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北上 望月

【艦これSS】北上「望月を膝の上に乗せ続けるとどうなるか」

2016/12/26

~北上の部屋~
望月「んぁー、今日もだっるいなあ……」ダラーン

北上「暇だねえ……トランプでもする~?」ノビー

望月「えー、起き上がるのメンドいからいいよ……」グッタリ

北上「んじゃ、ゴロゴロしとけばいいんじゃない~?」ゴローン

望月「だねぇ……」ダラダラ

北上「……」ゴロゴロ

望月「……」ダラダラ
望月「北上さーん」

北上「はいよー」

望月「何か話そうぜぇ」

北上「だるいんじゃないの?」

望月「んー、そうなんだけどさぁ、ゴロゴロするのも飽きたんだよねぇ」

望月「何か暇つぶしにしようぜ、身体動かさずにできる事がいい~」

北上「うっわー、やっぱ駆逐艦うざいわ」

望月「そう言わずにさ~」

北上「はいはい、じゃあ……んー……」

望月「はよ」

北上「じゃ、結婚でもしましょうかねえ」
望月「お、いいねぇ~」

北上「でしょー、伊達に重雷装艦やってないからねえ」

望月「じゃ、新婚旅行どこ行くんさ」

北上「そこは望月が決めなよ」

望月「あー、悩むなあ」ゴロゴロ

北上「はよ」

望月「んー……じゃ、ほら、あそこにしよっか」

北上「あそこ?」

望月「ほら、あそこ、そこそこ」

北上「そこって……押入れじゃん」

望月「イイとこだぜぇ、ひんやりしてて」

北上「近いし狭いって」

望月「うっひっひっ」

望月「んぁー、しまったなあ……」

北上「んー?」

望月「お菓子無くなったぁ」

北上「え、死活問題じゃん、死ぬの?」

望月「マジかよぉ……そだ、北上さん、取って来てよ」

北上「は?嫌だけど」

望月「結婚してあげるからさぁ、ね?」

北上「絶対やだね」

望月「うっわぁ……きっついなあ……」グデーン

望月「と言うかさ、大井さんはどうしたんよ、食べ物探しに行ったまま戻ってこないんだけど」

北上「戻ってこないねえ、大井っち……何時間くらいたったっけ?1時間?」

望月「あたしの腹時計だと、もう3日くらい経ってるよぉ」

北上「何処で油売ってるんだろうねえ……」

望月「もー、ノド乾いたお腹すいたお菓子たべたいよぉ」ゴロゴロ
望月「あ……」ピタッ

北上「今度は何さ」

望月「……」

北上「望月?」

望月「……お」

北上「え?」

望月「……おしっこしてぇ」

北上「子供かあんたは……いや、子供か」

望月「あー、おしっこしたいおしっこー」ゴロゴロ

北上「はいはい」

望月「……けど、動きたくないわぁ」

北上「え、漏らす気?」

望月「そんな訳ないっしょ……」

望月「はぁー、起き上がりたくないなあ……」ムクリ
北上「うわあ、私、望月が立ってるところ久しぶりに見たわ」

望月「うー……」フラフラ

北上「髪めちゃくちゃじゃん」

望月「別にいいって、誰かに見られて困るわけではないしさぁ」

北上「ま、そうだけどね~」

望月「あー、腰痛い……」フラフラ

望月「ほら、北上さん」ゲシゲシ

北上「蹴んないでよ」

望月「起きろー、行くよー」ゲシゲシゲシ

北上「あー、もー、判ったから蹴るなってば……」ムクリ
~廊下~

望月「うっわ……暗っ……」

北上「そりゃ、夜だしねえ」スタスタ

望月「ちょ、北上さん先に行くなよぉ……」トテトテ

北上「早くしないと望月、漏らすからねー」

望月「漏らした事があるみたいな言い方すんなってば……一回もないからね?」

北上「そりゃ初耳だなあ」スタスタ

望月「だから北上さん歩くの速いってっ!」トテトテ

北上「しーっ……あんまり騒いでると川内達が飛び出してくるよ?」

望月「うう、それはやだねぇ……」
