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天龍 木曾 阿賀野 能代 矢矧 酒匂

【阿賀野SS】女提督「ゆるゆる」木曾「緩すぎるっ!」【艦これ】

2017/05/02

明けましておめでとうございます。
今年もまったりと宜しくお願いします。
4作目。

短編集的な緩い感じが伝われば幸いです。

今回も頑張ります。
読んでいなくてもある程度楽しめるように書きたいですが
読んでいる方がわかる過去作(同じ世界観、繋げていく部分有)

・金剛「ココに居たんデスネ…」提督「…金剛か」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447867145/

・加賀「後でお説教よ」瑞鶴「…うん、待ってる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448949726/

・提督「最近、僕には好きな人が出来ました」※1作目の続きです。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450104261/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452177098

─阿賀野型の部屋
女提督「──という訳で、近々舞鶴さん所に演習しに行くから皆宜しくね」
阿賀野「えー…遠いなぁ」
能代「何言ってんの、阿賀野姉ぇは普段からゴロゴロしてるんだから…太るよ」
阿賀野「…それは嫌だなぁ」
女提督「ふふっ…ヒック…」
阿賀野「おやおや」
能代「あら」
矢矧「ん」
酒匂「指令?」
女提督「やだ…恥ずかしい…ヒック」

阿賀野「しゃっくりだ」
能代「しゃっくりだね」
矢矧「しゃっくりか」
酒匂「しゃっくり?」
女提督「ヒック…やだ…治まらヒック…ないかな」
阿賀野「たしか止める方法って色々あるよね」
能代「まぁ、それなりには…」
矢矧「人によっては違うみたいだけどね」
酒匂「ぴゃん♪定番だけど、息を止めるやつとかぁ?」

女提督「ヒック…良いね、やってみる…スゥ~」
阿賀野「30秒くらい止めるんだよ~」
能代「止めた後に唾を3回ほど飲み込むのも良いとか」
矢矧「たしか鼻も摘まんだ方が良いんじゃなかったかしら」
女提督「んん…」
酒匂「ぴゃん♪指令可愛い♪」
女提督「んへへ…」
阿賀野「…そろそろかな?」
女提督「……ぷはっ」
阿賀野「どう?」

女提督「あ…うん、なおヒック…た」
矢矧「駄目みたいね」
女提督「くぅ……ヒック」
能代「うーん、他に定番は…」
酒匂「じゃあ水を飲むとか!」
女提督「水…たしか複数回に分けて飲むとっていうヒック…」
阿賀野「あれ?含みながら息を止めるんじゃなかった?」
矢矧「どっちでも良いんじゃない…かなぁ」

能代「あ、じゃあ私お水持ってきます!待ってて下さいね提督!」タタタ
女提督「うん、ありがとぉ~…ヒック」
酒匂「指令のヒックって声可愛い♪」
女提督「酒匂ちゃん…からかわないでよぉ…///」
阿賀野「あ、提督ちょっと嬉しそう」
矢矧「褒められてるからね」
阿賀野「これは…褒めてるの?」
矢矧「…多分。どうなの?」チラッ
女提督「えぇっ!そこで私に振るの!ヒック」

阿賀野「やっぱり本人が一番わかってるかなって、どう?」
女提督「えぇ…ヒック」
酒匂「指令は可愛いよ?」
女提督「ヒック…悪い気はしないよね!」
矢矧「…何か意味が違う気もするんだけど…」
阿賀野「酒匂は相変わらずだねー」
能代「お待たせしました提督ー!」
女提督「ありがとぉ~ヒック…能代ちゃん~!」
阿賀野「では早速いってみましょーか」

女提督「ヒック…うん、治ればいいけど…」ゴクゴク
能代「阿賀野姉ぇ、ちょっと提督顔赤かったけど何の話してたの?」
阿賀野「提督が可愛いって話だよ」
女提督「こら…」ゴクゴク
能代「なんだ、そんな今更の話を…」
女提督「ひえぇ…やっぱり此処に居ると色々危ない…」ゴクゴク
酒匂「何の話ぃ?」
女提督「こっちの話ぃ……ふぅ」
阿賀野「どお?」
女提督「うん!ヒック…駄目みたい…」

能代「これも駄目ですか…」
酒匂「指令のしゃっくりしぶといね~」
阿賀野「…やっぱりここは驚かせるっきゃないね!」
能代「驚かせるって…提督が知ってたんじゃ意味ないでしょ?」
女提督「皆ありがと。もう良いよ~、そのうちヒック…治るしね」
酒匂「う~ん…」
矢矧「提督がそう言うなら…この件は終わりかしらね?」
阿賀野「えーっ!それじゃ提督可哀想じゃん!…ていうかつまんないじゃん!」
女提督「うーん…!嬉しいようなヒック…嬉しくないような…!」
能代「阿賀野姉ぇ!提督に我儘言っちゃ駄目でしょ!」
矢矧「…偶にどっちが姉か忘れそうになるわね」
女提督「わかる…ヒック」

阿賀野「あっ……提督が知らなければ良いんでしょ?」
能代「ん…?まぁ…そうだけど」
阿賀野「そっか……うんうん」
女提督「ヒック…阿賀野ちゃん?」
阿賀野「ちょっと後ろ」スッ
阿賀野は一言断ると能代の背後へと回り込む。
能代「阿賀野姉ぇ?」
能代が阿賀野の奇怪な行動に対して、振り向こうとした時──。
もにゅっ。
能代「きゃぁっ!?」

女提督「んん!?」
阿賀野は能代の豊満な乳房を鷲掴みにしていた。

下から持ち上げる様にして包んでいる。
阿賀野「言ってなかったけど……私達、実はこういう関係なの…」モミモミ
能代「ひゃぅっ…」///
女提督「!!?」
阿賀野は胸だけでは飽き足らず、片手を太腿へと伸ばす。

その手を舐めるように動かし、阿賀野の手が内股に入っていく仕草は
いくら同性であっても目を見張る物があった。
能代「ふ、ふぁ…ぁ…んんっ、ん、ぁ、ふんっ」///

酒匂「ねぇねぇ矢矧ちゃん、真っ暗で見えないよー」
矢矧「見るものなんて無いよ」
矢矧は純粋な酒匂にはまだ早いと思い、酒匂の両目を手で塞いでいる。
酒匂「そーなの?」
矢矧「そうなの」
能代「あ…阿賀野姉ぇ…胸…とか、太腿…触るの…やめてぇ…」///
阿賀野「ん~能代のは、どこ揉んでも柔らかいなぁ~」モミモミ
女提督「はわわ!!」バッ
今更ながら提督は両手で目を隠すが、結局指を開いてコッソリと覗き見てしまう。
能代「んっ…ぁ、んんっ、ふぁ、ぁ、ぃぃっ」///
女提督「やり過ぎじゃないかな!?」ガンミ

阿賀野「…あはは!なーんてね」
そう言うと阿賀野は能代の胸や太腿から手を放し、元の位置に戻った。
阿賀野「どう?驚いた?」
悪戯が成功した子供の様に、笑顔で聞いてくる阿賀野の顔を見て察する。
女提督「この事態にに驚かない心臓は持ち合わせて無いよ!」
阿賀野「あははは、私ら姉妹だし流石にねー」
能代「ハァ…ハァ…酷いよ、阿賀野姉ぇ…」///
阿賀野「いつものお返しだよ!提督を驚かせるついでに能代も、ね」
阿賀野「これぞ一石二鳥!…なんて!」

能代「こ、こんの……馬鹿ーッ!!」ヒュッ
阿賀野「ぎゃっ!」ドスッ
能代から繰り出された、首筋目掛けての恐ろしく速い手刀。

阿賀野は満足感に浸っていて、それを避ける事が出来なかった。
阿賀野「……」バタンッ
女提督「あちゃぁ…」
その様子を見届けた矢矧は酒匂の両目から手を放す。
酒匂「…ぴゃんっ!…あれ?何で阿賀野ちゃん倒れてるの?…寝てるの?」
矢矧「そ。阿賀野が寝ているのはいつもの事でしょ?」
酒匂「あ、そうだったね!」

