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大淀 明石

【大淀SS】明石「提督。私がケッコン指輪を売る時、どんな気持ちか分かりますか?」【艦これ】

ーー工廠ーー
提督「ん?なんだって?」
明石「だーかーら! 私がケッコン指輪を売る時、どんな気持ちか分かりますかって!」カーンカーン
明石「あ、5番下さい」
提督「ほい」
明石「ありがとうございます」
提督「えーと、しけてやがんなぁ。もっと何か買ってけや…とか?」
明石「そうそう、今ならこのセットがお得なのに……って違いますよ!! 私をなんだと思ってるんですか!」カーンカーン
提督「某緑色の人ポジションとか」
明石「あ、10番下さい」
提督「ん」
明石「ありがとうございます。…….えーと、何言ってんですか!アレに比べたら私は天使ですよ、天使!」カーンカーン
提督「まぁ、明石は天使みたいに可愛いけど」
明石「へ…///」ガンッ
明石「うわああああ?! 手が、手がああああ?!」
提督「あ、やべ……」

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提督「大丈夫か?」
明石「うう……まぁ、平気です」
提督「すまん、俺が冗談を言ったばかりに」
明石「冗談なんですか……」シュン
提督「ん?」
明石「何でもないです…そろそろ上がりましょうか」
提督「ん、おお。そうだな。じゃ、また明日もよろしく頼む」
明石「……あの、そんなに手伝っていただかなくても大丈夫ですよ」
提督「いや、俺が好きでやってるだけだから……もしかして迷惑だったか?」
明石「い、いやそんな事。提督が来ていただけるなら……助かりますし……その……」モジモジ
提督「じゃ、まあ。良いって事で。俺も工具の使い方とか知れるしな。それじゃ明日」ガチャッバタン
明石「あ……」

明石「提督………」
明石「………」
明石「指輪を売るとき……私は羨ましいです。私も欲しいなって思います」
ーーーー
ーーーー
明石「はぁ……」
大淀「何ため息ついているんですか? 幸せが逃げちゃいますよ?」
明石「別にいいですよー。そんなんで逃げる幸せは何てどうせ大したことないです…」
大淀「ふむ、それは面白い考え方ですね。明石からそんな返答があると思いませんでした」フムフム
明石「私をなんだと思ってるんですか……」
大淀「機械バカ」
明石「う…そ、それは工作艦だから…」
大淀「提督LOVE」
明石「ブーっ?! げほっげほっ……ち、ちょっと何言ってんですか?!」ガタン
大淀「いや、だって分かりやすいですもん、明石」
明石「な、何がですか」
大淀「例えば酒保に私が来た時は」
大淀「あ…大淀かぁ……い↓ら→っしゃい↓ませぇ↓……」
大淀「って感じですけど」
明石「似てるんだけどなんか腹立つなぁ……」
大淀「提督が来た時は」
大淀「あ、ちょっとメガネ持ってて下さい」
明石「え、はい」
大淀「よし…」スゥ
大淀「あ…て、提督ぅ! いら↑っしゃいま↑せぇ↑!!! 明石の酒保へようこそっ!!キラキラっ☆☆」ピョンピョン
大淀「って感じです」フゥ
明石「ち、ちょっと今のは何ですか!?私はそんな――」
大淀「あ、眼鏡返して下さい」
明石「え、あ、はい……」
大淀「まぁ、今のはちょっと誇張し過ぎましたが、簡単に言うと赤疲労と三重キラキラぐらいの差はあります」
明石「そ、そんなつもりは……」
大淀「どうせ溜め息の理由も提督が原因でしょう?」
明石「うっ……」ギク
大淀「大方、指輪が欲しいとか」
明石「ううっ…」ギクギクゥ
大淀「別にそんなに気にする事ないと思いますけどねぇ……提督が指輪を渡してるのはあくまでも練度のためですし」lv.121
明石「くうぅ……分かるまい! 持っている奴には持たざる者の気持ちが分かるまい!!」
龍驤「そうやそうや!持たざる者の惨めさが分かるんか!!」
明石「ん?」
大淀「え?」
龍驤「あれ……何の話や?」
明石「えっと指輪の話です」
龍驤「ああそっちか……じゃあまたな」ガチャッバタン
明石「はい、また」

