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天龍 龍田

【艦これSS】提督「艦娘は本当に強いのか?」【天龍・龍田】

提督「もしかすると、見たままの強さなのではないか?」

提督「仮に戦ってみれば、私でも勝てるのではないか?」

提督「そんなはずはない、見た目通りのはずがない」

提督「そう自分に言い聞かせてはいるものの……」

提督「最近、どうにも疑念が晴れない」

龍田「あら~……」

天龍「おいおいw」
天龍「兵学校でちゃんと勉強したのかよw」

天龍「オレたち艦娘は、こう見えて軍艦なんだぜ?」

龍田「軍艦としての機能性を保ったまま、人の形を取ってるの」

天龍「つまり、強さが凝縮してるってわけだ!」ヘヘーン

提督「いや、それは知っているのだが」

提督「どうにもなあ……」ウーン
提督「日々、目にし、接するうちに」

提督「どんどん疑念が強くなっていく」

提督「戦艦や正規空母はまだしも、駆逐艦などどうだ」

提督「あの華奢な体……触れただけで壊れてしまいそうだ」

龍田「提督って心配性なんだから~」

天龍「だから、ああ見えて軍艦なんだって」

天龍「みぞおちにサッカーボールキックを叩き込んでもなんともねえよw」

提督「怖い事を言うな!!」ブルル
龍田「でも、不安ね~」

龍田「指揮官がそのような認識だと、大胆な作戦もできなさそう」

天龍「あっ、もしかして、オレたちを遠征ばっかりに行かせているのも!?」

提督「い、いや、それは別の理由だが」

提督「だが、不安なのは本当だ」

提督「大規模作戦の時など、いつも恐々としている」

提督「代われるものなら、私が代わってやりたいと思うほどだ」

龍田「重症ね~……」
天龍「よし! じゃあ、こうしようぜ!」

天龍「オレと提督で、実際に戦ってみるんだよ!」

龍田「ええ!? て、天龍ちゃん、それはさすがに……」

天龍「大丈夫だって! 世界水準は軽く超えてるからな!」

天龍「人間相手の手加減だって、わけねーよ!」

提督「うむ……」

提督「では、そうしてみようか」

龍田「提督まで~!」
龍田「怪我してもしりませんよ?」

提督「大丈夫だ。こう見えて、日々の鍛錬は欠かしていない」

提督「兵学校では戦法も学んだ。実技では毎年、主席だった」

提督「こうなれば、かえって天龍の心配をした方がいいのでは?」ハハハ

天龍「おっ、言ってくれるじゃねーか!」

天龍「じゃあ、いっちょ軽巡の力……」

天龍「その身に教えてやろうかな!!」
~十分後~

天龍「あ、あがが……!?」ピクピク

龍田「ひーん……」プルプル

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………か」

提督「勝ってしまった……」ブルブル
提督(お、落ち着け。落ち着くんだ、私)

提督(偶然かもしれない。たまたま、星の巡りが良くて……)

提督(いや、そんな問題ではなかった!!)

提督(天龍だけならまだしも、龍田にも勝てたのだ……)

提督(それも、非常に容易く!!)
提督(バカな、艦娘は人間より弱かったのか?)

提督(そんなはずはない。それなら、人間が戦っているはずだ)

提督(そうだ、今のは何かの間違いだったんだ)

提督(落ち着け、私……落ち着いて考えるんだ)

提督(龍田の輪っかでも回しながら、落ち着いて……)クルクル

龍田「や、やめてぇ~……」プルプル
~翌日、格技場にて~

提督(一晩考えたが、あれはやはり偶然だ)

提督(たまたま竹刀が相手の死角に入り、たまたま上手く決まっただけ……)

提督(だが、そんな偶然も三度は続かない)

提督(それも、相手が戦艦なら、小手先の技術も通用しないはずだ!)

提督「と、言うわけで、いざ尋常に勝負だ!」

大和「は、はあ」
長門「何がというわけで、なのかは知らんが……」

武蔵「止めておいた方がいいぜ?」

陸奥「私たち、こう見えて力持ちなのよ?」

扶桑「下手をすると、失神するだけでは済まないかも……」

提督「いや、だからこそだ!」

提督「その圧倒的な力を、身を持って知りたいのだ!」

提督「頼む、戦艦の諸君! 私と勝負を!!」

大和「うーーーん……」
霧島「まあまあ、いいじゃありませんか」

比叡「霧島!?」

榛名「何を言ってるの、提督にもしものことがあれば……」

霧島「適当に手加減をしてあげればいいんですよ」ヒソヒソ

霧島「それに、向こうのお願いを聞いてあげれば……」ヒソヒソ

霧島「それを材料に、こちらのお願いも聞いてもらえるはず」ヒソヒソ

戦艦「「「「オオ!?」」」」
金剛「ナイスアイディーア、デース!」

金剛「と、いうわけで、テートクゥ! 勝負しましょー!」

提督「な、何がというわけで、なのかは知らんが……」

提督「願ってもないことだ。さあ、竹刀を手に取れ!」

金剛「ハーイ!」ウキウキ

提督「さあ、準備はいいな?」

提督「いざ尋常に……」

提督「勝負!!!!」
~一時間後~

提督「はぁ、はぁ、はぁ……!」

提督「くっ、なんということだ……!」

提督「はぁ、はぁ、はぁ……!」

提督「なぜだ、なぜ……なぜ!」

提督「勝ってしまった……!!」

戦艦「「「「あがががが……!?」」」」ピクピク
提督「全戦全勝だ!」

提督「言い訳のしようもないほど綺麗に勝った!」

提督「……あり得ないことが起きてしまった……」

提督「これまで培ってきた常識が、音を立てて壊れていくようだ……」

提督「深海棲艦は強い! だから、同じく強い艦娘でなければ戦えない!」

提督「そう、習ってきたはずなのに……」
提督「いや、違う! そんなはずはない!」

提督「これは何かの間違いだ!」

提督「艦娘や深海棲艦は、人間など及びもつかない存在なのだ!」

提督「そうでなければ、自分は今まで……」

提督「……う、うわぁー!」

大和「て、提督ーっ!?」
~翌日、深海泊地にて~

駆逐棲姫「キャーッ!?」スパーン!

