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艦隊これくしょんSSのキャラ別まとめブログ


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【艦これSS・加賀】提督「指輪を外すんだ、赤城」

2016/12/23

赤城「え?」

提督「…………」

赤城「あ、あの……え」

提督「どうした」

赤城「すみません……あの、今、何と」

提督「指輪を外すように、と言った」

赤城「ど、どうして、ですか?」

提督「……理由は、今言えない。ケースに戻して、戸棚に入れておくんだ」

赤城「……え?」

提督「あと、今日は町まで出掛けるから、その間頼む。仕事は支障ないようにしてあるから」
提督「――それと、今日の夕方からは空けておいてくれ」

提督「君の今後について、大事な話がある……では」
―― バタン
赤城「…………」
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ただのラブコメです、すみません。

空母艦娘どうしの呼び方(鳳翔へのお母さん呼び)などに独自設定を含みます。

加賀「――あら、赤城さん?」

赤城「」

加賀「赤城さん、こんなところで寝てると風邪をひきますよ」

赤城「……これが、寝てるように見えますか」

加賀「違いましたか? ――ああ、お腹が空いて動けないんですね」

赤城「私を見たらそういうの、やめてくれませんかね……」

加賀「さっきから聞こえるのは、お腹の音じゃないんですか?」

赤城「いえ、お腹は、空いてるんですけど」

加賀「食べながら聞きますから。ほら、掴まってください」

鳳翔「おはよう、赤城ちゃん。いつものでいいかしら?」

赤城「あ、ええと……」

赤城(正直、食欲ないんだけど)

赤城(いつもより食べなかったら、お母さん心配するし……)
赤城「い、いつものでお願いします!」

鳳翔「はいはい、ごはん特盛でね。もうできてますよ」

加賀「私も、いつも通りでお願いします」

鳳翔「はい、こちらもすぐ出ますよー」
加賀「――なるほど、指輪を」

赤城「そう、なんです……朝、いきなり言われて……」

加賀「突然ですね。昨日、何か挙動不審だったりとか?」

赤城「いえ、普段通りです。執務も指揮も変わりなく」

加賀「理由は聞いたんですか?」

赤城「ええ。でも、今言うわけにはいかないと」

加賀「言えない、ですか。ふむ」

赤城「私、私……提督に、嫌われちゃったんじゃないかって……」

加賀(それはないわね)

