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Graf Zeppelin (グラーフ・ツェッペリン) 龍驤

【艦これ・龍驤】グラーフ「震度3だと……この国はもうおしまいだ!」SS

2017/01/25

……
…………
………………

提督「グラーフの具合が悪い?」

龍驤「具合が悪いっていうか……」

龍驤「さっきこの辺で、地震あったやろ?」

提督「地震?あったかそんなの」

龍驤「あった、確かに揺れたでぇ……」

龍驤「この辺は震度3やったらしいわ」

提督「3かぁ……寝てて気づかなかったな」

龍驤「次おっきい地震きたらしんでまうで、君……」ハァ
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龍驤「そんでな、その地震のせいでグラやんがびっくりしてもーて」

龍驤「ウチの部屋に飛び込んできたんよ」

提督「ワァオ」

龍驤「本人はもう大丈夫って言い張ってるんやけど……」

龍驤「しょうーじき、今のあの子の状態では戦闘なんか無理やわ」

龍驤「せやし、君……今日非番やろ?」

龍驤「ウチが今日は代わりに出撃するさかい、君の部屋であの子の面倒見たってよ」

提督「うん、いーよ」

龍驤「そっか、助かるわ」
提督「うん、いいんだけどなんで俺?」

龍驤「それなんやけどあの子、プライド高いからあんまり他の子……」

龍驤「特に駆逐艦の子らにこんな姿見せたないと思うねん」ゴニョ

龍驤「そやさかい、あんまり人の目のつかん所に置いてあげたいんよ」

提督「なるほど」

龍驤「赤城とかにはもう事情は話してるし、それ以上の面倒はかけさせへんよ」

龍驤「そしたら、グラやん頼むで!」

提督「おう」

グラ「は、はなせ!」ブルブル

グラ「私は今、休んでなどいられない……っ」ガタガタ

グラ「おそらく地震で周囲一帯は壊滅だろう……っ」ブルブル

グラ「戦えずとも……私は災害救助に向かわねば……っ」ガタガタ

グラ「指示を……アトミラール……っ!」ブルブル

提督「落ち着いてください」
提督「いいか、グラーフ」

グラ「な、なんだ……っ」ガタガタ

提督「まずはテレビを見るんだ」ピッ

グラ「今はテレビなど見ている場合では……っ」ブルブル

テロップ君「近畿各地で震度3を観測」

テロップ君「大きな被害は無く、津波の心配はありません」

グラ「なっ」ガタガタ

グラ「これは……どういうことだ」ブルブル

提督「こっちが聞きたいよ」
提督「落ち着いた?」

グラ「はぁっ……はぁっ……」

グラ「……あぁ、すまない……取り乱してしまった」シュン

提督「いや気にしてないよ」

グラ「そうか、どこにも被害は出ていなかったのだな……安心した」ホッ

グラ「これが地震大国と呼ばれてしまう所以か……」

グラ「地震など、私は十数年ぶりに体験したよ」

提督「え、本当に?」

グラ「あぁ。とても怖かった……」
グラ「私の祖国では地震などめったに起きないからな」

提督「あ、そんなこと聞いたことあんな」

提督「そりゃ怖がるのも当然だよな」

グラ「……お恥ずかしい限りだ」

グラ「だが、もう大丈夫だ……ありがとう」

グラ「邪魔をしては悪いから、私は戻ることにするよ」
提督「……はたしてそれは本当かな?」ニカッ

グラ「」ビクッ

グラ「……どういうことだ……」
提督「余震という言葉を聞いたことはあるか?」

グラ「“ヨシン”……?」

提督「揺れ返しとも言うんだけどな」

提督「さっきの地震が本震だとする」

グラ「うむ……」
提督「その後でもう一度起こるのさ……」

グラ「……」ドキドキ

提督「地震がなッ!」クワッ

グラ「!」ビクッ

グラ「ほ、本当か!?」

グラ「あの地震が……もう一度か!?」

提督「あぁ……残念ながら事実さ……」
提督(震度3で起こるとは言っていない)
グラ「なんということだ……」ガクッ

グラ「あんなのがまた来たら、今度こそこの国はおしまいだ……」ブルブル

提督(いやそれはない)