港湾棲姫「クルナ……クルナァ!」スパーン!

集積地棲姫「ヤメロォー!?」スパーン!

重巡棲姫「ダ、ダレカ」スパーン!

空母棲姫「タスケ」スパーン!
戦艦水鬼「調子ニ乗ルノモ……ソコマデヨ」

戦艦水鬼「単身、乗リ込ンデキタ勇気ハ認メルガ」

戦艦水鬼「ソノ快進撃モ、ココマデ」スパーン!

戦艦水鬼「」シュゥゥゥ……

提督「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

提督「か、勝ってしまった……」

提督「深海棲艦にも、竹刀一本で勝利してしまった……!」
提督「こ、これは夢だ! 悪い夢なんだ!」

提督「これまで強い味方、恐ろしい敵だと思っていた存在が……!」

提督「まさか、これほどか弱い少女たちだったなんて……!」

提督「くっ、なんなのだ、この冗談は……!」

提督「私がこれまで信じてきたものは……」

提督「一体、なんだったんだぁーっ!」ガクッ
??「ぐふふふふ……」

??「どうやら、気づいてはいけないことに気づいたようですねぇ……」

提督「っ!?」

提督「だ、誰だっ!?」

??「私ですよ、私」

提督「お、お前は……いや、貴方は!」

??「そうです」

元帥「元帥です」
提督「元帥閣下!?」

提督「閣下がなぜ、このようなところに……!?」

元帥「それは私の台詞ですよ」

元帥「艦隊の指揮を任せていた君が」

元帥「なぜ、単身、このようなところにいるのですか?」

提督「そ、それは……」
元帥「おや、その目」

元帥「疑念で濁っていますねぇ」

元帥「それを私に向けている」

元帥「もしかすると、私が黒幕なのかも……」

元帥「とでも考えているのですか?」

提督「い、いえ、そのっ」

元帥「正解です」

提督「っ!?」
元帥「本当のことをお話しますとね」

元帥「艦娘は元より、深海棲艦を作ったのも……」

元帥「私なんですよぉ!」

提督「なっ……!?」

元帥「いえ、私たち、といった方が正しいですね」

元帥「我ら秘密結社『DMM』は……」

元帥「世界各地で、麗しい少女を立て、おぞましい敵を用意しています」
提督「なんのためにそんなことを……!」

元帥「お金のために決まっているじゃないですか」

元帥「戦争が生み出す金、莫大な利益は、まさに甘い蜜です」

元帥「一度知れば、あなたも病みつきになりますよぉ」

元帥「世界各地から集まるDMMポイントは……」

元帥「まさに至福の味。天上の寒露ですよぉ!」

提督「き、貴様ぁーっ!」
提督「貴様はそんなことのために少女を戦場に立たせ!」

提督「戦う必要もない敵と戦わせていたというのか!」

元帥「ええ、その通りです」

元帥「それが何か?」

提督「おのれぇーっ!」
元帥「何を怒っているのやら……」

元帥「私たちは、むしろ感謝してもらいたいのですよ」

元帥「こうして化け物との戦争を「作った」おかげで」

元帥「人類間の大きな戦いはなくなりました」

元帥「深海棲艦という分かりやすい敵を前に」

元帥「概ね、人類は一致団結して立ち向かっています」
元帥「それを感謝されこそすれ、恨まれる筋合いはありません」

元帥「あなたもそうは思いませんか?」

元帥「ねえ、「提督」さん?」クスッ

提督「黙れ! 黙れ黙れ黙れ!!」

提督「鬼にも劣るその所業! 悪逆無道のその企み!」

提督「今、ようやく分かった! 真の敵がこの目に見えた!」
提督「うら若き少女たちを戦場に立たせる違和感に」

提督「もっと早く、気づいてやれば良かった……」

提督「そうすれば、この茶番に振り回されることも……」

元帥「ほう?」

元帥「ならばあなたは、どうするというのです?」

元帥「真実を知った今、まさか生き長らえられるとでも?」
提督「生き長らえる?」

提督「いいや、違う! 断じて違う!!」

提督「私がするべきことは、ここから逃げ出すことではなく……」

提督「元帥! そして背後に潜むDMM!」

提督「貴様らを粉砕することだぁーっ!!!!」
元帥「ふほほ、いいでしょう!」

元帥「ならばかかってきなさい!」

元帥「ただし、痩せても枯れてもこの元帥!」

元帥「一筋縄ではいかないと思ってくださいねぇー!!」グワッ!

提督「うおおおおおおおおおおっ!!!!」

提督「滅せよ、元帥ーーーーーーっ!!!!」シュバッ!!

その後、提督は艦娘と深海棲艦を束ね、

秘密結社DMMとの戦いに身を投じることになるが……

それはまた、別のお話     ~完~
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-天龍, 龍田