艦これSSまとめ-キャラ別これくしょん-

艦隊これくしょんSSのキャラ別まとめブログ


時雨 夕立

【艦これ・時雨SS】夕立「ジグソーパズル?何それ?」

2016/12/25

※注意事項

・ちょっとだけホラーっぽい
・今朝、夢に見たので書きます
コンコン

夕立「提督さーん、お邪魔しますっぽい。」

提督「どうしたんだ、夕立? なにかあったのか?」

夕立「時雨と喧嘩したっぽい。だから提督さんに構って欲しいの……」

提督「これはまた珍しいこともあったもんだな。 お前たちいつも互いにべったりだろ?」

夕立「時雨が…夕立が大事にとっておいたアイスを勝手に食べたっぽい! なのに時雨ったら…

時雨『ちゃんと自分の名前を書いておかなかった夕立が悪いんだよ。それに、僕もこのアイスが大好きだってこと夕立も知っているじゃないか。』

とか言って謝りもしないっぽい。 時雨なんてもうしらないっ」

提督「(なんて下らない理由なんだ。いや、そんなことは思っちゃダメだな。こいつらだからこそなんとかするべきか。)」

夕立「だから提督さぁん…夕立のこと構って……」

提督「とは言ってもなぁ…仕事がまだ残ってるし、あと1~2時間は相手なんてしてやれないぞ。」

夕立「もぉー、ばかぁ!夕立より仕事が大事なの!? ねぇ~~構って構って!!」ジタバタ

提督「こらっ、執務室で暴れるな!(困ったことになった。まずはこいつをなんとかしなきゃな。)」

提督「(……そういえば『アレ』があったか。執務が終わるまでくらいならなんとかなるだろ)」

提督「夕立、ちょっと待ってろ。」ガサゴソ

夕立「?」

提督「お、あった。ほれ、夕立。」

提督はデフォルメされた動物たちが描かれたとある箱を夕立に手渡した

夕立「えーと。ジグソー、パズル? なにこれ?新しい遊びっぽい?」

提督「とにかく開けてみろ。」

夕立「ぽい~、なんか変な形の欠片がたくさんでてきたっぽい。」

提督「ジグソーパズルってのはな。そのバラバラになったピースを組み合わせて一つの絵を作るっていうパズルゲームの一種だ。」

夕立「このでこぼこしてるのを繋げるっぽい?」

提督「そうだ。箱に絵が描いてあるだろ。ちゃんと形の合ったピースを繋げていけば最終的にその絵になるんだ。」

夕立「なんだか難しそう。夕立に出来るかしら?」

提督「それは100ピースのジグソーパズルだ。そんなに難しいもんじゃないよ。でも慣れてないと一~二時間くらいはかかるかもな。」

提督「ちょっとした時間つぶしだと思ってそれで遊んでてくれ。ここでやってもいいからさ。その間に仕事は終わらせるさ。」

夕立「ぶー。わかったっぽい……でも終わったらちゃんと遊んでね?」

提督「わかったわかった……なるべく大人しくしてろよ。(いつまたぐずりだすかわからないからな。早めに終わらせよう。)」
一時間とちょっと後……

提督「はぁ~、終わったぁ。意外と早めに終わってよかった。」

提督「夕立、そっちはどうだ?随分と大人しかったじゃないか。」

夕立「う~ん……まだ半分もできてないっぽい。」

提督「そうかそうか。俺はもう大丈夫だぞ。さぁ、早速構ってやるからこっちに……」

夕立「提督さん、話しかけないで!気が散るっぽい!」

提督「お、おう。悪かった。すまない…(思った以上にハマっちゃったか。まぁ…別にいいけどさぁ…)」
さらに一時間後…

夕立「う~ん、ここがこうで、これがああで…」

提督「(随分と頑張るなぁ)」

さらにそのまた一時間後

夕立「もうちょっとなのにぃ、もうちょっとなのにっぽい!」

提督「(俺、帰ってもいいかなぁ…)」
結局作り始めて四時間経ったあと…

夕立「やった~、ついに完成したっぽい~! 提督さん、ほめてほめて~!」