グラ「あぁ……あぁぁあ……」ガタガタ

提督「……」

提督(冗談ひとつでこんなに怖がるとは……)

提督(なんか可哀想なことをしてしまったな)シュン
グラ「アトミラール……」ガタガタ

提督「な、なに?」

グラ「私は……すごく怖い……」

グラ「もう……抑えようとしてもダメなんだ……」

グラ「震えが……止まらない……よ……」ブルブル

グラ「もう少し……ここに居させては……くれないか……」ガタガタ

提督「え、うん」

提督「いいよ」

グラ「あ……ありがとう……」ブルルッ

グラ「あなたのそばなら安心できる……」…ニコッ
提督「てことで」

提督「今日はどう過ごすかなー」

グラ「日本人の休日の過ごし方には……私も興味がある」

提督「過ごし方といっても人それぞれなんだよなぁ」

グラ「では……アトミラールの過ごし方だな」

提督「うーん……」
提督「まず天気がよければサイクリングだね」

グラ「意外だ……てっきり家で過ごしていると思っていた」

提督「体力は落としちゃかなわんしね」

提督「とりあえず日帰りできるくらいの距離の美味い店に目星をつけて……」

提督「そこまでを往復とかだなー」

グラ「なるほど、それは楽しそうだ」フフッ

提督「あぁ、なかなかやめられない」
提督「それから……」

提督「馴染みと都合のつく日は街に繰り出すなぁ」

グラ「“ナジミ”?」

提督「友達のことだよ」

グラ「あぁ……なるほど」

提督「そんで昼間から飲みにでかけたり、麻雀をうったりするのもいいな」

グラ「私も祖国ではよく飲みには出かけたぞっ」

提督「あー、なんか納得」

提督「で、今日はそのどっちでもないから」

提督「ここでゆっくりする!」

グラ「うっ」

グラ「私のせいだな……すまない」ガクッ

提督「アナタカンケイナイヨー」

提督「外は雨だし、馴染みは忙しいからどっちもできないんだって」

グラ「うぅ……」
提督「とにかく自分の部屋だと思ってゆっくりしてよ」

グラ「かたじけない、アトミラール……」

グラ(だがいつ“ヨシン”が来るかと考えると落ち着かない……)