能代「…当然の報いよ!」
矢矧「…全くもう。大分逸れちゃったけど…提督は治った?」
女提督「ん……あ!治ったみたい!」
酒匂「ぴゃーあ♪良かったね!指令ー!」ピョーン ギュゥゥ
女提督「うんうん、ありがとうね皆」ナデナデ
酒匂「えへへ~♪」ギュー
矢矧「姉達が頑張ってくれたからね、私は別に」
能代「治ったみたいなら良かったですよ…はぁ…」
女提督「そんな事無いよ、ありがと。……ところで、阿賀野ちゃんは平気なのかな…?」

阿賀野「……」
女提督「お、おーい…阿賀野ちゃーん」ユッサユッサ
阿賀野「……」
女提督「…し、死んでる…」
酒匂「えー!?」
矢矧「…わけ無いでしょうが」
女提督「えへ」
能代「や、やだ…ちょっと強くやり過ぎちゃったかな…?」
矢矧「…大丈夫よ、すぐに起こせるから」
能代「そ、そうなの?」

矢矧「ちょっと提督…良い?」チョイチョイ
女提督「うん?」
提督は手招きされ、酒匂を置いて耳を貸す。

ごにょごにょ。

何かを告げると、矢矧は離れた。
矢矧「じゃあ、そんな感じで」
女提督「う、うん」
能代「?」
女提督「よ、よーし。しゃっくりを止めてくれたお礼に、間宮さんのデザート奢っちゃおうかな~?(棒)」
酒匂「わーい!アイスー!」
女提督「あー!でも阿賀野ちゃんは気絶してるから寝かせておいてあげなきゃね、残念だー(棒)」
阿賀野「……」ピク

女提督「残念だけど、阿賀野ちゃんは置いて皆で───」
阿賀野「私も行く!!」ガバッ
女提督「ひぃっ!」
能代「阿賀野姉ぇ!」
酒匂「ぴゃん♪」
矢矧「…ホラね」
能代「…良かったぁ…」
阿賀野「…んっ?どしたの、能代」
能代「どしたのじゃないよ!…じゃなくて……その、ごめんなさい」

阿賀野「んん?…ああ、気絶してた事ね」
阿賀野「別に良いよ!私も能代の触ったし、おあいこ」ナデナデ
能代「阿賀野姉ぇぇ…」
女提督「え…おあいこ…?」
矢矧「…元を辿れば阿賀野が悪いんだけどね。…まぁ良いんじゃないかしら」
女提督「そう、よね。それで治ったんだし…」
阿賀野「てゆーか提督ぅ!間宮さん所行くんでしょー!」
酒匂「あたしも早くアイス食べたーい!」
女提督「あーうん、じゃあ皆行こっか?」
矢矧「あら、本当に連れて行ってくれるのね」
女提督「ちゃんとお礼はするよ」
能代「…有り難う御座います!提督!」
女提督「良いの良いの」
女提督「じゃ、行くよ~♪」
───────────────────────……

───────────────────────……
─執務室
女提督「ねぇねぇ木曾ちゃん」カキカキ
木曾「ん?何だよ?」ピラ
女提督「先日の演習あったでしょ?」
木曾「ああ、あったな」
女提督「その時にね、舞鶴の提督さんに相談されたの」
木曾「…へぇ~、何て?」
女提督「女心について」
木曾「あ?…もっと砕いて言ってくれよ」

女提督「好きな子に告白したいんだって」
木曾「へぇ……それをお前に相談したのか?」
女提督「うん、しっかりアドバイスしてあげたよ」
木曾「ぷ…あっはっは!相手を間違えたなぁそりゃ!」
女提督「なぁっ…!酷いよ木曾ちゃん!私だって真面目にアドバイスしたもん…!」
木曾「だってお前そういう経験無いんだろ?それでアドバイスって…あっはっは!」
女提督「そんな笑わなくても良いじゃないの!」
木曾「あっはっは!ああ、悪い悪い、可笑しくってな」
女提督「可笑しくないし…」

木曾「それで、上手くいったのか?そいつは」
女提督「これからじゃないかな。お祭りが向こうではあるみたいなの、そこで言うんだって」
木曾「へぇ~、祭りかぁ…良いねぇ」
女提督「あ、やっぱり木曾ちゃんもそういうのに憧れちゃう?」
木曾「勘違いするな、俺は祭りが良いなってだけだよ」
女提督「なぁんだ…つまんない…」
木曾「失礼な。でもまぁ、一応俺だって女だし、そういうのは憧れるかもな」
女提督「素直になりなよ」
木曾「どういう意味だコラ」

女提督「…でも木曾ちゃんって改装してから…あれだよね、格好良くなったよね」
木曾「聞いてねェ…」
木曾「というか……そうか?中身は特に変わってないぜ?」
女提督「こう、何て言うか…漂うイケメンオーラ…艦娘ちゃん達にモテモテじゃない?」
木曾「ねーよ!」
女提督「えーそうなんだ?いがーい…」
木曾「どういう目で俺を見てるんだよお前は…」
女提督「イケてるメンズ」
木曾「俺は女だ!」

木曾「…チッ…大体なぁ…ほら、他にもウチに居るだろうが…えーっと…加古とか」
女提督「あ、確かに!加古ちゃんも随分変わったよね!あれも中々…」
木曾「だろ?」
女提督「でもね、違うの」
木曾「…違うのか?」
女提督「確かに見た目は格好良くなって、変わらぬお調子者って感じのギャップにはやられたけど…」
女提督「こう…ね?木曾ちゃんとはまた違うの…わかるかな」
木曾「いや、わからないって」
女提督「見た目じゃないって事、加古ちゃんは可愛い系」
木曾「可愛い系……俺は?」

女提督「格好良い系って言いたい所だけど、木曾ちゃんも可愛い所あるからね」
木曾「なんだそれ…」
女提督「強いて言えば…かわ格好良い系?」
木曾「それは喜んで良いのか?」
女提督「とにかく。そんな娘を、世の男が放っておく訳がありません!」
木曾「…ははは!そりゃねーわ!」
女提督「えー!あるって!私が男だったら木曾ちゃんに求婚してるね、間違いない」
木曾「はいはい、ありがとうございます」

女提督「ありゃりゃ、つれないね」
木曾「お前の相手も結構大変なんだぜ?」
女提督「ちょぉっ!そういう事は言わないでよーっ!」
木曾「へいへい」
女提督「もぅー……。あーぁ…私も良い人見つけたいなぁ…」
木曾「いっぱい居るじゃねーか、憲兵然り他鎮守府の提督然り」
女提督「憲兵さんは妻子持ち多いし、他の提督さんは艦娘とイチャイチャしてるし……はぁぁ…」
木曾「お、おう…そうだったのか。そりゃ気の毒だな」
女提督「…早く海を取り戻して、良い人見つけようね…」
木曾「…ああ、任せとけ。…もし見つからなかったら、そん時は俺が貰ってやるよ」ケラケラ

女提督「えっ!?」キュン
木曾「…俺とお前の仲だろ?」
女提督「木曾ちゃん…!」トゥンク
木曾「…あっははは!なーんて───」
女提督「嬉しいよぉぉ!木曾ちゃぁぁぁん!」ガバァ
木曾「うおぉ!?」
女提督「やっぱり私には木曾ちゃんしか居ないよーー!」ギュゥゥウ
木曾「は、離しやがれっ!じょ、冗談だよ!冗談!」
女提督「えーっ!?酷い!私とは遊びだったの!?」
木曾「はぁ!?始まってすらねーだろ!?」
女提督「そうやって他の娘とも!?」

木曾「ちょ、待て!待てって!まさか本気にすると思わなかったんだよ!…悪いな」
女提督「木曾ちゃん…」
木曾「……」
女提督「…ぷ、あっはっはっは!本気のわけないでしょー!」
木曾「なっ!」///
女提督「さっき笑ったお返し♪」ツンツン
木曾「な、なんだよそれ…」///パシッ
女提督「…でもね?」
木曾「…あン?」