明石「と、とにかく欲しいんです!」
大淀「そうは言っても……」
明石「欲しい欲しいー!!」
提督「何が?」
明石「ケッコンゆ…うわああああああああああああ?!」
大淀「あら、提督。こんにちわ」
提督「おぅ、お疲れ様」
明石「てててて提督?! 何でここに?!」
提督「そりゃあ買物に来たんだよ」
明石「そ、そうですよね。あは、あは……」
提督「変な奴だな。どうしたんだ?」
大淀「あー、それは…」
明石「せいっ!」
大淀「もがっ」ギュッ
明石(言ったら許さないですからね!!)
大淀(わ、分かりましたよ)
提督「おいおい、どうしたんだ? 昼間から熱いな」
明石「あはは…実は大淀、レズなんですよ」
大淀「えぇ……」
青葉(す、スクープです)ダッ
大淀「勝手に人をレズにしないで下さい。私はノンケです」
明石「わ、私もです! て、提督は?」
提督「の、ノンケだけど」
明石「そ、そうですか」
大淀「何この会話……」
明石「そ、それで提督は何を買いに来たんですか?」
提督「ん、ああ。ちょっと工作してたら指をな」
大淀「あら、珍しいですね」
提督「まぁ、慣れないことではあるなぁ」
明石「だ、大丈夫ですか」
提督「別に大した事はないよ。あ、そうだ。暇な時に――工具の使い方を教えて欲しいんだが、工廠にお邪魔しても良いか?」
明石「へ? は、はい! いいですよ!」キラキラ
提督「ありがとうな。じゃ、また後で」ガチャバタン
明石「はい! また……」キラキラ
大淀「………」
明石「………えへへ」キラキラ
大淀(やっぱり凄いキラキラしてる)

ーーーーーーー
ーーーー
ーー
青葉「痛てて……何で怪我してるんだろ……あれ、今日何してたっけ」
明石「動かないで下さいよー。小破ですからすぐ終わりますよー」
提督「ん、修理中か?」
青葉「お。提督」
明石「あ…提督。すぐ終わりますよ」
提督「そうか。じゃあまた暫くしたら来るよ」ガチャッバタン
明石「はい」
青葉「………提督。最近よく、工廠に出入りしてますね」
明石「え……そ、そうですか。まあ、改修とか色々ありますから…」
青葉「それを差し引いても……むむむ。何かスクープの匂い…」
明石「えぇ?!」
青葉「もしや……明石さんとの密会?」
明石「ふぇ?!」
青葉「明石さんに会うため提督は工廠に入り浸り……司令官の工作艦娘の爛れた恋…」
青葉「ほれほれ明石…ちゃんと整備していないからこんなところから燃料がダダ漏れだぞ?」
青葉「あんっ! て、提督の主砲もこんなに熱が……わ、私が整備してあげますねっ」
青葉「とか言ってみたり……」
明石「あわわ……」プシュー
青葉「あ、明石さん?! じ、冗談ですよ!」
明石「私が……テートクと……」バタン

青葉「ちょ……だ、だれかぁ!!」
ーーーー
ーー
明石「う……ん。あれ……ここは…?」
提督「おはよう」
明石「え?! て、提督?!」
提督「大丈夫か」
明石「は、はい。あれ……私は…」
提督「これ青葉から」
明石「あ、間宮さんの最中」
提督「本当にすいませんでした、だとさ。青葉と何かあったのか?」
明石「えーと…」
――工作艦娘と提督の爛れた恋。
明石「な、な、何でもないですっ///」
提督「そ、そうか。プライベートな事なのか?」
明石「そ、そうですっ。ものすごいプライベートですからっ」
提督「そうか。まぁ、あまり溜め込むなよ。何かあったら相談するように」
明石「はい…」
提督「じゃ、起きたし今日も始めるか」
明石「はいっ」
ーーーー
ーー
明石「提督、次は2番とって下さい」
提督「はいよ」
明石「ありがとうございます」ガチャガチャ

明石「………」ガチャガチャ
明石(……実際問題なんで提督はこんなに工廠に来てくれるんだろう)ガチャガチャ
明石(そ、そういえば提督は私の事をどう思っているんだろう?)
明石(部下……仲間……それとも………)
明石(………///)
提督「おーい、明石?」
明石「ひゃい!? は、8番とってくださいっ」
提督「あ、ああ」