加賀「赤城さんに何か、心当たりはあるんですか?」

赤城「心当たり?」

加賀「例えば最近、提督との会話とか、スキンシップが減ったとか」

赤城「いえ、いつも通りだと思いますが……」

加賀「些細なことでもいいんですよ」

赤城「うーん……あっ!」

加賀「ありましたか?」
赤城「そういえば昨日は、1日10回のキスが、9回だったんです!!」
加賀「……ん?」

赤城「お布団に入ってからの、おやすみなさいのキスが無かったんです」

加賀「…………」
加賀「えっ」

赤城「えっ」

加賀「え、あの、ちょっと待ってくださいね」

赤城「どうしました、頭抱えちゃって」

加賀「今まで、1日10回キスしてたんですか? 毎日?」

赤城「え、だって、私たちは……」
赤城「夫婦、ですし。――きゃっ」

加賀「」イラッ
赤城「夫婦なら普通ですよね?」

加賀「……さあ。私はまだ経験がないので」

赤城「朝起きておはようのキス、執務開始前に頑張りましょうのキス、朝食を運んで行ったときにありがとうの」

加賀「数えてほしいとも教えてほしいとも言ってないんですが」

赤城「ああ私も、ちゃんと催促しておくべきでした……」

加賀「……つまり、寝る前がいつもと違ったのね」

赤城「いえ、キスが無かったのはお布団に入って、お互いすぐ寝ちゃったからで、横になる前はいつも通りキス――」

加賀「あ、もうそこまでで」

赤城「それからですね、今日はおはようと頑張りましょうはいつも通りしたんですけど、いってらっしゃいのキスがですね、私呆然として忘れちゃって――」

加賀「そ こ ま で で」

赤城「? はい」

加賀「冗談で言ってるんじゃないわよね、赤城さん」

赤城「なんですか冗談って! 真剣に相談してるのに!!」

加賀「真剣に聞ける話題を持ってきてくれないかしらね」

赤城「加賀さん、私何か、提督に嫌われるようなことしましたかね?」

加賀「あー、えー……順当に考えれば」

加賀「燃費、かしらね」

赤城「!!」

加賀「正規空母の中でも私たちは、補給整備には一番資材を使いますし」

赤城「ケッコンカッコカリの後は、むしろ節約できるじゃないですか!!」

加賀「それでも多いのは変わりないですし。さらに言えば、出撃自体を無くしてしまったほうがいいでしょう」

赤城「そ、そんな……提督は私を戦力外に……?」ガタッ

加賀「赤城さん、もう食べないんですか?」

赤城「もういらないです……加賀さんが食べてください……」フラフラ

加賀「そうですか、では遠慮なく」

加賀「赤城さんにしては、随分残したわね」

加賀「相当堪えてたみたいだけど、別に愛情はそのまま……」
『1日10回のキスが、9回だったんです!!』
加賀「」イラッ

加賀「もう一本……あと適当にお料理も……」

鳳翔「あの、こんな時間から飲んでて大丈夫なの?」

加賀「いいんです。今日は出撃も、演習もありませんから」

鳳翔「そうじゃなくてね、体にちゃんと気を使って」

加賀「普段は節制してるんですから、たまにはいいじゃないですか」

鳳翔「一体何があったの?」

加賀「多分、明日になればわかります。今は砂糖吐き出す気分じゃ……あ、酔鯨がいいですね」

鳳翔「まあ、出せと言われれば出しますけど」
―― グォーン……

鳳翔「あら、この音……? それと少し煙い、かしら?」

赤城『パクパクモグモグ!!』

提督『――君は、本当に美味そうに食べるよな。そんなに美味いか?』

赤城『はい、おいしいです!!』

提督『君を見てると、料理と資材の両方を食べられる艦娘が、時々羨ましくなってくるよ』

赤城『食べてみますか? 多分死にますけど』

提督『ふふ、いや遠慮しておく。それに』

赤城『それに?』

提督『私は、君が食べてるところを眺めるのが好きなんだ……君が幸せそうなのを見ると、こっちまで笑顔になる』

赤城『!! あ、ありがとう、ございます……』

提督『良かったら、私の分も食べるか? 好きだったろ』

赤城『はいっ、いただきます!!』

赤城「…………」

飛龍「――うーん、今日の友永隊もいい感じだね」

蒼龍「江草隊も負けてないよ!」

飛龍「そろそろ、熟練度も上限かな?」

蒼龍「うーん、もう少し急降下の角度が……」

赤城「――調子良さそうね、2人とも」

飛龍「うわっ、赤城さん!? 気配消さないでよ」

赤城「艦載機妖精さんとも息ぴったり……ふふ……加賀さんの言う通り、お役御免の日も近いかも知れませんね」

蒼龍「いきなり何言ってるの、今にも倒れそうな顔して」

飛龍「あー、朝ごはん食べ損ねたんでしょ! お母さんのお店行こうか?」

赤城「だから!! すぐ食べ物に結び付けないでください!!」

蒼龍「――はー、指輪返せって言われたんだ」

飛龍「どうしたんだろうね、提督」

赤城「私が知りたいですよ……私、嫌われちゃったのかなって」

蒼龍(それはない)

