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【艦これ・大井】阿武隈「ええ!?あたしが旗艦!?」【北上SS】

2017/02/08

元ネタの史実がありますが、史実を忠実に再現したわけではございませんので、ご了承ください

―ある海域にて―

阿武隈「敵艦隊発見! 阿武隈、ご期待に応えます!」

北上「そんじゃ、まずは私から行くよー」

大井「ちょ、ちょっと!! アンタどこ見て……」

阿武隈「やぁー!!」

ドンッ!!

北上「痛っ!!」

阿武隈「きゃあっ!!」
大井「な、何やってんのよ……もうっ! 砲雷撃戦、用意! ほら、駆逐艦! ボーっとしないで早く撃つ!!」

潮「は、はいっ!!」

夕立「了解!」

響「やるさ」

大井「てりゃあ!!」

イ級「グゴオオオオ!!」

潮「撃ちます!!」

響「撃つ」
北上「いててて……阿武隈、大丈夫?」

阿武隈「……うっ……いたたた……」

北上「……あちゃ、ちょいとダメそうだね……」

ロ級「グゴオオオオ……」

大井「はぁ、ちょっと厄介そうなのが残ったわね」

北上「大井っち」

大井「あ、北上さぁん! もう大丈夫なんですか!?」
北上「うん、私はあんまりダメージない。ぶつかった本人がちょっとアレってだけ。そんじゃ、いっちょやりますか」

大井「ええ!」

北上「撃つよ、皆! 雷撃ィ!!」

ズドオオオン

ロ級「ゴガアアアアア……!!」

北上「ふぅ……なんとかなったねぇ」
潮「あの、北上さん、けがは?」

北上「私? 私はまあ大丈夫。それより……ちょっと阿武隈連れて撤退しよっか?」

阿武隈「う、うぅ……」

響「私がやろう」

夕立「はい、あたし! 夕立も手伝うっぽい!」

北上「オーケー。とりあえず阿武隈は2人に任せるね……大井っち、潮は私の後ろにつきながら撤退ね。陣形崩さないよう、慎重に帰りましょー」

大井「……北上さんがそう言うなら」

潮「わかりました!」
―鎮守府―

北上「提督、戻ったよー」

提督「おお、第一艦隊か。思っていたより早かったな」

北上「ん、ちょっとアクシデント起きちゃってねぇ……」

提督「アクシデント……?」
夕立「結構阿武隈がやばいっぽい……助けてあげてね、提督!」

響「提督、彼女を頼んだ」

提督「……阿武隈!?」

北上「この子初戦で張り切りすぎちゃってさ、私と結構ガチな衝突しちゃって……あはは」

提督「北上の方は大丈夫なのか?」
北上「んー、大丈夫……と言いたいところだけどそうでもないみたい。情けない話だよね」

大井「そんな事……北上さんは悪くないですよ。全部悪いのはこの旗艦の指示を待たなかったこの軽巡洋艦で……」

北上「大井っち」

大井「あ……ご、ごめんなさい」

提督「なんにせよ、誰も沈んだ子がいなくてよかった。ひとまず北上も入渠しておけ」

北上「はいはーい」
潮「あ、阿武隈さん……大丈夫かなぁ?」

響「私達が心配してもどうしようもない。ここは見守るべきだろう」

夕立「とりあえず疲れちゃったし、部屋に戻って休みた~い」

提督「ああ、そうしてくれて構わないぞ」

夕立「やったぁー! 久しぶりのお休みだねー! 何かして遊びましょ?」

潮「少しお部屋の整理をしようかな?」

響「次の戦いに備えて、武器を磨いておこう」

夕立「……あれ? 誰も遊ばないっぽい?」

提督「あははっ、程よく休憩しておけよー」

大井「…………」
提督「ん、どうした大井? お前も一旦戻っていいぞ?」

大井「…………提督はちょっと優しすぎやしませんか?」

提督「……え?」

大井「あの軽巡洋艦、提督は期待してるみたいですけど……私は提督が阿武隈を買う理由が分かりません。せいぜい第二艦隊くらいで遠征をしておいて、こっちに重巡を増やしたりした方がいいかと思ったんですが」