明石「………」カーンカーン
明石(で、でも。少なくとも嫌われてはないよねっ)カーンカーン
明石(こんなに通ってくれるって事はもしかして……もしかするかもしれないし………えへへ////)
明石(そうだったら良いなぁ……)カーンカーン
明石(も、もしかしたらこのまま爛れた恋に発展したり……///)ニヤニヤ
明石(そ、そうだ。もっとアピールをしてみよう。そうすれば……私の気持ちに…)チラッ
提督「?」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
明石「………」グツグツ
明石「……ちょっと薄いかなぁ」ペロッ

大淀「何がです?」ヌゥ
明石「おわぁっ!? おおお大淀?!」
大淀「お疲れ様です。調理場に珍しい人がいたもので……何を作ってるんですか?」
明石「な、何でもないですよ。これは……これは、そう。自分のお弁当を作ってるんです! 流行りのお弁当女子ですよっ」
大淀「ちょっと失礼……」スッ
明石「あ…」
大淀「ふむふむ……うーん、もうちょっと濃い方が良いかと。提督は濃い目の方が好きらしいですから」
明石「そ、そうなんですか……」
明石「って、べべ別に提督は関係ないですよっ!」

大淀「そうなんですか?」
明石「そうですよっ」
大淀「うーん……後、資料によると提督はこういうメニューが好きみたいですね」ペラッ
明石「え…そうなんですか……意外ですね」
大淀「他にはこういうのも…」
明石「あ、これなら作れます!」
大淀「…………」ニヤニヤ
明石「あっ。ち、違……こ、これは///」
大淀「ふふ……頑張って下さい」
明石「……はい///」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
提督「………」テクテク
明石「提督っ」
提督「ん、明石か。どうした?」
明石「こ、これから昼食ですよねっ」
提督「おお、よく知ってるな」
明石「じゃあ……これ、どうぞっ!」
提督「へ? これは……弁当か?」
明石「は、はい…」ドキドキ
提督「………」
明石「………」ドキドキ
提督「…明石も、これから昼食か?」
明石「え? あ……はい」
提督「じゃあ、一緒に食べようか。ありがとうな」ニコッ
明石「……はいっ!」
ーーーー
ーー
明石「ふんふんふ〜ん」ニコニコ
大淀「………」ガチャ
明石「あ、大淀っ! 明石の酒保にようこそっ」キラキラ
大淀「……私は提督じゃないですよ?」
明石「し、知ってますよ。何ですかいきなり」
大淀「いや、テンション高いなぁって」
明石「別に普段通りですよっ」キラキラ
大淀(凄いキラキラしてます)
大淀「その様子だと上手く行っているみたいですね」
明石「な、何がですかぁ?」
大淀「まさか、もう好きって言っちゃったとか」
明石「ふぇ?! すすす好きだなんて?! そ、そんな事……」
大淀「まだみたいですね」
明石「………はい」
大淀「……このご時世ですから、伝えることは伝えといた方が良いですよ?」
明石「……分かってますよ」
大淀「なら良いです。あ、これください」
明石「…はい」
大淀「ありがとうございます。それでは、また」ガチャッバタン
明石「分かって…ますよ。早く伝えた方が良い事ぐらい……」
明石「でも……もし伝えてダメだったら」
明石「それで、提督が会いにきてくれなくなったら……今の関係が壊れてしまったら……」
明石「そんなの……」
明石「……….…駄目です。とても…考えられない…」
やっぱり伝える事は出来ない。不確かな未来より、変わらぬ今の方が私にとっては大事なのだ。私は臆病者だ。だけど、不意にその時は訪れた。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
大淀「な、何ですかこれはっ!!」
提督「……上からの通達だ」
大淀「こんなっ、こんな事はうちの明石には関係がないでしょうっ!!」
提督「念には念を入れるらしい。確かに間違った事じゃない」
大淀「で、でもっ!」
提督「大淀っ!」
大淀「……っ」
提督「気持ちは分かる。俺も腹が煮え繰り返る思いだ。……けど、仕方がないんだ」
大淀「……」
提督「……明石を呼んできてくれ」
大淀「……はい」
ーーーー
ーー
大淀「………」
明石「し、失礼します」
提督「おう。座ってくれ」
明石「はい…」
明石(何だろう…提督も大淀も怖い顔をして)
明石「どうしたんですか」
提督「……明石、落ち着いて聞いて欲しい」
明石「は、はい」
提督「明日、明石に査問がかけられる事になった」
明石「は…………?」
明石「え、ええ?! わ、私がですか?」
提督「ああ……」
明石「私、何もしてませんよ?!」
提督「そうだ。お前は何もしていない。だが……他の明石がやってしまったのだ」
明石「え?」
提督「……これを見てくれ」
明石「は、はい…………ええ?!」スッ