飛龍(それはないね)
飛龍「とりあえず、原因を探ろうよ」

赤城「……相談、乗ってくれるんですか?」

飛龍「任せて! 三度の飯より恋バナ好きな、鎮守府のダブルドラゴンとは私らのことよ」

赤城「それ、首突っ込みたいだけじゃ」

蒼龍「細かいことはいーの」

飛龍「と言っても、心配しないでいいと思うけどね」

蒼龍「うん。正直2人には入る隙間もないよ」

赤城「でも、いきなり指輪外すなんて」

蒼龍「そういえばずっと嵌めてるよね、ちょっとはずすのも嫌なの?」

赤城「い、嫌ですよ!! 決まってるじゃないですか」

飛龍「それを提督に伝えればわかってくれるよ、きっと」

赤城「わけもなく、こんなことするような人じゃないんですが……」

蒼龍「原因ねー。なんか思い当たることないの、スキンシップ減ったりとか」

赤城「キスのことですか? 加賀さんにも言われましたけど」

飛龍「それもあるけど。夫婦の関係で減ったっていえば、あっちでしょ」

蒼龍「そうそう、夜の……ね?」

赤城「? ――ああ、夜伽のことですか」

蒼龍「……言い切ったね、せっかく私らがぼかしたのに」

飛龍「なんかこっちが恥ずかしいじゃん……」

赤城「……そういえば最近、減ったかもしれません」

蒼龍「え、本当!? そりゃまずいかもしれないよ、まだ若いのに」

赤城「やっぱりそう思いますか?」

飛龍「体の切れ目が縁の切れ目っていうしね」

蒼龍「どんなスプラッタなの。お金でしょ」

赤城「お、お金!? 私持ってませんよ」

蒼龍「むしろ養われるほうだよね」

飛龍「やってることは危険手当付きまくりだしね」

飛龍「アプローチの仕方なら、色々アドバイスできるかも」

蒼龍「言いにくいと思うけどさ、減ったってどのくらい?」

赤城「そうですね、ケッコンしてからは毎日5回ほどだったんですけど……」

飛龍「うん……うん?」

赤城「最近はあの人忙しくて、2、3回だけになっちゃったんです」
飛龍「えっ」

蒼龍「えっ」

赤城「えっ」

飛龍「待って、ちょっと待って」

蒼龍「え、あの、つまり今まで毎日、その、してたの?」

赤城「そんなに変ですか? だって、私たち……」
赤城「ふ、夫婦、ですし……きゃっ」

蒼龍「」イラッ

飛龍「いきなり照れるな!!」
赤城「ね、どう思います? 2人から見て、原因に心当たりとか」

蒼龍(真面目な恋の相談かと思ったら)

飛龍(盛大に惚気を聞かされたでござるの巻)

蒼龍「あー、これはあれだね。私たち二航戦の戦力強化を考えてるんだよ、提督は。多分きっとそうだ」

赤城「ど、どういうことですか!?」

飛龍「えー、提督が、偵察機の運用を重視したいとか、言ってたような気がしないでもないね」

赤城「!!」

蒼龍「それで効率良い私たちに、練度の上限突破させてくれるのかもしれないと言えなくもないよ」

赤城「そ、そんな……やはり私はお役御免……」フラフラ

飛龍「あ、赤城さん! 翔鶴が弓道場に来てほしいってさ」

赤城「翔鶴が? ふふ……最新の空母に、私が教えることなんて……」フラフラ

蒼龍「……大丈夫かな、倒れそうだったけど」

飛龍「ちょっと悪ふざけが過ぎたかな?」
『2、3回だけになっちゃったんです!!』
蒼龍「」イラッ

飛龍「」イラッ

蒼龍「うおおおおお!! なーにがスキンシップ減った、だ!!!!」

飛龍「天然か!? 当てつけか!? 正妻の余裕なのか!?!?」

鳳翔「はい、いらっしゃい」

「「冷やで一本!!!!」」

加賀「う……響くわね、大きい声出さないで」
鳳翔「貴女たちもなの? まだ明るいのに」

飛龍「大丈夫、今日は提督いないし」

蒼龍「鍛錬も終わって、明日も私たちはオフだしね」

鳳翔「夜まで飲むつもり!?」

加賀「ちょっと飲み過ぎたので、風に当たってきます……すぐ戻ります」フラフラ

鳳翔「すぐじゃなくていいですよ。仕込み、これで足りるかしら……」
―― グォーン……

鳳翔「また……これ、機関の音?」

蒼龍「私だってねぇ、ヒック、目の前で見せつけられてねぇ、何も思わないわけじゃないんだからねぇ……」

―― グォーン

鳳翔「ちょっと蒼龍ちゃん、ボイラー……」

飛龍「泣いていいぞぉ蒼龍!! お母さん、焼き鳥10本追加で!!」

―― グオーン!!

