

妖精「」ドヤッ

提督「魚介もそろそろ焼き始めるが、どうだ。まずは飲み物か?」

提督「響がいい魚介を買ってきてくれたからな。さすが響だ」ナデナデ

響「・・・」カァァ

提督「サラダもあるぞ。なんでも食え」

鈴谷「はいはーい!鈴谷、喉渇いたー!」

隼鷹「まずビールだろビール!」

提督「缶ビールやら酒関連はそこのクーラーボックスに入ってるから好きなの取れ」

提督「ジュースが飲みたければそこのウォータージャグに色々入ってるから飲め」

提督「今日はジャンジャン食って騒げ!言っておくが今日だけだからな」

鈴谷「提督ー!提督はお酒飲まないのー?」

提督「ああ、少ししたら飲むさ。人数が人数だからな。後からは食いたきゃ自分で焼いて食ってくれ」

提督「それじゃあ、食い始めるか!」
木曾「美味い!手伝った甲斐があったもんだ!」ガツッ

天龍「うめぇな・・・提督ってこんなうめぇもん作れたんか・・・」バクッ

隼鷹「いやーいいねぇこの味付け、たまらなく癖になるな。串物はこう引き抜いて食うのも風情があっていいねぇ」

熊野「ナイフとフォークはないんですの・・・?」

鈴谷「そうじゃなくてこうやって食べるんだよー熊野」グイッ

熊野「野蛮な食べ方ですわ・・・でも、鈴谷似合いますわね」

鈴谷「ワイルドっしょ?」

提督「熊野、フォークとナイフあるぞ」スッ

熊野「あら・・・ありがとうございます」

鈴谷「ちょっと提督!熊野にワイルドな食べ方させたかったのに!」

提督「そう言うな」

菊月(あの食べ方かっこいいな・・・)ガッ

菊月「あちっ」

長月「無茶するな。熱いの苦手だろう」モクモク

菊月「ぐう・・・」ヒリヒリ
数時間後

提督「・・・だいぶ食ったな」

電「司令官さん。お客さんなのです」

提督「ん?今度は誰だ?」タッ

電「あ!鎮守府の出入り口じゃないのです。あっちなのです!」

提督「あっち?あっちは海だぞ?」

ザバッ

南方棲戦姫「・・・」ジーッ

提督「・・・確かにお客さんだな」

電「お客さんなのです」

南方棲戦姫「・・・お腹、減ったわ」

提督「美味い匂いに誘われたな。これでも食うか?串焼きだが」スッ

飛行場姫「・・・」ジーッ
装甲空母姫「・・・」ジーッ
戦艦棲姫「・・・」ジーッ

南方棲戦姫「・・・仲間、話したら、行きたいって」

提督「団体さんだったか。一緒に食ってくか?食物なら、食いきれないほど買ってきてるからな」
加賀「・・・」パクッ
装甲空母姫「・・・」パクッ

陸奥「これも食べる?何食べても、美味しいわよ」
戦艦棲姫「ん・・・」

青葉「あ、記念に写真とっていいですか?」
飛行場姫「いいわよ・・・」

提督「・・・気に入ったみたいでよかった。うちの部下とも仲良くなっているようだな」

南方棲戦姫「・・・よかった。ここなら・・・打ち解けられると思ったわ・・・」

南方棲戦姫「・・・それより・・・顔が・・・コロコロ変わるようになったわね・・・」

提督「ああ、肩の重荷が下りたからな」

南方棲戦姫「そう・・・そっちの方が、魅力的よ」

提督「ああ、ありがとう」

金剛「提督!他の子にデレデレしてだらしないヨ!」

提督「褒められたら仕方がないだろ・・・」

金剛「褒める事ならいくらでも褒められるヨ?」

提督「ありがたみがなくなるからやめなさい」
バーベキューは夜まで続いた

そして

南方棲戦姫「今日は・・・ありがとう・・・」