提督「いや、おせぇよ!何時間たったと思ってるんだ。」

夕立「もぉ~。夕立ってばせっかく頑張ったのにぃ。」プンスカ

提督「でもまぁ、よく諦めずに完成させたなぁ……わかったわかった。よく頑張ったな、夕立。」ナデナデ

夕立「えへへ///」
夕立「ねぇ、提督さん。夕立、もっとジグソーパズルで遊びたいっぽい!他にはないの?」

提督「すまんが、今あるのはこれだけだ。(本当は、一人になりがちな島風にプレゼントしてやるつもりだったんだけどな。)」

夕立「そうなんだ。ちょっとがっかりっぽい。」

提督「……それなら、新しいのをいくつか買ってやろうか?」

夕立「え?いいの?」パー

提督「ああ、いいぞ。お前たちにはいつも頑張ってもらっているからな。それくらいは構わんさ。」

夕立「ありがとう!提督大好きっぽい! 夕立、頑張ってもっと早く作れるようになるっぽい!」

提督「ただし、時雨とは早く仲直りしろよ?」

夕立「むぅ~、そこはまた別の話っぽい…」

提督「はぁ…なるべくでいいから頼むよ……」
数日後…

提督「(夕立と時雨の部屋に呼ばれた。あいつらまだ喧嘩してんのかな)」

夕立「あ、来たっぽい。はいってはいって~」

提督「はいはい。お邪魔します、っと。うおっ」
部屋に入ると、壁にはあの後いくつか夕立に買ってやったジグソーパズルの完成品が並んでいた。
どれもこれもかわいらしいデザインの額縁に入れられて丁寧に飾ってある。
夕立「あれから夕立、頑張ったっぽい。すごく早くできるようになったっぽいよ?」

提督「正直お前を侮っていたよ…すぐに飽きるもんだと思ってたから。でも、これはすごいな。」
人には時折、意外なところで才能を発揮する者がいる。
夕立には案外こういうのは向いてたのかもな。驚いた。
夕立「提督さん。夕立、もっともっと遊びたいっぽい。だから…その…また買ってくれるかしら…?」

提督「……わかった。お前がそこまでいうならいいだろう。お前の本当にやりたいことなら、きっとお前のためになるはずだからな。」

夕立「嬉しいっぽい……ありがとうっぽい!提督さん!」

夕立「うまくできたら……またほめてくれる…?」

提督「当たり前だ。また、見せてくれよ。今度はもっと大きいやつ買ってやるからな。」ナデナデ

夕立「うん!夕立頑張るっぽい///」
提督「ところで、時雨はどうした?まだ仲直りしてないのか?」

夕立「うん…まだっぽい……でも夕立はそろそろ仲直りしたいっぽいけど、なかなか話しかけづらくって…」
コンコン

時雨「……夕立。入るよ…って、もしかして提督?今日はどうしたんだい?」

提督「あぁ。夕立に呼ばれて、完成したジグソーパズルを見に来たんだ。」

提督「それより、時雨。まだ夕立と仲直りしてないのか…?」

時雨「なるほどね。それと、そのことなんだけど……夕立。この前は本当にごめんね。」

時雨「悪いのは勝手に食べてしまった僕だよ…キミのものだと最初からわかっていたはずなのに、あんな言い訳をしてしまって……」

時雨「だから…アイス、買ってきたよ……2つ。あの時の分と今日の分。これでちょっとは許してくれるかい?」

夕立「……夕立も悪かったっぽい。大事なものならすぐに食べちゃえばよかったのに…いつまでもとっておいたら食べられちゃってもしょうがないっぽい。」

夕立「だから、時雨。ごめんなさいっぽい。そのアイスは時雨と一緒に食べるっぽい!」

時雨「ありがとう。夕立。これで仲直りだね。……提督には心配をかけたね。でも、もう大丈夫だよ。ありがとう。」

提督「礼はいらない。ま、お前たちなら遅かれ早かれ仲直りするだろうとは思っていたさ。(よかった。何も心配いらないじゃないか!本当によかった…)