鳳翔「ちょっと、ケムリが!! 止めて止めて!!」

赤城『ただいま戻りました』

提督『お疲れさま……って、修理は?』

赤城『先に報告を、と思いまして。敵の機動部隊は壊滅、損害も私だけです!』

提督『――中破したら、報告の前に入渠するよう言ってるだろう』

赤城『はい、でも……』

赤城『――早く、褒めてほしかったんです』

提督『ん?』

赤城『い、いえ! なんでもありません、はい!』

提督『とにかく早く行ってきなさい、体が冷えるぞ』

赤城『……はい、それでは……』

提督『ああ、そうだ。工廠に用があったんだ』

赤城『えっ?』

提督『君の報告は口頭でも聞きたいから。歩きながら頼むよ』

赤城『――はいっ!!』
赤城「…………」

瑞鶴「どう、翔鶴姉?」

翔鶴「ううん、やっぱり飛行甲板が重くて……」

赤城「――翔鶴、呼びましたか」

翔鶴「あ、赤城先輩! お忙しいところすみません」

赤城「いえ、今日は別に……どうしたの?」

翔鶴「改装したばっかりでまだ慣れてないので。先輩に射形を見てほしいな、と」

赤城「ふ、五航戦は改二が来て、ますます元気よね……これが若さか」

翔鶴「え?」

瑞鶴「何よ、このめんどくさい空気は」

翔鶴「よっ――どうでしょうか、先輩」

赤城「うーん、普段よりはねらいが甘いかしらね……」

加賀「ええ甘いわね。継矢くらいできるようになりなさい」

翔鶴「あ、加賀先輩……そんなのお母さんのお手本しか見たことないですよ」

瑞鶴「ん? なんか加賀さんフラフラして――」

加賀「そんなんでは一航戦の座は渡せないわね、翔鶴」フラフラ

瑞鶴「翔鶴姉はあっちだよ! ってか酒くさっ!」

加賀「――ところで赤城さん」

瑞鶴「あっちだってば」

加賀「指輪の原因はわかったかしら?」

赤城「い、いいえ。もうあの人が帰ってきてから聞きます……」

加賀「それでいいのかしら。秘書艦として、提督の決断に反論すべき時もあるわ」

瑞鶴「なになに、何の話?」

翔鶴「赤城先輩、元気がないのに関係あるんですか?」

瑞鶴「――へえ、指輪がねー」

加賀「提督はきっと、赤城さんに思い出してほしいものがあるのよ」

翔鶴「今の赤城先輩に足りないものがあると?」

加賀「そう。それが私の読み」

瑞鶴(面白がってる顔にしか見えない)