提督「ああ、うまかったか?」

深海棲艦達「」コクッ

提督「なら、よかった。これから、気軽に遊びに来てくれ」

南方棲戦姫「ええ・・・それじゃ。これからも、戦うかもしれないけど・・・」

提督「その時は、お手柔らかにな」スッ

南方棲戦姫「・・・ええ、こっちからも・・・頼むわ」ギュッ

提督「・・・」ニコッ

南方棲戦姫「・・・」ニコッ

バシャ

陸奥「・・・前来たときも思ったけど、悪い子達じゃないわよね」

提督「そうだな。もしかしたら、一緒に過ごせる日が来るかもしれないな。出来れば、そうなって欲しいものだ」
提督「さて・・・だいぶ散らかったな。片付けるぞ」

提督「金網を洗うのは少し手間がかかるが、任せられるか?鉄板は重いから長門に任せてあるが」

雷「任せて!私にかかればちょちょいのちょいよ!」

暁「暁も手伝うわ!大人のレディとして、これくらいの事出来なきゃね!」

提督「そうか。ならば、私は炭の始末と本体を片付けるとしよう」

霧島「手伝う?」

提督「ありがたい」

霧島「前のおにぎりのお礼だと思って」

提督「そうか。いいことはしておくもんだな」

霧島「・・・そういえば、そろそろ秘書艦変えたりしないの?」

提督「そうだな・・・そのうち考えるさ」

霧島「・・・なんなら、私が秘書艦になってもいいわよ?」

提督「一度、秘書艦経験が長く続いた者にはあまりさせない様にしてるんだ。電は特例だったけど」

霧島「残念ね。仕方ないことだけど」

提督「ああ、いつになるかわからんが、その時は頼む」

霧島「ええ」
提督「・・・爆睡してる奴はその相部屋してる奴に運んでもらえ」

長月「まったく・・・カッコつけて酒なんか飲むからこうなるんだ」

菊月「うう・・・ぎぼぢわるい・・・」

隼鷹「ヒャッハー・・・」グゥ

瑞鳳「ああもうお酒臭い・・・」

加賀「赤城さん、戻りますよ」

赤城「えへへ・・・お腹一杯・・・」グゥ

鈴谷「でへへー熊野は可愛いなぁ!」スリスリ

熊野「鬱陶しいですわ!やめなさい!」ペシッ

響「・・・まったく、暁は無理に大人ぶりたがりすぎ・・・」

暁「頭いったーい・・・」

電「しっかり立つのです」

暁「もー無理ー、おんぶ」

雷「世話がかかるお姉ちゃんねぇ・・・」
提督「今日はご苦労だったな」

青葉「司令官!スパイしたときみたいな報酬、お願いしますね!」

提督「ああ、体が煙いかもしれないから、しっかり洗濯と自分の体を洗うように」

木曾「了解。俺達は部屋にもどるが、提督はどうするんだ?」

提督「今日は張り切りすぎて疲れた。少し残って一人で飲むさ」

木曾「そうか。もう秋も近いし寒くなるだろうから、風邪だけは引くなよ」

提督「ああ、わかってるよ」

響「おやすみ司令官」

提督「ああ、おやすみ」
提督「・・・終わってみると、やはりあっという間だな・・・」

提督「色々考えて、計画立てて、作戦して、ふと思い返せば、全てが終わっている」

提督「ん・・・はぁ・・・年を取ると、寂しさが溢れそうになるな・・・」

提督(これからどうしようか。Kの所の子達を再教育か。少し骨が折れそうだが、なんとかなるだろう)

提督(しかし、まだ響と朝潮のメンタルケアもある・・・朝潮は三日月や初霜に任せておけばなんとかなるだろう)

提督(響の方は、本人が問題だからな・・・不安にさせないよう、私も気を付けなければ)