夕立「提督さん、本当はすごく心配してたっぽい。強がってるだけっぽい。」

提督「そ、そんなことない」シドロモドロ

時雨「クスッ 提督は面白いね。」
時雨「ところで、夕立。最近ジグソーパズルに凝っているの?」

夕立「うん。この前提督さんから教えてもらったっぽい。」

時雨「へぇ。そうだったのか。僕もジズソーパズルはやったことがないんだよ。よかったらあとで教えてくれるかい?」

夕立「もちろんっぽい! 最初は大変だけれど…慣れてくれば段々楽しくなってくるっぽい!」

提督「欲しいなら、時雨にも買ってあげよう。ちょうど、夕立にも新しいのを買ってあげる約束をさっきしたところなんだ。」

時雨「えっ、でも…僕にはまだあんまり自信がないよ…」

夕立「だったら、もっと大きいパズルを買ってもらえばいいっぽい。それで、夕立と時雨の2人で一緒に作ればいいんじゃないかしら?」

提督「おっ、いいじゃないか。慣れてきた夕立にとっても、慣れてない時雨にとってもちょうどいいな。」

時雨「それなら…きっと大丈夫かな。えへへ。ありがとう、提督。夕立。」

提督「おう。せっかく仲直りしたんだ。2人で頑張れよ。」

夕立「ぽいっ!とっても楽しみっぽい。」ウキウキ
こうして、夕立と時雨は無事に仲直りし、ついでに2人ともジグソーパズルにハマっていったのだった。
数週間後…

夕立「提督さん!みてみて~!今度は500ピースのパズルが出来たっぽい! ほめてほめて~///」
時雨「提督。パズルが完成したよ。見てくれるかい? その…上手く出来ていたら、また褒めてくれると嬉しいかな///」
彼女たちの部屋の壁には大小様々なパズルの完成品が飾られ、ついには飾る余裕のなくなったパズルを鎮守府のあちこちにも飾ることになった。
その影響だろうか……それまでは彼女たちだけの趣味だったはずだが、自然とジグソーパズルに興味を持ち出す他の艦娘までも現れ始めたのだった。

そう…この鎮守府内で、前代未聞の『ジグソーパズルブーム』が発生したのだった。
響「ハラショー…このジグソーパズルというのは、なかなか奥が深いね。」

暁「レディはパズルも優雅にゆっくりと解くものよ。えっ、違うわ!わからないわけじゃないんだから!」

電「電の本気を見るのです!」シャッシャッシャッ

雷「できた! 次はもっと大きいのに挑戦するわ!」
ある者はジグソーパズルの魅力にとりつかれ…

霧島「金剛姉さま。私の計算によると…このジグソーパズルを完成させれば提督の好感度アップは間違いなしです!」

金剛「分かったネー!さすが霧島デース。 ワタシのインテーリジェンスでパズールもテイトクのハートも、トカしてみせマース!」

榛名「榛名も負けていられません! 榛名…頑張ります!」

比叡「金剛姉さまのためにっ…気合っ!入れてっ!いきますっ!」
またある者は、(何を勘違いしたのか)提督の好意を得るために…

加賀「あら、赤城さん。面白いものを持っているのね。」

赤城「はい。ジグソーパズルです。入渠中の暇つぶしにはもってこいかな、と。 若干濡れるのが心配ですが…」

加賀「そう…そういえば最近流行っているようね。五航戦の娘たちも話をしていたわ…」

赤城「ふふっ、加賀さんもどうです? 大きなものだと一人では大変なので…一緒に作りませんか?」

加賀「赤城さんが言うなら…そうね、試しにやってみようかしら。」
そしてある者は、単純に暇つぶしのために…

島風「天津風ちゃんおっそ~い~!島風はもう完成させちゃったよ!」

天津風「そりゃそうに決まってるじゃない!たったの50ピースなんだもの。それくらいあたしにだってできるわよっ」

島風「ふふ~ん。負け惜しみはカッコ悪いよぉ?」

天津風「うぅ~むかつくぅ~。見てなさいっ!天津風だって!」
ある者は、競争(?)のために… あと、島風が幸せそうでなによりです。
そんなある日…

コンコン

提督「ん?誰だ~?入っていいぞ。」

時雨「やぁ。提督。」 夕立「夕立もいるっぽい!」

提督「なんだ。お前たちか。今日はどうした?」

時雨「実は、提督にね。渡したいものがあるんだ…」

夕立「これっぽい!」スッ
そうして彼女たちは、包装紙に綺麗に包まれた大きな何かを手渡してきた。形から察するに何かの絵画だろうか?
夕立・時雨「開けてみてよ/ぽいっ」
言われるがままに包装を解くと、中には案の上額縁に入った大きな絵が入っていた。いや、よくみるとそれは非常に大きなジグソーパズルの完成品だった。

そこには手描きで…3人の人物が描かれていた。
構図としては、執務室のような背景と絵の中心に大きな男性。そしてその両隣に…彼と手を繋いだ2人の少女。
紛れもなく夕立と時雨だろう。と、なると。中心の人物は俺なのか?