提督「……◯◯鎮守府と◯◯鎮守と◯◯鎮守府の提督が殺害されかけた。それぞれの鎮守府の工作艦明石によって」
明石「な、なんでそんな事を……」
提督「……調査によると、それらの明石は提督に蔑ろにされていた、と言っている。だから結託して犯行に及んだらしい」
明石「そ、そんな………」
提督「よって、上は全ての明石に査問による調査を行う事を決めたとの事だ。色々と聞き取りを行うらしい」
提督「同型艦であるそれぞれの明石に危険な兆候が無いかをな」
明石「わ、私はそんな事!!」
提督「分かっている! だが、これは命令なんだ。受け入れてもらうしかない」
明石「………」
提督「………関係のないお前にこんな思いをさせて本当に申し訳ないと思う」ギリッ
提督「すまないっ…」
明石「て、提督………」
明石「提督…提督が悪いわけじゃないですよっ」
明石「こ、これって要するに私の事を質問されるだけですよねっ。あはは……なら簡単に終わりそうですねっ」
大淀「……艦娘は人間じゃない」
明石「え?」
大淀「今回、査問を決めたのは全ての《明石》を同じ明石と見ています。つまり……艦娘を同規格の機械としか見ていないんですよ」
明石「同規格の……機械」
大淀「上にはそんな考えの奴らが沢山います。今回の査問も…人格を考慮した質問はされないでしょう」ギリッ
提督「…………すまない、明石…」
大淀「私にも、助けてあげる事は出来ない……ごめんなさいっ…」
明石「…………」
明石「……二人とも、謝らないで下さいよ!」
大淀「…明石?」
明石「別に二人が悪いわけじゃないのに、何か謝られると変な気分ですっ」
明石「大丈夫、大丈夫ですから。私、こう見えても心は強いんですよ! 査問なんてへっちゃらですからっ!」
提督「明石……」
明石「あ……じ、じゃあ、査問が終わったら何がご褒美を下さい!」
提督「ご褒美?」
明石「はいっ。なんかこう……査問頑張ったな、みたいな……ダメですか?」
提督「…分かった」
明石「やった! これで、明石頑張れます!」
提督「明石……頑張ってくれ」
明石「はいっ」
明石「………っ」
明石(手が……震えてる。怖いんだ…私)ブルッ
ーーーー
ーー当日

査問は、内地のとある基地で行われた。会議室に居たのは怖い顔をしたお偉いさん方が四人。

――目を合わした瞬間背筋が震えた。大淀の言っていた意味が分かった。人として見られていない。冷たい視線はそうものがたっていた。
そして、何か良く分からない装置を付けられ査問が始まる。

「貴方は提督を殺したいと思った事がありますか?」

言葉は出なかった。文句を言う事を抑えたのでは無く、言葉の咀嚼に時間がかかったからだ。

ああ、こういう事か。言葉を投げられ、それに対する反応を計る。機会の具合を調べるかのように。

ふつふつと胸の奥が怒りで沸き立ったが抑える。短く、余計なことは言わない。提督と大淀からの助言だ。
「ありま…せん」
「他の艦娘に対して、劣等感を覚えた時はあるか」
唇から血の味がした。心を土足で踏みにじられるとはこの事だろう。

その後も屈辱的な質問を投げかけられ、心を踏みにじられた。皮肉にも淡々と機械のように返答する事で、どうにか自分を保つことができた。
「……これにて、査問を終了する」
どのくらい時間がたったか分からない。唐突に査問は終わった。装置が取り外され、解放される。

酷く疲れた。とにかく眠りたかった。だけど。

「この、明石の提督は管理に問題がないようだな」

かっ、と心が沸騰した。ぼそっ、と漏らされた言葉に目の前が真っ赤になる。……もしかしたら殴りかかっていたかもしれない。

そうしなかったのは、一つの疑問が浮かんでしまったからだ。

(提督が、私に構ってくれていたのは管理のため?)

