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秋月 照月 初月

【艦これ・提督SS】初月「秋月姉さんに」照月「ごちそう食べさせたいっ」

2017/05/07

照月「ハムッ……」モグモグ

照月「うぅ~ん!生き返る~……っ」

照月「初月のオムライス本当に美味しいっ!」
初月「ははは……ありがとう」

初月「これは、提督も手伝ってくれたんだ」
一連の続き物の最終スレです。
【艦これ】初月「長10cmを返してくれ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455370950/

【艦これ】初月「き、今日は……提督の所にいかないのか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455432274/

【艦これ】初月「なんて不埒な……っ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455535359/
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
ごゆっくりどうぞ。
初月「姉さん、口もと……米粒ついてるぞ」

照月「えっ、うそ!やだぁ!」

照月「ははは!恥ずかしい……」

照月「あはは……はは……」

照月「…………」グスッ
初月(照月姉さん……)
初月(今は気丈にふるまってるけど……)

初月(やっぱり、辛かったんだろうな)

初月(……以前は、こんな顔も見られなかった)

初月(……だが)

初月(秋月姉さんは……今でも辛そうだった)
初月「……すまない、姉さん」

照月「モグモグ……ん?」

照月「ど、どうしたの、突然っ」

初月「秋月姉さんと一緒に食事をとらせてあげられなかった」

初月「僕の力不足だ……」
照月「そんなことないよ」ニコッ

照月「秋月姉はね」

照月「あなたがここで無事に過ごしていたこと、本当に喜んでた」

照月「初月」

照月「いっしょに秋月姉の笑顔、取り戻すよ」
初月「……あぁ!」
………………
…………
……

秋月『夜戦突撃……ですか』

『そうだ』

『敵輸送艦隊の出入りが、泊地を中心に活発化しているとのことだ』

『我々が決死の思いで進出した南方海域、これを見過ごすことはしない』

秋月『決死……』

『……なんだ?』

秋月『……いえ、失礼しました』
『とにかく、貴様の艦隊に出向いてもらう。指揮は、任せるぞ』

『また……やってくれるな?』ニタァ

秋月『……お言葉ですが提督』

秋月『私達の艦隊は先日の進出作戦で、既に大きな犠牲を払っています』

秋月『満足な補給もままならない現状では、望まれる結果を出すことはできません』

秋月『皆の疲労もまだ癒えていませんし、それに……』

『抜かすな小娘ッ、秘書の分際で吠えおって』

『この作戦は司令長官、ひいては御国が望んだことなんだぞ』

『貴様ら如きの一存で、我々の方針に口を出すなッ』

秋月『……申し訳ありません』
照月『ムッカつく~!あのクソオヤジ!』

秋月『……ごめんね』

秋月『私、止められなかった……』

初月『姉さんのせいじゃないさ』

初月『僕たちがより多くの戦果を上げれば、姉さんだって……』

秋月『…………』
……
…………
………………
照月『作戦、ついに三日目かぁ……』グゥー…

照月『一日におにぎりひとつとビタミン剤じゃあ、食べた気しないよぉ!』

『うぅ……』

『あぁ……いつまで続くの……』

秋月(他の皆も、疲労が隠せないみたい……)

初月『秋月姉さん、僕の分も食べてくれ』スッ

初月『まだ休んでいないだろ、さぁ』

秋月『ありがとう初月……でも、私はいいの』

秋月『疲れているのも、お腹を空かせているのも、私だけじゃないもの』

秋月『貴重な食料だから、あなたがしっかり食べて』ニコッ

初月『姉さん……』
秋月『突撃開始!探照灯照射!』

カッ

秋月『砲撃を輸送艦に集中して、合図に合わせて反転して!』

照月『えへへっ、これでようやくっ』

照月『最後ね!』ガンッガンッ

初月『……ッ!!』
初月『皆、気を付けろ!』

初月『……“戦姫”だッ!』
照月『みんな……沈んじゃった……』ポロ…ポロ…

初月『なんて情けないんだ……僕は……ッ!』
秋月『……私のせいだ……』

秋月『撤退命令を、もっと早く出せば……こんなことには……!』

初月『……そんなことをすれば、姉さんが“奴”に何をされるか分からない』
初月『どうしようも……なかったんだ』
初月(…………!)

初月(あれは……追撃艦隊か……!)