提督「・・・酒なんて久しぶりだな。飲んで嫌なことを忘れようと思ったが、酔わんし美味いとは思わん」

提督「はぁ・・・」

タッ

提督「ん?」

???「防波堤から足を投げ出して、寂しそうな顔でどうしたんですか?」

提督「ああ・・・少し、寂しくなってな」クッ

???「・・・横、座ってもいいですか」

提督「いいぞ。私の横でよければな・・・っと、そうだ」バサッ

???「上着、汚れちゃいますよ?」

提督「構わん。お前のスカートが汚れる方が問題だからな」
???「少しだけ肌寒いので、私が羽織らせてもらいます」

提督「・・・お前がそれでいいならそれでもいいが・・・」

???「・・・司令官の匂いがします」

提督「加齢臭だろうなぁ。臭かったら敷いて座れ」

???「いえそんな・・・心地のいい匂いです」

提督「・・・そうか」

???「もし、臭いって言われたらどうしたんですか?」

提督「ちょっと落ち込んだな」

???「あはは・・・なら言わなきゃいいのに・・・」

提督「それより、今日は楽しかったか?あまりお前を見かけなかったが」

???「はい楽しかったです。途中抜けちゃいましたけど・・・」

提督「そうか。なら、よかった。三日月が喜んでくれたみたいで」
三日月「・・・」

提督「・・・」

三日月「あの」
提督「なぁ」

三日月「あ・・・司令官からどうぞ」

提督「・・・じゃあ聞きたいんだが、お前は今幸せか?」

三日月「え?あーそうですね・・・よくわかりません」

三日月「幸せかどうかはわかりませんが、司令官とこうして話せるのは嬉しいですね」

提督「・・・そうか。なら、よかった」

提督「三日月はなんだ?」

三日月「・・・四つほど、聞きたいことがあるんですけど」

提督「なんだ?」

三日月「深海棲艦化の事をまず聞きたかったんです」

提督「どういうことだ?」
三日月「司令官は何かわかったんじゃないですか?」

三日月「響の深海棲艦化が治って居たときも、やっぱりと言っていましたし」

提督「ああ・・・朝潮の件でなんとなく、わかっただけだ」

三日月「どういうことですか?」

提督「私の推測だが、深海棲艦化は、沈みかけた時の大きな負の感情に呪いが根付く」

提督「恐怖だったり不安だったり」

提督「元となった不安や恐怖を餌に他の不安までも増長させ深海棲艦へと近づけさせる」

提督「・・・朝潮は、Kの奴に恐怖していた」

提督「だが、あの時朝潮は、お前の力を借りて、その恐怖に打ち勝った。そして自信をつけた」

提督「だから深海棲艦化が失くなった。そう考えれば、電が治った理由も、響が治った理由も説明がつく」

提督「電は沈んだ時、役に立てなかった事を悔やんだ。そして、帰ってきてしまったからそれが新たな不安になった」

提督「響もそうだ。任務失敗、その上沈みかけて信頼が失くなったと不安になった」

提督「電も響も、その不安を取り除いたらあっさり消えた」

提督「簡単なことだったんだ」
提督「呪いの根が張った負の感情を取り除かず、ただ小さな不安ばかり解決しても」

提督「いつまでも残っている呪いが増長させて成長する。それこそ、雑草のように」

提督「元から断つ必要があっただけなんだ」

三日月「・・・なるほど・・・」

提督「あくまで推測だ。本当の事じゃない」

三日月「でも、それだったら辻褄が合いますね」

提督「・・・いや、響のだけはどうしても納得出来ない節もある」

提督「あいつの不安は、言葉だけではどうしようもなかった。なのにどうして消えたのか」

三日月「それは、簡単なことですよ」

提督「何?」

三日月「それより、二つ目の質問です」

提督「なんだ?」
三日月「どうして深海棲艦達が船を沈めた事にされたんですか?」

三日月「潜水艦さん達に船を見てきてもらったんですよね」

提督「ああ、あの壊れ方は、明らかに内側からの破壊によるものだ」

提督「どう考えても、外側から壊れるようなものではない」

提督「自爆テロか・・・もしくは事故か」

三日月「でもどうして・・・」

提督「上が一般市民からの募金を集めるためだ」

提督「ただでさえ莫大な金がかかるこの職業、資金難だったんだろうな」

提督「一般市民を騙して自分の懐に入れているわけではなく、私達に予算として渡されている手前」

提督「何も言えんのだが」

提督「まぁ、一人ぐらいは懐に入れている奴は居るだろうがな」

提督「客船を沈められ、一般市民に危害が及ぶと言えば、自分が大事な奴は募金をするだろう」
三日月「それでは三つ目。敵である深海棲艦達にあそこまで優しくできるんですか?」