提督「……確かにそうした方が、戦力的には問題なくなるわな」

大井「でしょ? わかってるならなんで……」
提督「阿武隈はいずれ大事になってくる。そんな気がしてるんだ。多分北上も、阿武隈がいることには賛成だろうし、疑問は持ってないんじゃないか?」

大井「……ふーん、まあ、北上さんがいいなら私はそれでいいんですけどね」

提督「そうか、じゃあ部屋に戻りなさい」

大井「……はーい。失礼します」
―入渠地―

北上「ふぁー、極楽極楽っと」

阿武隈「う……んっ……ひっ!?」

北上「あ、阿武隈やっと起きたね。大丈夫?」

阿武隈「え、ええと……あの、そのぉ……」

阿武隈(さっきはすみませんでしたって……なんで言えないのかなぁ……?)
北上「まあ大丈夫じゃないか。大丈夫だったらここにいないもんね~、あははっ」

阿武隈(……え? なんでこの人、笑ってるの?)

北上「何はともあれさ。ハリキリすぎちゃうのも問題だから、もうちょっと落ち着いて行動しなよ?」

阿武隈「え、えっと……はいっ」

北上「こういうの柄じゃないんだけどさ……一応旗艦だし、言っておかなくちゃなぁって思ってたんだよね」

阿武隈「あ、あのぉ……怒ってないんですか?」
北上「へ? 何を?」

阿武隈「だ、だからその……あたしがぶつかった事?」

北上「ああ、あれ? え、なんで怒る必要があるの?」

阿武隈(……え?)

北上「うーん、よくわかんないけど、私は全然気にしてないから、そこんとこよろしくね」

阿武隈「あ、ええと……はい」
北上「もうなんだよぉ、そんな私を怖がらないでってば」

阿武隈「ひゃあ!? あ、頭撫でないでください! 前髪崩れちゃいますし……」

北上「……あ、そう? ごめんね」

ピーッ

北上「よしっ、体力全回復って感じだね。先にあがるねー」

阿武隈「…………は、はあ……」

阿武隈(……なに、あの人。今は怒らずに恩を売って、それを別の形であたしに返させようってワケ? ……素直に怒ってくれた方がよっぽど怖くないし……)

阿武隈「はぁ……」
―鎮守府 艦娘たちの部屋―

阿武隈「も、戻りましたぁ~」

潮「あ、阿武隈さん! 大丈夫ですか!?」

阿武隈「う、うん……もう大丈夫」

大井「……」ゴゴゴゴ

阿武隈(うわぁ……)
大井「ちっ……まあ北上さんが軽傷だったからよかったものの、今度からああいう勝手な行動は控えなさいよ?」

阿武隈「は、はい……すみません」

大井「すみませんじゃないでしょ? もしアレでぶつかったのが北上さんじゃなくて他の駆逐艦とかだったら、アンタがぶつかっただけで大破しちゃってたのかもしれないんだよ?」

阿武隈「う、うぅ……」

大井「張り切りすぎて回りが見渡せなくなるっつったって、もっとちゃんとしてくれないと……防衛線は私達の命がかかってるんだから、分かる?」

潮「あ、あのっ! あ、あまり阿武隈さんを責めないであげてほしいかなぁって……思うんですけど」

大井「……っ! ったく……まあ次は気をつけなさいよ」

阿武隈(潮ちゃん、ありがとう……。そしてこの人……北上さんの事すごく信頼してる……ということはきっとこの人、あたしの事……恨んでるに違いない……)
夕立「阿武隈ちゃーん! 遊び相手いなくて退屈してたんだよー!」