~廊下~

望月「うっわ……暗っ……」

北上「そりゃ、夜だしねえ」スタスタ

望月「ちょ、北上さん先に行くなよぉ……」トテトテ

北上「早くしないと望月が漏らすからねー」

望月「漏らした事があるみたいな言い方すんなってば……一回もないからね?」

北上「そりゃ初耳だなあ」スタスタ

望月「だから北上さん歩くの速いってっ!」トテトテ

北上「しーっ……あんまり騒いでると川内達が飛び出してくるよ?」

望月「うう、それはやだねぇ……」
北上「はい、トイレに到着~」

北上「次の発車時刻は1分後になりまーす」

望月「1分って早すぎっしょ……」キョロキョロ

北上「59,58,57……」

望月「は、早いってば……」キョロキョロ

北上「……望月さあ」

望月「んぁ?」

北上「そんなキョロキョロしなくても、中には何もいないって」

望月「はぁ~?そんなの判んないじゃん」

望月「もし何か居たらどうすんの?そんで、あたしが漏らしたら北上さん責任とれんの?」

北上「いや、とれないけどさあ……」

望月「でしょ?」

北上「ま、いいけどねぇ……ほら、ドア閉めるよ~」

望月「は?」

北上「え?」
望月「いやいやいや、何で扉閉めるのさ北上さん……開けといてよ」

北上「開けてたら望月が丸見えなんだけど」

望月「別にいいじゃん」

北上「は?何で私が駆逐艦のおしっこしてるシーン眺めないといけないのさ」

北上「てな訳で、扉閉めるよ~」

望月「うわあああっ!ま、待って!半分で!半分でいいからさ!北上さん頼むよぉ……!」

北上「あーもー、駆逐艦うざい……」
………………

…………

……
望月「んぁー、すっきりしたぁ……北上さんあんがとねぇ」

北上「手、荒いなよ」

望月「んー……」ジャブジャブ

北上「よろしい」

望月「んじゃ、部屋もどろっかぁ」

北上「いや、ここまで来たんだし、ついでに食堂寄ってかない?」

望月「おー、いいねぇ、お菓子と飲む物補充しとこっか」

北上「おっけ~」
~食堂~
望月「何か残ってるかねぇ、あたしとしてはチョコレートが食べたいんだけど……」

北上「……」

望月「んぁ?北上さんどったん?」

北上「しーっ……誰かいるみたい」

望月「まじか……」

ポリポリポリポリ

望月「ほんとだ……何か音がする……」

北上「ほら、食堂の端の方の椅子に誰か座ってる……」

望月「こっわ……こんな真っ暗なのに、何やってんだ」

北上「……」

望月「……」

北上「……」

望月「……」

北上「……あれ、赤城さんじゃない?」
赤城「……」ポリポリポリポリ
望月「あー、確かにあれは赤城さんっぽいねぇ……」コソコソ

北上「何かめっちゃ食べてる」コソコソ

望月「……」

北上「……」

望月「ねえ、北上さんさぁ」

北上「んー?」

望月「こっちからは赤城さんの後ろ姿しか見えないけど……あの人、どんな顔でアレ食べてんだろうね」

北上「そりゃ……」

望月「無表情で食べてるんだったら怖いよねぇ」

北上「確かに……」

望月「けど、満身の笑顔で食べてる場合も、あたしは怖いと思うわ」

北上「……だねぇ」

望月「どうする?ちょっとどんな顔で食べてるのか覗いてみる?」

北上「流石にそれは気が進まないなぁ……気づかれないうちに、部屋もどろっか」

望月「えー、おやつは~?」

北上「きっと大井っちがたくさん持ってきてくれるって」

望月「ほんとかよぉ……」
~北上の部屋~
望月「おおおお……懐かしの我が家だぁぁ……」ゴロン

北上「いや、私の部屋だってここ」

望月「かたいこと言いっこなしだって~、もう随分長い事ここで暮らしてるんだしさ?」ゴロゴロ

北上「はいはい……」

ドンドンドンドンッ

望月「……!」

北上「……!」

ドンドンドンドンドンドンドンドン!