女提督「もしも、本当に貰い手無かったらお願いしちゃおうかな?なーんて」
女提督「もちろん、木曾ちゃんはお婿さんで!」
木曾「…馬鹿か…」
ボフッ。

突然顔に木曾の帽子を押し付けられる。
女提督「んぁー!何するの木曾ちゃんー!」
木曾「…うっせ……しばらくそうしてろ…」
押し当てながらそっぽを向く木曾の頬は、少し赤かった。
───────────────────────……
───────────────────────……
─調理室
雷「わぁー!こんな部屋があったのねー!」
女提督「そうだよー。艦娘ちゃんも料理したいって言うから特別にね」
電「とっても広いのです!」
女提督「何十人押しかけて来るか分からなかったからね、今じゃ広すぎるかも」
暁「鎮守府も広すぎるのよ、まるで迷路みたい。まいg…コホン…まだ覚えきれないもの」
女提督「そうだね、全部覚えてる娘は少ないんじゃないかな?」
暁「司令官は覚えてるの?」
女提督「提督だからね、バッチリよ」
暁「へぇ~流石ね~!」

女提督「ふっふっふ…それほどでも──」
天龍「なぁ、提督よぉ…何でオレをここに連れてきたんだ?」
女提督「ん?ん~…手が空いてそうだったし?一緒にやろうよ」
天龍「やっぱそうなんのかよ!そういう事は先に言えよな!?」
女提督「あぅ、ごめんね…?」
天龍「…ぐぅっ!?……チッ」
天龍「ハァ……今回だけだぞ」ボソッ
女提督「それ、百回くらい聞いた」
天龍「う、うっせー!」///
天龍「つか、そんなに言ったのか…オレ…んん…?」
女提督「ふふっ…」
雷「ねぇねぇ司令官!早速作り始めても良いかしら!」

女提督「あ、うん。じゃあ準備しましょうか♪」
電「は、初めてなので緊張するのです…」
女提督「大丈夫♪私も付いてるし、天龍ちゃんも居るから、ね?」
電「は、はいなのです…!」
天龍「おう、任せとけよ」
暁「てんりゅーは料理出来るの?」
天龍「ったりめーよ!料理なんて楽勝だぜ!」
暁「へぇ~!さっすがてんりゅー!」
天龍「フフフ、凄いか?」
暁「うん、凄い!」
天龍「ククク…ぃよっしゃァーッ!暁!オレについてこいッ!」

暁「おーっ!」
女提督「ふふっ、よく焦がしてた天龍ちゃんが懐かしいね~♪」
天龍「」
暁「て、てんりゅー…」
天龍「む、昔の事だろォ!それはよ!」
雷「大丈夫よ!天龍さん!初めは誰だって失敗するんだから!恥ずかしがる事は無いの!」
雷「それに今はもう出来るんでしょ?凄いじゃない!だから胸を張って良いのよ!」
天龍「い、雷……!そう、だよな…。ああ…!そうだよな!オレはもう出来るんだ!」
天龍「今のオレは出来る!出来るんだ!オイ分かったか!提督ッ!」ビシィッ
女提督「はいはい…ふふふっ」
天龍「…チッ、何か腑に落ちねーぜ…」

電「あのぅ…司令官、今日は何を作るのですか?」
女提督「ん、そうだねぇ……ケーキとかどう?」
雷「ケーキ!良いじゃない!」
電「ケーキ…作ってみたいのです!」
暁「ケーキ!?」パァッ
暁「はっ…コホン…ケーキで喜ぶなんて、まだまだね。大人のレデイはケーキくらいじゃ喜ばないのよ?」
雷「えー!暁だってケーキ大好きじゃない!」
電「なのです!」
暁「ゔ……い、今の私は違うもん!ケーキなんかじゃ喜ばないわ!」
女提督「あらあら?じゃあ暁ちゃんは、ケーキは嫌いかな?」
暁「えっ…き、嫌い…って訳じゃないけど…」
女提督「良かった。じゃあ…ちゃんとしたケーキの食べ方って、知ってる?」

暁「え?ちゃんとした…?……知らないけど」
女提督「普段食べてるケーキにはね、ちゃんとした食べ方ってのがあるの」
女提督「これを知っておくと、理想の大人のレディに更に近づくんじゃ無いかな?」
暁「理想の…」
暁「……うん、うん!わかったわ!レディは如何なる物も正しい作法で食べないとね!」
女提督「うん、そうだね」ニコ
女提督「さてさて、それじゃ始めよっか」
「「「はーい!」」」
*
女提督「───よし、下準備はおっけーかな」
雷「私は何をすればいいかしら?」
女提督「じゃあ雷ちゃんはボウルに入った卵をほぐして貰おうかな」
女提督「ほぐれてきたなーって思ったら、そこのグラニュー糖を入れて更に混ぜてみて」
雷「わかったわ!任せて!」

電「い、電はどうしますか?」
女提督「電ちゃんにはシロップを作って貰うね」
電「シロップ…?クリームとは違うのですか?」
女提督「そうだよ。ケーキには大事な物なの」
電「そうなのですね!わかりました!頑張るのです!」
女提督「そこに置いてある水とグラニュー糖を小鍋に入れて火にかけてね」
女提督「沸騰したら火を止めて、完全に冷めるまで待つの」
女提督「そして、冷めた後にこの特製リキュールを混ぜる…ここまで大丈夫?」
電「だ、大丈夫なのです!」
女提督「ふふっ…とりあえずはやってみないとね。わからなかったら聞いて?」
電「はいなのです!」
女提督「良し…。あ、雷ちゃん次はね──」
*
天龍「お、おい…大丈夫か?暁」

暁「だ、だだだ大丈夫よ!ほ、包丁くらい使えるわ!」ブルブルブル
天龍「いや、そうは見えねェんだって…」
暁「い、行くわよ!」ガタガタ
天龍「指、切るなよ?」
暁「ひっ…!ちょっと!怖い事言わないでよぉ!」
天龍「おおぅ、わりぃな。今のお前、危なっかしくてよ」
暁「イ、イチゴくらい私だってねぇ…!よ、余裕よ!」
暁「大人のレディは狼狽えない!」ガタガタ
天龍「ハハハ!その震えが無けりゃ立派なんだけどな!」

天龍「仕方ねぇ…じっとしてな」
天龍は暁背後に回り込み、暁の手を握る。
暁「て、てんりゅー…?」
天龍「オレに任せろ」ニッ
暁「あ…うん…」ドキッ
胸が高鳴る。

見上げた天龍の笑顔を見ると、少しずつ安心感を覚えた。
天龍「良し……震えも止まったな…」
天龍「良いか?まずは持ち方は…こうだ」
暁から手を放し、空中で握り方のフリをする。
暁「こ、こう?」

天龍「おう!それだよそれ!」
暁「えへへ…」///
天龍「そしたらな、左手をこうして…包丁を持った右手はこうだ」
暁「こ、これでいいの?」
天龍「あと左手な、こうやって指先を曲げるんだよ」
暁の左手を、料理の基本でいう猫の手にする。
暁「へぇ~…!」
天龍「こうすっと切れる心配は無いからな、じゃあ…行くぜ?」

暁「え、ええ!」
ストンッ。
暁「き、切れた…切れたわ!」
天龍「おう、上手くいったな!やったな!」
暁「ありがと!てんりゅー!」
天龍「へへっ…良いって事よ」
そう言うと天龍は暁から手を放し、向かいの椅子に座る。
天龍「んじゃ…後は自分で出来るか?」
暁「ええ!任せて!」
暁「ちゃんと…見ててよね?」
天龍「おうおう、ちゃんと見ててやるよ」
暁「えへへっ♪」
*