阿武隈「え? でも大井さんは暇そうだよ?」

夕立「さっきオセロやってたんだけど、全面黒にされた」

阿武隈「すごいね大井さん……」

大井「夕立が弱すぎるだけよ」

夕立「うん、あたし頭使うゲームは無理っぽい!」

響「自信満々で言われると、逆にすがすがしいものだな」

夕立「ひどい!」
潮「うふふふっ」

阿武隈(皆楽しそうだなぁ……あたしはとてもじゃないけどそんな気分にはなれないや)

阿武隈「あれ? そういえば北上さんは?」

大井「北上さんよ! 「が」じゃなくて「か」!!」

阿武隈「ご、ごめんなさぁい!」

大井「北上さんは焼き芋買いに行ったわよ」

阿武隈(え、嘘……本当にあたしとぶつかった事、気にしてないのかな?)

大井「それがどうかしたの?」

阿武隈「ああ、いえ!! えっと、大井さんは何をして……?」
大井「機材の準備。それから、北上さんのためにカレーをね」

阿武隈(北上さん……愛されてるなぁ……あたしはそんな人と衝突しちゃったのか……でも)

阿武隈「……やっぱり苦手です」

大井「ん? 何か言った?」

阿武隈「い、いえ! 何でも……」

大井「……先が思いやられるわ。本当は重巡とかが入ってくるはずなんだけど、今の第一艦隊はお気楽ね。割と簡単な防衛戦でさえ、よりにもよって軽巡があんな感じだし」

阿武隈「はうっ」

大井「……まあ北上さんがいいならいいんだけどね」

阿武隈(こ、この人も……苦手かも)
―翌日 鎮守府―

提督「潮、夕立。今日は第二艦隊に行ってくれ」

潮「あのっ、今日は何をするんですか?」

提督「このドラム缶に積んだ燃料を、K島まで届けてもらうぞ」

夕立「えー!? 重たそうだよそれ……? あたしより提督が持った方がいいんじゃない?」

提督「仕方ないだろ? 俺だって行ければ行ってるし」
響「提督の命令ならば、仕方あるまい」

島風「提督ー! 私は?」

提督「護衛軍として、高雄と愛宕が先に出てるからな。支度をしたら行ってくれ」

2人「はいっ!」

島風「提督提督! 私は?」

提督「島風は待機!」
島風「えー? 私昨日も待ってただけだったよ? 早く出撃したいのにぃ……」

提督「そう言わずに待っててくれよ、な?」

島風「……はーい」

提督「北上、大井は引き続き、最前線での指揮を頼むぞ」

北上「あいよ」

大井「はいっ、分かりました!」

提督「今夜は夜戦になりそうだ……雷巡北上、大井、駆逐艦は五月雨、軽巡に川内、重巡に衣笠で戦ってもらう」

北上「あれ、空母と戦艦は? 必要ないの?」
提督「別の任務に向かっていてな……最近は空襲が多いから、その防衛に行ってもらっているんだ」

大井「皆大変なんですね……」

阿武隈「て、提督! あ、あたしは?」

提督「今日は休め」

阿武隈「そんなぁ! ご期待に添えれませんでした?」

提督「そうじゃないんだ。今は少し、ここに残る艦が欲しい」

阿武隈「……え?」

響「私も待機だな?」

提督「ああ、頼んだぞ!」
響「もう少し磨ける武器がないか……探しておこう」

提督「それじゃあ皆、出発!」

北上「はーい」

阿武隈(ああ……あたし、二番艦隊にさえ入ることができなかった……もしかしてあたし、提督に見放されちゃった? あんな……あんなことしちゃったし……)

提督「さてと……じゃあ残った3艦は、そのまま部屋に戻ってトレーニングをよろしくな」

阿武隈「……は、はいっ」

響「了解」

島風「提督の意地悪ぅ!」
提督「そう言うんじゃないよ、な?」

阿武隈(島風ちゃんは速いし、響ちゃんは寡黙だけどすごく強い……あたしは昨日の前線でも、ただ仲間にぶつかっただけだったし……)