初月『……姉さん達は、先に行っててくれ』フッ

照月『な、初月!?』

秋月『ど、どうしたのっ』

初月『大丈夫、すぐに戻るさ』
初月『姉さん達は、最後まで僕が守る』

ダッ

秋月『初月ッ』

照月『初月!』
照月『グスッ……ヒグッ……』

照月『あぁ……ズズッ……あぁぁぁぁあ!』ポロ…ポロ…
秋月『初……月……』

秋月『………………』
……
…………
………………

『……そうか、分かった』

『作戦の成功は、司令長官も大変お喜びになられるだろう』

『これからも、この調子でやれ』

『分かったな』
秋月『……』
秋月『はい』

……
…………
………………

ピヨッ ピッ
バサバサバサバサ……

秋月「…………」

ガラッ

提督「やっ!」サッ

秋月「…………」コク

提督「……お隣いい?」

秋月「……はい」
提督「いや~、部屋探したよ~」

提督「来たばっかりだから広すぎて、わけが分からないんだよなぁここ」

秋月「…………提督」

秋月「妹の初月を救出していただき、ありがとうございます」

提督「あぁ、近くを通りがかったんでね」フフン

秋月「…………」

秋月「あなたの隣に立つあの子は、とても幸せそうでした」

提督「……」ゴホン
秋月「それから……」

秋月「先ほどの無礼を、お詫びします……」ペコ

提督「ぶれい?」

秋月「……せっかくご用意いただいたお食事会を」

秋月「私は断ってしまいました」

提督「いや、用意したのは僕じゃない」
提督「あの子がそうしたいと言ったんだ」

秋月「……」
提督「質問、よろし?」

秋月「……」コク

提督「顔、合わせづらいの?」

秋月「……」コク

提督「……おせっかいだろうけど」

提督「あの子は何も恨んでないし、いつも君のことを尊敬してる」

提督「あの照月って子も、同じだよ」
秋月「……」

提督「これ以上、ここで何があったかは聞かないけど」

提督「君たちはうちの艦隊の新しい宝だ」ニコ

秋月「!」

提督「だから、要望があれば遠慮なく言ってみてよ」

秋月「……では、ひとつだけ」

提督「ん、なになに?」

秋月「これからは、皆にもご飯を……」

秋月「満足に食べさせてあげてください」
提督「あたりまえだ」

提督「そうじゃないと、“戦争が終わらない”からね」

……
…………
………………

初月(今度こそ、姉さんに食べてもらう)

初月(今日は提督直伝のカツレツ……)

初月(僕の自信作だぞっ)フフン

初月「秋月姉さん、入るぞ」

秋月「……えぇ」
ガラッ
初月「食事だよ、ここに置くぞ」コト

秋月「……わざわざ、ごめんね」

初月「あはは、なにを言うんだ」クスッ
初月「それより姉さんは、これを食べたことないだろ」

初月「カツレツっていうんだっ」

秋月「……」グゥ-…

初月(よし……いいぞっ)