女提督「───さてと、じゃあ今度は焼いてるうちにクリーム作ろっか」
雷「ええ!任せて!」
女提督「さっきの作業もそうだけど、雷ちゃん手際良いねー」
雷「そうかしら?」
女提督「うんうん、流石雷ちゃんだよ。良いお嫁さんになるね」ナデナデ
雷「そ、それほどでも無いわよ!」///
女提督「ふふっ…それじゃまた同じ事だけど、これ」
雷「このクリームを混ぜれば良いの?」
女提督「そう、持ち上げた時にクリームが少しお辞儀すれば完成よ」
雷「え…クリームが…お辞儀…?」モワンモワン
女提督「…あはは!ちょっとその想像とは違うかも、やってみるればわかるよ」
雷「そうなの?わかったわ!やってみる!」
女提督「電ちゃんは、どう?」
電「あ、司令官さん!…今からこのリキュールを入れる所なのです」
女提督「…うんうん、問題無さそうね」ナデナデ
電「は、はわわ…」///
電「あ、あの…司令官さん…」
女提督「うん?」
電「響ちゃんは…元気ですか?」
女提督「…うん、元気。この前も大活躍してたみたいだよ?」
電「響ちゃんが…?…凄いのですっ!」
女提督「そうだね。……そうだ!今度横須賀行く時、一緒に行こっか。会いたいでしょ?」
電「は、はい!是非お願いしますなのです!」
女提督「うん、任せて」ナデナデ
ピピー!
女提督「…あ、スポンジが出来たね」
女提督「それじゃ、最後の仕上げといこー!」
電「はいなのです!」
*
女提督「ここを…こうして…っと」ニュルニュル
女提督「良し…こんなものかな」
「「「出来たー!!」」」
天龍「おう…初めてにしては中々じゃねーか?」
女提督「天龍ちゃんの時とは大違いだね、あの時は何度スポンジ生地が飛んだ事か…」
天龍「あ、あれは力み過ぎただけだから!つか、過去の事は言うんじゃねー!」
女提督「あはは、ごめんね?」
天龍「…ケッ!」
女提督「はい、それじゃ皆で作ったケーキ、早速頂こう♪」
「「「はーい!」」」
───────────────────────……
───────────────────────……
─大本営
女提督(さてさて、会議始まるまで少し時間あるし他の提督さんに挨拶して回ろうかな)
女提督(木曾ちゃんと行きたかったけど、木曾ちゃんは多摩ちゃんとこ行っちゃったしね)
女提督(……あら、あそこで壁に腕組んで寄りかかってる提督さんて…)
女提督「佐世保の…提督さんですよね?」)
佐世保提督「…何だ?現世に生きる淑女よ」
女提督(わぁ、相変わらず…)
女提督「淑女だなんて…。お見かけしたので挨拶をと…」
佐世保提督「フン…良い心掛け──ぐあっ!?」ガクッ

女提督「えっ…え!?大丈夫ですか!?」
佐世保提督「くっそ…!まだ暴れたり無いってか…!?それとも…奴らが近い…!?」
女提督「え!?奴らって何ですか!?右手が痛いんですか!?」
佐世保提督「違うッ!死にたくなきゃ俺から離れろッ!ここはッ…!俺が抑え付ける…ッ!」
女提督(右手に包帯をしてる…!もしかして傷が開いた?でも言動が意味不明だわ…!)
佐世保提督「……収まったか…危うく暴走する所だった…」
女提督「え…だ、大丈夫なんですか…?」

佐世保提督「…はン…持たざる者にはわからないさ…この宿命の重さはな…」
女提督(な、何を言ってるのかしら…?)
女提督「えっと…じゃあもう大丈夫なんですね…」
佐世保提督「嗚呼。しばらくは“コイツ”も暴れ出さないはずだ」
女提督「は、はあ…」
阿武隈「ちょっと提督!何してるんですか!こんな所で!」
佐世保提督「……来たか」
女提督「あら、阿武隈ちゃん」
阿武隈「来たか…じゃないですよぅ!勝手に何処か行かないでくださいっ!」

佐世保提督「ククク…この世の全ての森羅万象でさえ俺を捕まえる事は不可能だというに…」
佐世保提督「艦娘如きに俺が捕えられると?口を慎めよ…雑輩」
阿武隈「はあぁぁぁ~…」
阿武隈「…この馬鹿っ!それ恥ずかしいからやめてって言いましたよねっ!?」
佐世保提督「ば、馬鹿…だと…!?貴様誰に向かって───」
阿武隈「貴方しか居る訳無いでしょ!いい加減にしないと怒りますよ!!」
佐世保提督「ぐ…っ!」

阿武隈「ほら、行きますよ!」グイ
佐世保提督「えっ…あ、ちょっ…痛い痛い痛いっ!耳は引っ張らないで!」ズルズル
阿武隈「女提督さんすみませんっ!お騒がせしました~っ!」グイグイ
女提督「あ、うん…頑張ってね?」フリフリ
女提督(…佐世保の艦娘ちゃん達は色んな意味で強そうね…)
*
女提督「あ、呉だ!久しぶり~!」フリフリ
呉提督「あ?…あぁ、何だお前か。久しぶりだな」

女提督「何だとは失礼な。相変わらずボーッとしてるし、それに無愛想」
呉提督「そうでもねーだろ」
女提督「どーだか……あら?」
鈴谷「……」ジー
女提督「久しぶり、鈴谷ちゃん」フリフリ
呉提督「おい鈴谷、何俺の後ろに隠れてるんだよ。お前も挨拶しろって」
鈴谷「……ふんっ」プイ
呉提督「またお前は……」

女提督「あ、あはは…」
女提督(何でか知らないけど、呉の鈴谷ちゃんには嫌われてるなぁ…)
呉低得「悪いないつも」
女提督「ううん、平気だよ」
鈴谷「ねぇ、もういこーよ」グイグイ
呉提督「あぁ?まだ時間じゃねーだろ」
鈴谷「いーの!席に先に着くのー!」ポカポカ
呉提督「急に何だよお前…おい、やめろ、叩くな」
女提督「ふふっ…相変わらず仲が良いのね」
呉提督「どこが…」
鈴谷「むー!」
女提督「見たまんまよ。…行ったら?私は他の人に挨拶もあるし」

呉提督「…そうか?悪いな…ってだから鈴谷てめぇ引っ張るなっての!」
女提督「…またね」フリフリ
鈴谷「……」チラッ
女提督(…おや?こっちを見た)
鈴谷「」ベー
女提督「…あ、あはは…」
女提督(仲良くしたいんだけどなぁ…)
女提督「はぁ……さて」
*
舞鶴提督「や、やっぱり此処は…緊張するね…」
那智「しっかり頼むぞ、貴様は我々の顔でもあるんだからな」

舞鶴提督「そ、そうだよね…僕がしっかりしないと…」
那智「フッ……だが、それが貴様らしいと言えば、貴様らしいんだがな…」
舞鶴提督「え…どういう事…?」
那智「頼りないって事だ」
舞鶴提督「そんな…!酷いよ!」
女提督「お~い、舞鶴さーん」
舞鶴提督「…あ、女提督さん」
那智「おや、久しぶりだな」
女提督「那智さん!お久しぶりです!」
女提督「それとこの前は演習、有難う御座いました」ペコ
舞鶴提督「あ、いえいえこちらこそ…それに女提督さんのおかげで…」

女提督「あっ!上手くいきました?」
舞鶴提督「はい、何とか。“色々”ありましたけどね…ははは」
女提督「おおっ!それは良かったですね!おめでとうございますー!」パチパチ
舞鶴提督「あ、ありがとうございます」///
那智「何の話だ?」
舞鶴提督「あれだよ、僕と羽黒の…ね」
那智「ああ、その事か──」
横須賀提督「おーっす!」
女提督「あ、横須賀の提督さん」
舞鶴提督(あ…先輩の…)