(大井「すみませんじゃないでしょ? もしアレでぶつかったのが北上さんじゃなくて他の駆逐艦とかだったら、アンタがぶつかっただけで大破しちゃってたのかもしれないんだよ?」

阿武隈「う、うぅ……」

大井「張り切りすぎて回りが見渡せなくなるっつったって、もっとちゃんとしてくれないと……防衛線は私達の命がかかってるんだから、分かる?」)

阿武隈「……ぐすん」

島風「あれ? 阿武隈? どうして泣くの?」

響「多分、昨日の事。あまり気にしないでいいだろう」

島風「……なーんか仲間外れにされてる感じ」
―夜 ある海域―

衣笠「夜戦だね……皆用意はいい?」

五月雨「はい! 一生懸命、頑張ります!」

北上「うへぇ、早く修理したい……」

川内「そう言ってる場合じゃないって。夜は長いよ?」

大井「北上さんは貴方と違って疲れてるのよ、この夜戦バカ……」

川内「や、夜戦バカ!?」

衣笠「はいはいそこまで! 衣笠さんも頑張るから、皆ももうひと踏ん張り! やるよ!」
―翌日 鎮守府―

提督「……そろそろか」

北上「た、只今戻りましたぁ~……」

提督「おう、お疲れ~ってやっぱり大分消耗してるみたいだな。妖精さんに補給を頼もう」

妖精「!」ビッ

衣笠「とりあえず撃沈だけは避けたよ。まあ、戦術的勝利ってところかな?」

提督「よし、十分だ。よく戻ってきてくれた、入渠地で休んでてくれ」

大井「そうさせてもらいます……はぁ」

ドタッ

提督「……!?」

愛宕「はぁ……はぁ……愛宕、帰還しましたぁ」

高雄「た、高雄……戻りました……」

提督「お、お前たちボロボロじゃないか……遠征中に何があった!?」

高雄「無事にK島に輸送した直後……突然大量の深海棲艦が……油断してました」

川内「え? それってつまりどういうこと?」

愛宕「戦闘を行っても、4艦じゃ勝つのは難しいって判断した私達は、迎撃せず撤退することにしたの」

高雄「命からがら逃げてきたはいいものの……燃料がもう残っていません……」
五月雨「あ、あのっ! その……さっきから一緒に行った、夕立ちゃんたちが見えないんですけど……」

高雄「……くっ」

提督「……何かあったんだな?」

愛宕「……駆逐ちゃんたちは……行方が分からなくなってしまったの……」

五月雨「そ、んな……」
提督「行方が分からない……どういう意味だ?」

高雄「沈没している可能性もありますが……救出できる可能性も大いにあります」

愛宕「どちらにせよもう私達は体力を使い果たしちゃって……援軍を頼もうと思ったのよ」

提督「……なるほどね」

阿武隈(まさか提督は……これを予測してあたし達を……?)

島風「て、提督! ここは私の出番だよね!?」

響「すぐにでも助けに行きたい。夕立、潮とは……何度も共に戦った」

提督「分かってるさ。俺だってすぐに行きたい。でもこういう時こそ慎重に行動しよう」

島風「? どういうこと?」
提督「考えてもみろ。どちらにせよ2人が戦闘中なら、まだ深海棲艦が残っている可能性が非常に高い。愛宕と高雄がボロボロなんだ。この3人で行くとなれば、十分全滅もあり得る」