絵の中の俺たちは笑っていた。とても幸せそうに。それを表すかのように彼らの周囲には優しい色合いでもやのような何かが描かれていた。
そして、絵の上部には大きく『提督さんと夕立と時雨はいつまでも一緒!』という文字が刻まれていた。

すべてを察した時、ふと目の前が霞んだ。不意打ち気味な衝動に、とある感情が抑えられなくなる。
時雨「これは、僕たちから提督への心からの感謝の気持ちだよ。 色々調べたらね、写真や絵を送ったらオリジナルのジグソーパズルを作ってくれるサービスを見つけたんだ。」

夕立「だから、2人で一緒に絵を描いて…パズルを作ってもらったっぽい!それでね、夕立と時雨で頑張って完成させたっぽい!」

提督「頑張ったって…これ、とんでもない数だぞ?」

時雨「ざっと…5000くらいかな。」

夕立「本当に本当に頑張ったっぽいよ?」

時雨「それだけ、提督には感謝しているんだ。いつも、本当にありがとう。提督……提督?」

夕立「提督さん……泣いてるっぽい?」

提督「泣いてなんかねぇよ……目に61cm五連奏酸素魚雷が入っただけだよ……」
嘘です。めちゃくちゃ泣いてる。なんだこれ、涙が止まらない。本当になんだこれ…
俺は彼女達から受け取った絵を、丁寧に執務室の壁に飾りつけた。
俺のデスクから常に見えるように、入り口近くの壁にだ。

そして、俺は彼女たちに近づき…2人を優しく抱きしめた。

夕立「て、提督さん///」

時雨「恥ずかしいよ///」
提督「……本当に感謝するべきはむしろ俺の方だ。」

提督「お前たちがいてくれたからこそ…俺はここまでこれた。」
最初は手のかかる子供だったが…よくここまで頑張ってくれたものだ。
2人とも、改二になった時にはとても嬉しかったのを今でも覚えている。

まるで我が子の成長を喜ぶ父親のように…俺は今、感動していた。
提督「本当にありがとう。俺たちはこれからも…ずっと一緒だ。」ナデナデ

夕立・時雨「うん!///」ニッコリ
その日、俺たちは仲良く一緒の布団で寝た。 憲兵沙汰にならないことを祈りながら。
※注意

この話を、いい話で終わらせたい方はこれ以降は読まないことをおススメします。
……

数か月が経った……時間が過ぎるのは早い。
あれ以来、俺たちの艦隊は様々な海域を攻略していった。
あの日以来、夕立と時雨の活躍には驚かされてばかりだ。

より絆を深め、強くなったあいつらに敵う深海棲艦などいなかった。
……では、少々以前より俺たちの間で変わった点について話そう。

物事には必ず流行り廃りというものが存在する。そこに例外は存在しない。
そう。案の上…あれだけ鎮守府内で流布していた『ジグソーパズルブーム』は最早過去のものとなっていた。
夕立「(最近、飾られてたパズル絵がどんどん減ってるっぽい…)」

大淀「これじゃ掲示物が貼れませんね……もうブームは去りましたし、こっちの絵もしまってしまいましょうか。」
夕立「(最近、誰もジグソーパズルの話をしないっぽい…)」

望月「ジグソーパズル? あーあったね、そんなブーム。それよりさ、新作のゲームがさ……」
夕立「(最近、ゴミ捨て場に未完成のままのジグソーパズルがたくさん捨てられてるっぽい…)」

金剛「せっかくLOVEを込めて作ったのに~テイトクにはほとんど相手にしてもらえなかったデース…もったいないけど、捨てるしかないネー…」
夕立「(……)」

夕立「みんなひどいっぽい。みんなもうどうでもいいのかしら?」

夕立「でも…夕立はジグソーパズルが大好きっぽい!」

夕立「だって、こんなに達成感のある遊びなんてそうそうないっぽいし。」

夕立「ジグソーパズルのおかげで時雨とも前よりもっと仲良くなれたっぽい!」

夕立「それに……せっかく提督さんが夕立のために教えてくれた大切な遊びっぽい。」

夕立「だから、夕立はもっとジグソーパズルを遊び続けるっぽい。」

夕立「夕立がすごいパズルを作り上げたら…きっとみんなもまたジグソーパズルのことを思いだしてくれるわよね?」

夕立「そうと決まれば、早速時雨に相談するっぽい! 一人なら無理なパズルも、2人ならきっとこなせるっぽい!」
夕立「あっ、時雨がいたっぽい!おーい……」
扶桑「ふふっ、時雨は絵が上手なのね…」