横須賀提督「久しぶり!女提督ちゃん最近うちに来てくれないじゃん、たまには遊びにきてよ」
女提督「あ、実は今度行こうかなって。響ちゃんに会いたい娘も居るので」
横須賀提督「あぁ、姉妹のね!良いよ良いよ、かもんかもん」
女提督「はい。ではその時は宜しくお願いします」ペコ
横須賀提督「おう!……っと、後そこの君!」ビシッ
舞鶴提督「は、はいっ!」
横須賀提督「…君とは演習で一回会った事あるけど、話したことは無かったね」
舞鶴提督「そ、そうですね…!」
横須賀提督「……ふむ。君があいつの代わりねぇ…」ジロジロ
舞鶴提督「……」ダラダラ
横須賀提督「うんうん。那智、この子はどうだ?」

那智「ん…どうだと言われてもな。良くやってくれているぞ」
横須賀提督「そっかそっか」
舞鶴提督「ま、まだまだ未熟な僕ですけど!先輩に追いつけるように、頑張ります!」
横須賀提督「ぷ…ははは!そうかそうか!あいつになぁ……ま、今後もその意気で頑張ってくれよ?」
横須賀提督「まぁ何だ、今後ともよろしく!」
舞鶴提督「は、はい!」
女提督「…そういえば、曙ちゃんは?」
横須賀提督「ああ、曙は向こうで雪風の相手してもらってるよ」
女提督「あら、そうなんですね……って2人…?同伴は秘書艦だけでは?」
横須賀提督「…雪風を置いて行くなんて…俺には出来なかったんだ…」
女提督「え、えぇ…?」

那智「相変わらずの馬鹿者だな」
横須賀提督「うるさいよ!会議中は控え室に居てもらうから平気だし」
舞鶴提督「だ、大丈夫なんでしょうか…?」
女提督「…多分ですけどね。これでも成績は1番なんですし」
横須賀提督「これでもってそんな…まるで俺が馬鹿みたいな」
曙「…合ってるじゃないのよ」
横須賀提督「はっ!」
雪風「しれぇっ!」ダキッ
横須賀提督「雪風ぇっ!」ギュッ
女提督「おぉ……曙ちゃん、久しぶり」フリフリ
曙「あら、久しぶりね。元気そうで何よりだわ」

女提督「うん、何とかね」
曙「また私の愚痴聞いてよ、このクソ提督のさ」
女提督「ふふっ、良いよ♪」
横須賀提督「え、何、いつも愚痴ってんの?」
曙「あんたの秘書艦やってると溜まってくるもんがあるのよ、クソ提督」
横須賀提督「またそんな事言って~、ツンデレかな?」
曙「は?」イラッ
雪風「しれぇっ!曙ちゃんが怒ってます!怖いです!」
横須賀提督「おい曙!雪風が怖がってるだろ!もっと優しくしろ!」
曙「ぶっ飛ばすわよ!意味わかんないし!さり気無くちゃん付けしてんじゃ無いわよ雪風!」
ギャーギャー ヤイノヤイノ
舞鶴提督「あ、あはは…」

那智「フフ…あそこは相変わらずだな」
女提督「ですね~」ケラケラ
『テスト、テスト──』

『…只今より会議を執り行う。全員速やかに席に着くように。繰り返す──』
女提督「あ、始まりますね」
舞鶴提督「みたいですね。では、また後ほど」フリフリ
女提督「はい、また」フリフリ
曙「ほら!さっさと行くわよ!」グイ
横須賀提督「いだだだ!耳を引っ張らないで!行く、行くからぁぁ!」ズルズル
雪風「しれぇ~~っ!」タタタ
女提督(あ、これさっき見た)
木曾「──何だありゃ……」スタスタ
女提督「あ、木曾ちゃん。…どうだった?多摩ちゃんは」
木曾「ああ。相変わらずだったよ」
女提督「ふふっ、そうなんだ」
木曾「…って話してる場合じゃないな。行こうぜ」
女提督「は~い」
───────────────────────……
───────────────────────……
─執務室
暁「ホラー映画を借りてみたの」ドドンッ
女提督「あらまぁ」
天龍「ホラー映画…」
電「暁ちゃん…大丈夫なのです?」
暁「今話題らしいのよ、これ。大人のレディは流行物には敏感でないとねっ!」
雷「前も同じような事言って、一人でお手洗い行け───んぐっ」
暁「わー!わーーー!」///
暁「と、とにかく!夕食が終わった後、皆で見ない?」

女提督「ふふっ。私は良いけど」
天龍「ああ、オレも別に良いぜ」
暁「やった!決まりね!」
雷「…今度は皆が居るし、大丈夫かしらね?」
電「だといいのですが…」
*
─提督の自室
視聴後。
電「……」スピー
暁「た、大した事無いわね…!」ギュウウゥ
雷「あ、暁…苦しいわよ…!」
女提督「うん、結構面白かったね。…天龍ちゃんはどうだった?」
天龍「ああ、中々良かったな。ホラーも偶に見ると面白い」
雷「電は…寝ちゃってるわね。もう、仕方ないんだから」
雷「…ちょっと先に電を部屋に連れてっちゃうから。皆、おやすみなさい」

女提督「はーい、おやすみー」
天龍「おーう。ちゃんとトイレ行っとけよー」
雷「──わかってるわよー!」
ガチャ バタン。
暁「あ……」モゾ
暁(ど、どうしよう……お手洗い行きたいけど…一人じゃ怖い…)モゾモゾ
暁(い、一緒に行けば良かった…)モゾモゾ
天龍「…ん?」
暁「……」モゾモゾ
天龍(ああ、そうか)
天龍「おい、暁」

暁「え、な、何?」
天龍「悪ぃな、ちょっとトイレ付き合ってくんねーか?」
暁「えっ!ど、どうして…?」
天龍「さっきの映画中々怖かっただろ?それで、ちょっとな」
暁「ふ、ふーん…!そっかぁ…そうよね!しょうがないわね!天龍ったらっ!」
天龍「ヘヘッ……サンキュ。助かるぜ」
天龍「じゃ、そういう事で。じゃあな提督」
女提督「ふふっ…またね」
ガチャ バタン。
女提督「……流石天龍ちゃんね、駆逐艦に人気がある訳だわ」ゴソゴソ

女提督「さてと…」ピッピッピ
トゥルルルル…

ガチャ
女提督「あ、もしもし?木曾ちゃん?」
木曾『あ?何でこんな時間に室内電話掛けてくんだよ』
女提督「あははごめんごめん」
木曾『まぁ…別に良いけどよ。何の用だ?』
女提督「あ、うん。さっき皆でホラー映画見てたんだけどね」
木曾『おう』
女提督「…腰が抜けて立てなくなっちゃった、助けて木曾ちゃん!」
木曾『じゃあな』ブツッ
女提督「そ、そんな…!?木曾ちゃん!?木曾ちゃあああああん!!」
───────────────────────……
───────────────────────……
─執務室
陸奥「提督、入るわよー?」
女提督「ん、陸奥ちゃん?どしたの?」
陸奥「先日大本営で会議だったんでしょ?何だったの?」
女提督「あ、うん。前に見つかった新型の深海棲艦が判明したみたい」
陸奥「ああ、前に長門達が撃退したっていう?」
女提督「そうそう。確か…ええっと」ピラ
女提督「…戦艦レ級と防空棲姫…って言うんだって」
陸奥「あらあら。また厄介そうなのが増えたわね」
女提督「だね。特に後者が危険過ぎるみたい」
陸奥「そんなに強いの?」
女提督「うん。敢えて言うなら…横須賀の大和ちゃんのお墨付き」
陸奥「あの大和が……それは相当ね」
女提督「後者ほどじゃないにしても、レ級って艦も横須賀の第一と渡り合ってたみたいなの」
陸奥「あら。それは凄いわね」
女提督「…陸奥ちゃん“達”も気をつけてね?」
陸奥「ええ、わかってるわ」
女提督「あと、もう一つあるんだけどね」
陸奥「何かしら?」
女提督「んとねー…相手側に指揮する何かが出来た…みたい?」
陸奥「疑問系なのね?」