提督「深海棲艦化を目の当たりにした以上、あいつらも元は艦娘だったんだろう」

提督「不安、恐怖を抱えて沈んだ。それを癒せぬまま深海棲艦し、深海棲艦になったら、私達に沈められ」

提督「呪いが沈む恐怖を増長させ、その恐怖に新たな呪いが根を張る」

提督「・・・悪循環をした結果なんだろう」

提督「あいつらからの攻撃を仕掛けてくることはない」

提督「一部に至っては来るなと言ってくる」

提督「あいつらはもう、沈みたくないんだろうさ。戦いも出来る限り避けたいんだろう」

三日月「・・・」

提督「敵が攻撃してくる。迎え撃たなければまた沈められる」

提督「それが私達に攻撃をしてくる理由だ・・・と私は思っている」
提督「おそらく、一番の被害者はあいつらだ」

提督「こんな考えしてる奴なんて、どこの鎮守府探しても私だけだろうな」

提督「電とも約束しているが、助けられる命は、私も助けたい」

提督「・・・それが、あの難しい命令の理由でもある・・・」

三日月「・・・命令については、私も賛成でした。戦いである以上、誰かが命を落とすのは仕方なのないことですが」

三日月「出来るだけ助けたいのは・・・皆同じ気持ちだと思います」

三日月「司令官についてきてる皆は」

提督「・・・ああ、そうだな。私は幸せ者だよ」

三日月「・・・やっと幸せから逃げることをやめたんですね」

提督「お前達は私を幸せにしてくれている。今度は、私がお前達を幸せにする番だ」

提督「私を慕ってついてきてくれるお前達には・・・幸せになって欲しいからな」

三日月「はい・・・それでは、最後の質問です」

提督「いいぞ。なんでも聞いてくれ」

三日月「・・・どうして、嘘をつくんですか」
提督「・・・」

三日月「司令官を好きな人たちなら、薄々気づいていると思います」

三日月「本当は、私達の幸せを望んでない」

提督「・・・そんなことは」

三日月「いえ、思っています」

提督「む・・・証明できるのか?」

三日月「証明は、出来ません。けど、司令官が嘘を言っている時、少しだけ、視線を外します」

提督「・・・」

三日月「口を酸っぱくして幸せになって欲しいと言っているときは、必ず合わせていた目線を少しだけずらす」

三日月「だから」

提督「そう・・・なのか?」

三日月「・・・はい」

提督「そうか・・・」

三日月「否定は・・・しないんですか?」

提督「否定はしない・・・」
三日月「どうして・・・ですか?幸せになることは、悪いことですか?」

提督「悪いことではない。ただ・・・」

提督「いや、知る必要はない」

提督「知る必要は、ないんだ・・・」

三日月「・・・司令官、これを」スッ

提督「これは・・・指輪」

三日月「お返しします」

提督「お前にあげたものだ好きに使え」

三日月「お返しします」

提督「しかし」

三日月「私には必要ないので」

提督「どうしてだ?」

三日月「司令官が、私達の幸せを望んでいないのなら、これは私が持つべきものではないので」

三日月「それでは」スッ

三日月「司令官と一緒に居ることも、おそらく出来ませんから・・・」ボソッ

提督「・・・待て」
三日月「・・・なんですか?」

提督「いや・・・その・・・なんだ・・・誤解なんだ」

三日月「・・・」

提督「誤解じゃなくてだな。幸せにはなって欲しいんだ。それは本心だ」

提督「だが、そのためにはやはり、幸せにはなって欲しくない」

提督「手に入れて欲しくない」

提督「・・・難しい事を言っているがそうなんだ。つまり」

三日月「・・・だから幸せになって欲しくないと?」

三日月「今の司令官は、矛盾した事ばかり。訳がわかりません」

提督「・・・ああ、そうだな。すまん。ただ、これだけは知ってほしい。幸せになって欲しいのは本当だ」

提督「頭がこんがらってきた・・・ちょっと待ってくれ」

三日月「・・・簡単な事を聞きます」

提督「なんだ」

三日月「私は、あなたの側に居てもいいということですか?」

提督「ああ」

スッ

三日月「それじゃあ、ここできっちり理由を話してもらえますか?」

提督「・・・わかった。話そう。本当に、お前のような負けず嫌いには勝てんな・・・」
提督「・・・考えれば簡単な事だ。お前たちに、大切な人を失う絶望を知って欲しくない」