阿武隈「ぜ、全滅……!!」

提督「そこでだ。K島は霧が濃い。そこに隠れて敵の目に入ることを避けつつ、安否を確認し救出を試みてくれ。頼めるか?」

響「任せてくれ」

島風「私はどうすればいいの?」

提督「島風に電探を渡すから、これでフルスロットルで救助をしに行ってくれ。それから……」

響「私は?」

提督「響と阿武隈に煙幕弾を用意しておく。煙で相手をかく乱させ、視界に入らないように努めつつ、2艦の救助を目指してくれ」

響「了解」
阿武隈「あ、あの! 旗艦は誰が……?」

提督「……阿武隈しかいないだろう」

阿武隈「ええ!? あたしが旗艦!?」

提督「期待してるぞ、阿武隈」

阿武隈「わ、分かりました……やってみます!」
提督「とにかく、すぐに3人は準備を、残りの傷ついた艦達は後でK島に援軍として行かせる。援軍が来るまでは、撤退することだけを考えろ!」

阿武隈「はいっ!」

衣笠「了解。それじゃあ休ませてもらうね。愛宕、高雄、大丈夫?」

高雄「くっ……私は、私はあの子達を守れなかった……!」

愛宕「高雄だけのせいじゃないって言ってるでしょ? それに今はこうするしかなかったんだから……ね?」

高雄「そうは言っても……」
川内「なんにせよ、今私達がすることは休息、か。五月雨、大丈夫?」

五月雨「修理が終わったら……すぐにでも二人の元へ行かなくちゃですよね」

響「五月雨、大丈夫だ……それまでは私が何とかする」

島風「私もいるからね! だから大丈夫!」

五月雨「はい……! 私、夕立ちゃんと潮ちゃんの事……無事って信じます!」

阿武隈(あたしが旗艦……提督はあたしに期待してくれてる……今度こそ……絶対うまく行くようにしなくちゃ! ……潮ちゃんと夕立ちゃんの命もかかわってくるしね……)
北上「阿武隈……」

大井「北上さん? ドック行きましょ?」

北上「うん、分かってる」

北上「…………」
―K島周辺―

夕立「こ、こんな大量の軍勢の中で、戦って生き残るなんて無理っぽいー!!」

潮「霧が深くなっちゃいました……どっちが北か、まったくわかりません!」

夕立「ねぇ潮ちゃん! あたし達ここで死ぬの!?」

潮「分かりません!!!」

夕立「だ、だってだって! アタゴンも高雄さんももういないし……おいてかれたっぽいー!!」

潮「きっと援軍を呼んでくれたんです! もう少し頑張れば……お友達がいっぱい来てくれます!」

イ級「グオオオオオオオオ……!!」
夕立「でも、もうあたしは燃料尽きそうだよ……?」

潮「私も、ですね……もってあと2時間……でしょうか……」

夕立「でも、駆逐艦にできることは……」

潮「少ない燃料で攻撃を避けまくること!!」

夕立「これ以上の被弾を避けて、戦い続ければ……よしっ! 行くわよ!」

潮「はいっ!!」
―海域―

阿武隈「大丈夫? 落ち着いてね……?」

響「響は平気だ。島風も必死になって探してくれてる」

島風「それにしても霧が濃いねぇ。気を付けないとどっちが北とか分かんなくなりそう……」

阿武隈「そのために持ってきたんじゃない! 羅針盤!」

島風「うん! そうだよね!」

響「アスタローシュナ……」

島風「え? なんて?」
響「気をつけろ……かなりの数の気配がする……10や20なんてものじゃない……それこそ、何百って数だ……」

阿武隈「な、何百……!?」

阿武隈(そんなの、何人いようと弾薬尽きちゃうじゃない……)

イ級「ゴアアアアアアア!!!」

響「そろそろこいつを使うか……煙幕弾!」

島風「よしっ! 煙の中に入っていきながら、深い霧の所を目指すよ!!」

阿武隈(……うん、行ける……提督、見ててくださいね! あたし、絶対できますから!)