女提督「横須賀の提督さんや曙ちゃんは間違いないって言ってるんだけどね」
女提督「大本営側が、決め付けるのは早計ではないかって」
陸奥「なるほどねぇ…」
陸奥「でも、それが仮に本当だとしたら…厄介ね」
女提督「だね。今までと違って策を使うようになってくるだろうし…」
陸奥「フフ…いくら策を講じようと、力でねじ伏せれば良いのよ♪」
女提督「わぁ頼もしい…何か陸奥ちゃん、段々と長門ちゃんに似てきたね」
陸奥「ビックセブンは伊達じゃ無いのよ?」
女提督「流石姉妹って言うか何と言うか…とりあえず今後は少し警戒しなきゃね」
陸奥「ええ、そうね」

女提督「…よし、陸奥ちゃんこの後時間ある?」
陸奥「何かしら、デートのお誘い?」
女提督「そうそうデートデート」
陸奥「まあ…程々にね?」
女提督「え…どういう意味ですか」
陸奥「さぁ、どういう意味だと思う?」
女提督「いや、そんな探り合いする事じゃないよ!普通にご飯食べようってだけで!」
陸奥「あら良いわね♪…で勿論その後は?」
女提督「その後って…何」

陸奥「……鳳翔さん所で飲んで、ちょっと酔っちゃった…なんて言う私に提督が」
女提督「休憩してく…?   ってしないからぁ!」ビシィッ
陸奥「ノリノリじゃない」
女提督「それはそれ!全く…陸奥ちゃんは私に何を期待してるのよ…」
陸奥「火遊びよ♪火傷するくらいの…ね?」
女提督「それ、私が男だったら喜んでるんだけど」
陸奥「まあ嬉しい。何で女性なのかしらね?」
女提督「ちょっと、傷つくからやめて!私がそれ一番思ってるから!」
陸奥「フフフッ♪」
女提督「もうお姉さんやだぁ…。とりあえず行こうよぉ」
陸奥「はいはい」
───────────────────────……
───────────────────────……
─阿賀野型の部屋
女提督「──こうよ!」チュッ
阿賀野「うわー!色気が無い!」
女提督「だ、だってこんな事する事ないもん!」
酒匂「ぴゃーあ♪指令可愛いよぉー♪」
能代「…提督に何やらせてるのよ、阿賀野姉ぇ」
阿賀野「何って…投げキッスだよ、投げキッス」
能代「そういう意味じゃなくてね。ていうか何で提督もやってるんですか…」
女提督「余裕のある女って投げキッスが似合うよねって言うから…」
能代「はあ」

矢矧「(読書中)」ペラ
酒匂「次はあたしがやるー♪」
酒匂「んちゅっ♪」ポワワン
女提督「あ、アアッ!酒匂ちゃんっ!可愛いよぉぉーー!!」スリスリスリ
酒匂「んん~♪くすぐったいよ~♪」
阿賀野「酒匂がやるとあざとくなるね、確かに可愛いけど」
阿賀野「…っていうか能代も何で酒匂に抱きついてんの?」
能代「…え、えと……あまりに可愛くて…つい」ギュゥ
女提督「むしろ動じてない阿賀野ちゃんに驚きだよ」スリスリグリグリ
阿賀野「さいですか」
矢矧「(読書中)」ペラ
女提督「次は阿賀野ちゃんやってみてよ、話題の言いだしっぺだし」

阿賀野「え~阿賀野もやるの?」
女提督「ほらほらぁ~」
阿賀野「仕方ないなぁ…」
阿賀野「…こうかな?」チュ
酒匂「…うーん」
女提督「適当過ぎ!駄目よ!何も感じないッ!」
能代「阿賀野姉ぇ…」
阿賀野「ちょっ…な、何よ!やれって言うからやったのに!能代もそんな目で見ないでってば!!」///
女提督「そんなんじゃ射止められないよ、振り向いてくれないよ」
阿賀野「別に、誰にもやる気無いから!」

阿賀野「ていうか次能代やってみてよ!」
能代「え…えぇ!?わ、私!?」
矢矧「(読書中)」ペラ
阿賀野「私もやったんだから!あんな目で見たんだから!」
能代「…は、恥ずかしいよ」///
阿賀野「大丈夫だって、私らしか居ないし。…ほら」
女提督「私も能代ちゃんの見たいなぁ~」
酒匂「あたしも~♪」
能代「そ、そんな…」

阿賀野「満場一致だね、やるしか無いよ!能代!」
能代「うぅぅ…すっごい恥ずかしいけど」///
能代「…ちゅっ…」///
阿賀野「うわぁー!」
能代「うわぁってどういう事よ!」///
女提督「様にはなってないけど…これはこれでアリだね!」
酒匂「能代ちゃん可愛い~!」
能代「あぁぁぅ…穴があったら入りたい…」///
阿賀野「炬燵ならあるよ」
能代「……」モゾモゾ
女提督「入るんだ…」

阿賀野「頭だけ出した亀みたいになっちゃったね」
能代「…今日はここから出ないもん…」
阿賀野「お腹空いたら出てくるね、間違いない」
酒匂「ぴゃん♪矢矧ちゃんもやってみよーよー♪」
矢矧「…ん?」ペラ
阿賀野「そうだよ、矢矧もやってみてよ」
矢矧「何を?」
女提督「これよこれ」チュ
矢矧「投げキッス…?別に良いけど」パタン
能代「い、嫌なら無理しなくて良いんだからねっ!矢矧!」

矢矧「いいえ?別に平気よ」
女提督「やだ、かっこいい」
阿賀野「矢矧はどんな感じ何だろうねぇ」
矢矧「普通だと思うけど…」
矢矧「こうでしょ?」チュッ
女提督「!?」
能代「!?」
阿賀野「エロい!」
酒匂「矢矧ちゃん上手ー!」

矢矧「そう?」
女提督「色気が違いすぎる…負けた…!」ガクッ
阿賀野「こりゃ矢矧の圧勝だね」
矢矧「よく分からないけど、もういい?」
酒匂「うんっ!ありがと、矢矧ちゃん!」
矢矧「ん、良いよ」パラ
能代「こ…これが…」
女提督「余裕のある女…!」
───────────────────────……
───────────────────────……
─提督の自室
女提督「ふぁ~ぁ……今日はもう寝よ…」
女提督「……」スヤースヤー
陸奥「提督ーーーーッッ!!!」バァァーン!
女提督「!?」ビクンッ
女提督(な…何…!?)
陸奥「あれれぇ~?提督はぁ~?」
女提督(ああっ!これ陸奥ちゃん酔ってる!むっちゃん酔ってるパターンだ!)

女提督(悪いけど、酔ったむっちゃん相手するのは面倒くさいからこのまま寝たふりしよ…)
陸奥「居ないの~…?」
女提督(そうよ、私は居ないのよ~)
女提督(あ、足寒っ…)モゾ
女提督(…あ)
陸奥「あっ!居るじゃないのよーっっ!!」ボフンッ
女提督「ぐえっ!」←マウント取られる
陸奥「も~ぉ!酷いじゃない!何で居ないフリ何かしてたのぉ~?」

女提督「ケホッ…いや、フリじゃないよ…気付かなかったの…ごめんね?」
陸奥「あ、嘘だぁ~!…お姉さんにはバレバレなのよ~?」
女提督「い、いえ…決してそのような事は…」
陸奥「嘘をー吐くイケナイ子にはー…」
陸奥「ちゅーしちゃうぞー!」チュチュチュチュ
女提督(ひ……ひえええええええっ!!)///
女提督「ご、ごめんむっちゃん…!だからちょ…やめてぇ…」///

陸奥「あらあら~♪正直に言えましたね~♪偉い偉~い♪」ナデナデ
女提督「あ、あははは」
女提督(な…何だこれ!?)
女提督「っていうか陸奥ちゃん…お酒臭いっ!」
陸奥「えっ…」
女提督「えっ」
陸奥「うっ…ぐすっ…うぅぅっ………え~~んっ!!提督が臭いって言ったぁぁ~!」ダバー
女提督「えええええ!ちょ、泣かないでむっちゃん!!」
陸奥「うわ~~ん!!だってぇ…提督が臭いってぇ…」グシグシ