そんな筈はない。即座に否定をする。だが、いつまでもこの疑問が頭にこびりついていた。

ーーーーーーーー
ーーーー
ーー
明石「明石、戻りました……」
提督「明石っ……大丈夫か」
明石「はい…」
大淀「……憔悴してますね。提督、予定通り明石には」
提督「ああ。明石。2、3日はとりあえず休暇を入れてある。ゆっくり休んでくれ」
明石「はい……」
ーーーー
ーー

ガチャ、バタン
明石「……」
――この、明石の提督は管理に問題がないようだな
明石「………っ」
明石「どうして…どうして頭から離れないの。そんな筈……ないのに」
明石(工廠に来てくれていたのも、管理のため……ううん、そんな筈は………ない)
明石(…………)
ーーーー
ーー
明石「………」テクテク
提督「お、明石」
明石「あっ……て、提督」ビクッ
提督「もう、大丈夫なのか?」
明石「は、はい。病気でもないのに、休んでいるわけには行きませんですからっ」
提督「そうか……大淀も検査では問題無いって言ってたけど…無理はしないでくれよ」
明石「はいっ」
提督「あ、そうだ。そういえば、ご褒美は何が良い」
明石「え、えーとですね。ど、どうしようかな…何でも良いんですか?」
提督「ああ。でも、常識の範疇にしてくれよ。 あんまり弾けた事だと管理不届きで怒られちゃうからな」
明石「……っ」ビクッ
明石(……管理)
提督「……明石?」
明石「あ………えーと、まだ決まってないです。こ、今度までに考えてきますね!」
提督「あ、ああ」
明石「それじゃ、失礼しますっ」ダッ
…私はおかしくなってしまったのかもしれない。提督の私に対する行動一つ一つが、管理の為なのかと疑問を持つようになってしまった。

会いに来るのは不満を貯めさせないため。指輪を渡せない為の埋め合わせ。そう感じてしまい、なんだか提督と喋るのもギクシャクしてしまう。工廠の手伝いも、最近は断ってしまっている……何か良くないものが心に溜まっていた。なんだかイライラする。
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ーー
明石「ど、どうしたの大淀。話って何?」
大淀「……明石、最近なんだか変ですよ」
明石「……べ、別に何もおかしくないですよ?」
大淀「嘘をつかないでください。提督とだってなんか変ですよ。怯えていると言うか……」
明石「そ、そうですかね?」
大淀「……本当に、査問で言われた事は報告通り何ですか?」
明石「……っ。そ、そうですよ」
大淀「………」
明石「あ、あんまりその事は掘り返さないでほしいです。お、思い出して気持ちの良い事じゃないですし……」
大淀「……すいません」
ポツポツ
明石「あ…降ってきましたね。もう戻りましょう」
大淀「………」
ーーーー
ーー

ガチャッバタン

明石「………」
明石「大淀ったら。心配しちゃって……」
明石「私は大丈夫……何もおかしくない……」
コンコン
提督「明石、いるか?」
明石「…っ。て、提督」
提督「入って良いか?」
明石「……はい」
ガチャッバタン
提督「すまないな、突然」
明石「ど、どうしたんですか?」
提督「……いや、ちょっとな。菓子を持ってきたんだ。食べないか?」
明石「……っ。…大淀に言われたんですか?」
提督「………」
提督「なぁ、明石。何か悩んでいるなら話してくれないか。……お前が心配なんだ」

明石「……別に、私は平気です。仕事だっていつも通りやっているじゃないですか」
提督「それはそうたが…」
明石「なら、いいじゃないですか。ちゃんと管理できていますよ」
提督「管理?」
あれ、私……
明石「もう、構っていただかなくても私はキチンと仕事をしてますよ……」ポロポロ
提督「あ、明石?」
こんな事、言いたくないのに
明石「管理の為に会いに来る必要なんて……ありませんから……」ポロポ