時雨「そ、そんなことはないさ…ただ偶然上手く描けただけだよ。」

最上「でもこれってすごいよ!ボクだったらこんなにうまく風景画なんて描けないよ。」

満潮「確か…執務室に貼ってあるジグソーパズルの絵も時雨が描いたんでしょ? あれはまぁ、そうね。とても上手よ。」

時雨「あぁ、アレはね…半分は夕立が描いたんだよ。だから、あの絵は僕だけじゃなくて…」

満潮「夕立には悪いけど、あの絵…夕立が描いた場所なんて丸わかりよ。そこだけ下手過ぎるもの。私がすごいと思ったのは、時雨が描いたとこだけ。」

時雨「そ、そんな言い方は……」

山城「ねぇ、時雨?よかったら私に雪風ちゃんの絵を描いてくれる?なんだかそれがあれば幸せになれる気がするの…」フフフ

最上「じゃあ僕にも今度なにか描いてよ! あ、いや。僕に絵の描き方を教えてよ。きっとコツとかあるんだよね。」

扶桑「たまには私も絵を描いてみようかしら。気分転換も大事よね…」
時雨「は、はは。そうだね。また今度でよかったら。」

時雨「ごめん、このあと少し用事があるんだ。もう行かなきゃ。じゃあね…」タッタッタッ

夕立「結局話しかけられなかったっぽい…」

夕立「時雨は忙しいっぽいし、あとででいいや。」

夕立「予定変更するっぽい!出来たばかりのジグソーパズルをこれから提督に見せに行くっぽい!」

夕立「また、ほめてもらえるかな///」
執務室前

夕立「よいしょ、よいしょ。」

夕立「1000ピースにもなると運ぶの意外と大変っぽい。」

夕立「早速入るっぽい!……あれ?提督さん以外に誰か中にいるっぽい?」

聞き耳を立てる夕立「……」
提督「今日も来たのか。どれ…その絵を見せてみろ。」

提督「時雨。」
夕立「!? 時雨……っぽい?」
時雨「うん。はい、この絵だよ。」

提督「……やはり、素晴らしいな。どこから描いた絵なんだ?」

時雨「近くの灯台の上で描いたんだ。そこから見える鎮守府はすごいんだよ。僕のお気に入りのスポットなんだ。あ、夕立には内緒だよ?」

提督「そうか、わかった。そういうことならそうしよう。」
夕立「時雨……提督さんに話して夕立にだけ内緒ってどういうこと? 夕立、仲間外れっぽい…」
提督「それにしても時雨。お前には絵の才能があるんじゃないか?」

時雨「そ、そうなのかなぁ。さっき扶桑達にこの絵を見せたら、同じようなことを言われたよ。」

提督「ならきっと間違いないさ。お前はもっと自信を持っていいんだぞ。時雨。」

時雨「そうだね。少し嬉しいかな。そ、それじゃ、提督…いつものお願い。僕、上手に絵を描けたよ?」

提督「あぁ…わかった。」
夕立「な、何をするっぽい?///」

提督「時雨…よく頑張ったな。これからもこの調子で頑張れよ。」

提督「……絵の練習を。」ダキシメ

時雨「はわわ///うん///頑張るよ///」カオマッカ

夕立「……」

夕立「帰るっぽい。夕立は邪魔者っぽい。」
夕立、時雨と提督さんがそんな関係だったなんて知らなかったっぽい。

いつからだったのか。もしかしたら最初からそうだったのか。そんなのは夕立にはわからないっぽい。

けど、バカな夕立にも一つだけわかったことがあるっぽい。
夕立は今の提督には必要とされてないっぽい。
時雨も、提督も。この前までのことはきっと忘れちゃったっぽいね…

『いつまでも一緒』なんて結局はただの戯言だったっぽい。
…………

夕立、気付いたっぽい! あはは。どうしてすぐに思いつかなかったんだろう。

夕立には得意なことが一つだけあったっぽい。

もぉ~夕立まで忘れかけてたっぽい。反省するっぽい!

提督…時雨…待ってて。すぐに思い出させてあげるっぽい!楽しかった…幸せだったあの時の思い出を!

だから、夕立。今まで以上に頑張るっぽい! 一人でも夕立は頑張れるっぽい!