島風「発見!! 全速力で向かうよ!」
潮「……あ、阿武隈さん!! 響ちゃん、島風ちゃん!」

島風「大丈夫!?」

夕立「よ、よかったぁ……とりあえず助かったっぽい!」

響「高雄と愛宕から聞いた。どうやらはぐれたようだな。無事でよかった……本当に、良かった……」

阿武隈「感傷に浸ってる場合じゃないよ! 目標は撤退すること!」

島風「分かってるって! このまま帰るよ!」

潮「あの、お世話になります」

響「燃料がすべてなくなると危険だ。ペットボトルを使え」

夕立「サンキューね!」

潮「……ぷはっ、生き返りました!」
阿武隈「それじゃあ、急いで撤退を……」

イ級「グオオオオオ!!」

ズドンッ!!

島風「うぐっ……!! いたたた……」

阿武隈「……え?」

響「くっ、だめだ……いつの間にか霧が晴れてる……」

夕立「か、囲まれちゃってるっぽい……」

阿武隈「う……そ……」
(提督「どちらにせよ2人が戦闘中なら、まだ深海棲艦が残っている可能性が非常に高い。愛宕と高雄がボロボロなんだ。この3人で行くとなれば、十分全滅もあり得る」

全滅……全滅もあり得る…… )

島風「に、逃げなきゃ! 煙幕は!?」

響「いや、霧がないとむしろそれは……そこにいると伝えるような愚行」

阿武隈「でも、撤退するしかない……あたし達5艦で数百の駆逐を相手に戦える!?」

潮「む、無理ですよぉ!!」

阿武隈「それなら、航路を空けるための最低限の敵艦をやっつけて進むしかない!!」

響「了解。武器の用意はしてある」

島風「旗艦のいう事なんだし、間違いないよね!」
潮「わ、分かりました……あまり自信はないですが……」

夕立「よっし……やるわよ!!」

ズドンッ! ズドンッ!

イ級「グゴオオオオオオ……!!」

阿武隈「右から来る! 避けて!!」

響「はっ……!」

阿武隈「あたしだって軽巡洋艦だもん!! やれるわ!!」

ズガンッ!!

イ級「グギアアアアアア!!」

阿武隈「走って!!」
ダッ……!

潮「ひ、ひやああああああ!!」

島風「弾丸の嵐ってこういうのだよね! でも弾丸より速く走れば問題ないよ!」

夕立「それはちょっと、夕立には無理っぽい~!!」

阿武隈(よし、これならいける……大丈夫、あたしならできる……そう、あたしなら……)

(提督「考えてもみろ。どちらにせよ2人が戦闘中なら、まだ深海棲艦が残っている可能性が非常に高い。愛宕と高雄がボロボロなんだ。この3人で行くとなれば、十分全滅もあり得る」

阿武隈「ぜ、全滅……!!」)

阿武隈(大丈夫……もう全滅なんてありえない……援軍は必要ないですよ! 提督!)

ズドオオオオオン!!

阿武隈「って……え?」

重巡リ級「…………」

阿武隈「な、なんで……なんでこんなところに重巡洋艦まで……!?」

潮「い、今のは威嚇……次、まだ来ますよ!」

夕立「こんなのまで来るなんて想定外だって! しかも……これも多い……!!」

響「重巡6艦……私達では辛い相手だな」

島風「で、でも、もたもたしてると後ろから来ちゃうよ!!」

阿武隈(あ、ああ……どうすればいいの……? どうしよう……どうしようどうしようどうしよう!)

(提督「十分全滅もあり得る」)

阿武隈(全滅しちゃう……あたし達、このまま……全滅……!? そうしたら、あたしは……ダメ艦って提督に思われたまま、沈んでいくの……?)
阿武隈「い、いやだ……いやだよぉ……」

潮「阿武隈さん!! 魚雷来てます!!」

阿武隈「……え?」

ズガンッ!!

阿武隈「きゃあっ!?」

響「外してくれて助かったな……まだ来るぞ!!」

阿武隈(だめ……弱気になってちゃだめよ、あたし! 今はこの子たちを生き残らせる方法を考えないと!!)