三日月「大切な人って・・・」

提督「大切な人は友人でも恋人でも仕事仲間でもいい。そんな人を失う悲しさを知って欲しくない」

提督「私は、二回もその悲しさを体験した。妻の時と、娘の時だ」

提督「妻の時は、娘が居たから耐えられた」

提督「だが、娘の時は、本当に立ち直るのに時間がかかった」

提督「立ち直れしたが、辛くて辛くて、今だに大きな月が出るときは涙がこみ上げてくる」

提督「二人が居なくなってしまった時にも同じような月が出ていた」

提督「・・・そうなんだ。本当にその時の事を思い出しただけで・・・ぐっ」

三日月「・・・司令官」サスサス

提督「すまない・・・」

三日月「つまり、司令官は、トラウマを克服できない情けない自分と、幸せから逃げてたんですね」

三日月「そんなの自分勝手です」

提督「だが、電や朝潮、響は克服出来た。それなのに私は・・・」
三日月「そんなのどうだっていいじゃないですか」

提督「何・・・?お前に、私の気持ちが理解できるのか?」

提督「どんなに辛かったのか!わからんだろうが!」

三日月「わかりませんよ!司令官は何も言ってくれないじゃないですか!」

三日月「皆には悩み事はなんでも言えって言っておいて!」

三日月「自分は自分の悩みを抱え込んで!」ジワァ

提督「う・・・」

三日月「それに・・・それに・・・」

三日月「司令官が昨日、指輪を渡してくれたとき、どれだけ悲しかったか」

三日月「その時、もし、このまま司令官に会えなくなったらって思ったら・・・」

三日月「泣くの我慢したんですよ!」

三日月「幸せを失う事がどれだけ辛いかなんて、感じ方は人それぞれですだと思います」

三日月「司令官の半分も生きてない身分で偉そうな事言うのはどうかと思いますけど・・・」

三日月「それに、トラウマの件もそうです。あの三人はトラウマの原因が目の前にあったからこそ克服できたんです」

三日月「でも、司令官のトラウマは、原因が過去の物です」

三日月「治せなくても、仕方ないと思います。それに」

提督「う・・・ぐっ・・・」

三日月「一つくらい弱点があったほうが、人間らしいと思いますよ」

三日月「・・・泣いてもいいんですよ司令官」

三日月「辛いことがあったら、誰かに頼っていいんです。私だってそうします」

提督「すまない・・・本当に・・・すまない・・・そんな相談と言う簡単な事も出来ない提督で・・・」

三日月「・・・これからは、電ちゃんだけじゃなくても、相談に乗りますよ」

提督「ああ・・・そうだな。だが、泣かん。もう、泣かない」

提督「約束しよう。これからは、協力して行こう。私も、お前達みんなに助けてもらうことにするさ」

三日月「それじゃあ、指きりですね」ピッ

提督「ああ」キュッ
提督「・・・よしこれで・・・」

三日月「・・・もう一回です」

提督「何?」

三日月「幸せから逃げない。それを約束してください」

提督「それは・・・」

三日月「司令官が幸せになってくれれば、幸せになれる人だっているんです」

三日月「私もその一人です。ですから」

提督「それは約束出来ん」

三日月「もう、強情ですね」

提督「お前に言われたくない」

三日月「あ、そうだ」ゴソゴソッ

三日月(友司令官から受け取ったやつは・・・)

提督「ん?」
三日月「これ・・・」

提督「目薬?」

三日月「あ、こっちじゃなかった・・・こっちです」ソッ

提督「普通の紙と折り鶴?相当古ぼけているが」

三日月「友司令官からです。手紙のようですけど・・・」

提督「・・・姉さんからだな。どれ」

手紙『弟へ。千羽鶴が千一羽鶴になってたからあげる。これはあんたが持ってたほうがいいだろうし。姉より』

提督「・・・私はきっちり千羽しか折っていないんだが。もって行く前にちゃんと数えたはずだ」

三日月「私も一緒に数えたので間違いないはずですよね」

三日月「もしかしたら、ミヅキちゃんからの手紙かもしれませんよ?」

提督「っ!?何故、娘の名前を・・・?」

三日月「羽の所を見てください」

鶴の左翼『お父さんへ』

鶴の右翼『美月より』

提督「・・・何故、こんなものが・・・?」
三日月「・・・開けないんですか?」

提督「手が・・・手が震えてうまく開けられない・・・」ジワッ

提督「おかしい・・・手が止まらない・・・」プルプル

三日月「・・・私が、開けて、読んであげましょうか?」

提督「・・・頼めるか?」

三日月「はい・・・」カサカサッ

三日月「・・・」ジッ

三日月「準備はいいですか?」

提督「少し待ってくれ。深呼吸をする」

提督「スゥ・・・ハァ・・・スゥ・・・ハァ・・・よし来い」

三日月「それでは・・・」
三日月「お父さんへ」

三日月「私は、お父さんの娘として生まれて、とても幸せでした」

三日月「物心がつく前にお母さんが死んじゃって、おばさんも居たし、お父さんが居たから笑顔で居られた」

三日月「今まで中々会えなくて本当の事言えなかったけど、私はお父さんが大好きだった」

三日月「お母さんと二人でお父さんの取り合いをしてみたかった」

三日月「私、お父さんのお嫁さんになるとか、色々言ってみたかった」

三日月「中学に上がっても同じ気持ちだった」

三日月「色々やりたいこともあったけど。お父さんの娘だったからほとんど後悔は無いけど」

三日月「私はお父さんを幸せにしてあげられない事」

三日月「それだけが心残りです」

三日月「お父さんで居てくれて、娘として愛してくれて」

三日月「幸せにしてくれてありがとう」

三日月「そして、私やお母さんの事、忘れてとは言わないけど」

三日月「新しい幸せを見つけて幸せになってください」

三日月「美月より」
三日月「だ・・・そうです」

提督「うう・・・ぐすっ・・・うああ・・・」ボロボロ

三日月(・・・仕方ないか・・・こんな手紙もらったんじゃ・・・)

三日月(私も泣きそうだったけど、ここで泣いたら負けな気がする)

提督「本当にすまん・・・涙が止まらない・・・こんな手紙を残して・・・あいつは・・・」

提督「・・・馬鹿な奴らだよ・・・妻も娘も・・・」

妻『あなたを愛していた』

提督「自分の命が危ないのに、他人の事ばかり・・・」

三日月「それは違うと思いますよ。あなただからこそ、出来たんだと思いますよ」

提督「そう思うか・・・?」

三日月「はい!私が奥さんや娘さんだったら、そう思います」

提督「そうか・・・そうか・・・」グイッ

提督「よし、吹っ切れた」

三日月「えっ早い」
提督「三日月、お前のおかげでもある。ありがとう」ナデナデ

三日月「あ・・・いえ、お役に立てて光栄です」カァァァ

提督「約束しよう。私も、お前達も幸せになろう」

提督「忘れていた。幸せを失った時には悲しさだけではなかった・・・」

提督「お前には特別に褒美をやろう。なにがほしい?」

三日月「えっ?それはちょっと・・・私は何もしてませんよ?」

提督「いい。私が与えたいんだ」

三日月「ええっと・・・それじゃあ・・・」

三日月(こんな手は卑怯だと思うけど・・・司令官相手に正攻法は通じないもん仕方ないよね)