赤城「な、何ですか、それは!?」

加賀「実は貴女にも関係があるわ、翔鶴」

翔鶴「え、私ですか? 何かありましたっけ」

加賀「ほら、任務があったでしょう。赤城さんと翔鶴2人に関係して、空母旗艦としての戦力強化に重要なものが」

赤城「!!」

瑞鶴「あー、あれか」

翔鶴「そ、そうですね! それはつまり――」

赤城「マイクだわ!!」

翔鶴「マイクですね!!」

瑞鶴「天山村田た……あれ」
加賀「ふ――そのとおりよ」

瑞鶴「あるぇー?」

加賀「指輪を外す……すなわち、けがれなき身体に戻るということ」

瑞鶴「えっ」

加賀「そしてそれが不可欠な職業といえば一つ。提督の目的とは――」

赤城「ま、まさか!!」
加賀「そう――赤城さんの、アイドルデビューだったのよ」
翔鶴「な、なんだってー!!」

瑞鶴「…………」

加賀「指輪を返し、アイドルとしての体を取り戻し、スターの道を駆け上がるのよ、赤城さん」

瑞鶴「え、じゃあ艦娘引退? デビューの前に引退しちゃうの?」

翔鶴「赤城先輩!! それじゃあ、旗艦二代を復活させて、私もお供を――」

加賀「何を言っているの。貴女は赤城さん亡き後の戦線を支えるのよ」

翔鶴「」

瑞鶴「別に死ぬわけじゃないけど。まー、膨大な資材使って装甲化したもんね」

翔鶴「うわああああん!! やっぱり私はいらない子なんだああああああ!!」ダッ

瑞鶴「あ、ちょっと!! そんなに歌いたかったの!?」

赤城「……そうか。これで私も心置きなく去れるというもの……」

赤城「最後に桟橋を見てきます。止めないでください」フラフラ

瑞鶴「あの、赤城さーん……」

加賀「…………」

加賀「――ふー……なんてね」

瑞鶴「あ、やっぱり冗談なんですか」

加賀「あの2人を見て別れるのを想像するほうが難しいわよ。私は提督を信頼しているわ」

瑞鶴「まあ普段の2人を見てればわかることですね」

加賀「ええ――ところで瑞鶴」

瑞鶴「はい?」

加賀「肩、貸してもらっていいかしら」フラフラ

瑞鶴「酔いは冗談じゃないんですね。……よいしょっと、行先は?」

加賀「お母さんのお店」

瑞鶴「まだ飲むんですか」

翔鶴「ごくごく……いっこーせんがなんぼのもんよおおお!!!!」

―― グォオオオオオオン!!!!