阿武隈「下がって、皆!!」
阿武隈「下がって、皆!!」

夕立「あ、阿武隈ちゃん?」

阿武隈「あたし達じゃムリ……でも、大丈夫。あなた達だけは何としてでも撤退させてみせる」

響「それは……どういうことだ?」

阿武隈「あたしが砲雷撃戦を向こうにしかける。そして注目を浴びてる間に、この煙幕弾を使うわ……そしたら気づかれないように、すぐに逃げて」

潮「え? ……そ、それって……!?」

阿武隈「ここであたしが皆を全滅させたらダメなの! あたしは死んだっていいから……あなた達は全力で撤退して……燃料はあるでしょ?」

夕立「そ、それは……大丈夫だけど、でも!」
響「分かった」

島風「ひ、響!? いいの? そんな事言っちゃって……」

響「そうするしか……ないんだろう。旗艦の言う事だからな」

島風「……阿武隈……絶対、絶対帰ってきてよね!!」

阿武隈「うん、ありがとう……あたしは大丈夫だよ!」

阿武隈(なんて……体はこんなに震えてるのにね)

阿武隈「……阿武隈!! 砲雷撃戦用意!!」
リ級「……っ!!」

阿武隈「魚雷発射!!」

リ級「…………!!」

ズドンッ!!!

阿武隈(今よ……!!)

阿武隈「煙幕弾……!」

リ級「???」

阿武隈「皆! すぐに!」

駆逐艦「はい!!」
リ級「……? ……?」

リ級「……」ニィッ

阿武隈(え? 今、こっち見て……笑った?)

ズドンッ!!

阿武隈(う、嘘……!? やだ……そんな……!?)

潮「がっ……あっ……」

夕立「あ、ああ……潮ちゃあん!!」
阿武隈(……撃ったのは、あたしのいる前方じゃない……皆が逃げた……後方だ……)

阿武隈「し、失敗……?」

阿武隈(あたしを助けてくれた……潮ちゃんは何度も何度も、あたしを助けてくれたのに……あたしの作戦で……潮ちゃんを沈めてしまうの……?)

阿武隈「い、いや……そんなのいや!!」

阿武隈「あたしの命に代えてでも……皆を守り抜くんだからぁ!!」

「砲雷撃戦、開始!! 酸素魚雷、いっくよー!!」

ドゴオオオオオオン!!