あははははははははははははははああははははははははははははははははははははははは!!
あはははははははははははああはははははははあはははははははははははははははははは!!
あはははははははははははははははあははははあああはははははははははははははははは!!
夕立が去ったあとの執務室

時雨「あ、あの提督。そろそろ離れてくれないかな。恥ずかしくなってきた///」

提督「そ、そうか。悪かった。」

時雨「い、いや、提督は悪くないよ。最初に提督に頼んだのは僕だし…」

提督「ははっ。まぁ、俺も少しは自重しないとな。」
提督「こんなところ、夕立に見られでもしたらどんな誤解を受けるか分からないからな。」
時雨「そうだ、提督。夕立への『アレ』、どうにかなりそう?」

提督「あぁ、なんとかするさ。あとはお前が絵を描いてくれるのを待つだけだよ。」

提督「そういえばさ、お前がさっき言ってた秘密のスポット。夕立に内緒なのはどうしてなんだ?」

時雨「あぁ、そのことかい? それはね…『アレ』を渡す場所を『その場所』にしたいからさ。」

時雨「サプライズだからね。できれば驚かせたいんだ。というか、渡すのは提督なんだよ。そのへんちゃんと分かってるのかなぁ?」

提督「……時雨って実はけっこうお茶目なところがあるよな?」

時雨「もうっ…どういう意味なのさぁ。」

提督「なんでもないって! それより、絵を早く頼むぞ。」

時雨「そうやってすぐに誤魔化す……」
時雨「でもきっと、提督のそういうところが好きになっちゃったんだろうなぁ。僕と夕立は。」
時雨「楽しみだね、提督。夕立もきっとよろこんでくれるよ。」

提督「あぁ、そうだろうな。」
提督「ケッコン指輪…夕立、ちゃんと受け取ってくれるかなぁ…」
数日後…

コンコン

提督「ん?いいぞ~。」

時雨「提督。失礼するね…」グッタリ

提督「どうしたんだ、時雨?なんか元気がないな。」

時雨「……あのね、提督。相談があるんだ。」

提督「なんだ?明日のことか?もう準備はできてるじゃないか。でもそうだな。一応最終調整でも…」
時雨「違うんだ!提督!」
時雨「あ、ごめん。いきなり怒鳴ったりして。」

提督「……わかった。落ち着いて話してごらん。」

時雨「うん。えっとね。実はここ数日夕立の様子がとってもおかしいんだ。」

時雨「最初は、ただ熱中してるだけって思ってたんだけど。どうやら違うみたいなんだ。」

提督「? 話がみえないな。どういう風におかしいんだ?」

時雨「着いてきて。きっと見ればわかる。」

時雨「でも提督。気を付けて。」
時雨「どんなものがあったとしても、絶対に気をしっかり持ってね。」
俺はふと思い立った。

何故そう思ったのかはわからない。けど、どうしてか『そうするべき』と思ったんだ。
俺はポケットに、ケッコン指輪をすべり込ませた。
俺がこの後体験したこと、何が現実のことだったのか、どこまでが夢まぼろしのことだったのか。
その判断はこれを読んでいる者に任せたい。

ただ一つ言えることは…

夕立は…ただ純粋に俺たちのことを想っていただけ、ということだ。
提督「ついたぞ。」

時雨「うん…」シガミツキ
俺は彼女たちの部屋に辿り着いた。
外見はなにも変わらない。普通の部屋の入口だ。

提督「開けるぞ。」

俺はドアノブに手を掛けた。
その瞬間。とてつもない悪寒を感じた。

本能が拒否していた。その扉を開けることを。

しかし、それでも。俺は震える手に力を入れる。

夕立になにかあったとすれば…おそらくは、いや、間違いなく俺のせいだ。
だからこそ、彼女が苦しんでいるのなら、俺には彼女を救う義務がある。

そして、俺は扉を開けた。
俺の目に飛び込んできたのは、まさに異様な光景だった。

この異様な光景を。例えるなら、そう。

『壊れそうな美術館』だ。
部屋全体を覆うように、絵が飾りつけられていた。
よく見なくてもわかる。すべてジグソーパズルだ。

不思議なことに、元あったはずの家具はどこにも見当たらない。むしろ、あれば不自然だったのかもしてない。
まるで、元々この部屋がそれ専用の部屋であったかのように。ジグソーパズルが自然さを醸しだしている

同時にひどく不安定で歪だ。
この部屋そのものの構成成分が100%『ジグソーパズル』であるかのようだ。
何かが一つでも欠ければ、きっとこの部屋はバラバラになってしまう…そんな錯覚を感じさせられる。
よく見れば、部屋の片隅の方に一人の少女がいる。夕立だ。