女提督「う、嘘嘘!嘘だから!ね!?」
陸奥「ぐすっ…えぐっ…ほんとぉ…?」
女提督「モチロン!本当に決まってるじゃない!むっちゃんは良い匂いよッ!」
陸奥「そっか…良かったぁ…♪」ニヘラ
女提督(あがぁぁぁっ!普段のむっちゃんからはとても見れない顔ッ!良いッ!良いよッ!むっちゃん!)アタマオサエー
陸奥「…あれぇ…何だか熱くなってきちゃった…」パタパタ
女提督「まぁお酒飲んでるしね。こらこら、女の子が服をパタパタしちゃ駄目でしょ~」

陸奥「提督しか居ないからい~の~っ!」パタパタ
女提督「そういう問題じゃ──」
陸奥「ねぇ…脱いでいい?」
女提督「!!?」
陸奥「んしょ…」ヌギヌギ
女提督「わーっ!わーーっ!」ズボッ
陸奥「ちょっとぉ…何するのよぅ……折角脱いでたのにぃ」

女提督「脱いじゃいけませんっ!良い!?脱いじゃ駄目!」
陸奥「ウフフッ♪提督ってば恥ずかしがり屋さんなのねっ♪」
女提督「いやぁ…そういうんじゃ無いんですけども…」
陸奥「じゃあ…」

陸奥「──脱がしてあげる♪」ガバッ

女提督「えっ……うゎっ!?」
陸奥「んふふふ…♪一緒に脱ぎ脱ぎしましょうねぇ~♪」プチン プチン
女提督「キャァァァァ!やめてっ!むっちゃん!」
陸奥「一緒に脱げば恥ずかしく無いわよ♪」プチン
女提督「いやあのっ!これは何と言いますか…色々問題では!?」
陸奥「だぁ~いじょうぶ♪」プチン
女提督「そ、それにこんな所誰かに見られたら───!!」
木曾「おい、扉開けっ放しにしてんじゃねよ。不用心…───」

女提督「き、木曾ちゃんっ…!?」
陸奥「んふふ~♪」プチン
木曾「……あ、あ~…えっと……」///
木曾「邪魔したなッ!!」/// ダッ
女提督「ちょぉっ!?違うの木曾ちゃん!誤解なの木曾ちゃああああん!?」
陸奥「提督の…御拝け~~んっ!」バッ
女提督「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」///
───────────────────────……

───────────────────────……
─執務室

暁「ねぇねぇてんりゅー!今日は何の日でしょう~かっ!」
天龍「11月11日……何かあったっけか?」
暁「ふっふっふ…じゃぁ~ん!」(ポッキー)
天龍「あァ…?ポッキー?」
暁「そう!11月11日はポッキーの日なの!」
天龍「へェ~そうなのか。食えばいいのか?」

暁「まぁそうでも良いんだけどね、どうせならゲームをしばしょうよ」
天龍「ゲーム?」
暁「度胸試しみたいなものよ」
天龍「ほーう…面白そうじゃねェか…何をするんだ?」
暁「えっとね、こう…ポッキーを両端から食べて行くの」
天龍「成程な……ん?」
暁「ん?」
天龍「え…これを、両端からか…?」
暁「そうだけど」
天龍「!?」
天龍「で、出来る訳ねェだろ…!?」

天龍(…はっ。いや待てよしかし…これは度胸試しだ…ここで怖気づくのはダセェ!)
暁「あははは!そうよね、最初は皆そんな感じの反応するもの」
天龍「だけど…度胸試しなんだろ?なら、やってやるぜ!」
暁「あ、やるのね!良いわよ!」
暁「じゃあ早速……はむっ」
天龍「くっ…!」
暁「ほらほらぁ~」プランプラン
天龍「……い、行くぜ!」
暁「いいよー」
天龍「はむっ!」バクバクバクバクバク
暁「っ!?」

暁「……………」///
天龍「………………」///
暁「……………えっと」///
天龍「……じ、事故!今のは事故だからっ!ノーカンなっ!?」///
暁「う、うん……」///
天龍「あークソ…」///
女提督「なにあれ…」ガリッ
電「暁ちゃんと天龍さんはとても仲良しさんなのですよ」
女提督「へぇ~ふ~ん…そうなんだあ…」ガリッ
雷「ちょっと司令官?ポッキー纏めて噛んじゃ駄目よ?意地汚いじゃない」
女提督「うん、ごめんね雷ちゃん」ガリッ
雷「もーぅ!聞いてないじゃないのよー!」
電「…二人を見る司令官さんの目が怖いのですぅぅぅ!」
───────────────────────……
───────────────────────……
─執務室
ガチャ
木曾「此処かー?」
女提督「……」スヤスヤ
執務室に設置されているソファーで提督が寝ていた。

木曾は小さな溜息を吐き、傍に近付く。
木曾「ったく……そりゃ部屋に居ねぇ訳だ」
流石にこのままにする訳にもいかないので身体を揺すってみる。
木曾「おい、こんなとこで寝たら風邪引くぞ」ユサユサ
女提督「……」スヤスヤ
むにゃむにゃ言って一向に起きる気配は無い。

提督が座る机の上に詰まれた書類の山を見て、また溜息を吐く。
木曾「だから俺も手伝うって言ったんだよ…」
寝息を立てている提督を一瞥。

膝を曲げ、寝顔の位置と同じくらいに目線を落とす。
木曾「頑張り過ぎなんだよ……バーカ…」ツン
女提督「……」ズピピー
提督の柔らかな頬を指で突きながら微笑む。
木曾「……起きねぇと、襲っちまうぞ~」
女提督「……」スヤスヤ
木曾「……」

木曾「はぁぁ……アホらし…」
そう言うと、木曾は優しく提督を抱き上げた。
木曾「…世話の焼ける奴…」
提督を抱えた木曾は提督の自室へと連れて行く。

ベットの上に提督をゆっくりと寝かせ、毛布を被せる。
木曾「……人の気もしらねーで…」
あまり揺らさないように、提督の胸近くに静かに腰掛ける。
女提督「……」ズピピピ

木曾「……」スッ
木曾の手は、提督の髪に伸びていた。

絹糸のように艶のある黒髪、サラサラと油気もない。

その綺麗な前髪を撫で、額を露にさせる。
木曾「……礼として貰っておくからな」
そう言うと、露になった額に口づけをする。

数秒程経った辺りで唇を額から離し、立ち上がる。
木曾「…おやすみ」カチッ
木曾は部屋の明かりを消し、部屋を後にした。


女提督「……」
木曾が出て行ったのを確認し、身体を起こす。
女提督「……ふぅぅ」
そして、ここまでの木曾の行動と言動を思い返す。
女提督「木曾ちゃんてば、大胆だなぁ…あははは…」
女提督「…えー…っと…」///
思い出したら恥ずかしくなり、両手で顔を覆う。
女提督「ど、どーしよ…」///

*

翌日。
─執務室
女提督「……」カキカキ
ガチャ。
女提督「…!」ビクン
木曾「ふぁ~ぁ……ん、何だもう居たのか。おはよう」
女提督「お、おおお…おはよう」プイ
女提督(む、無理無理無理!昨日のあんな事された後じゃ顔なんて…無理無理無理!)///
木曾「お、おう…?」

木曾(ん…?今顔背けられた…よな?)
女提督「きょ、今日の分の…デイリーお願いね…木曾ちゃんっ!」カキカキ
木曾「ああ…それは良いんだが…」
木曾「何か今日は変だな?どうした?」
女提督「んんっ!?べ、べべべ別に…?い、いつも通りだけど…!?」カリカリカリカリカリ
木曾「落ち着け、書類が駄目になる…」
女提督「ひゃっ!?ご、ごめん…」
木曾「…やっぱりお前なんか変だぞ…熱でもあるのか?」スッ
女提督「い、いやっ!大丈夫だからっ!」パシッ
女提督「あっ……」

木曾「あ、ああ……そうか…悪ぃな。…じゃ、デイリー消化してくる」
女提督「あ、うん…」
バタン。
女提督「な、何やってるのよ私ぃ~…馬鹿ぁ…」ヘナヘナ
木曾(やっぱり今日のあいつ変だよな…?)