三日月「キス、してください」

提督「」
提督「えっと・・・ど」

三日月「勿論口です」

提督「・・・むう・・・困ったなぁ」

三日月「私とするのは嫌ですか・・・?」

提督「いや・・・そうじゃないんだ・・・ただなその・・・」

三日月「何かご不満ですか?あ、私の口が臭いとかですか!?」

提督「いや、そうじゃない。臭くないから安心しろ」

提督「その・・・私も男だ。それはわかるな?」

三日月「はい・・・」

提督「私も溜まってるんだ。わかるな?」

提督「それに・・・お前は娘に似ているからイケナイ事をしている感じになってしまってだな・・・その」

三日月(怖い顔なのにあたふたしてる司令官ちょっと可愛い・・・)キュンッ

三日月(でも娘に似てるからどうしたんだろう。確かにイケナイことしてる気がしない気でも・・・あっ)

提友『だって俺の妹に似てるもんでなぁ』

三日月「・・・っ!」カァァ
三日月「あの・・・つかぬことを伺いますが司令官」

提督「な、なんだ」

三日月「奥さんは、私と同じくらいの時、私と似てましたか・・・?」

提督「・・・ああ・・・娘の外見は、妻に似ていてな。生き写しのように」

三日月「・・・あの、っていうことは・・・」

提督「・・・今、お前があと五歳年を取っていたら、私は我慢が出来なかったかもしれない」

提督「このタイミングで言うのもなんだが妻以外とそういう事したことなかったからな・・・」

提督「姿形、雰囲気も似ているお前がまだ幼くてよかったと思っている」

三日月「っていうことは、私にも司令官を落とすチャンスがあるんですね!」

提督「・・・だが、お前が大人になる頃には、私はもうじいさんだぞ?」

三日月「司令官が振り向いてくれるなら」

提督「・・・」ナデナデ

三日月「えっ?なんですか?」

提督「いや、本当に負けず嫌いだなと思って」

三日月「撫でられるのは嬉しいですけど、少し複雑です」

提督「ははは、よし、私も決心がついた」

三日月「っ!」ドキッ
提督「っと・・・その前に、どうせキスするなら二人きりの方がいいな」

三日月「えっ」

鈴谷「やばっ」

響「皆逃げろ!!」

電「退散するのです!」

青葉「ああ!せっかくのシャッターチャンスが!」

金剛「音声は取れてるんデショ!今は逃げるヨ!」

加賀「」ダッ

朝潮「だからやめようって言ったのにっ!」

大井「ちっ!気付かれてたのね!」

磯風「なんだもうちょっとだったのに」

川内「逃げるが勝ちよー」

明石「ひゃー!バレてたましたかー!」
提督「まったく・・・蜘蛛の子のように・・・」

提督「お前達もだハチ、イムヤ」

8「」ギクッ
168「」ギクッ

ザバァッ

提督「はぁ・・・」

三日月「え・・・もしかして今のやり取り全部聞かれてたんでしょうか・・?」オロオロ

提督「気付いたのは冷静になってからだが・・・全部聞かれてただろうな」

三日月「わ、私・・・気付かなくてすみません・・・司令官の泣き姿を・・・」

提督「いい、気にするな。それより、するんだろう?」

三日月「あ・・・はい・・・」ギュッ

三日月「目は瞑っているのでお願いします・・・」ドキドキ

提督「するぞ」

三日月「は、はい・・・」ドキンドキン
翌日

提友『よう俺だっはははははは!!!ダメだ笑いが堪えられん!!』

提督「朝から電話してきて・・・いきなり爆笑するとは何事だ」

提友『だってお前・・・・だってお前!!あの子にビンタされたんだってな!!』

提督「ああ・・・一晩経ってもまだヒリヒリする」

提友『まーお前にして進歩したほうだな!やっと吹っ切れたか!』

提督「・・・ああ、今まで心配かけてすまなかった」

提友『いいよ。お前がそう感じてくれてるならそれで』