グラ「ア……アトミラール、私がお茶をいれよう」

提督「おぅかたじけない」

グラ「いいんだ、これぐらいさせてくれ」

グラ「ん?ティーカップがないな……」

提督「あぁお湯呑みしかなかったと思う」

提督「お湯呑みでいいよ」

グラ「了解だ」
グラ「……それにしても」コンコン

提督「ん?」

グラ「この国の陶磁器は鈍い音がするのだな」コンコン

提督「そうなの?」

グラ「あぁ……我が国のものはもっと金属に似た音がするんだ」

提督「へぇー、へぇー」ポチッポチッ

グラ「……そのスイッチはなんだ?」

提督「我が国で生まれた発明品だ……」ニタァ

グラ「そうなのか……」
グラ「お茶が入った……熱いから気を付けてくれ」

提督「あぁありがとう」

提督「」ズズッ

提督「うん、うまいっ」

グラ「それはよかった」フフッ

提督「……そういえば」

提督「グラーフの国の人は休みの日どーしてんの?」

グラ「そうだな……」

グラ「アトミラールと同じように出かけたり……」
グラ「私はよく、庭の手入れをしていたな」

提督「ほう」

グラ「こちらでは広い庭を持つ家は多いからな」

グラ「私も母の影響か、家のランドスケープには気を使ったものだ」

提督「ランドスケープ?」

グラ「我が国の言葉ではないが、日本語ではたしか……景観などの意味だな」

提督「へぇー、へぇー」ポチッポチッ

グラ「……それ、やめないか?」

提督「ブーブーっ」
提督「しかしランドスケープか……すごいな」

グラ「祖国では多くの人がやっている……すごくはない」

提督「でもなんだか憧れるよ、そういうの」

グラ「そういうものかな……」グゥー

グラ「」

提督「……」ジー

グラ「こ、こっちを見るなっ」カァー…
グラ(あぁ恥ずかしい……!)モジモジ

提督「まぁちょうど昼飯時だし、今は二人いるから……」

提督「みんなには内緒で寿司でも取るか」

グラ「スシ……!」ハッ

提督「うん、寿司」

グラ「スシかぁ……一度食べて見たかった……」キラキラ

提督(なんとうれしそうにまぁ)

グラ「スシ……ん、いやっだめだ!」

提督「え、なんでー?」
グラ「かつて多くの人間がスシに溺れ、破滅に追いやられたと聞くっ」

グラ「並の所得の人間がおいそれと手を出せる代物ではない……」ガタガタ

グラ「富裕層にのみ許された悦び……それがスシではないのかッ!?」バッ

グラ「……私とアトミラールは今破滅するわけにはいかないのだ……」ガクッ…

提督(なんかおもしれー)

提督「誰が言ってたのそれ」

グラ「アカギだが……」

提督「それはあの子だけだよ」
寿司「」カポン

グラ「おぉ……これがスシ……!」

グラ「アトミラール、私も払うよ」

提督「や、いつぞやに今度奢るって言ったしな」

グラ「だが、そういうわけにはっ」オロオロ

提督「じゃあこんど後輩か部下ができた時にでも奢ってやってくれよ」

グラ「むぅ……」

提督「今は気にしないで、たーんとめしあがれ」

グラ「……かたじけない」

グラ「では……いただきますっ」
グラ「」モグモグ

グラ「美味いな……」

グラ「生の魚は初めて食べるが、なかなかいい……っ」

提督「あぁ、やっぱり初めてなんだな」

グラ「あぁ、だが……」

グラ「味付けは違うが、この魚卵は馴染みがあるな」

提督「へぇ、グラーフの国ではイクラを食べるのか」

グラ「イク……ラというのか」

グラ「こちらではキャビアと呼んでいたな」

提督「キャビアはチョウザメじゃないの?」
グラ「いや、祖国では魚卵はすべてキャビアとして売っている」

提督「なんと」

グラ「だからニシンもサーモンも、キャビアなんだ」

提督「それは知らなかった……」

グラ「……だが、この赤い魚が特に美味しいな」ニコッ

グラ「癖もなくて、やや噛みごたえもある」パク

グラ「」モグモグ

提督(赤身かぁ)
グラ「ふぅ」

グラ「ごちそうさま……実に満足だっ」

提督「それはよかった」ホッ

提督(正直、赤城のような食欲があったらどうしようかと思ったよ)
グラ「…………」ジッ

提督「……日本の漫画に興味あるの?」

グラ「あぁ」コクッ

提督「いいよ、好きに読んで」

グラ「スマナイ……ありがとう」
グラ「…………」パラッ

グラ「……おぉ、同郷の超人だ……」

提督「ん?……あぁーそいつね」

グラ「これは親衛隊の服か?」

グラ「なんとも際どい恰好だ……国には持ち帰れないな」パラッ

提督(俺のは持ってかないでね)

グラ「……」パラッ

グラ「……なっ」

グラ「中華系の男に真っ二つにされてしまったぞっ」ガーン
グラ「むぅ……引き分けになってしまったか……」パラッ

グラ「やはりアメリカ人はこう、パッとしないな」フフッ

提督(テリーの良さが分からないお子ちゃまめ)グヌヌ

グラ「……」パラッ

グラ「……なんと……」パラッ

グラ「この英国人……我らの敵ながら、あっぱれな男だ……」ジーン

提督(ロビン……)ジーン
グラ「面白かったぞアトミラール」

提督「結構だ」

提督「それはそうとグラーフ君」

提督「日本の映画……見たくはないか?」フフッ

グラ「おぉ、興味はあるぞっ」

提督「フフン、最近はインターネットの月額制で映画が見放題だからね」

提督「さて、どれにするか……」

アバレルナヨ…アバレンナ…(ハクシン)