リ級「……クッ……カハッ」

阿武隈「……え?」

北上「ふぅ~、間一髪ってところだねぇ。阿武隈ー! よくやったよ! 後は重雷装巡洋艦の、すーぱー北上さまにお任せだよ」

大井「アンタ、なかなかやる子だったのね。ちょっと見直したわよー」

阿武隈「お、大井さん……き、北上さん……?」

潮「み、皆さん……? 来てくれたんですか?」

北上「うん、まあ阿武隈が任されたことだったし、来るのはあんまり気が進まなかったんだけどねぇ。でも、ちょっとやばい気がしてさ」

阿武隈「うぅ……き、ぎだがみざぁん!!」

大井「だからきた「か」みさんだっての!!」
北上「泣いてる場合じゃないよ? 残りの5艦も、全員やっつける。もちろん、後ろの奴らが来る前にね」

阿武隈「は、はいっ!!」

大井「あと、援軍は私達だけじゃないわ」

阿武隈「……え?」

高雄「高雄、出撃します!」

愛宕「愛宕、抜錨しま~す!」

衣笠「衣笠さんにお任せってね!」

川内「よーっし! 行くよ!!」

五月雨「夕立ちゃん、潮ちゃん、皆! 大丈夫!? もう大丈夫だからね!」

阿武隈「み、皆……!!」

島風「す、すごい……これだけいれば、アイツらもぼこぼこにできるね!」

響「私達も加勢しよう」

夕立「潮ちゃんはあたしが見とくね!」

潮「あ、ありがとうございます……申し訳ないです……」

北上「これで全員かな? さぁて……すーぱー水雷戦隊……暴れまくりますかぁ!!」

「「「おー!!」」」
―鎮守府前海上―

北上「……ふぅー。まあここまで逃げてくれば安心よねぇ」

阿武隈「あ、あの……ありがとうございました!」

大井「本当よ、北上さんに感謝しなさい? 自分の生き血をすべて捧げてもいいくらいよ」

阿武隈「ひっ!?」

北上「怖がらせてどうすんのさ大井っちぃ……まあ、無事で何よりだよ。大破者は出たけど……生き延びてるんだからね」

阿武隈「そう……ですよね」

北上「だから阿武隈の事を褒めてあげよう……と思ってたけど、やっぱ叱る」

阿武隈「ありがとうございま……え?」
北上「自分の命を投げ出そうとしたこと……怒ってますよ?」

阿武隈「あ……あう……」

大井「……まあ、その気持ちは分からなくはないんだけどね? 撤退作戦って、生き残ってる人数が多ければいいとか、救出できればいいとかじゃなくて……全員が帰ってきて初めて成功、だから……」

北上「なんか、自分の命に代えてでもー、みたいなこと叫んでたでしょ? 自分を大事にしてないってとこがマイナスポイントかな」

阿武隈「……き、北上さん、その……」

大井「だーかーらぁ……」

北上「もうがみでもかみでもなんでもいいよ……で、どうしたの? 阿武隈?」
阿武隈「……あたし、頑張りました……よね?」

北上「…………うん、誇っていいよ。自分が皆を連れて帰ってきたって事」

阿武隈「……! はいっ!」

阿武隈(ちょっとだけ、北上さんの事、好きになれたかもしれない……!)
―数日後 北上の部屋―

大井「北上さぁん! カレー、作りすぎちゃったんですけどぉ、食べますぅ?」

北上「え、カレーかぁ……今日はお昼もカレーだったなぁ……まあいっか。こんな日もあるよね」

大井「本当!? ふふ、嬉しい!」

阿武隈(えーっと、この書類を北上さんの所に届ければ、あたしのお仕事は終了なんだよね?)

北上「うん、おいしいね」

北上(ちょっと変な味するけど)
大井「え!? 本当ですか!? ふふっ、うふふふふっ……」

北上「……あら、お水切らしちゃったよ」

大井「……わ、私のお水使います?」

北上「あー、いや……普通に給水器から持ってきます……っと」

大井「あっ! 北上さん危ない!!」

北上「え? うわっ!」

ガチャッ

阿武隈「北上さんに書類が届いてま」

ブチィッ!!

阿武隈「ひやぁ!!」
大井「大丈夫ですか北上さん!?」

北上「……あいたたたたた……まさか自分でおいてた段ボールに自分でつまずいちゃうなんてね……ん? なにこれ……髪留め? あちゃ、切れちゃってるじゃん」

阿武隈「……ぐすっ」

北上「あ……阿武隈」

阿武隈「この髪……セットするのに時間かかるのにぃ……!! やっぱり北上さん、苦手ですぅ!!」

ダダッ!

北上「あ、ちょ、待ってよ阿武隈!」

阿武隈「来ないでくださーい!!」
大井「…………ケッ、何よ……」

カレー「」

大井「……北上さんの、お皿に残ってるカレー……」

大井「……」ペロッ

大井「……んふふ、二重の意味でおいしい……♪」

―END―
というわけで終了です。

最終的に元ネタの史実とは全く関係ない感じになっちゃいましたね。

艦これ始めて5日くらい、北上さんにドハマりして、SS書きたいと思って書いたら、なぜか阿武隈が主人公になってました。艦娘を動かすのって難しいですね。

次は北上さんメインに据えて、もう少しゆったりしたものをやりたいですね。

見てくださった方はありがとうございました。

元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418093767/

-高雄, 北上, 大井, 阿武隈, , , 夕立, 島風