望月「……北上さん、誰か来たみたいだよ」

北上「だねぇ……」

ドンドンドンドン!

望月「大井さんかなぁ」

北上「……かもね」

ドンドンドンドンドン!

望月「あー、もう、しつこいなぁ……」

北上「……」

望月「……」

北上「……」

望月「……」

北上「多分、大井っちだよ」

ドンドンドン!
望月「はぁぁぁぁ……もー、暫くは静かだったからもう大丈夫だと思ってたんだけどなぁ……」

北上「私もそう思ってたよ、けど仕方ないじゃん」

望月「あー、もー……やだなぁ、こう言うの……」

北上「ほら、望月は扉をしっかり持って」

望月「うー……」

北上「頼むよ望月、ここで泣き言いっても仕方ないんだしさ」

望月「わかったよぉ……力負けしてもしんないからね?」

北上「大丈夫、あとは私が何とかするから」

望月「……じゃ、扉開けるね」

北上「うん」

キィィィィィィィィィィ

大井「……」ユラリ

北上「……大井っち、お帰り~」

大井「……」ユラリ

北上「そしてさよなら」
ズドンッ!

望月「……ど、どうだった?」コソコソ

北上「んー、駄目だった、やっぱり大井っち噛まれてた」

望月「はぁ……そっかぁ……」

北上「……ごめんね、大井っち……けど、一発で頭撃ちぬいてあげたから、痛くはなかったでしょ?」

大井「……」

望月「北上さん、弾あと何発残ってるん?」

北上「んー、今ので使い果たした」

望月「あー、いよいよ終わりかねぇ……」

北上「食べる物もないしねえ」
望月「とりあえず、大井さんを廊下に出しとこっか?でないと扉閉めらんないし」

北上「だねぇ……」

大井「……」

北上「はい、大井っち失礼しますよっと……」ズルズル

望月「あたし足持つから~」

北上「あんがとね~」
ズルズルズル

北上「はぁ、これで良しと……」

望月「んー?」

北上「どったん?」

望月「何か……声が聞こえね?」

北上「……ほんとだ」
ヴヴヴヴヴー

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ー
望月「何かいっぱい声するんだけど」

北上「あー、そっか今の銃声で集まってきてるんだ……」

望月「えええー、けど、最近全然連中の姿見なかったよねぇ?」

北上「うん、さっき見た赤城さんくらいかな」

望月「うあああ……てっきり、もう安全なんだと思ってたじゃん、ぬかよろこびさせんなよぉ……」ハァ

北上「とりあえず、扉閉めて籠城しよっか」

望月「はいはい……」
ドンドンドンドンドン
ドンドンドンドンドン
ドンドン
ドンドンドンドンドンドンドンドン
北上「うわあ、めっちゃ扉叩いてる……何体いるんだろうねぇ」

望月「あー、もう音五月蠅くて寝られないじゃんか」ゴロゴロ

北上「この状況で寝ようとする望月も大したもんだね」

望月「あたしは死ぬ時は寝てる時に死にたいんだよ」

北上「私は死ぬ時は戦って死にたいかなあ」

望月「……」
バキッ
北上「あ、扉が壊されてるね」
望月「ありゃりゃ、こりゃあ扉持ちそうにないねえ」

北上「だねえ、持ってあと5分かな」

望月「どうしよっか?」

北上「どうって……」キョロキョロ

バキバキッ

望月「あー、やだやだ……そだ、布団の中に入っとく?」

北上「……いや、あそこに入ろうか」

望月「あそこって……押入れ?まあ、いいけどさぁ」
~押入れ~
望月「せまっ!」

北上「はいはい、文句言わないの……ほら、私の膝の上に乗る形にすれば何とかはいれるからさ」

望月「はぁ……こりゃ、とんだ新婚旅行だよ……」

北上「は?」

望月「いや、さっき言ってたじゃん」

北上「……ぶふっ」

望月「ちょ、北上さん噴き出すなよ、一応あたしら隠れてるんだからさぁ」

北上「い、いや、ごめん、ちょっとツボにはまって……ククククク……」

望月「もう、笑い事じゃないっしょ」
バキッ
バキバキバキッ
バキッ
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……