提督「お前、何を言って……」
駄目だ、もう抑えられない
明石「わ、私に構わないで下さいっ!」
明石「……っ、失礼しますっ!」ドンッ

提督「ま、待て! 明石!!」
明石「……はぁっ……はぁ」タッタッ
明石「…………」
明石「……あはは……雨、冷たいなぁ…」

明石(何やってんだろ…私)
明石(あんな事言って……もう、もどれなくなっちゃった……)
明石(馬鹿だなぁ……私。黙って、平気な振りをしてれば、提督のそばに入れたのにな)
明石(まぁいっか……どちらにしろ私なんか…)
明石(それに………もう、提督の言葉を今まで通り捉えられない。それはずっと変わらないだろう……)
明石(だから、もういいんだ…)
タッタッ
提督「明石!」
明石「……っ」

提督「ま、待ってくれ明石!」
明石「………」
提督「明石っ。俺はそんなつもりで……」
明石「……やめて……やめてくださいっ!!」
提督「明石……」
明石「もう、もう無理なんですよっ!」
明石「私はただの工作艦でっ! それなのに提督がわざわざ会いに来るなんてあり得ないんですっ!」
明石「管理の為なんですよっ! 私に会いに来るのは管理の為に何ですっ!! だからもうやめてくださいっ!」

提督「違うっ!!」
明石「……っ」
提督「俺が明石を手伝ったり、工廠に行ってたのはそんな理由じゃない!」
明石「……っ。そんな事、言われても……もう無理なん…」
提督「……ずっとこれを作っていたんだ」
明石「………ケッコン………ゆび………わ?」
提督「俺が作ったから少し形は歪だが……材質もケッコン指輪に使われている物と同じだ」
明石「なん……で…これを?」
提督「明石に渡す為だ」
明石「………え」
提督「これは手作りだから、今の明石にも着ける事ができる」
明石「あ……私でも……」
提督「………あー、もう。こんな場所で悪いが…….その……」
明石「?」
提督「明石…俺と結婚してくれ」
明石「……え」
提督「その……これは、ケッコンカッコカリじゃなくて、結婚指輪だ」
明石「結婚指輪……」
提督「いつの日か、戦いが終わった日には一緒になってくれ」
明石「……う、嘘。そんな……わ、私が……」
提督「う、嘘じゃない。………明石は、俺が着任した時からずっと支えてくれたから……実はずっと好きだったんだ」
提督「工廠に行ってたのも、もっと明石の事を知らなくちゃいけないと思って…」
提督「明石には艦娘にとって一番大事な指輪を特別な形で渡したかったんだ。………不器用だから時間がかかってしまったが」
明石(あ……提督の手、ボロボロ……そっか、工廠に来ていたのは……)
明石(そっか……ずっと提督は……う……うう)
提督「まあ、工具の使い方を明石に教わったから大分上手く……うわっ?!」
明石「で、でいどぐっ!」ギュ
提督「明石…」
明石「ずびばぜん……わだし…提督のごと….…うたがって……うっうう……うああああ」ギュ
提督「明石………」
明石「うああああああああ……」
ーーーー
ーーーー

提督「……もう大丈夫か?」
明石「は、はい。溜まっていた物を…全部吐き出しちゃいました」
提督「2人ともずぶ濡れだな……」
明石「あはは…そうですね」
提督「……それで、その……明石」
明石「?」
提督「まだ…答えを聞いていないんだが…」
明石「あ…///」
明石「………」
明石「……提督、この前のご褒美を今使いますねっ。か、屈んで目を瞑って下さい///」
提督「え、こ、こうか?」スッ
明石「はい………」
明石「……」チュッ
提督「え/// あ、明石?」
明石「私も……大好きです!」
ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
大淀「それで……もう大丈夫なんですね」
明石「はいっ。心配かけてすいません」
大淀「いえ。別に心配なんて……ぶえくしょいっ!!」
大淀「うう……鼻が…」
明石「だ、大丈夫ですか。大淀が風邪なんで珍しいですね…」
大淀「はい。………ちょっと、雨に濡れすぎましたね」
明石「え?」
大淀「何でもないです。あ、そろそろ時間じゃないですか。提督と買い出しでしょう」
明石「そ、そうだった! ま、また来ますね!」タッ
大淀「はい」
大淀「………」
大淀(おめでとう…明石)
明石「はっ……はっ……」タッタッ
明石「お、お待たせしました」
提督「ん、俺も今来た所だ」
明石「そ、そうですか……」
もう不安が過る事はない。まだ私は臆病かもしれないけど、銀の輝きを見れば何も恐れることはないのだから。
提督「じゃあ、行こうか」
明石「はいっ!」
ーー完ーー
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-大淀, 明石