提友『お前は人より辛い体験をしてきたからな。これからは自分の幸せの為に・・・な』

提友『だけどお前、はは、口にキスしてって言われたのに頬にして泣かしてビンタされたんだろ?』

提友『女心を分かってない奴だなぁ』

提督「いや・・・恥ずかしくなってしまって出来なくなってしまって」

提友『意気地なし』

提督「うるさい」
提友『それで?愛想尽かされたろ』

提督「いや・・・それがな・・・」

三日月「司令官!そろそろ朝御飯の時間ですよ!」

三日月「あ、ごめんなさい。電話中でしたか・・・」

提督「いや気にするな」

提友『ん?三日月の声か』

提督「ああ、朝飯だそうだ。切るぞ」

提友『あ、おい!話はまだ終わってないぞ』

提督「今度一緒に飲みに行ったときにでも話してやる」

提友『それなら許す。じゃあな』

提督「ああ、また今度な」

ガチャン

提督「行くぞ三日月」

三日月「はい!」ギュッ

提督「三日月、腕に抱き着くな」

三日月「いーえ!大人になるまでに司令官がキスしてくれるよう私、頑張りますから!」

提督(弱ったなぁ・・・余計積極的になってしまった)
響「朝からお盛んだね。私も」ギュッ

提督「お前もか・・・」

三日月「あ、ダメ!私が先だよ!」

響「恋に先も後もあるものか」

三日月「ぐぬぅ・・・」

鈴谷「あらあら、両手に花だね提督」

提督「茶化すな」

鈴谷「背中は鈴谷が乗っかっていいかな?」

提督「この状態ではお前の重さは耐えられんな」

鈴谷「ひどい!女の子に重いって言うなんて!」

提督「駆逐艦とは違うだろお前は・・・」
提督「重い・・・結局寄ってくるのか・・・」

鈴谷「えへへー。どう?響や三日月には出来ない事やって上げてるんだから!喜んでよね」グイグイ

提督「無理に押し付けられても辛いだけなんだが」

鈴谷「じゃあ直接?」

提督「朝っぱらからテンション高いなお前ら」

鈴谷「まぁね」

提督「さっさと飯行くぞ。謹慎中だがやることはたくさんある」

提督「Kのところの子達が来るらしいからな。メンタルケアの人員の配置に部屋割り」

提督「それに普段出来ない大掃除もしなくちゃならない」

提督「掃除に関しては全員にやってもらわないといけないからな」

鈴谷「うげぇ・・・掃除ー?鈴谷やだなー」

提督「文句を言うな。ほら行くぞ」
電「あ、司令官さん達来たのです!」

雷「おはよう司令官!今日もいい天気よ!」

提督「おはよう。はは、今日も元気だな雷」ナデナデ

雷「元気だけが取り柄だもの!」ニコニコ

鳳翔「提督!おはようございます!」

提督「ん?おはよう。珍しく張り切ってるな。どうした」

鳳翔「あ・・・えっと・・・おはようございます!」

提督「・・・ああ、おはよう」

鳳翔「うう・・・」

三日月「・・・司令官」クイクイ

提督「ん?・・・ああ、なるほど」ナデナデ

鳳翔「っ!ありがとうございます!」パァ

提督(・・・頭撫でられるのはそんなにいいのか)

鳳翔「それでですね提督。お願いがあるのですが・・・」

提督「ん?なんだ?」
鳳翔「いかがでしょう・・・?」

提督「んー、私が教える事はないと思うんだが・・・」

鳳翔「提督のお料理美味しかったので教えて欲しいんです!」

提督「まぁ、時間があるときには教えてやる」

鳳翔「ありがとうございます!それでは朝御飯をお出しします。うふふ」

提督「ああ」

三日月「すっかり胃袋掴んじゃいましたね」

提督「そんなことはないと思うんだがなぁ・・・一般人に毛が生えたくらいの腕前だと思うんだが」

響「私はもう胃袋を掴まれてるけどな!」キリッ

電「響!朝御飯一緒に食べるのです!」

響「えっ?ああ、いいよ」

提督(ボケて突っ込まれる前に遮られたか)