初月「レシピ通りに作ったから、美味しいはずだ」

初月「よかったら、食べてくれ」

秋月「……ありがとう、初月」

初月「お安い御用だ」
秋月「…………」

初月「…………」
初月「……姉さん、これで失礼する」スクッ

秋月「……ごめんね」
ガラ…
ピシャッ
初月「秋月姉さん、またやつれてた……」

提督「そうみたいだね」

初月「あの食事も、おそらく食べてはもらえないと思う」

初月「昔は……出されたものは必ず最後まで食べる人だったのに」

提督「んー……でも、そのまま残って食べるまで見るってのも……」

初月「あぁ、それなら食べるだろうが……」

初月「それじゃあ意味がないんだ」

提督「だよね」
初月「提督、明日も……料理を教えてくれ」

初月「今度こそ、姉さんの喉を通る食事を作りたいんだ」

提督「うん、もちろんいいよ」

初月「ありがとう」ニコ
提督「明日は……そうだなぁ」
……
…………
………………
初月「やっぱり、ダメだった……」

照月「そっか……ありがとね、初月」

照月「今日、照月も長10cm砲ちゃんとおぜんざい作ったんだけど……」

照月「それもダメだったの」シュン

照10「」チッ

初月「そうか……」
照月「前の元気な秋月姉に戻ってほしい……」

初月「僕も同感だ」

初月「できることは何でもやろう」
……
…………
………………
初月「今日も食べてもらえなかった……」

提督「そっかぁ」

初月「カツレツにステーキ、鮪の角煮にヒラメの香草焼き……」

初月「これまで作ったどれも、提督と僕の自信作だったのに」シュン

提督(はじめて食べたとき、君はどれも泣きながら食べてたねぇ)クスッ

初月「……すまない、提督」

初月「いつも料理に付き合ってもらって」

提督「いえいえ、何をおっしゃいますやら」
初月「お前も、ここに来てから働きづめだな」

提督「また、次の作戦があるからね」

提督「……僕としては別件で陛下に上奏したいことが……」ボソッ

初月「?」

提督「……聞かなかったことにして」

初月「そ、そうか……まぁ」

初月「提督もたまには、僕にしてほしいことを言ってくれ」

初月「できることなら、なんでもするよ」ニコッ
提督「ん?」
………………
…………
……
照月「えぇっ!提督さんとデート!?」

初月「…………」カァー…

初月「折角の内地勤務だから、街に行こうって……」

初月「今度、非番が合う日にって……」

照月「いいないいなー!妬いちゃうね、このこのーっ!」ウリウリ

初月「姉さん、や、やめてくれ……」

初月「そうは言っても、僕は困ってるんだぞっ」
照月「なんで?」

初月「僕は性格がこんなだしっ」

初月「お洒落な服なんて持ってないし……」

初月「他の女の子と街で遊ぶこともなかった」

照月「初月、誘っても来なかったからね~」

初月「……面目ない」

初月「だから……僕はデートが一体どういうものなのか、何も分からないんだ」シュン
照月「デートなら、提督さんにリードしてもらいなよっ」

照月「優しい人だし、心配ないよ!」

初月「そ、そうか……」ホッ

照月「ただ、服はねぇ……」

照月「うぅ~ん……これは秋月姉の方が詳しかったし……」

初月「……どうしよう、姉さん」

照月「むむむ……」

照月「……そうだ!」

照月「照月、いいこと思いついた!」

初月「ほ、本当か!」

照月「うん!」

照月「あなたと秋月姉……二人のための案だよっ」

……
…………
………………

秋月「え……?街に……?」

照月「そう、街っ」

照月「秋月姉はもう秘書艦じゃないんだし、行けるでしょ?」

秋月「……でも……」
照月「お願い、秋月姉!」

照月「あの子の大事な初デートがかかってるのっ」

照月「これは初月のためなの!」ペコッ
秋月「初月の……ため……」
ブロロロrrrrr…
ワイワイ ガヤガヤ
初月「ありがとう姉さん、来てくれて」ニコッ

秋月「ふふっ、かわいい妹のため……」

秋月「そろそろ、お姉ちゃんらしいところを見せなきゃ」ニコ

照月「その意気だよっ、秋月姉!」
初月(秋月姉さん、少し笑ってる……)フフッ

照月(中に籠ってちゃ、気分は変わらないしね~)
秋月「初月の服、かぁ」

照月「そうなの、今のパーカー姿じゃ提督さんに失礼だし……」

初月「うぅ……」シュン

照月「似合ってるんだけどね、やっぱり……」

秋月「女の子なら、それにふさわしい服も欲しいね」

秋月「照月、この辺りのお店分かるの?」

照月「ふふん……任せて!」

照月「照月は姉妹一の“してぃがぁる”だからっ」
初月「わ、わぁ……女の子の服がたくさんだ……」ガタガタ

照月「ここなんてどぉ?」

秋月「いいねっ、ここだったら良い服ありそう……」

照月(今までここに来ても、お金がないから何も買えなかったんだけどね……)ジーン…

初月「は、はやく選んで……っ」

初月「僕、落ち着かないぞ……」オロオロ
照月「初月のボーイッシュさは貴重よねっ」

秋月「うん、そこは生かしたいね……」

