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赤城 Graf Zeppelin (グラーフ・ツェッペリン) 龍驤

【艦これ・赤城SS】グラーフ「ブブヅケ?……なに、これも食べてもいいのかっ」

2016/12/17

………………
…………
……

グラ「……という夢を昨日、私は見たのだが……」

グラ「リュウジョー、“ブブヅケ”とはなんなのだ?」

龍驤「……」

龍驤「あちゃーっ……」

グラ「?」

龍驤「グラやん……その夢の中でなんか粗相しはったやろ?」

グラ「ソソウ……とは、失礼のことか」
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グラ「分からないな……」

グラ「私はただ……そのオザシキがとても心地よかったから、時間を忘れて寝転がっていただけだ」

龍驤「あー……」

グラ「な、何だ」

龍驤「あんな……ぶぶ漬けっていうのは、お茶漬けっていう食べもんのことなんやけど」

龍驤「日本の西の方ではぶぶ漬けを出すっちゅーことはな……」

龍驤「『はよ帰って』って意味なんや……」
グラ「な……そうなのかっ?」

龍驤「せや」

グラ「なんということだ……私はおばあさんの邪魔になっていたという事か」シュン

龍驤「へへ……自分、夢ん中で追い返される寸前やったってことやな」ニヤニヤ

グラ「難解な文化だな……」
グラ「私の祖国なら、ありがたく頂いてしまうところだぞ」

龍驤「せやろうなぁ」

グラ「うむ……しかし、なるほどな……あのブブヅケにはそういう意味が込められていたのか……」

グラ「しかし……だとしても、あのブブヅケは実に美味しそうだった」

龍驤「へ?グラやん……」

龍驤「結局夢の中ではぶぶ漬け食べられんかったんか?」

グラ「あぁ……何故だか知らないが」

グラ「ブブヅケを目の前にした途端に夢が覚めてしまったのだ……」シュン

龍驤(……しっかり追い出されてしもたんやなぁ……)クスッ

それから翌日のことである……
グラ「今日も作戦は……終了だ」

グラ「あとは就寝するだけなのだが……」

グラ「……」

グラ「……気になるな……ブブヅケ……」

グラ「……」

ヴーッ……ヴーッ……

赤城「……あら、電話?」

赤城「誰かしら……」
赤城「……グラーフさんだわ……どうしたのかしらこんな時間に?」

パッ

赤城「もしもし?」

グラ『あぁ、アカギ……こんな遅くにすまない』

赤城「ふふっ……大丈夫ですよ、どうしたんですか?」ニコッ

赤城「何か困りごと?」

グラ『あぁ……一つ……聞きたいことが……あ、あってな……』

赤城(あの真面目なグラーフさんがこんな時間に……)

赤城(声もなんだか落ち着きがないわ……これはよっぽどの事ね……)

赤城「えぇ、私でよければ何でも聞いてね……」

グラ『ここでは……どうすれば……』

グラ『どうすればブブヅケが食べられるんだ?』

赤城「」ガクッ
赤城(ブ、ブブヅケ……?)

赤城(ブブヅケってたしか……お茶漬けのことよね?)

グラ『アカギ……どうしたんだ?ダイジョウブかっ?』

赤城「えぇ、大丈夫です……いきなりの事で、混乱しただけです……」

グラ『うぅ……すまない』シュン

赤城「いえいえ、いいのよっ」

赤城「フフッ、あなたがそんなことを聞いてくるなんて……」

赤城「むしろ打ち解けてくれたみたいで、なんだか嬉しいわ」

グラ『アカギ……』
赤城「お茶漬け……そうですねー……」

赤城「一番手早い方法ですと、鳳翔さんに一度頼んでみるとか……」

グラ『うむ……一度それは考えたのだが……』

グラ『いつも私達の食事を用意してくれるホウショーに』

グラ『自分のためだけにわざわざ手間をかけてもらうのは少し、気が引けるんだ……』

グラ『仮に三食のメニューに取り入れてもらったとしても』

グラ『それはそれで食べ盛りの駆逐艦たちが可哀想だからな……』

赤城「それもそうね……うぅーん……」
赤城「……一つ、方法がないこともないわ」

グラ『おぉっ、是非聞かせてもらいたいっ』

赤城「それはですね、私もよくやるんですけど…………」

………………
…………
……

バサッ……

グラ「これでよしっ」

グラ(可能な限り黒と寒色でまとめたコーディネートだぞ)