電「ちょっと顔赤いのです。大丈夫なのですか?」

響「いや?そんなことはないよ」
電「最近、可愛い響がよく見れて嬉しいのです!」

電「いつもはかっこいいのに・・・」

響「可愛いなんて・・・」

三日月「司令官」

提督「ん?」

三日月「前々から思ってたんですけど電ちゃんって・・・」

提督「ん、ああ、響の事好きなんだろうな」

三日月「あー・・・やっぱりそうですよねー・・・」

提督「引かないんだな」

三日月「少しは驚いてますが、私も大概なので」

提督「おっさん趣味だもんな」

三日月「もうおじいちゃん趣味と言われても否定できかねます」

提督「そうだな」
鈴谷「それって、鈴谷にも言ってる?鈴谷もおっさん趣味なんだけど」

三日月「同類じゃないですか」

鈴谷「そうだね」

提督「素直だな」

霧島「さっきから話聞こえてるんだけどさぁ」

霧島「鈴谷も響も、司令のこと諦めてないの?」

響鈴谷「全然」

霧島「今の現状じゃ、三日月が妻で二人は愛人だけど」

三日月「そ、そんな妻なんて・・・まだ早いですよ///」

響鈴谷「愛人でも問題ないから」

提督「お前ら・・・」

霧島「あっそう・・・」
鈴谷「そりゃあ提督だもん。少しぐらい女の子に囲まれないとねぇ」

響「それぐらいの甲斐性、余裕で持ってるだろうしね」

三日月「し、司令官が私一人じゃ満足できないなら・・・我慢します!」

提督「お前ら話が飛躍しすぎてるぞ。落ち着け」

提督「それに、まずは一人の女守れないことには甲斐性も何もないだろうが・・・」

三日月「それじゃあ!」パァ

提督「だから飛躍するな。まだキスもしてないだろうが」

三日月「私はもう頬にまでキスしてくれたじゃないですか!」

鈴谷「なにそれずるい!鈴谷にはキスしてくれないのに!」

響「そうだそうだ!私なんて自分からしかしたことないぞ!耳とか!」

提督「やるつもりは無いが、私からお前にしたら恥ずかしがるだろう」

響「顔から火が出るだろうな」

三日月「あはは・・・」
三日月「そういえば司令官。少し気になってたんですけど」

提督「なんだ?」

三日月「悪夢について、電ちゃんや、響や朝潮に聞きませんでしたよね」

三日月「そうすれば、もっと早く原因がわかったと思うんですけど」

提督「ああ。悪夢なんて、思い出したくもないもんだ」

提督「それを聞いて、無理やり思い出させるなんて酷だろ」

三日月「それもそうですよね・・・」

朝潮「三日月!三日月!」

三日月「あれ?どうしたの?」

朝潮「見て!東京タワーが出来たよ!」ビシッ

提督「おーすごいな」

朝潮「朝潮、頑張りました!」エッヘン

三日月「むう。悔しい」ムスッ

提督「なんだ。競争してたのか」

三日月「初霜と私と朝潮の三人で誰が一番最初に出来るか競争してました」

朝潮「ふふん!朝潮が初めて勝ったね」ドヤッ

三日月「次は負けないから!」

提督(あやとりか・・・)
三日月「司令官もあやとりってやったことあるんですか?」

提督「一応あるぞ。もう忘れてしまったかもしれないが」

朝潮「やってみてくださいよ!」

提督「ん」

提督「っとヘリコプター」

朝潮「す、すごい連続技・・・」ガーン

三日月「司令官ってなんでも出来るんですね・・・」

提督「まぁ・・・ある程度の事ならかじってるからな。ピアノとか格闘技とか」

提督「ああ、生け花とかもやったことはあるな」

暁「暁よりレディ・・・?」

雷「そういうことではないんじゃない?」

三日月「苦手な事はないんですか?」

提督「今のところは女の子の扱いが苦手だ」

朝潮「朝潮!もっと精進します!」

提督「おう。がんばれー」
食事終了後

執務室

三日月「・・・司令官。昨日の事を掘り返すのもアレなんですけど」

提督「ん?どうした?」

三日月「司令官は、今幸せですか?」

提督「私は、お前達と一緒に過ごせるだけで嬉しいし、幸せだよ」

三日月「・・・嘘は無いみたいですね」

提督「私の目を見て嘘かどうか判断しようとするな」ムッ

三日月「すみません・・・ついクセで」

提督「まぁ、それで信用されてるならそれでいいさ」ニコッ

三日月「ふふ、司令官が、喜んでくれてるみたいで良かったです」

ガチャ

電「司令官!大勢のお客さんなのです!」

提督「ん、了解。さて、今から楽しい大仕事に入るぞ三日月!」

三日月「はい!司令官!」


番外

その後の深海棲艦達との関係

北方棲姫「・・・ん」

提督「・・・ここは託児所じゃないぞ?」

港湾棲姫「お願い・・・夕方には・・・迎えにくる」

提督「夕方までだからな」

南方棲戦姫「提督さん・・・?デザートはまだ・・・?」

提督「お前もお前で飯だけ集りに来るな!皿ぐらい洗っていけ」

提督「まったく・・・」

三日月「司令官!!護衛要塞達が猫に転がされてます!!」

提督「ああそれは・・・」

南方棲戦姫「遊んでるだけだから・・・」

三日月「えっ!?」
今回のSSはこの辺で

長くなりましたが終わりです
これで完結
K鎮守府の子達は朝潮を筆頭に元気を取り戻しました
続きはないです
オチにインパクトが足りない(確信)

前作

Верный「あの人が一切、私に手を出してこない」 【艦これ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396454238/

元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409762782/

-金剛, 青葉, 衣笠, 鈴谷, 三日月, 望月,