鳳翔「きゃあっ、ちょっ、げほっげほっ!! ボイラー止めて!!」

飛龍「よく言った後輩!! 今日は私のおごりだ!!」

蒼龍「お母さん、一升瓶開けるからねー!!」

鳳翔「待ちなさい! ちょっと、煙出したまま厨房入らないで!!」
瑞鶴「あー、始まっちゃった。てかもう出来上がっちゃってるし」

加賀「む、瑞鶴……これ、ウーロン茶じゃないの」

瑞鶴「そうですよ? 今日はやめときます」

加賀「なに、私の酒が飲めないっていうの!?」

瑞鶴「お、テンプレ。――私が潰れたら、誰が空母寮まで連れて帰るんですか」

鳳翔「貴女だけよ瑞鶴ちゃん……」

加賀「わ、私の酌を断ってただだ、ただで、すむと……」

瑞鶴「この辺にしときましょうよ。ほら、お水もってきましたから」サスサス

鳳翔「貴女だけよ瑞鶴ちゃん! お料理おまけしてあげる」

瑞鶴「あ、ありがとう……カルパッチョ? 珍しいね、イタリアンなんて」

鳳翔「ふふ、勉強したのよ。こういうのがナウなヤングにバカウケなのよね」フンスッ

瑞鶴「言い方が既にナウくないよ……おいしーけど」モグモグ

赤城『あの、提督。妙なものが届きましたよ』

提督『妙なもの? ――ああ、指輪か』

赤城『ゆ、指輪!?』

提督『艦娘と特別な絆を結び、さらなる練度の上昇を行う……だと。司令部も遊び心が過ぎるな』

赤城『あ、ああ。なんだ、部品ですか……』

提督『どうした落ち込んで』

赤城『な、なんでもないんです。――それよりそれ、誰に渡すんですか?』

提督『うーん、もう少し経ってから言いたかったんだが……赤城』

赤城『は、はい!!』

提督『君が好きだ』

赤城『えっ』

提督『愛している。1つ目の指輪は、君に受け取ってほしい』

赤城『あ、あの、ちょっと……』

提督『……駄目かな』

赤城『だ、駄目じゃないですよ!! 頂きます、はい!!』

提督『ありがとう。いきなりで悪かったね』

赤城『ちょっとびっくりしましたけど……でも、ありがとうございます』

提督『こちらこそ。これからもよろしく頼むよ』

赤城『はい! 提督となら、あの運命の5分間も――』
赤城「…………」
赤城「男らしい告白……嬉しかったなー、あの時は」

「今は嬉しくないか?」

赤城「……当たり前ですよ。その指輪を外せって言われたんですよ?」

「たとえ指輪がなくても、私から君への気持ちは変わらない」
赤城「……提督、いくらなんでもデリカシーが足りませんよ」

提督「あー、ごめん。言い方が悪かったよ」

赤城「ほんとにわかってますか?」

提督「指輪はあくまでもきっかけだから、それは誤解しないでくれ」

提督「君への告白は本当に、時機を見てするつもりだったんだ」
赤城「……提督。部品とはいえ、一度もらった指輪を外すのは、とっても嫌です」

赤城「今朝いきなり言われたときの私の気持ち、わかりますか?」

提督「……確かに言葉が足りてなかった。すまない」

赤城「頭を冷やして考えれば、提督の気持ちを疑うことなんてなかったんですけどね」

提督「それは、嬉しいけどね」

赤城「あなたが私を傷つけるようなこと、言ったことないのが悪いんです」

提督「ん?」

赤城「普段からケンカも全然しないようだと、今朝みたいなことを突然言われたら頭が真っ白になっちゃいます」

提督「うーん……ごめん?」

赤城「ふふ、いいんですよそのままで」

赤城「それで、大事な話とは?」

提督「ああ――これを君に。新しい指輪だ」

赤城「指輪……」

提督「ただの指輪じゃない。給料3か月分だ」

赤城「!」

提督「いくらなんでも、他者からもらった指輪をそのままでプロポーズなんて嫌だからな。――では改めて」
提督「あなたを愛しています。どうか私と、結婚してください」

赤城「…………」

赤城「それなら……そう言ってくれれば……」

提督「な、泣かないでくれよ。『今から指輪取りに行ってくる』なんて、全然ムードが」

赤城「ムードのために女の子を泣かせるんですか」

提督「泣かせたいわけじゃ……それに、それが男ってやつで」
赤城「ふ、ふふ。あはは」

提督「赤城?」

赤城「いえ、私変なこと色々考えてたなーって……心配することなんて、何も無かったのに」

提督「……ごめんよ」

赤城「これからずっと一緒にいてください。辛い時も、楽しい時も――それが条件です」

提督「……ああ。約束するよ、赤城」
赤城「空母として、妻として――私の誇り、お見せします!」

艦!
~おまけ1~
赤城「でも提督、どうして桟橋にいるってわかったんですか?」

提督「ああ、鳳翔の店に行ったら加賀が教えてくれた」

赤城「あ、そうですか……ん?」

提督「どうした」

赤城「なんで明るいうちから、私が飲み屋さんにいると思ったんですか!?」

提督「なんでと言われても……君はいつも、その、食べてるから」

赤城「て、提督まで!? どこまで私のイメージが食いしん坊に……!」

提督(可愛いからいいんだけどね)