望月「うっわ、連中マジで扉壊して部屋に入ってきたよ」

北上「だねえ、まだここには気づいてないみたいだけど」

望月「はー、北上さんの膝の上で人生終わるのかぁ……流石にそんなこと予想してなかったねぇ……」

北上「私も駆逐艦をだっこして人生終わるとは思ってなかったよ」

望月「けど、まあ、そんな悪い気分じゃないよ、北上さんあったかいしさ」

北上「私は、望月がなんか骨ばってて痛いわ」

望月「なにい?」

北上「望月さ、ちょっと痩せすぎ、ちゃんと食べてる?駄目だよ、もっと肉付けないと」

望月「はっ、大きなお世話だっつーの、北上さんには迷惑かけてないっしょ」グリグリ

北上「痛いって、尻押し付けてくんな」

望月「おらぁぁっ」グリグリ

北上「わ、わかったから、もう言わないって」

望月「……よし、許したげるよ」

北上「あー、もう駆逐艦うざいわぁ……」
望月「北上さんさあ」

北上「んー」

望月「ウソ付かずに答えてほしいんだけど」

北上「なにさ」

望月「……」

北上「おーい、望月?」

望月「ほんとは、一人でなら逃げられたんじゃね?」

北上「……」

望月「連中は確かに厄介だよ」

望月「少しでも噛まれれば感染して、数時間後には確実に発症する」

望月「発症して、連中みたいな……ゾンビになる」

望月「気づいた時には鎮守府の大半の艦娘は連中の仲間になってて」

望月「大本営からの連絡も途絶えて兵站も機能しなくなった」

望月「弾も尽きて燃料も殆ど残ってない」
望月「けど……けど、それでも北上さん一人なら連中をすり抜けて、鎮守府を出て、外の海域に逃げ出す事が出来たんじゃね?」

北上「んー」

望月「ひょっとしてさ、あたしに気を使って残ってくれたんじゃないかって思ってるわけよ」

北上「いやあ、それはないよ」

望月「ほんとか~?」

北上「いや、真面目な話すると……確かに一人でなら脱出は出来たかも知んない」

北上「けどさ、外に出てどうすんの」

望月「どうすんのって……そりゃ、生き残りの艦娘達を探してさ」

北上「ほんとに生き残りなんているの?」

望月「そりゃ判んないけど……」

北上「だよね」
北上「大本営からの連絡が途絶えたってのはさ、ただ事じゃないんだよ」

北上「多分、この鎮守府だけじゃなくて……世界中で同じ事が起こってるんだと思う」

北上「だとしたら、ここを抜けて外に出ても状況はおんなじ」

北上「寧ろ、ここに籠って黙って連中をやり過ごした方が生き残る可能性が高いんじゃないかって、そう思ったんだ」

北上「だから私はこの部屋に籠ってた」

望月「……そっか」

北上「なになに?望月は自分の為に私がここに残ったって思ってたわけ?」

望月「い、いや、そういう可能性もあるんじゃないかって考えただけだって」

北上「うぬぼれが過ぎまちゅねこの駆逐艦、ん?ん?んんー?」

望月「変顔すんな……」
ヴヴヴヴヴヴヴ

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙

望月「んあー、連中、中々出て行かないねえ」

北上「寧ろ、数増えてない?」

望月「これはもう、ほんっとに駄目かもね……」

北上「はぁ……出来れば連中の仲間にはなりたくないんだけどなぁ……」

望月「……北上さん」

北上「んー?」

望月「実はさ、あたし良い物持ってるんだ」

北上「なになに?ゾンビ化を防ぐ特効薬とか?」

望月「まあ、似たようなもんだよ」
コロン

コロン
北上「弾丸じゃん」

望月「こんな事もあろうかと、2発だけ持っといたんだ」
北上「おお……これさえあれば」

北上「ガチャッ……望月、ドキューン……脳髄ドバァー……ガチャ、北上、ドキューン……脳髄ドバァー……」

望月「おおー、バッチリじゃん、いけるいける」

北上「いや、ごめん、望月はともかく自分の頭を撃ちぬくのとか無理……」

望月「は?」

北上「望月やってよ」

望月「あたしだって無理だってば、北上さんはともかく自分の頭撃つ時、絶対ビビって外しそう」

北上「いや、望月は見どころあるから絶対出来る、私が保証するからさ」