秋月「でももうすぐ春だから、お肌は出してもいいかな」

初月「は、肌も出すのか……」

照月「そう、いつまでもそんなインナータイツで隠してちゃだめっ」

照月「提督さんをその気にさせることがゴールなんだから!」

初月「うぅ……」
ピシャッ
初月「姉さん……」

初月「ど、どうだ……?」カァー…
「「おぉ……」」
照月「初月、すっごく可愛いよ!!」

秋月「うん、とても似合ってる」ニコッ

秋月「初月はスタイルいいから、イエローのショートパンツに……」

秋月「フレアスリーブ付きの白いトップスで十分光るね」

照月「このカーディガンも肩にかけてっ」

秋月「コルクサンダルも忘れないでね」

初月「う、うん……」
テクテク
初月「ありがとう、姉さん達……」

秋月「いいの、私も妹の服を久しぶりに選べて嬉しかったから……」

照月「これからも、一緒に服買いに行こうねっ!」

初月「……あぁ!」

照月「それじゃ、そろそろ……」

照月「お昼ご飯にするよ!」ニコッ
秋月「公園……」

照月「えへへ……海はいつも見てるから、こういうとこの方がいいかなって」

秋月「ううん、とても良い所……」フフッ

初月「おーい姉さん達、こっちがいい!」

初月「今日は、弁当を持ってきたんだ」

秋月「おべん……とう?」

照月「そう、お弁当っ!」
照月「じゃーん!」
秋月「こ、これは……」
初月「何度見ても、懐かしいなぁ……」

初月「昔よく3人で食べた、麦飯で握ったおにぎりだ」フフッ

照月「かやくご飯のおにぎりもあるよっ」

照月「もちろん沢庵もね」ニコッ
初月「昔から僕たちの家は貧しかったけど……」

照月「残ってるご飯をみんな使って、おにぎりを握って……」

初月「みんなでたくさんのおにぎりを囲ったなぁ」

照月「それをお腹いっぱい食べるんだよね」
秋月「……!」

秋月「……よく、覚えてる」フフッ
照月「あはは、そーでしょっ」

初月「いつも秋月姉さんが一番おいしそうに、一番たくさん食べてたんだ」クスッ

秋月「だ、だって!!」カァー…
秋月「……何も具の無いおにぎりのはずなのに、美味しくて……」

秋月「……美味しくて……」
秋月「…………」グスッ
初月「秋月姉さん、もういいんだ」

初月「あの時、皆がいなくなったのも、僕が一人で戦いに戻ったことも」

初月「……姉さんが、一人で背負うことはないんだ」
照月「そう、背負うならそれ、照月たちにも分けてよ」

照月「だから、昔みたいに……」

照月「“三人”に戻ろ?ね?」

秋月「……」ポロ……ポロ……

秋月「……うん」グスッ
初月「さ、腹ごしらえにしよう……」ニコッ

初月「なによりの“ごちそう”を」

照月「うん!じゃあ……」
「「「いただきます」」」
……
…………
………………

―――○二○○ 中部海域―――

―――指揮艦「近江」―――
初月「提督、姉さん達はもう寝てしまったよ」

提督「そっか」

提督「みんな……ご苦労様」ニコ

提督「君も、今のうちに寝てていいんだよ」

初月「いや……僕はいい」

初月「それにしても、こんな作戦……聞いたことがないぞ」

提督「そうだろうねぇ」

提督「僕自身、案が通ると思っていなかったもの」

提督「深海棲艦の本陣に、終戦に向けたこちらの譲歩案を伝えに行く」

提督「艤装を解いた君たち姉妹だけを連れて」
提督「あとは……たくさんのおにぎりだけだよ」

提督「初めから食事の席を用意するつもりではいたけど……」

提督「あはは、おにぎりは頭になかったなぁ」

初月「あぁ……」

初月「僕たち三人で、頑張ってたくさん握ったんだ」ニコッ

初月「これなら、何も使わないで手で食べられる」

提督「それは間違いないね」クスッ

初月「それに……」

初月「皆でおにぎりを囲うと、何故だかとても暖かい気持ちになる」

初月「それを僕たちは知っているんだ」
提督「これから一世一代、かつてない命がけの食事会になるね」

初月「……構わないさ」フフッ
初月「ここにいるのは、最高の姉さん達と……」

初月「……最高の男だ」

初月「なにかあったら僕が守る……」ニコッ
提督「…………そっか」

提督「……マルニーマルマル」

提督「……今宵、とても“月”が綺麗だ」ニコッ

――――――――――――fin――――――――――――
このお話は、このスレをもって終了となります。

スレの立て方についてもいろいろご意見いただき、ありがとうございました。
終戦に向けたラストについては、過去の作品との繋がりを持たせています。

【艦これ】グラーフ「もう赤身のスシは食べられないのか……」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453000246/

ここまで読んでいただいた方、楽しく書かせていただきありがとうございました。
元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455721529/

-秋月, 照月, 初月