グラ(フフッ……それに私は夜戦に強い……完璧だ)
グラ「Lichten des Ankers!」
グラ(どうにか、外に出ることができたな)

グラ(だが、思っていたような監視の目はなかったぞ……)

グラ(警備体制がなっていない。これはについてはいずれアトミラールに打診しなければな)

グラ(……まぁ、今はそんなことはどうでもいい)

グラ(アカギによれば、ここを南下することで)

グラ(“コンビニ”という施設にたどり着けるそうなのだが……)

グラ(もし見つかれば、罰則が課せられるそうだ)

グラ(気を引き締めねばな)グッ
グラ「それにしても寒い……」

グラ(一月だからな……だが)

グラ(この国の冷え方は独特だな……)

グラ(地面から冷気が昇ってくるようだ)

グラ(タイツだけでは少し物足りなかったか)
グラ(誰かに日本の服の買い方を教えてもらいたいが……)

グラ(リュウジョーはなぜか服の買い物に付いて来たがらないから)

グラ(今度はアカギに来てもらおうかな)フフッ
キキィィィーーーーッ

グラ「うわっ」サッ

ブロロロロロrrrrrrr……

グラ「あ、危なかったぞ……」

グラ(なんて運転だ……酒でも入っているんじゃないのか?)

グラ(この国の飲酒運転は私の祖国よりも取り締まりが厳しいと聞くが……)

グラ(いくら日本とはいえ、夜中は安全と言えないのか……)

グラ(消灯時間の規律があるのも、少し頷ける……気をつけねば)
グラ(星は……みんなには悪いが私の故郷の方が綺麗だな)

グラ(ジャガイモ畑に囲まれた村だった……今思えばとてつもない田舎だったな)

グラ(村のみんなはどうしているだろうか……)

グラ(……)

グラ(寂しくなんか……ないぞ)グスッ
グラ(あれは……)

グラ(一際眩く光る建物だ……!)

グラ(これがアカギの言っていたコンビニ……!)

グラ(すごい……こんな深夜はおろか、24時間営業しているのか)

グラ(便利なものがあるのだな日本にはっ)

グラ(フフッ……ここにブブヅケが……)

グラ(…………)グゥー

グラ「Vorwärts!」キリッ
ピポピポーン……ピポピポーン

イラッシャーセー
グラ「これが……コンビニ……」

グラ(思ったよりもきれいに清掃されている……)

グラ(そして、ここがレジスターか)

グラ(欲しいものを持ってここに来るとよいのだな)
グラ「あの、忙しいところすまないが……」

店員「あ、はい」

グラ「ブブヅケというものを探している」

店員「ブブヅケ……ですか……?」

店員「ブ、ブブヅケ……ブブヅケ……」

グラ(しまった、ブブヅケが通じていないようだ……)

グラ(……もう一つの言い方が思い出せない……っ)オロオロ
グラ「少し……待ってくれ」ポチポチ

店員「は、はぁ……」
ヴーッ……ヴ-ッ……

赤城「」スピー…スー……

グラ「ダメだ……出ない」ガクッ
店員「あの……すみませんが僕、レジに戻らなくちゃいけないので……」

グラ「あ、あぁ……スマナイ……」シュン
グラ(こうなれば……自分で探すしかない……)

グラ(しかし……日本語のパッケージはまだ読めないものが多いんだ……)

グラ(なんということだ……ここまで来たのに……)
ジャー……
ガチャ
提督「あ」

グラ「」ビクッ
提督「いーけないんだーいーけないんだーっ」ベロベロベー

提督「しれーちょーかんにーいったーろーーー」オボロロローン

グラ「ま、まま待ってくれっ」オロオロ

グラ(とんでもないことになった!)