望月「あんたそれでも重雷装艦か」

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙
ヴヴヴヴヴヴヴ

北上「ま、あれだね、ゾンビ達がこの押し入れの扉を破ろうとした時まで、この弾丸は置いとこっか」

望月「あー、だねえ、もしかしたら連中、あたしらを見つける前に突然全滅するかも知んないし」

北上「どんな理由で全滅すんのさ」

望月「んなもんあたしが知るわけないじゃん、けど」

望月「けど、連中が発生した原因が不明なんだからさ、だから同じように何だか判んない理由でゾンビが全滅する可能性もあると思うんだよ、あたしは」

北上「気楽だねえ、望月は」

望月「いやいや、北上さんこそ気楽そうにしてるじゃん」

北上「……まあねえ」

望月「あたしは北上さんが一緒にいてくれて、良かったと思ってるよ」

望月「最後の瞬間まで気楽な雰囲気でいられるからさ」
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙
ドンドン
ガタガタガタ

北上「ありゃ、とうとう気づかれたみたい」

望月「小声だったけど、色々喋ってたからねえ」

北上「……じゃ、どうする望月」

望月「あたしは、もういいや」

望月「最後に、艦娘らしくいっぱいお話しできたし」

望月「北上さんあったかいし、多分、安心していけると思う」

北上「そっか」

望月「ごめんねえ、最後にめんどくさい役目、負わせちゃってさ」

北上「ま、私の方が年上だからね」

望月「……ほんと、楽しかったよ、北上さん」

北上「……うん」

望月「ばいばい」

北上「……さよなら、望月」

ドキュン

望月「……」

北上「はぁ……」

望月「……」

北上「とうとう一人になっちゃったなあ……」

望月「……」

ドンドンドンドン

ガタガタガタ

バキッ

北上「望月もさ、あったかかったよ」

北上「あったかくて、安心できた」

北上「守らなきゃって思えた」

北上「だから、大井っちが連中の仲間になっちゃってた時も、気丈にふるまえた」

北上「けど……けど……」

北上「……」

北上「けど、もう望月もいない」
北上「出来るかな……私一人でも、出来るから……」

北上「ちゃんと、頭を狙って……」

北上「引き金に、指を……」

ガチガチガチガチ

北上「ゆ、指を……」

北上「……」

北上「……」

北上「……」

北上「……」

北上の膝の上に乗った望月の身体は

徐々に冷たく、固くなって行った

北上(冷たい)

北上(冷たい)

北上(さっきまではあんなに暖かかったのに)

北上(ああ、望月、本当に死んじゃったんだね)

北上(だからこんなに……こんなに冷たい……)

北上(私は……私は、一人だ)

北上(一人は、嫌だ、一人は……)

北上(……)

北上(い、いや、本当に一人なのかな)

北上(もしかしたら、もしかしたら外には)

北上(すぐ外には救助隊が来てるんじゃ……)

北上(だ、だとしたらここで死んでも……死んでも……)

北上(そ、そうだ、もう少し……)

北上(もう少し……待ってみても……)
望月「……」

北上「も、望月もそう思うよね?ね?」

望月「……」

北上「望月……」

望月「……」

北上「……」

望月「……」

北上「は、はは……望月の死に顔、笑ってるや……」

望月「……」

北上「そっか……ほんとに、怖くなかったんだ……」

望月「……」

北上「私がいたから、怖くなかったんだ……」

望月「……」

北上「……」

望月「……」

北上「私も」

「私も、もう怖くないよ」
「だから、今そっちら行くね」

この夜、最後の艦娘は息絶えた。

深海棲艦も人間も既に存在していない。

存在するのは死人のみ。

そして夜明けがやってくる。

新たな世界の夜明けが。

元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464270263/

-北上, 望月