……彼女の周囲に飾られているのは全て未完成のジグソーパズルだ。
俺は直感した。きっとそれらが完成することは永遠にないのだろう、と。

ピースが足りなくなってしまったのかもしれない。
あるいは、それ以上は作る必要がなくなってしまったのかもしれない。

とにかく。その中心に彼女はいた。
提督「夕立…」

夕立「……」
返事はない。ただ一心不乱になにか手を動かしている。
提督「夕立、お前どうしちゃったんだ?」

提督「さぁ、一緒に部屋から出よう。俺と、時雨と一緒に間宮のアイスでも食べにいこう。」
そういうと、夕立は手を止めた。そして…
夕立「あ、提督さん見つけた!ダメっぽいよ。勝手に入ってきちゃ。」
その時初めて夕立の表情を窺い知ることができた。

彼女は笑っていた。けれど、目に光は一切宿っていない。昏い笑顔。
時雨「夕立…!もうやめよう!こんなのおかしいよ…いつもの夕立に戻ってよ。」

夕立「時雨。何を言ってるの? 夕立はいつも通りっぽい。」

夕立「むしろおかしいのは時雨の方っぽい。」

時雨「!?…………そんな、そんなのって…」ヘナヘナ
時雨はもうダメだ。心が折れかけている。

当たり前だ。こんな異常な空間にいて平常心を保っていることが土台無理な話なんだ。

そういう俺も大分やられている。さっきから足の震えが止まらない。
夕立「そういえば、提督さん。夕立頑張ったっぽい!」

提督「何をだ?」

夕立「わからないの?ジグソーパズルっぽい!」

夕立「この部屋全部が夕立の作ったジグソーパズルっぽいよ?」

夕立「こんなに頑張ったのにまだわからないの?」

夕立「それじゃ、提督さんは…何をしたら思い出してくれるっぽい?」
はっきり言って支離滅裂だ。理解が追い付かない。
提督「夕立。お前がそうなったのは俺の責任だ。」

提督「本当にすまなかった。今更になってもお前の苦しみを分かってやれないなんて俺は提督失格だ…!」

提督「けれども、一つだけ言わせてくれ。」

提督「頼む!現実に戻ってきてくれ、夕立!」

夕立「……」
雰囲気が少し変わった?
夕立「現実に戻ってどうするの?」

夕立「どうせ戻っても夕立が苦しむことに変わりはないっぽい。」

夕立「夕立は邪魔者で、提督さんと時雨はずっと一緒っぽい。」

夕立「だから、夕立は決めたっぽい。」
夕立「提督さんと時雨をジグソーパズルにするっぽい。」
は?今なんて?
夕立「一から提督さんと時雨を組み直すっぽい。」

夕立「そしたらきっと、2人とも思い出してくれるっぽい?」
そういうと、夕立は立ち上がり、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

くそっ、身体が動かない。
気が付くと、隣にいたはずの時雨がいない。

提督「時雨!時雨、返事をしてくれ~!時雨ぇ!」

夕立「無駄っぽい。時雨はもうバラバラになってしまったっぽい?」
あぁ、これは…もうダメだな。時雨、すまない。こんなことに巻き込んでしまって。

……なら、最後にやることがある。それだけは。絶対にやり通して見せる。
夕立「提督さん。提督さんもすぐに組み立ててあげるっぽいから安心して。」

提督「……夕立。最後にいいたいことがある。」

夕立「?」

提督「俺はお前を愛している。」

夕立「!?」

提督「受け取ってくれないか?こいつを。」
そうして俺は、近づいてきた夕立の左腕をとった。

夕立の淡く曇った赤い瞳にはっきりと映るよう、ポケットから取り出して見せた。
夕立「」

夕立「ずるいっぽい。今更だなんて。」

夕立「こんなの…見せられたら……もう提督にひどいことできないっぽい…」
その瞬間。部屋の壁に飾られたジグソーパズルの一つが崩れ始めた。

それを境に次々とパズルが崩れ、ピースへと還っていく。
すべて終わったのだ。俺は確信した。

と同時に、それはこの部屋自体の崩壊に繋がっていることも示していた。
提督「夕立…」
俺は夕立を優しく抱きかかえる。せめて落ちるなら、少しでもクッションになるものが必要だ。
夕立「提督さん…夕立、間違ってたっぽい…?」

提督「いや、お前は間違ってなんかいやしないよ。」

夕立「……ありがとうっぽい。」

提督「そういや。まだ返事、聞いてないぞ。」
夕立「……夕立も、提督さんのこと。愛しているっぽい。今度こそずっと一緒にいてくれる?」
そう夕立が答えると、俺たちの足場も崩れ始める。
提督「当然だ。ずっと俺がそばに付いていてやる。」