赤城「提督、カラオケ歌いに行きましょう!!」

提督「カラオケ……どうして?」

赤城「歌が上手なキャラ付けのためです!!」

提督「そうか……それじゃあ、ディナーは今度にするか」

赤城「えっ」

提督「バイキングが部屋食より高いので有名なホテルでな。ようやく予約が取れたんだが」

赤城「……あ、あの」

提督「まあ私はいつでもいいし、君がいいなら改めて別な」

赤城「……ううっ」

提督「……いや、冗談だよ。泣かないでくれ、それには弱い」

赤城「ぐす……腕組んで行ってください」

提督「わかったわかった。……本当、可愛いよな」
~おまけ2~
加賀「……Zzz……」

瑞鶴「今頃赤城さんは、提督さんとしっぽりデートか……いいなぁ」

蒼龍「おかーさん、ハイボール濃いめで3つね!!」

鳳翔「はいはい」
飛龍「それイッキイッキ!!」

翔鶴「一じゃありません、私は五航戦です!!」

蒼龍「ゴッキゴッキ!!」

翔鶴「やめてください、虫みたいじゃないですか!!」

鳳翔「流石に一気飲みは止めますよ」

加賀「うーん……やかましいわね……」

瑞鶴「あ、起きた? 加賀さん」

加賀「どうせ騒ぐなら……お母さん、マイクを」

飛龍「いよ、待ってました!!」

蒼龍「一航戦の急に歌う方!!」

翔鶴「選曲は私にお任せください、先輩!!」ピッピッ

加賀「――目覚めのキッスはまどろむあなたに あやかしリップなお姫様――」
蒼龍「加賀岬じゃ」

飛龍「ないんかーい!!」

翔鶴「あっはっはっはっは、かんぱーい!!」

「「「ぐびぐび……ぷはー!!」」」

「「「麦茶だこれ!!!!」」」

鳳翔「コールするほど酔ってるのに、これ以上飲ませるわけないでしょう」

瑞鶴「流石お母さん、安心して飲めるね」

加賀「――99.8点……ふっ」ガッツポーズ

瑞鶴「そしてデビュー出来るよ加賀さん! てか持ち歌以外も上手いな!」
~おまけ3~
瑞鶴(あれから少し経って)

瑞鶴(結局加賀さんの言う通り、提督さんも赤城さんも仲が良いまま)

瑞鶴(少しだけ変わったのは――)
瑞鶴「――よっ」

加賀「……どうも押手がぶれるようね」

瑞鶴「やっぱりそうですか? 全面装甲は流石に重いなー」

加賀「こればっかりは、鍛錬で慣らすしかないわね」
瑞鶴(私が装甲空母になって)
翔鶴「熱燗くださーい……」

鳳翔「駄目よ。もう8本目でしょ」

蒼龍「おかーさん、ふきみそ食べたい……にがーいやつ……」

鳳翔「春の作り置きだから本当に苦いけど……はい」

飛龍「私はまだ5本目だからいいよねぇ……あ、支払いは赤城さんにツケといてね」

鳳翔「……貴女たち、本当に言ってあるんでしょうね?」

「「「大丈夫でーす」」」
瑞鶴(先輩たちと翔鶴姉の、お酒の量がちょっとだけ増えて)
赤城「――ふっ」

瑞鶴「しかし赤城さんは流石だなー。ねらいも全然ぶれてないし」

加賀「そう? 最近はそうでもないと思うわ」

瑞鶴「? そうですか?」
赤城「…………」指輪キラッ

赤城「うふ、うふ、えへへ……」床ゴロゴロ

加賀「」イラッ

瑞鶴「」イラッ
瑞鶴(赤城さんは常時キラキラ状態になった)

提督「赤城ー」

赤城「あっ、提督!! 出撃ですか!?」アセアセ

提督「いや、ケーキ買ってきたから。食べるだろ?」

赤城「は、はい! 私お茶淹れますから!!」
瑞鶴「じゃあ、私たちは退散しますか」

赤城「え? 全員分淹れますよ」

加賀「早くここから出たいので(お二人を邪魔したくありませんので)」

瑞鶴「…………」
提督「――加賀、これ皆にもっていってくれるか」

加賀「頂きます。それでは」

瑞鶴「ごゆっくりー」
赤城「美味しいですね」

提督「うん……それにしても、2回の告白の後も、対して生活は変わらないな」

赤城「艦娘ですからねー。ゆっくりするのは戦いが終わった後です」

提督「戦いか。奥さんを戦いに追いやるなんてろくでもない男だよな」

赤城「場所は違っても、その目的と信念は同じです。そのおかげで、私たちは戦えるんですよ」

提督「……そういうものかな」

赤城「適切な指揮のおかげで、加賀さんや二航戦の子たちとも、ずっと一緒ですし」

赤城「優しいお母さんに甘えたり、可愛い後輩を指導したりできます」

赤城「でも、これからはわかりません。敵もどんどん強くなります――もちろん、鍛錬は怠りませんけどね」

赤城「もっと大事なのは提督。あなたの采配です」
提督「……うん。わかっているよ、赤城」

赤城「辛い時は遠慮なく、私を頼ってください。ずっとそばにいますから……だって、私たち」
赤城「ふ、夫婦……ですし。ね?」

艦!
これにて終了です、読んで頂いてありがとうございました。
はい、途中で予想されてた通りです。特に波乱もなくて申し訳ありませんorz

普段は鳳翔さんメインばかり書いていますが、赤城さんはじめ空母勢が大好きです。
次は飛龍さんか翔鶴さんあたりで描きたいと思います。
それでは、また見かけたら読んで下さるとうれしいです。
元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446139866/

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