*

木曾「一息いれる──」
女提督「ごめんっ!ちょっと天龍ちゃん所行ってくる!」ダッ
木曾「か…」

木曾「あ、哨戒の事なんだが───」
女提督「木曾ちゃんに任せたっ!」ダッ
木曾「ちょ…」

木曾「良い時間だな。そろそろ昼飯食わねーか?」
女提督「今日は一人で食べますっ!」ダッ
木曾「え、おい」

*

─通路
木曾「やっぱりおかしい…不自然過ぎる…」
木曾「…避けられてる?」
木曾「あいつに…?…何かしたかなぁ……」
物事に耽っていると、正面に提督が見えた。
木曾「あ…」
女提督「!!」
提督も木曾の存在に気付くと、回れ右で逆走を始めようとする。
木曾「あ、おい!待て!」ダダダ
提督逃げるも木曾の方が速い。

数秒もすれば差が縮まり、提督の腕を掴む。
女提督「うゎゎっ!」

木曾「っし……お前、今日どうしたんだよ?朝から変だぞ」
女提督「へ、変じゃないよ…!?」
木曾「バレバレだっての。本当の事言うまで離さないからな」
女提督「う、うぅ…」
木曾「何だよ?」
女提督「お、怒らないでね…?」
木曾「…内容によるな」
女提督「わあああっ!絶対怒るよこれぇぇ!」
木曾「決めつけんなって!とりあえず話してみろよ!」

女提督「えーーっ!だってもう怒ってるー!」
しどろもどろに身体を捩じらせて嫌々唸っていたが、段々と落ち着いてきて話してくれる雰囲気になる。
女提督「……わかった」ボソ
木曾「おう」
女提督「多分、この一言で木曾ちゃんなら察してくれると思うけど」
木曾「一言?」
女提督「…起きてたの」
木曾「はぁ?起きてたって───」
木曾(はっ!!??)

女提督「あはは…」
木曾の顔色の急激な変化に提督も気付き、察したと理解する。
木曾「じょ、じょじょじょ冗談だろ…?」プルプル
何の感情が渦巻いてるか木曾自信も理解出来ない。

掴んでいた提督の手も、力が入らずスルリと抜けてしまう。
女提督「ざ、残念ながら…」///
木曾「う…」
木曾「うわああああああああああああ!!」
女提督「木曾ちゃん!?」ビクッ
突然大声をあげた木曾は提督の両肩を掴む。
木曾「お、起きてたんなら最初から起きてろよお前えええええええ!!」ユッサユッサ

木曾「何で寝たフリしてんだよおおおおおおお!!」ユッサユッサ
女提督「おおおお落ち着いて木曾ちゃんんんん」ガクンガクン
木曾「これが落ち着いていられるか!?」
女提督「だ、大丈夫!最後の辺りしか知らないから!!」
木曾「そこが問題なんだよ馬鹿野郎ぉぉぉぉ!!」ユサユサユサユサ
女提督「あががががが!」

*
─提督の自室
落ち着いた二人は、通路で馬鹿騒ぎするのもアレなので部屋へと移動した。
木曾「ハァ…駄目だ…恥ずかしくて死ぬ…」
女提督「げ、元気だして…?」ポンポン
木曾「そういう慰めはいらねぇよぉぉ…」
女提督「そ、そうだよね…ごめん…」
木曾「……………」
女提督「……………」
木曾「だが……終わっちまった事はしょうがねぇ」
女提督「…うん?」
木曾「なぁ……お前は…俺の事どう思ってる」
女提督「えぇっ!?…と、突然だね!?」
木曾「いいから…どうなんだ?」
女提督「え、えぇっと…その…うんと…」/// モジモジ
木曾「嫌いか?」
女提督「き、嫌いな訳無い!それは!絶対に!」
木曾「…じゃあ?」

女提督「うぁっ……えっと…」
女提督「………」
提督は顔を伏せて、両手で顔全体を隠す。
女提督「す、好き……かも…」
木曾「それは……仲間としてか?」
女提督「ううん……多分これは…そういうのじゃないかも…」
木曾「…そうか。そりゃ良かった」
女提督「…良かった?」
提督は覆っていた手を解き、木曾の顔を見る。
木曾「ああ。あんな事したんだ、分かってるとは思うが…」

木曾「俺も、お前の事が好きだ」
女提督「わわっ…」///
木曾「ははは!何かバレたものはしょうがねぇって思ったら何でも言えそうだ」ケラケラ
女提督「い、今の私には色々と言われたら、刺激が強すぎるかなぁ…」///
木曾「ははっ!…じゃあ追い打ちだ」
木曾は提督の手を強く握る。

片目しか見えないが木曾の瞳に宿る強い意志を感じ取り、押し黙る。
木曾「…今のこの戦争…いや、軍に属してる間じゃあ正直なんも出来ねぇ」
木曾「だから…1日でも早く俺がこの戦争を終わらせてやる」
木曾「…こんな事言うと怒られちまいそうだけどよ…」
木曾「…お前の為に、俺は戦う…」
木曾「そして、深海棲艦が居なくなる日まで…静かな海を取り戻すまで」
木曾「俺が、お前を守る」
女提督「…木曾ちゃん…」
木曾「…良いだろ?」
女提督「…うん」
女提督「でも、カッコつけすぎかな」
木曾「っ…!?」

女提督「ぷ…変な顔…あはははは!」
木曾「お、おまっ!?わ、笑う事無いだろ!?」///
女提督「だって…だって…あはははは!」
木曾「俺が折角…!あーもう、知らんっ!」/// プイ
女提督「あははは!…ごめんごめん!」
木曾「知らねー!」プンスコ
女提督「でも、でもね?」
木曾「…あンだよ?」
木曾は依然顔を背けたまま応答する。
女提督「惚れちゃったかも♪」
木曾「くっ…」///
木曾の帽子を自分の前に垂らして、見られないように塞ぐ。
女提督「あらら~?照れてるの~?」
木曾「う、うるせー!」///

女提督「ふふふっ♪ねぇ、木曾ちゃん。こっち向いて?」
木曾「なんだよ──」チラッ
気乗りはしなかったが、提督の方へと振り返る。

その途中、頬に柔らかい感触が当たった──唇だ。
木曾「なっ」
女提督「えへへ…」
女提督「昨日のお返し…だよ…」///
木曾「ば、馬鹿か…」///
女提督「あははは…」///
女提督「……ね、ねぇ木曾ちゃん…」

木曾「…今度は何だよ…」
女提督「次は…こ、ここに…して?」///
提督は恥ずかしそうにしながらも、自分の唇を指し示す。
木曾「恥ずかしいならやんなよな…」
女提督「あ、あははは…」
木曾「ったく……良いぜ」
女提督「…ほんと?」
木曾「ああ…」クイッ
そう言うと木曾は提督の顎を指で軽く持ち上げる。
木曾「……改めて」
女提督「う、うん…」
木曾「…好きだぞ」
木曾の顔が近付いて来る。
女提督「私もだよ…」
提督は、それを受け入れるかの様に目を閉じた。

そして───。

バンッ!!

天龍「オーイ!提督此処かー?……!?」
暁「新しい映画借りてきたわよー!…えっ!?」
雷「どうしたの?居なか──…!?」
電「は、はわわ!?」///
女提督「………!?」
木曾「………!?」

天龍「…あーっと…おめでとう?で良いのか?」
暁「ね、ねぇ…これって…」
雷「電!み、見ちゃ駄目よ!」チラッチラッ
電「はわわわ…」///

女提督・木曾「あ…」

女提督・木曾「ああああああああああああああああっ!!!!」///」

おしまい。
お疲れ様でした。
楽しく読んで貰えたなら嬉しいです。
百合ってこうですか!?違いますか!

では、またいつか。
元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1452177098/

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