オマエノコトガスキダッタンダヨ!(ハクシン)

グラーフ「私はこんな男同士のまぐわいが見たいのではないっ」カァーッ

提督「いたた!冗談だからっ!いたいっ!」
グラ「……」

グラ「……はははっ」ドッ

提督「役所○司はすごいなぁ……こんな役もできるのか」

グラ「お腹がいたいぞっははは……」
グラ「こんなところで……」

グラ「卑怯だぞ……」グスッ
………………
…………
……
提督「……で、こっちが実家で飼ってる犬だ」

グラ「おぉ……なかなか緊張感のない顔をしているな」

グラ(かわいいな……)キュン

提督「今も元気にしてんのかなー」

提督「もう15になるからな」

グラ「高齢齢のわんこ……」

提督「……」

グラ「……高齢の犬……だな……」カァー

提督「そうだな」クスッ

グラ「……ふぅ」

提督「おぉ……もう外が暗くなってるよ」

グラ「そうだな……ヨシンはどうやら起きなかったようだな」クスッ

提督「そうみたいだねぇ」
グラ「アトミラール、今日はありがとう……実に楽しい時間だった」

提督「俺も付き合ってもらえてうれしいよ」

グラ「礼をいわれることはしていない」

グラ「明日からはしっかり出撃する」

提督「あぁ」

提督(そろそろ、さっきの冗談を謝らないとな)

提督「そうだグラーフ、さっきの……」
……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

提督「あ」

グラ「!」ビクッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

提督(うわ、本当に地震がっ)

グラ「ひぃっ……」ガクガク

提督「グ、グラーフっ!!」ギュッ

グラ「!?」

グラ「あっ……アトミラー………っ!」ギュッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………………
提督「……収まったか……」

提督(けっこう大きかったな……さすがにびっくりしたぞ)

提督「……」ギュ……

提督「はっ!ごめっ……グラっ……」パッ

グラ「」カァー……

提督「グ、グラーフさん……?」

グラ(アトミラール……身を挺して……)カァ-……

提督「グラーフ……?」

グラ「!」ハッ

グラ「ス、スマナイ……」

グラ「また情けない姿をさらしてしまった……」シュン

提督「いや……そんなことはない……」

提督「それより無事か?」

グラ「……えぇ……」

提督「そっか」ホッ

グラ「……」
グラ「あの……」カァー……

提督「ん?」

グラ「すまないっアトミラール!」ダッ

提督「おわっ」

グラ「これで……失礼するっ!!」ダダッ

提督「おい、ちょ……!」
タッタッタッタッタッタッ……
提督「行ってしまった」

提督「……」

提督(とっさのことで体に触ってしまったこと)

提督(怒ったかな……)
……
…………
………………
グラ「ハァっ……ハァっ………………」

グラ「恥ずかしくて……逃げてきてしまった……」ドキドキ

グラ(……アトミラールが……わるいんだ……)ドキドキ

グラ「あなたが……こんな気持ちにさせるから…………っ!」ドキドキ

グラ「……」ドキドキ

グラ(もう……体の震えはない……)

グラ(……もう怖くない)

グラ(あなたのおかげだ……アトミラール……)
グラ「しかし……」

グラ(この気持ちは……どうすればいいのだ……っ)カァーッ……
グラ「アトミラール……っ」
この日をもち、正規空母グラーフツェッペリンは一つの苦手を克服した

しかし、そのこころに生まれた心情
その理解まで、いくばくかの時間が必要だった
―――――――――――――FIN―――――――――――――
これで以上になります

saga親切ニキには大変感謝……無知は罪です(白目)
楽しく書かせていただき、ありがとうございました
元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1452911069/

-Graf Zeppelin (グラーフ・ツェッペリン), 龍驤