グラ(なぜアトミラールがこんなところに!?)

グラ(うぅ……もう……言い逃れはできない……)

グラ「ア、アトミラール……こ、この非礼については謝る……だ、だから……」

グラ「このことは……誰にも言わないで……くれないか……」ポロ…ポロ…

グラ「もう二度と……しない……からぁ……」グスッ
提督(冗談だったのに泣いてしまった……どうしよう……)
ピポピポーン……ピポピポーン

アリアシター
提督「すまん……まさか本気にするとは思っていなかったんだ……」

グラ「いや……こちらこそ、お恥ずかしい限りだ……」シュン

グラ「しかし……夜間の外出は罰則だと、たしかに教えられたのだが……」

提督「まぁ……そりゃなぁ」

提督「駆逐艦の子が真似したら困るし、大っぴらに良いとは言えないだろう」

グラ「た、たしかに」

提督「実際、上に見つかったら目も当てられないな」
グラ「アトミラールはどうしてコンビニに来ていたんだ?」

提督「まぁ……息抜きだよな」

提督「執務室に籠りっきりだと」

提督「なんだかねー」

グラ「ねーと言われてもな……」

提督「まぁこれ、食いなよ」ガサガサ

グラ「あ、ありがとう……」

グラ(これは……鶏肉の揚げ物か)

グラ「」ハムッ
グラ「アトミラールは普段から外でこういうものを食べているのか?」

提督「だいたいはまぁ……そうだよな」

グラ「差し出がましいようだが、脂質と塩分が過剰に感じる」

グラ「身体に障るから控えた方がいい……」

提督「正論なんだが、これは日本男児の性なんだよなぁ」

グラ「そうなのか?それは失礼した」
提督「しかし……あのグラーフが夜遊びを覚えるとは」

グラ「こ、これは夜遊びではないッ」

グラ「私が普段どう見られているのかは分からないが」

グラ「これは決して違うのだぞっ」

提督「そんな全力で否定しなくても……」

グラ「……」

グラ「でも、ブブヅケを探すのを手伝ってくれたこと……感謝している」

提督「おう」
提督「まぁなんでもいいが」

提督「やはり夜中に女の子が一人ってのは感心しないな……」

グラ「しかし……」

グラ「アカギだってよくしていると言っていた」

提督(……赤城め……)ゴゴゴ

グラ「」ビクッ
提督「グラーフになにかあったらどうすんだよ……」

グラ「!」

提督「まぁとにかく、今度魔が差したら俺に言えよ」

提督「お茶漬けといわず、色々御馳走するよ」

グラ「そんなこと、アトミラールに悪いではないか……」

提督「いーのいーの」

提督「         」ニコッ

グラ「っ!?」

グラ「アトミラールっ、そ、それはどういう……」カァーッ……

提督「おっ着いたな」

グラ「聞いているのかっ、おい……」バタバタ

提督「俺の部屋こっちだから」

提督「まー、明日は寝坊スンナよー」

提督「おやすみー」

グラ「ちょっ……おっ……」
グラ「……おやすみ……なさい……」
グツグツ……
ジャー……

グラ「あつッ……」

グラ「指にかかってしまった……」

グラ(さっきのアトミラールの言葉……)

グラ(おそらく……深い意味はないだろう)

グラ(いつもの調子で言っただけだ)

グラ(…………)
グラ(悪い気はしない)フフッ
グラ「これがブブヅケか……」
グラ「……さっきの……チキンの方が美味しかったな」ニコッ

――――――――――――FIN―――――――――――――
以上でおわりです
地獄のオーラス……………………!

迫るアカギスレ化の危機…………!

回避…………!生存………………!

これぞまさしく僥倖………………!
短かったですが、楽しく書かせていただきありがとうございました
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