夕立「嬉しいっぽい。」ニッコリ
そう笑う夕立の瞳には、いつもの明るさが戻っていた。
そして、俺たちは…どこまでも落ちて行った……
提督「」
時雨「気が付いたかい?」
提督「ここはどこだろうか? 死んだはずの時雨がいるということは、ここは天国か?」

時雨「はぁ、勝手に僕を殺さないでくれるかなぁ…さすがの僕でも…怒るよ?」
アレ?声に出てた?それに、死んでない?
どうやら、俺は長いこと気絶していたらしい。
時雨によれば、既に昨日の時点で例のサプライズ企画は実行されていたようだ。

俺と夕立は無事ケッコンカッコカリを済ませ、そのあとは鎮守府総出で宴会を開いたそうだ。

その際、俺は隼鷹・那智・千歳率いる酒飲み女軍団に絡まれ…見事つぶされてしまった、ということらしい。

おかげで昨日の記憶が一切ないのは、どうやらそういうことのようだ。
つぶれてしまった俺を看病してくれたのは、他でもない。夕立と時雨だ。

夕立はそのうち疲れて寝てしまったようだ。
その後の看病はずっと時雨がしていてくれたことになる。こいつには、本当に頭があがらなくなりそうだ。
そういえば…あの夢はいったいなんだったのか?
妙にリアリティがあったことは覚えている。
そういえば…あの夢はいったいなんだったのか?
妙にリアリティがあったことは覚えている。

提督「時雨…すまないがもう少し寝させてもらうよ。夕立にありがとうって伝えておいてくれ。」

時雨「うん、わかった。お大事にね。」

そして、俺はまた。眠りについたのだった…
提督「夕立ぃ~」

夕立「ぽい? 提督さん。ご用事はなぁに?」

提督「なんでもないさ。ただ呼んでみただけ。」

夕立「もぉ~、夕立だって暇じゃないっぽい。」

提督「いいだろぉ。いつもいつもところ構わず甘えてくるのはどこのどいつなんだか…」

夕立「提督さんが好きなんだからしょうがないっぽい///」
あれからさらに時は過ぎて…

夕立が秘書艦になり、彼女と共に過ごす時間が増えた。
夕立はあれ以来特に変わったこともなく、いつもと変わらないちょっとおバカで甘えん坊な夕立のままだ。
あぁ、一つだけ変わったことといえば…夕立はジグソーパズルを作ることを止めた。

飽きてしまったのか、それとも…
夕立「あ、そろそろ時雨と遊ぶ時間っぽい!」

提督「ちょ、まっ。まだ書類が!」

夕立「そんなのぽいぽいぽーい!」
全く…こいつは…
でもまぁ、いいか。あいつが幸せそうならそれで。

俺は入り口の壁に飾ってあるジグソーパズルの絵を眺めた。
そこには、幸せそうな笑顔の3人が変わらずに描かれていた。
コンコン

提督「(なんだ、夕立か?忘れ物でもしたのか。)」

時雨「失礼するよ、提督。報告書を持ってきたよ。」

提督「ご苦労様。 このあと夕立と遊ぶんだろ?もう下がってもいいぞ。」

時雨「? なんのことだい、提督? 今日はそんな約束はしてないはずだけど…」

提督「おかしいな。 ま、あいつのことだし。なにか勘違いでもしてるんだろうな。」

時雨「クスッ そうだね。一応あとで探してみるさ。それじゃあね。提督。」

提督「(まさか…な。考えすぎだな。)」

提督「よし、仕事にとりかかるか!」

???の部屋
夕立「新しいジグソーパズルっぽい!夕立頑張るっぽい!」

夕立「ね? 時雨…提督……」

時雨(?)・提督(?)「…………」

夕立「えへへ///3人はいつまでも一緒っぽい!」
一応これで終わりです。

最後まで読んでいただけた方には感謝とお詫びを。本当にありがとうございました。
そして安易なヤンデレ展開やキャラ崩壊で気分を害された方、すみませんでした。
きっかけは昨日の朝に見た夢で、
ぐちゃぐちゃな部屋の中心で、無表情なままひたすらジグソーパズルを解いている夕立の夢を見たからです。

なんとも言えない不気味さをやけにリアルに感じる悪夢でした。

最近艦これでは時雨にばっかり構っていたので、これを機に夕立にももっと構ってあげようと思いました。
終盤の展開の解釈は完全に他人任せです。
明確な答えを用意しているわけではないし、おそらく全ての解釈がそのまま答えになり得ます。
では、改めて。ありがとうございました。

何か質問等あれば、少しの間だけですがお答えします。
元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467801819/

-時雨, 夕立